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▽硫酸塩鉱物等

2021年9月15日 (水)

青鉛鉱(茨城県城里町錫高野)

Linarite CuPb(SO4)(OH)2 硫酸塩鉱物等

 

Linarite_suzukoya_01

Linarite_suzukoya_03

 

前回(翠銅鉱?(茨城県城里町錫高野))の続き。同じ石です。「ちょっと違う色合いの水色の部分」と書いたのが、この部分。

希塩酸で、泡だったりしませんが、ちょっと白っぽく脱色するように分解します。この反応、色の傾向、形状から、青鉛鉱ではないかと考えましたけど、どうでしょうねぇ。多分いいんじゃないかな。

2枚目の写真で、濃緑色はブロシャン銅鉱、淡いシアンの一番サイズの大きいのが前回取り上げた部分(翠銅鉱?)、その間にところどころ、もうちょっと濃い水色で透明感のある部分が、今回の青鉛鉱ではないかと思うものです。写真だとちょっと分かりにくいですが(撮影が下手なせいですね)、目で見ると色合い、透明感など、違いがはっきりと分かります。

青鉛鉱というと、藍銅鉱に似た濃い青の透明な結晶というイメージですが、そのイメージと違ってちょっと薄い色合いですね。でもネット上で見てみると水色に近いものもちらほら見られます。自分は美しい紺色の立派なものなんて見つけたことはありませんが、それでも1枚目の写真のように、先が尖った、あるいは刀状の結晶が集合して伸びている様がなかなかいい感じ。皮膜状じゃつまらないですもんね(というか判別できない)。

割とありふれた二次鉱物だそうですし、高取鉱山・錫高野でも多くはないものの鉛系の鉱物(方鉛鉱など)の産出はありますし、採集場所では孔雀石はよく見つかります。青鉛鉱そのものの産出記録は見つかりませんでしたが、あってもおかしくないのかな?

青鉛鉱はその美しい青さから憧れの鉱物のひとつです。ちょっと思っていた色と違うけれども、まあいいかw でも、この青鉛鉱にしろ、翠銅鉱? にしろ、まさか錫高野で見つかるとは夢にも思っていなかったものです。成分を分析したりできないので、「この場所では何が産出する可能性があるか」という情報そのものが、鉱物判別のための一番重要な手段なわけです。その一番の手段が使えないので、判定にまったく自信が持てないのがつらいところ。軟十年も見続けていれば、手に取っただけでぱっとわかるようになるんでしょうか。。。

 

青鉛鉱のLinariteという名前は、スペインのアンダルシア州リナーレス(Linares)が由来。鉛の鉱山で栄えた街ですが、現在ではいくつもあった鉱山はすべて閉山したそうです。フラメンコの有名な歌手・カルメン・リナーレスは、ここの出身ですね。

パコ・デ・ルシアの有名な「リナーレスの調べ Aires De Linares」という曲は、タランタという鉱山の歌です。きつくて危険なリナーレスの鉱山での生活の中から生まれたものなんでしょう。そう考えながら聞くと、何だか青鉛鉱の青色が、人生の哀愁と、その裏側にある諦観にも似た突き抜けた明るい空の色のようにも思えてきます。

 

ところで錫高野には何度か行っているのですが、そばにある物産センター(県道51号線とビーフラインの交差するところ)にいつも寄って買い物していきます。きのこがおすすめなのです。珍しいハナビラタケがここの名産で、ここでしか買えないんじゃないかなあ。センター内にあるそば屋・そば処山桜もおすすめ。暖かいきのこ汁にそばをつけて食べる、つけきのこそば(うどんもあり)が、えらくおいしいのです。錫高野に行った帰りに、これを食べるのが楽しみのひとつなのだ。

 

2021年2月17日 (水)

重晶石(静岡県河津町河津川流域)

Baryte Ba(SO4) 硫酸塩鉱物等

 

Baryte_kawadugawa_02

Baryte_kawadugawa_01

 

重晶石の板状結晶のあつまりではないかと思います。

河津川流域の湯ヶ野鉱山では重晶石が多く見られるそうなのですが、採集地はそのそばではあるけれども別の場所です(湯ヶ野の石が転げてくることはない)。湯ヶ野鉱山は行ったことがありません。入口に温泉用の無料駐車場があることは確認ずみなので、今度そばに行ったら見てきたいと思ってます(ちなみに湯ヶ野鉱山の山を越えた北の沢は見に行ったことがあるのですが、何も見つけられませんでした)。

周囲には火山とその痕跡ばかりで、噴出物をのけて鉱物を探すという感じの地域なので(ちょっと言い過ぎましたw)、この重晶石も温泉由来のものなのかな? ただ湯ヶ野鉱山は黒鉱鉱床に近いタイプらしく、黒鉱由来の可能性もある?

重晶石は健康診断で飲まされるバリウムの原料です。なんというか、いやーな気分になりますねw えらく濃厚な感じで、バリウムの入ったコップを持つとすごく重いことに気づきますが、コップが重いわけではなく、バリウム自体の重さです。重晶石Baryteの語源は古代ギリシャ語のβαρύς(barús)で、意味は「重い」。重晶石の「重」も、もちろんここからきています。まあ重いといっても、非金属としては重いということですが。

1800年、ドイツの鉱物学者カルステン(Dietrich Ludwig Gustav Karsten, 1768-1810)により命名されました。水成論で有名なヴェルナー(Abraham Gottlob Werner, 1749-1817)とレスケ(Nathanael Gottfried Leske, 1751-1786)の収集した、膨大な鉱物コレクションの整理・分類をしてまとめたことで知られている人です。ちょうどゲーテと同じ時代の人たちですね。「Karsten」で検索すると、彼の書籍がAmazonでいっぱい出てきます。欧米では今でもよく読まれているのでしょうか。

ただ検索していて気づいたのですが、バライトには「barite」と「baryte」の、2つの綴りがあるようです。アメリカを中心にいくつかの国では「barite」を、IMA(国際鉱物学連合:International Mineralogical Association)による公式な名称としては「baryte」としているとか(こちらは英国流らしい)。事情はよくわかりませんが、まあいろいろあったんでしょうかね。どうでもいいけど、こういうのは検索するのに面倒だからいっそのこと、「Jushosekite」にしたらどうでしょうw

 

2020年7月 9日 (木)

ラング石(栃木県日光市小来川鉱山)

Langite Cu4(SO4)(OH)6・2H2O 硫酸塩鉱物等

 

Langite_okorogawam_01

Langite_okorogawam_02

 

小来川鉱山のラング石。

以前の記事の石、ポスンジャク石(栃木県日光市小来川鉱山)とは、同質異像の関係にあります。ポスンジャク石は鱗片状でしたが、こちらはもっと透明で四角く、結晶っぽいですね。空色のきれいな銅の二次鉱物です。単斜晶系の形がよくわかります。

名前は、オーストリアの物理学者、ヴィクトル・フォン・ラング(Viktor von Lang, 1838-1921)にちなんだものです。結晶学の創始者のひとりだそうで、けっして悪名高き内務省のハイドリッヒ・ラングではありませんw

原産地はイギリスのコーンウォル。ヨーロッパで採れるところが多いようですが、これは古い鉱山が多いから二次鉱物も多く目につきやすい、ということでしょうか。

写真のラング石は、上記のポスンジャク石と同じ石についていました。確か、沢を遡ってレール跡が出てくる直前の露頭の付近で拾ったものです。割と稀産の部類に入るものだと思いますが、小来川ではそれほど苦労せず見つけた感じです。銅の二次苦物が好きな自分にとっては、沢に緑の石がごろごろしている小来川は、もう一度行ってもっと探索したいところですが、なかなか遠いんですよね。。。

ポスンジャク石の化学式とは、H2Oが2H2Oになっただけの違いしかありません。

同じ素材が、どうしてこんなに違う結晶になるのか、そのきっかけはなんなんでしょう。その場の温度やら湿気やら日の当たり具合とか、石墨とダイヤモンドのように、環境の違いもあるのだろうとは思いますが、あるいは偶然、確率的なものなんでしょうか。結晶そのものの生成に関しても、同じ疑問を感じます。なにかきっかけがあるのか。種のようなものを必要とするのか。

 

結晶というものがどうしてこんなに人を惹きつけるのか。

ふと、錬金術の賢者の石を思い出しました。化学的な現象に仮託した、生命(人間の精神)の秩序の象徴=結晶が、賢者の石といえるのではないか。ランダムな現象である世界における秩序の表象=結晶。確率の海に浮かぶ結晶、無限に続く乱数の中に偶然現れる、意味のある数列のイメージ。

結晶といえば、J.G.バラードの『結晶世界』も思い出します(個人的には『結晶世界』と『夢幻会社』がバラードの最高作だと思います)。すべてのもの(時間さえも、多分精神も)が結晶化していく世界を描いたこのSFは、破滅小説といわれるけれども、バラードの破滅ものはほとんどがそうですが、永遠なるものへの憧憬、強いベクトルを感じさせる作品です。この永遠とは、上記の賢者の石のイメージと重なるものであり、シュールレアリスムやユングの思想の目指す先とも同じものではないかと感じます。

こういうのをまとめて、結晶哲学といったらどうでしょう。

そういえば、生命の誕生、有機物質の組織化に、粘土鉱物の結晶が関与しているという説もありました。詳細は知りませんが、無機物と有機物を繋げる、とても魅力的な話です。

なんちゃらパワー的な怪しげな水晶などの話も、ネットではけっこう目につきますが、こういうのも結晶に対する人間の指向の表れだとすれば、笑い飛ばすだけではなく、そのもつ意味合いを考えてみるのもあながちムダとはいえないかもしれませんね(結晶社会学とでもいうべきか)。

 

2020年6月14日 (日)

ブロシャン銅鉱(山梨県都留市宝鉱山)

Brochantite Cu4(SO4)(OH)6 硫酸塩鉱物等

 

Brochantite_takaram_01

Brochantite_takaram_02

 

以前の記事、含銅アロフェン(山梨県都留市宝鉱山)と同じく、カラミについていたものです。

ブロシャン銅鉱の板状結晶かと思いますが、どうでしょうね。銅の二次鉱物は似たものがたくさんあって困ります。孔雀石の結晶が、こういう板状になることもあるんでしょうか(どんな形でもありそう)。

ガラス質で、青みがかった深い緑色が、とてもきれいです。

2枚目の上の水色は水亜鉛銅鉱かな? その上に白い絹糸放射状のものがあるのですが、こちらは分かりません。

 

野外の銅像などに錆びてつく緑青は、大体孔雀石かこのブロシャン銅鉱であることが多いそうです。防衛大学・山口晴幸教授の、三浦半島の銅像などが酸性雨でどのくらい影響を受けているか、という論文を以前見たことがありますが、あれなどはちょっと変わった緑青の研究といえるかもしれません(他にも三浦半島の隧道におけるPM2.5とか、浜に漂着したゴミとか、巨樹とか、面白いことを多く研究している方です)。

ちなみに平賀源内によると、緑青には、山や鉱山などで自然にできた「石緑」、人為的な「銅青」があるとのこと。

放射状に結晶したブロシャン銅鉱は、その色、形、ともに美しく、憧れる鉱物のひとつで、ぜひ採集してみたいのですが、関東近辺では有名な産地は立ち入りができないところが多く、まだ見つけたことはありません。本などを見ると、もっともありふれた銅の二次鉱物などと書かれているのが、さらに腹立ちますw

ネットでは、宝鉱山でブロシャン銅鉱があったというような話は見つけられませんでしたが、あってもおかしくないですよねぇ? そもそも、宝鉱山の鉱物についての記事をあまり見かけません。

知る限り、宝鉱山は珍しい鉱物が出るという話もなく、カラミは鉱物ではないと、あまり鉱物好きの興味をそそる対象ではないのかも? 個人的に、宝鉱山周辺の山、大幡川源流域は大好きなので、山登りと鉱物探しが両立できる、お気に入りの地域です。人が少なく静かなままでいて欲しいと思うと同時に、もっと多くの人にこの地域の良さを知ってほしいとも思っているんですが。。。

 

ところでネットで宝鉱山を検索していたら、平成29年に、宝鉱山の坑廃水処理のミスで中和のための石灰が投入されず、有害物質が流れ出したおそれがあるという山梨県の報告書を見つけました。調査の結果、排水基準は超えていなかったとのこと(山梨県「旧宝鉱山(都留市大幡)の不適切な坑廃水処理について」)。宝鉱山は昭和45年に閉山していますが、今でも処理をし続けなければならないのですね。

考えてみると、大幡川は桂川の支流、つまり、相模川の上流で、うちの水も相模川の水です(神奈川の水源は、主に相模川と酒匂川)。他人事ではないということですね(割と知られていないのですが、相模川の源流は富士五湖の山中湖なんですよ!)。

 

2020年5月23日 (土)

ポスンジャク石(栃木県日光市小来川鉱山)

Posnjakite Cu4(SO4)(OH)6・H2O 硫酸塩鉱物等

 

Posnjakite_okorogawam_02

Posnjakite_okorogawam_01

 

薄い水色の、細長い鱗片状のものがポスンジャク石だと思います(青の強い塊状に見える部分は、ラング石かも)。

銅鉱床の二次鉱物で、カザフスタンの中央部、鉱物資源の豊富なカラガンダ州のヌラタルディ(Nurataldy)で、初めて確認されました。草下英明の『鉱物採集フィールドガイド』によると、世界で二番目に報告されたのが、ここ、小来川鉱山だそうです。

変な名前ですが、この鉱物の合成実験をしたロシア人地球化学者・ユージン・ヴァルデマー・ポスンジャク(Eugene Valdemar Posnjak〈1888–1949〉)にちなんで1967年に命名されたとのこと。この人については調べてもよくわかりません。

銅の二次鉱物は、青や緑や白できれいなのですが、どれも似ていて、よくわかりませんね(まあすべての鉱物がよくわからないんですけどw)。

ポスンジャク石と同質異像(化学組成は同じで結晶形は違う)なのがラング石ですが、この二つの違いは、ポスンジャク石が鱗片状、ラング石が四角い感じ、とのこと。でもネット上で調べてみると、産地の違いなのかわかりませんが、どう見ても逆なんですけど。。。という例が散見されます(色も水色から緑がかったものまで幅があるが、これは写真の具合かもしれないしなんともいえない)。

もともと鉱物の結晶の形にもいろいろ変化がありますし、毛状のものが集まって板状になったり、板状のものが集まって丸くなったり、固まりになったり、実物の色もちょっとした組成の違いで全然変わってきたり、目で見ただけではわかるわけないよなあ、と感じることが多いです。結局化学組成を分析機器で調べたりしないとほんとのところは分からないわけで、それができない自分は、もう雰囲気でいいんじゃないか、という気にもなってきますw

それでもこうやって色々調べるのは、個人的であってもネットに載せる以上、あんまり適当なことは書けないかな、と思ってのことなのですが、どうせそんな大勢が見るわけでもないし、やっぱり自己満足でいいんじゃないかとも思います。

あと20年くらいすれば、安いハンディ組成分析器とか、Amazonで買えるようになるかも?(需要ないかな?) 自分はちょっとそこまで時間がないかもしれないけどw

 

2020年5月12日 (火)

石膏?(山梨県都留市宝鉱山)

Gypsum Ca(SO4)・2H2O 硫酸塩鉱物等

 

00_takaram_01

 

前回記事の含銅アロフェン(山梨県都留市宝鉱山)と同じ、宝鉱山の石。ただし、これは坑道跡上にある、露頭で拾った石です。

鉱石を採掘したところが陥没し、上の地表に、岩に囲まれた窪地ができています。その底に、一面黄鉄鉱で覆われてきらきらと輝く大きな岩がごろごろしています。

Takaram_04Takaram_05

黄鉄鉱は大きな自形結晶はあまり見られず砂のようで、触るとぼろぼろ落ちます。一番最初のマクロ写真の銀色の部分が、その黄鉄鉱。拾ってきた石のひとつに、黄鉄鉱と一緒に白い針状の結晶がたくさんついているものがありました。顕微鏡で見るまで、まったく気づきませんでした。

針状結晶をさらに拡大してみました。透明感のある白い結晶です。

00_takaram_02

 

ネットで見つけた宝鉱山についての古い論文によると、「鉱石は主として黄鉄鉱、閃亜鉛鉱、黄銅鉱、黝銅鉱、方鉛鉱があり、脈石としては石英、重晶石、絹雲母を主とし西方珪鉱地帯には一部石膏を産する」(上田年員「宝鉱山の採鉱法」日本鉱業会誌832号、昭和32年10月)。

黝銅鉱(ゆうどうこう)というのは四面銅鉱の古い和名だそうです。

西方珪鉱地帯というのがどのあたりなのか、ちょっとわかりませんが、この中で唯一あてはまりそうな針状結晶があるのは、石膏だけ。色や透明感など見た感じも違和感は感じませんので、とりあえず石膏?ということにしておこうと思います。

日本における石膏鉱床は、ほとんどの場合黒鉱と関りがあるそうです。これがもし石膏だとしたら、宝鉱山が黒鉱由来であったことを示す今でも目に見えるわずかな痕跡ということになるかもしれませんね。