〇群馬県

2020年10月 7日 (水)

鈴木石(群馬県桐生市菱町茂倉沢鉱山)

Suzukiite BaV4+Si2O7 珪酸塩鉱物

 

Suzukiite_mogurazawam_01

Suzukiite_mogurazawam_02

Suzukiite_mogurazawam_03

 

群馬県・茂倉沢鉱山の鈴木石。。。ではないかと思うのですが、どうでしょうね。

かなり珍しい鉱物だと思いますし、1回しか行っていないところでこんなに簡単に見つかるもんかと疑心暗鬼にもなりますが、分析できるわけもなく、見かけ上はそっくりですので、ここは鈴木石ということにさせてもらおうかと思います。

鈴木石はバリウムとバナジウムが主成分で、まさにここ茂倉沢で発見された鉱物です。発見年も書こうと思ったのですが、なぜか様々なサイトで発見年がばらばらなのはなぜ?(最初の発見地についても、何だかあやふやなところがあります) まあめんどうなので、そのあたりのことは追求するのはやめておきます。いろんな事情があるのでしょう。その事情に興味はあまりないので。

そんなことより、この石の美しさを愛でるほうが、より意味があるのではないかと思います。淡いピンクのバラ輝石の中で、鮮やかなエメラルドグリーンが目にしみます。

ところで、これが鈴木石なのかどうか疑問を感じる理由がもうひとつあって、それは、この石の片割れの方に孔雀石がついていたからです。質感は違いますが、どちらも緑色で、孔雀石はさまざまな姿をとることのある鉱物ですから、これも孔雀石なんじゃないかという疑問があったのです。下の写真は、その孔雀石。

 

Malachite_mogurazawam_01

 

これは明らかに孔雀石ですよね。茂倉沢の孔雀石はどうやらかなり稀産らしく、まあこれはこれでうれしいのですが、やはりどこでも見つかるものよりは初めての鉱物のほうがうれしいのは仕方ない。

こうやって写真に撮ってじっくり眺めていると、その違いもはっきり見えてくるような気がします。孔雀石の方は母岩の表面にへばりついているように見えるけれど、鈴木石のほうはむしろ母岩の中に埋もれているように見えますね。3枚目の写真の鈴木石は、ちょっと孔雀石の部分も混じっているようにも見える。。。

こうやって悩むのも、鉱物の楽しみのひとつかもしれません。

 

2020年8月20日 (木)

テフロ石?(群馬県桐生市菱町茂倉沢鉱山)―C2

テフロ石(マンガンかんらん石) Mn2+2(SiO4) 珪酸塩鉱物

 

前回・ロスコー雲母(群馬県桐生市菱町茂倉沢鉱山)からの続きです。

バラ輝石が中心の石に、緑の結晶群がついていました。

ロスコー雲母と、オレンジに蛍光する、緑の薄い部分は閃亜鉛鉱ではないか、と予想しましたが、蛍光しない緑の濃い結晶は一体何なのか。その拡大写真です。水晶の頭のような、結構きれいな形をしています。

 

Tephroite_mogurazawam_01

 

ぱっと見た感じ、かんらん石の結晶に似た感じ。

ここの石で一番よく見られる緑系の鉱物といえば、テフロ石です。テフロ石は、かんらん石にマンガンが入った石。もしかしたら、テフロ石の結晶でしょうか。

日本ではテフロ石の結晶は非常にまれなようですが、岩手県の田野畑鉱山では、緑の結晶粒として産出するそうです。田野畑鉱山は、茂倉沢と同様、珍しい長島石、鈴木石、ロスコー雲母の産地。特に長島石は、世界でこの2か所でしか見つかっていません。とすれば、茂倉沢でもテフロ石の結晶があってもいいのでは?w

ネットで見てみると、テフロ石の結晶は大体褐色ですが、たまに透明度の高い緑のものもあるようです。

ちなみに、結晶でないテフロ石はごく普通にあります。

 

Tephroite_mogurazawam_02

 

この写真のようなのが、テフロ石の普通の産状です。淡い灰青緑をした塊です。ピンク色はバラ輝石。

まあ正直本当にテフロ石なのかどうかは分かりませんが、期待も込めて、「テフロ石?」ということにさせていただきました。他に思い当たる鉱物がないのは、自分の知識や経験のなさですね。

 

テフロというのは、ギリシャ語で灰を意味し、見かけの色からきています。

軽石やスコリア、火山灰など、溶岩以外の火山噴出物をテフラといいますが、これも同じ語源です。

ちなみにマンガンの語源はいろいろ複雑だったようで。。。面白いので、ちょっと引用します。

「軟マンガン鉱は当時、磁鉄鉱magnesの変種とも考えられていてmagnesiaとよばれていた。そのころ酸化マグネシウムもmagnesiaとよばれており、それを区別するため軟マンガン鉱を黒いmagnesiaおよびmanganeseとよんだ。そのためガーンは、ここで得た金属をmanganesiumとした。1808年ドイツのクラプロートはそれまでに発見されたmagnesiumとの混同を防ぐためMangan(ドイツ語)を提案した。また、古代ローマ時代、すでにガラスに加えて青緑色を消すため軟マンガン鉱を利用しており、これにちなんだギリシア語のmanganizo(浄化)、manganon(魔法)に、その名前の語源があるともいわれる。」(『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館)

なんか錯綜してますね。

自分にとってもマンガン鉱石は結晶になることも少なく分かりづらいのですが、昔からそうだったのか。。。

 

2020年8月19日 (水)

ロスコー雲母(群馬県桐生市菱町茂倉沢鉱山)―C1

Roscoelite KV3+2(Si3Al)O10(OH)2 珪酸塩鉱物

 

Roscoelite_mogurazawam_01

 

群馬県の有名な茂倉沢鉱山の石です。

母岩の透明な淡いピンクと白は、それぞれバラ輝石と石英です。

その中に、緑の透明な結晶群が見られました。

茂倉沢鉱山といえば、長島石、鈴木石、ロスコー雲母ですね。どれも緑系の稀少なバナジウム系の鉱物で、マンガン鉱床である茂倉沢鉱山で産出するにもかかわらず、マンガンをほとんど含みません。長島石と鈴木石は、名前のとおり、日本で最初に発見・報告された鉱物で、特に長島石は、ここ、茂倉沢鉱山が発見地です。いずれも産地はごくわずか。ロスコー雲母も、日本での産地は片手で数えられるくらいしかありません。稀産鉱物の宝庫ですね。その分、見つけるのは大変ですが。

ネット上では、茂倉沢ではもうマンガン鉱石すら数少ないなんて言葉が目につきますが、実際行ってみると、ひとかかえもある大きいのから小さなかけらまで、沢沿いに普通にごろごろしていて、美しいバラ輝石などは探すまでもなく苦労せず拾えます(マンガン鉱石は非常に重く、硬いので、大きいのはとても持ち上がりませんし、割るのも一苦労ですけど)。

これはやっぱり「高度な情報戦」ってやつでしょうかw やはり鉱物探しでは、高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処するのが大事ですね!(ようするに行き当たりばったりということかねw) まあ、台風などでかき回されたのかもしれませんし、昔はもっとすごかったのかもしれませんが。

 

どうやら右上のちょっと虹色に光る部分が、ロスコー雲母のようです。裁縫用針でつついたら、雲母の特徴のとおり、薄片がはがれました。自分が見つけたロスコー雲母(と思われるもの)は、今のところ、このとても小さなものだけです。

最初はこの緑の部分はすべて同じものだと思っていたのですが、どうやらいろいろな種類の鉱物が集まっているようです。

試しにUVライト(長波)をあててみたところ、

 

Roscoelite_mogurazawam_02

 

一様でないことが分かりました。右上のロスコー雲母と思われる部分と、左の一番大きな結晶部分をのぞき、オレンジ色で光っています。

ここで産出する可能性のあるもので、緑の結晶となることもある、蛍光することもあるもの、といったら、重晶石と閃亜鉛鉱ですが、オレンジの蛍光ということで、光っている部分は閃亜鉛鉱ではないかと考えました。他の鉱物系のサイトで、似たような緑、透明な結晶を、閃亜鉛鉱ではないかとしているところもありました(TMTM Mineral Collection)。というか、他に思い当たりません。

 

そうすると、蛍光しない、左の一番大きな結晶は一体なんだろう。

次回に続きます。

 

2020年6月11日 (木)

自然硫黄(群馬県吾妻郡嬬恋村万座温泉)

Sulphur S 元素鉱物

 

Sulphur_manza_01

Sulphur_manza_02

 

この自然硫黄は、火山の噴気孔から放出された火山ガスに含まれる硫化水素と二酸化硫黄が冷やされ、硫黄と水に化学変化し結晶化したものです。他にも温泉の沈殿物として生成されたりします。

黄鉄鉱は硫黄と鉄からできた鉱物で、昔は火打石として使われていたそうです。英名のpyriteは、ギリシャ語の火を意味する「pyr」からきています。実は黄鉄鉱は鉄の鉱物というより、硫黄の原料としてより重要であったようです。

火山の多い日本は自然硫黄の大産地なので、過去には多く採掘されていました。

火薬は唐の末期9世紀ごろに中国で発明されました。宋の時代には火器が大きく発展し、火薬も大量に生産されましたが、実は中国では硫黄がほとんどとれず、輸入に頼っていました。それが、日本や、やはり火山の多い東南アジアだったというわけです(当時の黒色火薬の原料は、硝石、硫黄、木炭粉など)。さらには遠く西アジアからも輸入していたようで、絹の道ならぬ、硫黄の道ですね(海上貿易が中心だったようですが)。日本の輸出業者とかいたんでしょうか。

唐の時代から、日本人も、思った以上にずいぶんあちこち世界を行き来していたようです。唐代に書かれた様々な出来事を集めた『酉陽雑俎』という本には、中国から天竺まで行って中国に帰ってきた倭人の話がでてきます。一体どんなものを見たのか、日本には戻ってこれたのか、どこのどういう人だったのか。和名は書いてありません(金剛三昧という名前で記されている)。

 

今では、日本では一切硫黄の採掘は行われていません。たとえば原油の精製時など、大量に生成されるからです。鉱物を採掘するのは、大変な重労働ですからね。。。(今でも採掘されているのは、石灰くらいだと思います)

 

万座温泉は、硫黄成分が非常に強い温泉で、癒されるというより、どう見ても体に悪そうな感じですw

万座、草津白根山周辺は、とても魅力的なところで、何度も行っているのですが、白根山の噴火以来、ちょっと行きにくくなってしまいました。日本の山はほとんど森林におおわれているので、荒涼とした火山地帯は、もうそれだけでちょっと異質で魅力的です。火山は、まさに地球の鼓動をじかに感じられる特異点といえます。

噴火したあたりも、登山道が通っていたんですが、はたして生きているうちに行ける日がくるのかどうか。噴火の跡をぜひ見に行ってみたいんですが、まだ火山性地震もちょくちょくありますし、早く落ち着いてほしいと思います。