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〇群馬県

2021年1月 9日 (土)

緑閃石(群馬県藤岡市八塩鉱山)

Actinolite □Ca2(Mg4.5-2.5Fe2+0.5-2.5)Si8O22(OH)2 珪酸塩鉱物

 

Actinolite_yashiom_01

Actinolite_yashiom_02

 

緑閃石は別名、透緑閃石、アクチノ閃石、陽起石などともいわれます。写真のような粗い結晶だと緑のきれいな鉱物ですが、もっと細かい繊維状、針状でもよく見られます。さらに肉眼では見えないくらい細い結晶の緻密な集合=塊りは、中国では硬玉(ヒスイ)に対して軟玉(ネフライト:nephrite)と呼ばれて、宝石の一種となります(石英より少し柔らかい)。

アクチノライトという英名の語源は、ギリシャ語。1794年、アイルランドの地質学者・化学者のリチャード・カーワン(Richard Kirwan、1733-1812)によって命名されました。ακτίνα(aktina:光線)とλίθος(lithos:石)の組み合わせですが、繊維状のイメージからきているんでしょうかね。

ところで、この緑閃石にはもうひとつ属するグループがあります。天然に産するの繊維状珪酸塩鉱物のことを、石綿、アスベストと総称します(上の写真にも、一部繊維状結晶があります)。現代における鉱物三大悪役のひとつ、アスベストですねw でもその歴史は非常に長いようです。

古代エジプト、中国など、はるか古代から燃えない布としてずっと使われてきた石綿ですが、日本でも、かぐや姫が結婚の条件として出した無理難題のひとつが、火山に住む火鼠という幻獣の皮でできた、燃えない衣でした。和名類聚抄には「(巻18・毛群部第29・毛群名第234・20丁表4行目)火鼠 神異記云火鼠[和名比禰須三]取其毛織為布若汚以火焼之更令清潔矣」とあります。汚れたら燃やすと清潔になるらしい。

これは中国では火浣布(かかんぷ)として知られていて、実際は想像上のものでなく、石綿のことと思われます。かぐや姫の話では、苦労してようやく天竺由来の「火鼠のかはごろも」を手に入れた右大臣安倍のみうしが贈ったのですが、本物かどうか火にくべて試したら燃えてしまったので、結婚したくないかぐや様は喜んで「おかわいいこと」と笑った、という。。。(ちょっと違う)。かぐや様はつれないですねぇw

『列子』には、周の穆王が西戎を攻めたときに、西戎が降伏の印として錕鋙の剣と火浣布を献上してきたとあります。また『抱朴子』によると、火浣布には三種類あるらしい。一つは、肅邱という島に生えている、燃やしても灰にならない木があり、この木の花を布に織ったもの、一つは、この木の皮を灰と一緒に煮て布に織ったもの、一つは、毛が三寸ばかりの白鼠が上空の木に住んでいて、この毛は火中で焼けず、集めて布を織ったもの。最後のものがかぐや姫の火鼠のことですね。

江戸時代には、平賀源内が石綿を製作したり、「火浣布説」「火浣布略説」という書を著しています。彼は金山事業の関連で埼玉中津川の秩父鉱山周辺に何度も訪れており、あるいはここで見つけた閃石類を使ったのかもしれません。

西洋では、マルコ・ポーロの『東方見聞録』に「サラマンダーの皮」というものが出てきます。なぜトカゲとかネズミとかが火に強いということになったんでしょうか。多分なにかしら理由があるはずですが。。。

 

現代ではもはや原則生産されていない石綿、アスベストですが、子どものころは理科の実験で、ビーカーを熱する時に下に敷くものとして、まだ使われていました。生産されていないといっても、まだ使われてそのままになっている建築物は多く、その排出量がピークを迎えるのはこれからだそうですが。

アスベストといっても鉱物名ではなく、蛇紋石族のクリソタイル、角閃石族のクロシドライト(リーベック閃石)、アモサイト、アンソフィライト (直閃石)、トレモライト(透閃石)、そしてこのアクチノライト(緑閃石)の、繊維状結晶の総称です。アスベストとして使用されてきたのはほとんどはクリソタイルで、緑閃石はアスベストの原料としては、ほとんど使用されていないようです。緑閃石の鉱山なんて、聞いたことないですし。

大きな結晶だと、淡い緑の半透明がほんとにきれいなんですけどね。

 

2020年11月30日 (月)

コーリンガ石(群馬県藤岡市八塩鉱山)

Coalingite Mg10Fe3+2(CO3)(OH)24・2H2O 炭酸塩鉱物等

 

Coalingite_yashiom_01

Coalingite_yashiom_02

 

群馬県、三波川近くの八塩鉱山のコーリンガ石(赤褐色の部分)だと思います。

ブルース石を含む蛇紋岩の風化によって生成される鉱物で、1年間野外にそれを置いておくと、コーリンガ石ができるそうです(堀秀道『楽しい鉱物図鑑②』草思社、1997)。うちの庭のズリに置いておいて、実験してみますかね。

どちらの写真も上部に青緑の部分があり、これがブルース石ではないかと思います。八塩鉱山の石の多くは、半透明・青緑のきれいな部分がついてますが、全部ブルース石なのかな?

特に2枚目の写真は、青緑を含む上部(ピントがあってないところ)は採集した時割って出てきた面で、コーリンガ石がついているのは露出していた表面のみでした。ズリに転がっているうちに、コーリンガ石になってしまったんですね。黒い粒々は、クロム鉄鉱だと思います。

上記の本にも書いてありますが、たった1年で違う種類になってしまうとは、なんとまあいそがしい鉱物ですねw(マンガン系もそうですが)

コーリンガ石には、大気中の炭酸ガスを吸収する作用があります。二酸化炭素は現在ではなにやら大変な悪者的扱いになってしまっていますが、地球上に普通に存在する、絶対に必要なものでもあります。実際に炭酸ガスが増えているのか、それを原因とした影響がはっきり現れているのか、それが人間の活動によるものなのか、ということは別として、冷静に考えることが必要かなと思います(正直にいうと、政治的影響が大きすぎて、どの立場の話もそっくりそのまま信用していいのかどうか疑問を感じないでもないこともなくはないこともない←態度を明確にできないということを表現していますよw)。

 

カリフォルニア州のコーリンガ近くの蛇紋岩のアスベスト鉱床で最初に発見(報告)されたことから、この名前がつきました。ネットや本で調べると、コーリンガ石とコーリング石2種類の表記があったので、どっちがいいのだろうと調べていたら、以下のような事情があることが分かりました。

元々はコーリングという地名だったようですが、サザン・パシフィック鉄道(Southern Pacific Railroad)の駅Coaling Station Aという表記を省略してCoaling Aと書いていたのが定着して、コーリンガ(Coalinga)になってしまったようです。だからまあ、どっちでもいいのかなw(Coalingiteに「a」は入ってないですし)

 

2020年11月 8日 (日)

水苦土石(群馬県藤岡市八塩鉱山)

Hydromagnesite Mg5(CO3)4(OH)2・4H2O 炭酸塩鉱物等

 

Hydromagnesite_yashiom_03

Hydromagnesite_yashiom_02

Hydromagnesite_yashiom_01

 

水苦土石は、学名やそれを直訳した日本語名の通り、水とマグネシウムを主要な成分とする鉱物です(苦土はマグネシウムのこと)。

写真の通り、薄い板状で先の尖ったソードのような透明結晶が放射状または球顆状に集合することが多く、蛇紋岩中に産し、表面にいっぱいへばりついているのはなかなか見映えのするものです。

ここでは他に似たような鉱物として、アルチニー石やあられ石もありますが、先の尖った形ですぐに見分けがつくと思います(かなり小さいですけど)。あられ石もやっぱり放射状の白い結晶が石にへばりついていますが、水苦土石とはサイズが違い、数センチレベルの大きさがあります。自分が見た限りでは、大きいのは大体あられ石ですね。あと水苦土石は純白ですが、あられ石はちょっと濁っていて光沢がない感じ。

下2枚の写真の部分は先端の形をはっきり確認できないのですが、すべて板状の結晶の集合のように見えるので、水苦土石としています。アルチニー石は針状・繊維状になるとのこと、見たことないけど、モルデン沸石みたいな感じでしょうかね? もしかしたら下2枚はアルチニー石の可能性もなきにしもあらず?

 

クロムやあられ石を採掘していたという八塩鉱山跡は、群馬県と埼玉県の県境にあります。利根川の支流のひとつ、神流川沿いの八塩温泉、その上の御倉御子神社の背後の山の中にちょっと入ったところです(川向うは埼玉県)。下に弁天山・桜山ハイキングコースのための駐車場もあり(付近のコース地図も置いてあった)、ポイントは弁天山展望台のすぐそばなので、それほど遠くもなく、便利もよいです(神社の駐車場まではうちの車では入れなかったし、使わない方がいいと思う。歩いても大した距離じゃないです)。

すぐ南には、神流川の支流で地質学的には名の知れた三波川があります。日本最大の広域変成帯のひとつである三波川変成帯はこの周辺を東限として、中央構造線に沿って、西に向かって紀伊半島、四国、九州と日本列島を横断して続いています(このブログでも、オンファス輝石角閃石岩(愛媛県四国中央市関川流域)でとりあげています)。

実際、鉱山に行く途中の林道中、きらきら輝く膜のへばりついた石英の塊がよく落ちているのですが、それを見たとき、四国・別子鉱山の近くの渓谷で見た石とそっくりだなぁと思ったのです(もしかしたらこのあたりの沢とかで、藍晶石とか見つかりませんかね?)。ちなみに、下の駐車場にも大きな石英がころがっていたり、ポイントに行く途中、滑石の露頭があったりと、鉱山そのもの以外でも興味深いものが多く見られます(どちらも鉱山のズリにはまったくない)。神社の石段にも、石英の脈が走っていたり、さすが三波川(周辺には他にいくつも鉱山跡があります)。

鉱山直上には弁財天、山の神の祠と展望台がありますが、展望台にも青緑に縞模様の入った三波川の結晶片岩・三波石が置かれているので、ついでに見に行くといいかも?(天気が良ければ日光の山々、筑波山とちょこっと赤城山も見えてお休みどころですが、工場の音がうるさいかもしれない。。。)

 

Yashiom_01

八塩鉱山の坑口。坑口前の広場にはトロッコのレールや石組が多く残っている。

 

2020年10月30日 (金)

バラ輝石(群馬県桐生市菱町茂倉沢鉱山)

Rhodonite Mn2+SiO3 珪酸塩鉱物

 

Rhodonite_mogurasawam_03

Rhodonite_mogurasawam_01

Rhodonite_mogurasawam_02

 

茂倉沢のバラ輝石です。以前は輝石の仲間だと思われていたのですが、実際には輝石とは違い、準輝石という構造であることがわかっています。今ではバラ輝石族という集合が作られています。名前は見たとおり、バラの色をしているということで、古代ギリシャ語のバラを意味する「ῥόδον(rhodon)」からつけられました。ラテン語だと「rosa」で、どちらももともとは古代ペルシャあたりからきた言葉をもとにしているようです(バラそのものの起源はヒマラヤのあたりではないかといわれている)。

たいていのマンガン鉱床にはよく見られるもので、特に珍しいものではありませんが、磨いてちょっとした宝石として使われることもあります(マンガン鉱石としては価値は低い)。珪酸塩系なので、石英と一緒になっていることが多いです。

かたまりになっていることが多いのですが、ここのバラ輝石は拡大すると、結構透明できれいですね。3枚目の写真は色が濃く紫色ですが、どうも成分の違いによるもののようです。マグネシウムが含まれていると、紫系の色になることが多いようです。

空気や水、光に触れると徐々に黒くなっていきます。だから、沢に落ちているものは、大抵表面は真っ黒です。とても硬いのですが、苦労して割るとこの鮮やかなピンク~紫の面があらわれて、とても感動します。

「バラの下(sub rosa)」というと、ラテン語圏では「秘密」という意味。まさに真っ黒な表面に隠された美しい「秘密」ですね。

(「バラ」というのはさまざまな象徴、暗喩があって、意味ありげにする時に便利なのですw 『薔薇の名前』を書いたウンベルト・エーコもそんなことを言っていたような。。。)

 

2020年10月 7日 (水)

鈴木石(群馬県桐生市菱町茂倉沢鉱山)

Suzukiite BaV4+Si2O7 珪酸塩鉱物

 

Suzukiite_mogurazawam_01

Suzukiite_mogurazawam_02

Suzukiite_mogurazawam_03

 

群馬県・茂倉沢鉱山の鈴木石。。。ではないかと思うのですが、どうでしょうね。

かなり珍しい鉱物だと思いますし、1回しか行っていないところでこんなに簡単に見つかるもんかと疑心暗鬼にもなりますが、分析できるわけもなく、見かけ上はそっくりですので、ここは鈴木石ということにさせてもらおうかと思います。

鈴木石はバリウムとバナジウムが主成分で、まさにここ茂倉沢で発見された鉱物です。発見年も書こうと思ったのですが、なぜか様々なサイトで発見年がばらばらなのはなぜ?(最初の発見地についても、何だかあやふやなところがあります) まあめんどうなので、そのあたりのことは追求するのはやめておきます。いろんな事情があるのでしょう。その事情に興味はあまりないので。

そんなことより、この石の美しさを愛でるほうが、より意味があるのではないかと思います。淡いピンクのバラ輝石の中で、鮮やかなエメラルドグリーンが目にしみます。

ところで、これが鈴木石なのかどうか疑問を感じる理由がもうひとつあって、それは、この石の片割れの方に孔雀石がついていたからです。質感は違いますが、どちらも緑色で、孔雀石はさまざまな姿をとることのある鉱物ですから、これも孔雀石なんじゃないかという疑問があったのです。下の写真は、その孔雀石。

 

Malachite_mogurazawam_01

 

これは明らかに孔雀石ですよね。茂倉沢の孔雀石はどうやらかなり稀産らしく、まあこれはこれでうれしいのですが、やはりどこでも見つかるものよりは初めての鉱物のほうがうれしいのは仕方ない。

こうやって写真に撮ってじっくり眺めていると、その違いもはっきり見えてくるような気がします。孔雀石の方は母岩の表面にへばりついているように見えるけれど、鈴木石のほうはむしろ母岩の中に埋もれているように見えますね。3枚目の写真の鈴木石は、ちょっと孔雀石の部分も混じっているようにも見える。。。

こうやって悩むのも、鉱物の楽しみのひとつかもしれません。

 

2020年8月20日 (木)

テフロ石?(群馬県桐生市菱町茂倉沢鉱山)―C2

テフロ石(マンガンかんらん石) Mn2+2(SiO4) 珪酸塩鉱物

 

前回・ロスコー雲母(群馬県桐生市菱町茂倉沢鉱山)からの続きです。

バラ輝石が中心の石に、緑の結晶群がついていました。

ロスコー雲母と、オレンジに蛍光する、緑の薄い部分は閃亜鉛鉱ではないか、と予想しましたが、蛍光しない緑の濃い結晶は一体何なのか。その拡大写真です。水晶の頭のような、結構きれいな形をしています。

 

Tephroite_mogurazawam_01

 

ぱっと見た感じ、かんらん石の結晶に似た感じ。

ここの石で一番よく見られる緑系の鉱物といえば、テフロ石です。テフロ石は、かんらん石にマンガンが入った石。もしかしたら、テフロ石の結晶でしょうか。

日本ではテフロ石の結晶は非常にまれなようですが、岩手県の田野畑鉱山では、緑の結晶粒として産出するそうです。田野畑鉱山は、茂倉沢と同様、珍しい長島石、鈴木石、ロスコー雲母の産地。特に長島石は、世界でこの2か所でしか見つかっていません。とすれば、茂倉沢でもテフロ石の結晶があってもいいのでは?w

ネットで見てみると、テフロ石の結晶は大体褐色ですが、たまに透明度の高い緑のものもあるようです。

ちなみに、結晶でないテフロ石はごく普通にあります。

 

Tephroite_mogurazawam_02

 

この写真のようなのが、テフロ石の普通の産状です。淡い灰青緑をした塊です。ピンク色はバラ輝石。

まあ正直本当にテフロ石なのかどうかは分かりませんが、期待も込めて、「テフロ石?」ということにさせていただきました。他に思い当たる鉱物がないのは、自分の知識や経験のなさですね。

 

テフロというのは、ギリシャ語で灰を意味し、見かけの色からきています。

軽石やスコリア、火山灰など、溶岩以外の火山噴出物をテフラといいますが、これも同じ語源です。

ちなみにマンガンの語源はいろいろ複雑だったようで。。。面白いので、ちょっと引用します。

「軟マンガン鉱は当時、磁鉄鉱magnesの変種とも考えられていてmagnesiaとよばれていた。そのころ酸化マグネシウムもmagnesiaとよばれており、それを区別するため軟マンガン鉱を黒いmagnesiaおよびmanganeseとよんだ。そのためガーンは、ここで得た金属をmanganesiumとした。1808年ドイツのクラプロートはそれまでに発見されたmagnesiumとの混同を防ぐためMangan(ドイツ語)を提案した。また、古代ローマ時代、すでにガラスに加えて青緑色を消すため軟マンガン鉱を利用しており、これにちなんだギリシア語のmanganizo(浄化)、manganon(魔法)に、その名前の語源があるともいわれる。」(『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館)

なんか錯綜してますね。

自分にとってもマンガン鉱石は結晶になることも少なく分かりづらいのですが、昔からそうだったのか。。。

 

2020年8月19日 (水)

ロスコー雲母(群馬県桐生市菱町茂倉沢鉱山)―C1

Roscoelite KV3+2(Si3Al)O10(OH)2 珪酸塩鉱物

 

Roscoelite_mogurazawam_01

 

群馬県の有名な茂倉沢鉱山の石です。

母岩の透明な淡いピンクと白は、それぞれバラ輝石と石英です。

その中に、緑の透明な結晶群が見られました。

茂倉沢鉱山といえば、長島石、鈴木石、ロスコー雲母ですね。どれも緑系の稀少なバナジウム系の鉱物で、マンガン鉱床である茂倉沢鉱山で産出するにもかかわらず、マンガンをほとんど含みません。長島石と鈴木石は、名前のとおり、日本で最初に発見・報告された鉱物で、特に長島石は、ここ、茂倉沢鉱山が発見地です。いずれも産地はごくわずか。ロスコー雲母も、日本での産地は片手で数えられるくらいしかありません。稀産鉱物の宝庫ですね。その分、見つけるのは大変ですが。

ネット上では、茂倉沢ではもうマンガン鉱石すら数少ないなんて言葉が目につきますが、実際行ってみると、ひとかかえもある大きいのから小さなかけらまで、沢沿いに普通にごろごろしていて、美しいバラ輝石などは探すまでもなく苦労せず拾えます(マンガン鉱石は非常に重く、硬いので、大きいのはとても持ち上がりませんし、割るのも一苦労ですけど)。

これはやっぱり「高度な情報戦」ってやつでしょうかw やはり鉱物探しでは、高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処するのが大事ですね!(ようするに行き当たりばったりということかねw) まあ、台風などでかき回されたのかもしれませんし、昔はもっとすごかったのかもしれませんが。

 

どうやら右上のちょっと虹色に光る部分が、ロスコー雲母のようです。裁縫用針でつついたら、雲母の特徴のとおり、薄片がはがれました。自分が見つけたロスコー雲母(と思われるもの)は、今のところ、このとても小さなものだけです。

最初はこの緑の部分はすべて同じものだと思っていたのですが、どうやらいろいろな種類の鉱物が集まっているようです。

試しにUVライト(長波)をあててみたところ、

 

Roscoelite_mogurazawam_02

 

一様でないことが分かりました。右上のロスコー雲母と思われる部分と、左の一番大きな結晶部分をのぞき、オレンジ色で光っています。

ここで産出する可能性のあるもので、緑の結晶となることもある、蛍光することもあるもの、といったら、重晶石と閃亜鉛鉱ですが、オレンジの蛍光ということで、光っている部分は閃亜鉛鉱ではないかと考えました。他の鉱物系のサイトで、似たような緑、透明な結晶を、閃亜鉛鉱ではないかとしているところもありました(TMTM Mineral Collection)。というか、他に思い当たりません。

 

そうすると、蛍光しない、左の一番大きな結晶は一体なんだろう。

次回に続きます。

 

2020年6月11日 (木)

自然硫黄(群馬県吾妻郡嬬恋村万座温泉)

Sulphur S 元素鉱物

 

Sulphur_manza_01

Sulphur_manza_02

 

この自然硫黄は、火山の噴気孔から放出された火山ガスに含まれる硫化水素と二酸化硫黄が冷やされ、硫黄と水に化学変化し結晶化したものです。他にも温泉の沈殿物として生成されたりします。

黄鉄鉱は硫黄と鉄からできた鉱物で、昔は火打石として使われていたそうです。英名のpyriteは、ギリシャ語の火を意味する「pyr」からきています。実は黄鉄鉱は鉄の鉱物というより、硫黄の原料としてより重要であったようです。

火山の多い日本は自然硫黄の大産地なので、過去には多く採掘されていました。

火薬は唐の末期9世紀ごろに中国で発明されました。宋の時代には火器が大きく発展し、火薬も大量に生産されましたが、実は中国では硫黄がほとんどとれず、輸入に頼っていました。それが、日本や、やはり火山の多い東南アジアだったというわけです(当時の黒色火薬の原料は、硝石、硫黄、木炭粉など)。さらには遠く西アジアからも輸入していたようで、絹の道ならぬ、硫黄の道ですね(海上貿易が中心だったようですが)。日本の輸出業者とかいたんでしょうか。

唐の時代から、日本人も、思った以上にずいぶんあちこち世界を行き来していたようです。唐代に書かれた様々な出来事を集めた『酉陽雑俎』という本には、中国から天竺まで行って中国に帰ってきた倭人の話がでてきます。一体どんなものを見たのか、日本には戻ってこれたのか、どこのどういう人だったのか。和名は書いてありません(金剛三昧という名前で記されている)。

 

今では、日本では一切硫黄の採掘は行われていません。たとえば原油の精製時など、大量に生成されるからです。鉱物を採掘するのは、大変な重労働ですからね。。。(今でも採掘されているのは、石灰くらいだと思います)

 

万座温泉は、硫黄成分が非常に強い温泉で、癒されるというより、どう見ても体に悪そうな感じですw

万座、草津白根山周辺は、とても魅力的なところで、何度も行っているのですが、白根山の噴火以来、ちょっと行きにくくなってしまいました。日本の山はほとんど森林におおわれているので、荒涼とした火山地帯は、もうそれだけでちょっと異質で魅力的です。火山は、まさに地球の鼓動をじかに感じられる特異点といえます。

噴火したあたりも、登山道が通っていたんですが、はたして生きているうちに行ける日がくるのかどうか。噴火の跡をぜひ見に行ってみたいんですが、まだ火山性地震もちょくちょくありますし、早く落ち着いてほしいと思います。