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▽ハロゲン化鉱物

2022年10月 4日 (火)

蛍石(福島県南会津郡蛍鉱山)

Fluorite CaF2 ハロゲン化鉱物

 

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蛍石で知られる、福島県会津の蛍鉱山で採集した蛍石です。センチ単位の結構大きな塊(というより、寄り集まっている感じかな)も見つけることができますが、顕微鏡で見て面白かったものをいくつか。やはり鉱物はミクロの世界のほうが面白い。

3枚目の写真は、蛍石の上に、針のような水晶が生えていますね。この細かな水晶がとても多いのですが、不用意に素手で石を持つと、刺さりますw ここでは蛍石(基本無色、灰色、緑で、まれに紫のものもある)と、この水晶が見られますが、他にどういう鉱物がでるかはわかりません。でも、群生した水晶もなかなかきれいで、まれに紫水晶や松茸水晶も産出するらしく、なかなか楽しい場所ですね。

蛍石は、UVライトを持っていけばすぐに見つかると思います。ここの蛍石は、きちんと青く光ります。沢沿いのズリでも見つかるし、稜線近くにある坑口(いくつかある)の近くまで登れば、立派なものも見つかりやすい気がします。自分は会津の山に行ったついでに、ちょっと寄ってみたのですが、まさかのUVライト忘れw でも普通に肉眼で見ても、サイズが大きいので、劈開面や形、色、光沢で蛍石だとわかります。

 

南会津の山奥、檜枝岐の西にひとつ山を越えた、湿原で有名な田代山や帝釈山を源流とする西根川流域が、蛍鉱山の現場(というかこの辺は稜線がなだらかで湿原になっている山が多い)。昭和12(1937)年から19(1944)年まで操業していたようです。

星きのこ園というところで、きのこ、鉱物1日採取権を購入します(1日2000円)。そういえば星製薬の創業者(星新一のご先祖さま)も会津出身でしたね。この辺はきのこ採取が生計の重要な一部になっているようで、無断立ち入り禁止の看板が多いので、こういう形で正式に認められての採集は、むしろ大変ありがたいです。多分ふらふらと山の中をさまよっていると、きのこ泥棒と間違われるでしょう。きのこも探せばいろいろ取れそう。自分たちが行った時も、ひとかかえもあるマイタケを採ってきた人が、「今日はこれしか採れなかった」などと言ってましたw 自慢か!

ポイントは何か所かあるようです。きのこ園の方が軽トラで林道の終点まで送ってくれ、場所を教えてもらったので、まあそんな苦労もなくたどり着けました(きれいな道があるわけではない)。ヘルメットを持った、坑道の中に入るらしい集団もいました。鉱物が目当てなのか、地下探検が目的なのかはわかりませんが、なんでもかんでも「危険! 禁止!」ばっかりの今の時代、まだまだこういう人たちも活動できるというのは、何だかほっとします。きのこ園に戻ってきて、果物などをふるまってもらいながら、お話など聞くことができました。南会津に行ったらぜひどうぞ(まあそこまで行くのがえらく大変なわけだが)。

 

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左:檜枝岐の会津駒ヶ岳。右:湿原は、モウセンゴケの大群生地。赤い絨毯のように見える。

 

2021年6月29日 (火)

蛍石(茨城県城里町錫高野)

Fluorite CaF2 ハロゲン化鉱物

 

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よく知られた錫高野の蛍石です。

高取山東の沢の上流、左岸に露頭があります。有名どころなので、もうきれいに整った結晶は滅多に見つからないのではないかと思いますが(大きいものであれば、劈開が強いので立方体あるいは八面体にきれいに割れるはず。。。でもチャレンジしたくないw)、淡い緑や紫がきれいです。青く光っている2、4枚目の写真は、それぞれ1、3枚目に長波(365nm)の紫外線をあてたもの。加熱しても光るそうですが、試したことはありません(破片が飛び散るらしい)。

よくきれいな結晶が売られているのを目にしますが、分離結晶の場合はほとんど加工されたものではないかと思います。日本では加工するのに十分なほどの大きな固まりは産しないです。最大の産出国は中国です。ちなみに漢方でも(紫色の)蛍石が使われるのですが、なぜか紫石英という名称になっています(昔はアメジストだったらしいが)。蛍石のほうが手に入りやすかったからですかね? 中国の南部では、紫色の方解石を、「紫石英」として使っているところもあるようです。つまり、〈紫色の透明な石〉という「概念」が必要だったということでしょうか。成分ではなく、視覚的な形象による分類を基本にしているということで、西洋文明とはまったく異質なものを感じますね。おもしろい。

蛍石は古くから鉄鉱石の融剤として使われてきたため、「流れる」という意味のラテン語「fluere」から名付けられました。さらにこの蛍石を由来として、蛍光現象(fluorescence)、フッ素(fluorine)などが名付けられました(なお、エネルギーを受けた物体の発光現象のことをルミネセンス〈luminescence〉とも言いますが、その違いはちょっとあやふやなところもあって面倒なので、ここではスルーします。興味ある方は自分で調べてね)。

 

先日全14話完結した「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」というアニメがありました。AI(アンドロイド)の人類への反逆にいたる過程、そしてそれを阻止しようとする未来から来たAIと、史上初の自律人型AI歌姫の100年にわたる物語でしたが、最近珍しい、純粋なSFオリジナルのアニメでした。このサブタイトル「Fluorite Eye’s Song」の「Fluorite」というのはもちろん、蛍石のことです。

蛍石は色収差が非常に小さいので、高級な光学製品にレンズとして使われています(現在ではほとんど人工蛍石ですが)。蛍石のモース硬度は4なので、ガラスよりも加工もしやすいのかな?(ガラスは5~6)

アニメでは頻繁にAIの目の精密なアップ画像が使われていて、そこだけ作画が変わるので非常に印象的でしたが、つまりこの目は蛍石のレンズだったんですね(というか、Fluorite Eyeという言葉で、人間ではない、AIを象徴してたってことですけど)。人間の目は「水晶体」。水晶とフローライトというふたつの鉱物で表現しているのは、その類似性なのか差異だったのか、なかなかうまい表現だと思います。よい作品だったので、興味あったらぜひ。

 

2021年1月 4日 (月)

岩塩(静岡県河津町菖蒲沢浜)

Halite NaCl ハロゲン化鉱物

 

Halite_shoubusawa_01

Halite_shoubusawa_02

 

ようするに、普通の塩ですね。

なんてことないようにも感じますが、日本では自然の岩塩は割と珍しいのです。珍しいというか、誰でも海で見たことはあるような気はするけれど、いざ採集しようと思うと、そう簡単ではなかったり。

日本では塩といえば基本海水からとるものと思っていますが、世界を見ると、海から塩をとる国のほうが実は少ないようです。モンゴルのピンク色の岩塩とかよく売ってますが、もちろんモンゴルには海はなく、あれは岩塩の鉱床から採掘しています。他にも、鉱床の塩が溶け込んだ湖の水から塩をとったりしているようです。

写真の岩塩は、磯の岩場に残った海水が蒸発して結晶したものです。ほどよい量の海水が岩のへこみに残り、晴天が続いて水が蒸発していくと塩分濃度があがり、水がすべて蒸発した後に結晶が残るわけですが、その条件として、まず晴天が続かなければなりません。さらに、日本は高温多湿ですので、結晶が残りにくく、からからに乾燥した日が続かなければなりません。風が強かったりして波が高くなれば、結晶もなにも残りませんし、結晶ができたあと潮が引いて海水が届かない場所、日時である必要もあります。

このように条件が多いので、いざ見つけようと思うと結構苦労するのですね。関東であれば、乾燥して晴天が続く冬が一番いいのかもしれません。東伊豆は、西伊豆のように風が強くないし、冬でも日差しがあればあたたかく、海岸線も長く岩場が多いので、最適といえるかも。

この写真の岩塩は、別に苦労して探してとったものでなく、冬に海岸を歩いていて偶然見つけたものです。

ところで、wikipediaを眺めていたら、世界で産出される岩塩の約半分は、ヨーロッパ、北米で冬の融雪剤として使用されると書いてありました。知らなかった、そんなの。。。普通に考えて、そんな大量の塩をばらまいてたら環境負荷大きいんじゃないのと思いますが、実際塩害は特に欧米ではかなり昔から問題になっているようです。日本でも雪の多いところでは交通量の多いところで植物が枯れたりする被害がでているみたい(塩を使わない融雪剤もあるようですが、かなりコストが上がるらしい)。

こういうのはほんとに難しいですねぇ。じゃあお金がかかっても被害のでないものを使え!環境第一!とか口で言うのは簡単ですが、コストが高いということは、製造のために使われる時間と手間、つまりエネルギーがより多いってことだから、それを勘案してどちらがより良いかは、一概に言えない。行程が複雑になればなるほど、それにかかるエネルギーは増えるのだから、結局一番安い(簡単な)方法が一番効率良い、無駄がない=環境にやさしい、ということになるような気もします。

これは発電方法の問題や、最近はやりのビニール袋の問題と一緒ですが、きりがないので、ここでやめることにします(ほんとはちょっと書いてみたが、政治的な自己主張みたくなってしまうので、このブログにふさわしくないのでやめたのだ)。