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▽硫酸塩鉱物等

2022年10月30日 (日)

重晶石(群馬県甘楽郡下仁田町中丸鉱山)

Baryte Ba(SO4) 硫酸塩鉱物等

 

Baryte_nakamarum_01

Barite_nakamarum_02

 

下仁田・中丸鉱山の重晶石です。

国道254号線沿い、荒船湖近くのとんかつ屋さんの駐車場をお借りして、行きました。次の日の帰り(荒船山に行った)、このお店に寄って食べていこうと思ったら休みでした。残念! 近くに温泉施設もあるので、そこに駐車して、温泉に入っていくのもいいかも?

(20221106追記 メインの写真をアップするのを忘れていましたw)

橋から沢に下りられるので、沢を遡上していってもいいのですが、駐車場の裏手、沢の左岸沿いに踏み跡があるので、そこを登った方が楽だと思います。しばらく行って沢に下りて急な箇所に来たら、今度は右岸沿いにジグザグに登る踏み跡があるので、そこを登りきると、坑口に出ます(登る途中の斜面にも、分かりづらいけれど、抗口の跡らしい穴がありました)。坑口の上が下の写真のようなズリになっていて、その上にも平場があったので、そこがメインの坑道だったのかな?

山ほどあるズリの石を割って探していけば、多分ここに来る人の一番のターゲットである輝安鉱は見つかるでしょう(そのうち取り上げます)。そうやっているうちに見つけたのが、写真の重晶石です。こちらはそのまま落ちていたので、すぐ目につきました。

 

Nakamarum
中丸鉱山のズリ。写真で見るよりは急斜面なので、複数で行くときは落石注意ですね(鉱山跡は大抵そうだけど)。

 

 

地図を見ると、荒船湖、中丸鉱山すぐそばを南北に電線が走っているのがわかります。

この電線は西群馬幹線といって、静岡から群馬までを走る長い電線で、平均で100mを超える巨大鉄塔群が延々と立ち並んでいます。

人家を避けるためか、山の中を通っていて、関東近辺の山に行く機会の多い自分には、とても馴染みが深い幹線です。よくこの鉄塔の管理道も利用させてもらったりもするのです。鉄塔は尾根上、稜線上に作られることが多いので、尾根歩きがメインだと、出会うことも多いのです。林道から尾根にあがる時、擁壁になっていたり、とても登れない崖だったりすることも多く、管理道というのは尾根の取り付きに便利なのですね。プラスチック製の階段があるのが東電管理道の目印。

この幹線の出発は、群馬・四万温泉手前の四万湖そばの、西群馬開閉所。ここから大月の東山梨変電所を経由して、静岡県駿河小山の新富士変電所まで延々と続いています。群馬から山梨までで140km近く、200以上の深い山中の鉄塔が、わずか5年程度で作られたというのは、ちょっと信じられません。

鉱山がらみでその経路をざっと説明wすると。。。新潟の柏崎刈羽原子力発電所や福島の第一第二原発(まあ今はああなってしまいましたが)からの電気を西群馬開閉所で集め、八ッ場ダムそばで吾妻川を越え、関東山地の深い山中を通って、中丸鉱山、荒船湖すぐわきを通過。双晶水晶で有名な三ッ岩岳西方、御座山(この周辺が人里離れ山深いのは、あの航空機墜落で有名な御巣鷹山の周辺ということでわかると思います)、御陵山そばを通過して長野県川上村を越え、奥秩父に入ります。瑞牆山の西から、増富鉱山のほぼ直上を通って徐々に東に進路を変え、黒平北方、乙女鉱山のある琴川ダムのそばを通り、笛吹川を越えてから竹森・鈴庫鉱山、黄金沢鉱山のすぐそばを通過、大菩薩湖に近づくとまた進路を南に変え、日川沿いに走り、門井沢のペグマタイト直上を通って、笹子雁ヶ腹摺山を越えて、大月の東山梨変電所にたどり着きます。

東山梨変電所から本社ヶ丸稜線を越え、宝鉱山直上を通り(宝鉱山から本社ヶ丸に登る登山道は、この幹線鉄塔の管理道です)、三つ峠・湯の沢鉱山そばを通って都留・桂川を越え、道志と丹沢をつなぐ山伏峠、オリンピックの自転車コースにもなった明神峠を通って、西丹沢南麓・富士スピードウェイそばの新富士変電所にようやく到着です(ちなみにこのすぐそばの須川上流にも鉱山があったという話が。。。)。

すごいですね。西丹沢から荒船湖、さらに四万まで全部つながってるって、実にわくわくします。各所で自分のよく行く場所とかぶることも多いので、とてもなじみ深い電線なのです。また君か、って感じで。電気になれるスタンドがいたら、あっという間に移動できるわw(レッド・ホット・チリ・ペッパー)。

普通は山登りでは景観的には鉄塔と電線は邪魔ものなのかもしれませんが、個人的には場所の特定やルートどりという点で、大変お世話になっている存在です。この鉄塔群全部を周るとか、そういう趣味もありなのかも?(いやないかw)

 

264208
左:神奈川・西丹沢ヒモシ峠の264号鉄塔。右:山梨・笹子雁ヶ腹摺山北尾根の208号鉄塔。

 

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左:山梨・増富・五里山の147号鉄塔。右:山梨・鈴庫山から見た竹森の西群馬幹線。左下の鉄塔のすぐ向こう側に黄金沢鉱山がある。鈴庫鉱山は画面下の尾根の向こう側。

 

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本社ヶ丸から見た東山梨変電所。その右上の尾根上のひときわ大きいのが213号鉄塔。上の三角の山は笹子雁ヶ腹摺山。

 

2022年7月23日 (土)

明礬石(山梨県北杜市増富鉱山)

Alunite KAl3(SO4)2(OH)6 硫酸塩鉱物等

 

Alunite_masutomim_01

Alunite_masutomim_02

 

奥秩父・増富鉱山の、透明な六角形の薄板状結晶。明礬石ではないかと思います。黄色いのは硫黄成分でしょうか? それとも明礬石そのものの色?

ミョウバンを採取した鉱石だから明礬石という名称です(Aluniteの語源はラテン語でミョウバンを意味する言葉から)。ミョウバンは紀元前の昔から現在にいたるまで、さまざまな用途に使われてきました。日干し煉瓦や陶器の材料から、殺菌作用を目的とした洗浄材、発色をよくするための染色材、浄水にも使われます。水の濁りの原因である微細粒子を凝集させ、沈殿しやすくします。理科の実験で経験のある人もいるのでは。

食品用の薬品として、一般に売られていますね。日本では、ナス(の漬物)の色素を安定させるために使われることが多いでしょう。他にもイモ類の煮崩れを防いだり、根菜類の歯ごたえをよくしたりするらしい。

アルミニウムは、ミョウバンから発見されました。アルミニウムという名前は、ミョウバンからきています。非常に軽くまるで銀のような輝きを持つ金属なので(日本では以前は「軽銀」と呼ばれた)、当初はかなり高価なものだったようなのですが、現在ではもっとも手軽な金属のひとつになりました。1円硬貨は、純度100%アルミ製です。

こんなふうに色々便利に使えるミョウバン(明礬石)は、火山性ガスや熱水により生成されることが多いので、火山の多い地域で多く見られます。もちろん日本も例外ではありません。伊豆の宇久須のソーダ明礬石は、ガラスの原材料として採掘されてきました(明礬石のカリウムがカルシウムに置換されたのがソーダ明礬石)。

 

増富鉱山の歴史は詳しくはわかりませんが、昭和の初期には硫砒銅鉱を中心に採掘が行われていたようです。明礬石が採掘の対象であったかどうかはわかりません。鉱物としては、銅藍が有名ですが、自分はルーペでもよく見えないくらいの、ほんの小さなものしか見つけられませんでした。ポイントが違うのか、もうそれほど残っていないのかはわかりません。

この近辺には武田信玄のころの金鉱跡もあちこちに点在します。増富鉱山跡のすぐ北にある金山(かなやま)という地名を見ればすぐわかりますね。金山には、現在金山山荘とキャンプ村がありますが、ここの裏山(魔子の山)の中腹には、信玄時代と言われる坑口、昭和になってから掘った坑口などが残っていて、さらに広大なズリも広がっています(ちょっと見てみたけど、増富鉱山とは石質は全然違うみたいで、銅の雰囲気は全然感じない)。瑞牆山に行くことでもあったら、ちょっと寄ってみるのもよいでしょう(周囲には魔子の山、五里山といった、とても静かだけど個性の強い小さな山が多い)。瑞牆山登山口の瑞牆山荘周辺は、休日ともなればちょっとした都会並みの人出になりますが、金山周辺は静かなもので、何だかほっとします。

(ネット上では、銅藍の増富鉱山と、金山平裏の金鉱がごっちゃになっているところもありますね。ややこしいなあ。須玉金山という呼び方もあるらしいです)

ちなみに、金山山荘の今のご主人の父君は、昔は増富鉱山で働いていたとのこと。当時はどんな様子だったんでしょうねぇ。もうちょっといろいろ聞いてみればよかったかな? ここのキャンプ場は今風のでなく、昔ながらといった感じで自分には居心地いいです。

あと、金山山荘の裏から金鉱跡に続く経路の途中に、小暮理太郎の碑、レリーフがあります。金山山荘の隣に以前は有井館という宿・そば屋があり、小暮理太郎や田部重治が常宿としていたといいます(2018年に営業をやめている)。確かに、小暮理太郎の秩父本には、当時の金山平の部落の写真が掲載されていますね。レリーフのある場所は、昔は瑞牆山、金峰山の眺めがいいところだったようですが、現在は木々が育って見通しはきかないけれど、美しい静かな森になっています。

 

Masutomim_01
増富鉱山の遺構。

 

Masutomim_03 Masutomim_04

Masutomim_02
左上:金山の昭和時代の金鉱跡。右上:金山の信玄時代のものといわれる金鉱跡
下:金鉱跡に行く道は、広いズリの斜面を横切ってつけられている。

 

2022年7月 4日 (月)

硫酸鉛鉱(群馬県甘楽郡下仁田町中丸鉱山)

Anglesite Pb(SO4) 硫酸塩鉱物等

 

Anglesite_nakamarum_01

Anglesite_nakamarum_02

 

下仁田の中丸鉱山で採集した硫酸鉛鉱です。

群馬県下仁田から長野県佐久に関東山地中を抜ける国道254号線、荒船湖の北あたりにあり、輝安鉱で有名な中丸鉱山です。最初、ズリできれいな劈開の石を見つけて、よく見もせず方鉛鉱かなと思い何気なく拾った石ですが、あとでよくよく見てみれば、確かに方鉛鉱の部分もあるのだけれども、多くは透明な草色になっていました。内側できれいな虹色に光っている部分もあちこちにあり、実にきれいなもんです。方鉛鉱仮晶ということになるのでしょうか。まるで宝石のようですが、モース硬度3なので、宝石にはなれません。

方鉛鉱が酸化して、硫酸鉛鉱になります(PbS+2O2→PbSO4)。写真中の銀色の部分が方鉛鉱でしょう。明確な境界で区切られ変化しているさまがよくわかります。金属質のものがこんな透明なものに変化するとは面白いですね。この境界はどのように決まるんでしょうか。まったくランダムなのか、成分の違いなのか、環境の違いなのか、興味あります。

屈折率が高い(1.88-1.89)ので、輝きが強く、虹色に光る部分が多いのもそのせいかな? 長波UVで、濃い目のオレンジ色に光ります。Anglesiteという名前は、イギリス・ウェールズのアングルシー島で1783年に発見されたことに由来します。アングルシー島では、ローマ帝国時代から、鉛や亜鉛、鉄などの採掘が盛んだったといいます。

この方鉛鉱と硫酸鉛鉱に接する感じで、小さな水晶がついていましたが、なんか違和感がある。。。光り方が水晶とちょっと違っていて、ガラス光沢と樹脂光沢の中間のような感じ。あと、頭の角度が水晶とちょっと違うような。水晶よりとんがりが小さい。

 

Anglesite_nakamarum_03

 

これも、色は全然違いますが、硫酸鉛鉱の結晶かと思います。こちらは長波UVで光りません。硫酸鉛鉱はさらに風化して白鉛鉱に変質するらしいので、もしかしたら白鉛鉱になっているのかもしれません。光り方、透明の質感などは、そういえば何となく白鉛鉱っぽい気もしますが、まあ分からないので、このまま硫酸鉛鉱ということにしておきましょう。

 

下仁田といえばまあネギでしょうが(コンニャクも特産品でおいしい)、2011年には下仁田町全域がジオパークに認定されています。妙義山や荒船山といった、低いけれど非常に特徴のある山もあり、鉱山としては中小坂鉄山もジオパークの一角とされていますね。そのおかげでちゃんと鉱山へ行く人のための駐車場まで作られているのですが、どうやらヒルでいっぱいらしい。。。江戸時代末期に発見された鉱床のため、幕末から明治にかけての歴史にも大いに関わってきます。

中丸鉱山のほうは、歴史はよくわかりません。八幡鉱山と呼ばれていた、1954(昭和29)年には野上鉱業によりアンチモンを中心に銅、鉛、亜鉛などが採掘されていたが、1955年1月27日に落盤事故があり、1959年(昭和34年)頃には閉山した、等々。いつ見つかったかは分かりません。時代を考えると、戦時中資源輸入が止まり、各地で小さな鉱山が探し出され採掘が行われましたが、ここもそういった小規模鉱山のひとつでしょうか?

自分は荒船山に行った時に、その途中ということで寄りました。坑口もズリもしっかり残っているので、なかなか面白いところでした。下仁田の道の駅はジオパークということで、鉱物の標本セットも売られていたのですが、その中に前回の川場・鉱石山の柘榴石も入っていました。でもいまいちの標本だった。もっときれいなの、すぐ見つかるのになぁ(こういうセットから興味が目覚めるってよくありますしね)。

 

2022年1月 9日 (日)

重晶石(静岡県河津町湯ヶ野鉱山)

Baryte Ba(SO4) 硫酸塩鉱物等

 

Baryte_yuganom_01

Baryte_yuganom_02

 

河津川流域、湯ヶ野鉱山の重晶石だと思います。薄青く透明な結晶がきれいですが、小さいです。肉眼レベルのものは見つかりませんでした。ここには重晶石が多いという古い論文の記述と、長波UVで青く光ることから、重晶石としました。

ここは黄鉄鉱が多く、写真中にも小さな黄鉄鉱の結晶がちらほら混じっているようです。青系統によった銀色金属光沢の粒子状に見えるものも付着いていますが、何だかわかりません。ここは近辺のいくつかの鉱山のように、テルル、ビスマス系は出るんだろうか。伊豆のテルル、ビスマス系の鉱山で時々見かける青っぽい金属光沢のものに似た感じがしますが、ここで産出する鉱物に関する情報があまり探し出せなかったので、わかりませんね。そもそも何をメインに採掘していた鉱山なのかもわかりません。

その他の鉱物としては、伊豆によくある、低~中温熱水鉱床っぽい微細な水晶くらいで、めぼしいものは見つかりませんでした。黄鉄鉱以外はすべて顕微鏡レベルです(黄鉄鉱もルーペレベル)。だから、鉱物採集のポイントとしてもこれまで(これからも)ほとんど注目されてこなかったのでしょう。

以前やはりこの付近で採集した重晶石ではないかと考えた石を取り上げましたが、出所は違います(重晶石(静岡県河津町河津川流域))。

 

そんなに長くない、なだらかな沢の中間にひとつだけちょっとした滝があり、その上下にズリがあります。上流のズリのほうが大きく、そこから流れ出た成分のせいか、滝の岩盤はいかにも何かありそうな顔つきをしています(上流のズリには凝灰岩と思われるもろい石が多く、粘土状になって固まっていたりする)。初めて訪れる情報のほとんどない場所はいいですねぇ、わくわくします。近辺を詳しく探し回ったわけではないですが、抗口らしいもの、鉱山の遺構のようなものは見かけませんでした。下流の鉱山入口らしい場所は整地されて公園のようにされていたので、多分埋めてきれいに整理してしまったのかもしれません(ズリはそのまま放置した状態ですけどね。。。)。

 

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左:湯ヶ野鉱山の滝。右:鉢ノ山。三筋山方面から。

 

湯ヶ野の山は北に鉢ノ山、観音山へと続き、天城山・登り尾の稜線に繋がる山域で、いわば天城山の南の端っこです。

鉢ノ山は約3万6000年前に噴火してできたきれいなスコリア丘で、伊豆東部火山群のひとつ。その山体は大室山より若干低いけれどほぼ同じ大きさで、火口跡である山頂(大室山ほど凹っていない)には、江戸時代の石仏群が残されています(観音山のふもとにも石仏群がありますが、どうしてこんな奥深い山中のあちこちにこんなものがあるのか、よくわかりません)。北の肩の平地には広大な太陽光発電設備が設置されていて、山頂途中まで車で林道を登ることができます。でも周囲を山で囲まれていて、そのきれいな形を眺めることのできる場所はごく限られます。毎年山焼きをして緑の草原になり、海際で目立つ大室山のような有名観光地にはなっていないのですが、ジオ的にとても面白い場所ではあります。

観音山は登山道はありませんが、伊豆では珍しい明るい岩稜です。昔ここで、すごい重低音の獣のうなり声に脅され、沢に逃げ込んでひどく苦労して下山したことがあります。山でクマに会ったことはありますが、その時の声の主はこちらを威嚇していると感じて、めちゃくちゃ怖かったのです。それ以来、観音山はちょっと苦手でまだ再訪できていないんですよね。。。

伊豆にはツキノワグマはいないとされてきましたが、昨年、西伊豆で見つかったというニュースを見ても、自分としては驚きはまったくなかったのです。いないわけないと思ってましたから。特に何度か行っている登り尾の付近は、とりわけ獣の匂いが非常に濃くて、このあたりでクマのっぽい痕跡(木のひっかき傷など)を見たという話を聞いていましたが、そうだろうなあと思っていました。えさも潤沢ですし。まあ姿を見たわけでなく、大型の野犬とか(その方がクマより怖そう)の可能性もあるでしょうけどね。。。

 

2021年9月15日 (水)

青鉛鉱(茨城県城里町錫高野)

Linarite CuPb(SO4)(OH)2 硫酸塩鉱物等

 

Linarite_suzukoya_01

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前回(翠銅鉱?(茨城県城里町錫高野))の続き。同じ石です。「ちょっと違う色合いの水色の部分」と書いたのが、この部分。

希塩酸で、泡だったりしませんが、ちょっと白っぽく脱色するように分解します。この反応、色の傾向、形状から、青鉛鉱ではないかと考えましたけど、どうでしょうねぇ。多分いいんじゃないかな。

2枚目の写真で、濃緑色はブロシャン銅鉱、淡いシアンの一番サイズの大きいのが前回取り上げた部分(翠銅鉱?)、その間にところどころ、もうちょっと濃い水色で透明感のある部分が、今回の青鉛鉱ではないかと思うものです。写真だとちょっと分かりにくいですが(撮影が下手なせいですね)、目で見ると色合い、透明感など、違いがはっきりと分かります。

青鉛鉱というと、藍銅鉱に似た濃い青の透明な結晶というイメージですが、そのイメージと違ってちょっと薄い色合いですね。でもネット上で見てみると水色に近いものもちらほら見られます。自分は美しい紺色の立派なものなんて見つけたことはありませんが、それでも1枚目の写真のように、先が尖った、あるいは刀状の結晶が集合して伸びている様がなかなかいい感じ。皮膜状じゃつまらないですもんね(というか判別できない)。

割とありふれた二次鉱物だそうですし、高取鉱山・錫高野でも多くはないものの鉛系の鉱物(方鉛鉱など)の産出はありますし、採集場所では孔雀石はよく見つかります。青鉛鉱そのものの産出記録は見つかりませんでしたが、あってもおかしくないのかな?

青鉛鉱はその美しい青さから憧れの鉱物のひとつです。ちょっと思っていた色と違うけれども、まあいいかw でも、この青鉛鉱にしろ、翠銅鉱? にしろ、まさか錫高野で見つかるとは夢にも思っていなかったものです。成分を分析したりできないので、「この場所では何が産出する可能性があるか」という情報そのものが、鉱物判別のための一番重要な手段なわけです。その一番の手段が使えないので、判定にまったく自信が持てないのがつらいところ。軟十年も見続けていれば、手に取っただけでぱっとわかるようになるんでしょうか。。。

 

青鉛鉱のLinariteという名前は、スペインのアンダルシア州リナーレス(Linares)が由来。鉛の鉱山で栄えた街ですが、現在ではいくつもあった鉱山はすべて閉山したそうです。フラメンコの有名な歌手・カルメン・リナーレスは、ここの出身ですね。

パコ・デ・ルシアの有名な「リナーレスの調べ Aires De Linares」という曲は、タランタという鉱山の歌です。きつくて危険なリナーレスの鉱山での生活の中から生まれたものなんでしょう。そう考えながら聞くと、何だか青鉛鉱の青色が、人生の哀愁と、その裏側にある諦観にも似た突き抜けた明るい空の色のようにも思えてきます。

 

ところで錫高野には何度か行っているのですが、そばにある物産センター(県道51号線とビーフラインの交差するところ)にいつも寄って買い物していきます。きのこがおすすめなのです。珍しいハナビラタケがここの名産で、ここでしか買えないんじゃないかなあ。センター内にあるそば屋・そば処山桜もおすすめ。暖かいきのこ汁にそばをつけて食べる、つけきのこそば(うどんもあり)が、えらくおいしいのです。錫高野に行った帰りに、これを食べるのが楽しみのひとつなのだ。

 

2021年2月17日 (水)

重晶石(静岡県河津町河津川流域)

Baryte Ba(SO4) 硫酸塩鉱物等

 

Baryte_kawadugawa_02

Baryte_kawadugawa_01

 

重晶石の板状結晶のあつまりではないかと思います。

河津川流域の湯ヶ野鉱山では重晶石が多く見られるそうなのですが、採集地はそのそばではあるけれども別の場所です(湯ヶ野の石が転げてくることはない)。湯ヶ野鉱山は行ったことがありません。入口に温泉用の無料駐車場があることは確認ずみなので、今度そばに行ったら見てきたいと思ってます(ちなみに湯ヶ野鉱山の山を越えた北の沢は見に行ったことがあるのですが、何も見つけられませんでした)。

周囲には火山とその痕跡ばかりで、噴出物をのけて鉱物を探すという感じの地域なので(ちょっと言い過ぎましたw)、この重晶石も温泉由来のものなのかな? ただ湯ヶ野鉱山は黒鉱鉱床に近いタイプらしく、黒鉱由来の可能性もある?

重晶石は健康診断で飲まされるバリウムの原料です。なんというか、いやーな気分になりますねw えらく濃厚な感じで、バリウムの入ったコップを持つとすごく重いことに気づきますが、コップが重いわけではなく、バリウム自体の重さです。重晶石Baryteの語源は古代ギリシャ語のβαρύς(barús)で、意味は「重い」。重晶石の「重」も、もちろんここからきています。まあ重いといっても、非金属としては重いということですが。

1800年、ドイツの鉱物学者カルステン(Dietrich Ludwig Gustav Karsten, 1768-1810)により命名されました。水成論で有名なヴェルナー(Abraham Gottlob Werner, 1749-1817)とレスケ(Nathanael Gottfried Leske, 1751-1786)の収集した、膨大な鉱物コレクションの整理・分類をしてまとめたことで知られている人です。ちょうどゲーテと同じ時代の人たちですね。「Karsten」で検索すると、彼の書籍がAmazonでいっぱい出てきます。欧米では今でもよく読まれているのでしょうか。

ただ検索していて気づいたのですが、バライトには「barite」と「baryte」の、2つの綴りがあるようです。アメリカを中心にいくつかの国では「barite」を、IMA(国際鉱物学連合:International Mineralogical Association)による公式な名称としては「baryte」としているとか(こちらは英国流らしい)。事情はよくわかりませんが、まあいろいろあったんでしょうかね。どうでもいいけど、こういうのは検索するのに面倒だからいっそのこと、「Jushosekite」にしたらどうでしょうw

 

2020年7月 9日 (木)

ラング石(栃木県日光市小来川鉱山)

Langite Cu4(SO4)(OH)6・2H2O 硫酸塩鉱物等

 

Langite_okorogawam_01

Langite_okorogawam_02

 

小来川鉱山のラング石。

以前の記事の石、ポスンジャク石(栃木県日光市小来川鉱山)とは、同質異像の関係にあります。ポスンジャク石は鱗片状でしたが、こちらはもっと透明で四角く、結晶っぽいですね。空色のきれいな銅の二次鉱物です。単斜晶系の形がよくわかります。

名前は、オーストリアの物理学者、ヴィクトル・フォン・ラング(Viktor von Lang, 1838-1921)にちなんだものです。結晶学の創始者のひとりだそうで、けっして悪名高き内務省のハイドリッヒ・ラングではありませんw

原産地はイギリスのコーンウォル。ヨーロッパで採れるところが多いようですが、これは古い鉱山が多いから二次鉱物も多く目につきやすい、ということでしょうか。

写真のラング石は、上記のポスンジャク石と同じ石についていました。確か、沢を遡ってレール跡が出てくる直前の露頭の付近で拾ったものです。割と稀産の部類に入るものだと思いますが、小来川ではそれほど苦労せず見つけた感じです。銅の二次苦物が好きな自分にとっては、沢に緑の石がごろごろしている小来川は、もう一度行ってもっと探索したいところですが、なかなか遠いんですよね。。。

ポスンジャク石の化学式とは、H2Oが2H2Oになっただけの違いしかありません。

同じ素材が、どうしてこんなに違う結晶になるのか、そのきっかけはなんなんでしょう。その場の温度やら湿気やら日の当たり具合とか、石墨とダイヤモンドのように、環境の違いもあるのだろうとは思いますが、あるいは偶然、確率的なものなんでしょうか。結晶そのものの生成に関しても、同じ疑問を感じます。なにかきっかけがあるのか。種のようなものを必要とするのか。

 

結晶というものがどうしてこんなに人を惹きつけるのか。

ふと、錬金術の賢者の石を思い出しました。化学的な現象に仮託した、生命(人間の精神)の秩序の象徴=結晶が、賢者の石といえるのではないか。ランダムな現象である世界における秩序の表象=結晶。確率の海に浮かぶ結晶、無限に続く乱数の中に偶然現れる、意味のある数列のイメージ。

結晶といえば、J.G.バラードの『結晶世界』も思い出します(個人的には『結晶世界』と『夢幻会社』がバラードの最高作だと思います)。すべてのもの(時間さえも、多分精神も)が結晶化していく世界を描いたこのSFは、破滅小説といわれるけれども、バラードの破滅ものはほとんどがそうですが、永遠なるものへの憧憬、強いベクトルを感じさせる作品です。この永遠とは、上記の賢者の石のイメージと重なるものであり、シュールレアリスムやユングの思想の目指す先とも同じものではないかと感じます。

こういうのをまとめて、結晶哲学といったらどうでしょう。

そういえば、生命の誕生、有機物質の組織化に、粘土鉱物の結晶が関与しているという説もありました。詳細は知りませんが、無機物と有機物を繋げる、とても魅力的な話です。

なんちゃらパワー的な怪しげな水晶などの話も、ネットではけっこう目につきますが、こういうのも結晶に対する人間の指向の表れだとすれば、笑い飛ばすだけではなく、そのもつ意味合いを考えてみるのもあながちムダとはいえないかもしれませんね(結晶社会学とでもいうべきか)。

 

2020年6月14日 (日)

ブロシャン銅鉱(山梨県都留市宝鉱山)

Brochantite Cu4(SO4)(OH)6 硫酸塩鉱物等

 

Brochantite_takaram_01

Brochantite_takaram_02

 

以前の記事、含銅アロフェン(山梨県都留市宝鉱山)と同じく、カラミについていたものです。

ブロシャン銅鉱の板状結晶かと思いますが、どうでしょうね。銅の二次鉱物は似たものがたくさんあって困ります。孔雀石の結晶が、こういう板状になることもあるんでしょうか(どんな形でもありそう)。

ガラス質で、青みがかった深い緑色が、とてもきれいです。

2枚目の上の水色は水亜鉛銅鉱かな? その上に白い絹糸放射状のものがあるのですが、こちらは分かりません。

 

野外の銅像などに錆びてつく緑青は、大体孔雀石かこのブロシャン銅鉱であることが多いそうです。防衛大学・山口晴幸教授の、三浦半島の銅像などが酸性雨でどのくらい影響を受けているか、という論文を以前見たことがありますが、あれなどはちょっと変わった緑青の研究といえるかもしれません(他にも三浦半島の隧道におけるPM2.5とか、浜に漂着したゴミとか、巨樹とか、面白いことを多く研究している方です)。

ちなみに平賀源内によると、緑青には、山や鉱山などで自然にできた「石緑」、人為的な「銅青」があるとのこと。

放射状に結晶したブロシャン銅鉱は、その色、形、ともに美しく、憧れる鉱物のひとつで、ぜひ採集してみたいのですが、関東近辺では有名な産地は立ち入りができないところが多く、まだ見つけたことはありません。本などを見ると、もっともありふれた銅の二次鉱物などと書かれているのが、さらに腹立ちますw

ネットでは、宝鉱山でブロシャン銅鉱があったというような話は見つけられませんでしたが、あってもおかしくないですよねぇ? そもそも、宝鉱山の鉱物についての記事をあまり見かけません。

知る限り、宝鉱山は珍しい鉱物が出るという話もなく、カラミは鉱物ではないと、あまり鉱物好きの興味をそそる対象ではないのかも? 個人的に、宝鉱山周辺の山、大幡川源流域は大好きなので、山登りと鉱物探しが両立できる、お気に入りの地域です。人が少なく静かなままでいて欲しいと思うと同時に、もっと多くの人にこの地域の良さを知ってほしいとも思っているんですが。。。

 

ところでネットで宝鉱山を検索していたら、平成29年に、宝鉱山の坑廃水処理のミスで中和のための石灰が投入されず、有害物質が流れ出したおそれがあるという山梨県の報告書を見つけました。調査の結果、排水基準は超えていなかったとのこと(山梨県「旧宝鉱山(都留市大幡)の不適切な坑廃水処理について」)。宝鉱山は昭和45年に閉山していますが、今でも処理をし続けなければならないのですね。

考えてみると、大幡川は桂川の支流、つまり、相模川の上流で、うちの水も相模川の水です(神奈川の水源は、主に相模川と酒匂川)。他人事ではないということですね(割と知られていないのですが、相模川の源流は富士五湖の山中湖なんですよ!)。

 

2020年5月23日 (土)

ポスンジャク石(栃木県日光市小来川鉱山)

Posnjakite Cu4(SO4)(OH)6・H2O 硫酸塩鉱物等

 

Posnjakite_okorogawam_02

Posnjakite_okorogawam_01

 

薄い水色の、細長い鱗片状のものがポスンジャク石だと思います(青の強い塊状に見える部分は、ラング石かも)。

銅鉱床の二次鉱物で、カザフスタンの中央部、鉱物資源の豊富なカラガンダ州のヌラタルディ(Nurataldy)で、初めて確認されました。草下英明の『鉱物採集フィールドガイド』によると、世界で二番目に報告されたのが、ここ、小来川鉱山だそうです。

変な名前ですが、この鉱物の合成実験をしたロシア人地球化学者・ユージン・ヴァルデマー・ポスンジャク(Eugene Valdemar Posnjak〈1888–1949〉)にちなんで1967年に命名されたとのこと。この人については調べてもよくわかりません。

銅の二次鉱物は、青や緑や白できれいなのですが、どれも似ていて、よくわかりませんね(まあすべての鉱物がよくわからないんですけどw)。

ポスンジャク石と同質異像(化学組成は同じで結晶形は違う)なのがラング石ですが、この二つの違いは、ポスンジャク石が鱗片状、ラング石が四角い感じ、とのこと。でもネット上で調べてみると、産地の違いなのかわかりませんが、どう見ても逆なんですけど。。。という例が散見されます(色も水色から緑がかったものまで幅があるが、これは写真の具合かもしれないしなんともいえない)。

もともと鉱物の結晶の形にもいろいろ変化がありますし、毛状のものが集まって板状になったり、板状のものが集まって丸くなったり、固まりになったり、実物の色もちょっとした組成の違いで全然変わってきたり、目で見ただけではわかるわけないよなあ、と感じることが多いです。結局化学組成を分析機器で調べたりしないとほんとのところは分からないわけで、それができない自分は、もう雰囲気でいいんじゃないか、という気にもなってきますw

それでもこうやって色々調べるのは、個人的であってもネットに載せる以上、あんまり適当なことは書けないかな、と思ってのことなのですが、どうせそんな大勢が見るわけでもないし、やっぱり自己満足でいいんじゃないかとも思います。

あと20年くらいすれば、安いハンディ組成分析器とか、Amazonで買えるようになるかも?(需要ないかな?) 自分はちょっとそこまで時間がないかもしれないけどw

 

2020年5月12日 (火)

石膏?(山梨県都留市宝鉱山)

Gypsum Ca(SO4)・2H2O 硫酸塩鉱物等

 

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前回記事の含銅アロフェン(山梨県都留市宝鉱山)と同じ、宝鉱山の石。ただし、これは坑道跡上にある、露頭で拾った石です。

鉱石を採掘したところが陥没し、上の地表に、岩に囲まれた窪地ができています。その底に、一面黄鉄鉱で覆われてきらきらと輝く大きな岩がごろごろしています。

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黄鉄鉱は大きな自形結晶はあまり見られず砂のようで、触るとぼろぼろ落ちます。一番最初のマクロ写真の銀色の部分が、その黄鉄鉱。拾ってきた石のひとつに、黄鉄鉱と一緒に白い針状の結晶がたくさんついているものがありました。顕微鏡で見るまで、まったく気づきませんでした。

針状結晶をさらに拡大してみました。透明感のある白い結晶です。

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ネットで見つけた宝鉱山についての古い論文によると、「鉱石は主として黄鉄鉱、閃亜鉛鉱、黄銅鉱、黝銅鉱、方鉛鉱があり、脈石としては石英、重晶石、絹雲母を主とし西方珪鉱地帯には一部石膏を産する」(上田年員「宝鉱山の採鉱法」日本鉱業会誌832号、昭和32年10月)。

黝銅鉱(ゆうどうこう)というのは四面銅鉱の古い和名だそうです。

西方珪鉱地帯というのがどのあたりなのか、ちょっとわかりませんが、この中で唯一あてはまりそうな針状結晶があるのは、石膏だけ。色や透明感など見た感じも違和感は感じませんので、とりあえず石膏?ということにしておこうと思います。

日本における石膏鉱床は、ほとんどの場合黒鉱と関りがあるそうです。これがもし石膏だとしたら、宝鉱山が黒鉱由来であったことを示す今でも目に見えるわずかな痕跡ということになるかもしれませんね。