〇愛媛県

2020年6月16日 (火)

オンファス輝石角閃石岩(愛媛県四国中央市関川流域)

オンファス輝石 Omphacite (Ca,Na)(Mg,Fe,Al)Si2O6 珪酸塩鉱物

角閃石 amphibole 珪酸塩鉱物

 

Omphacite_sekikawa_02

Omphacite_sekikawa_01

 

石ころです。

愛媛県の関川は、赤石山系(主峰・東赤石山1706m)から瀬戸内海にそそぐ、わずか二十数キロの川で、その長さと山の高さを考えても分かる通り、とても急です。日本の川は滝だと言った(とされる)のは、お雇い外国人技師のオランダ人、デ・レーケですが、まさにその典型ともいえる川ですね(富山の川のことを言ったらしいですが)。

日本の関東山地から九州まで、中央構造線に沿って続く三波川変成帯は、日本最大の変成岩帯です。関川の上流、赤石山やすぐそばの鉱山で有名な別子のあたりも、その三波川変成帯に属しますが、とりわけ高温・高圧によって変成度の高い岩石が生成され、他では見られない石がたくさん産出する地域です。

特にエクロジャイト(Eclogite:主に鉄礬柘榴石とオンファス輝石で構成される石)が有名です。

この石は、関川大橋の少し下流、関川と浦山川合流点あたりで拾いました。

Sekikawa_01

多分、オンファス輝石を含んだ角閃石だと思います。色の濃いのが角閃石で、薄いのがオンファス輝石。。。なのかなぁ?

ぱっと見は濃い緑の地味な感じなのですが、ルーペや顕微鏡で見てみると、吸い込まれそうな透明感のある深い緑で、めちゃくちゃきれいでびっくりします。ちょっぴりクロムが混じっているのかも?(クロムが入ると、緑の鮮やかさが増す)

あたりには、柘榴石の点々が一面についた石が多く転がっていて、わざわざ探すまでもなく拾えます。ここの柘榴石は自形結晶も多いけれど、川を転がってきているからか、そんなにシャープな感じではないです。割っても大して変わらないので、もともと鋭角的な結晶ではないようですね。他にも、白雲母が混じって銀色に輝くものも多く見られました。

 

ここで拾った石をもうひとつ。エクロジャイトといいたいところですが、オンファス輝石はあまり入ってなさそうなので、柘榴石角閃石岩でしょうか。

 

Eclogite_sekikawa_01

 

赤いのが鉄礬柘榴石。濃い緑が角閃石です。

もう一度、ゆっくり1日かけて探してみたいし、赤石山にも登ってみたいけれど、また四国まで行けますかねぇ。。。

 

2020年5月10日 (日)

輝安鉱(愛媛県西条市加茂川流域)

Stibnite Sb2S3 硫化鉱物

 

Stibnite_kamogawa_01

 

愛媛県のかの有名な市之川鉱山を流れる市之川が、加茂川に合流してすぐ下の川原で見つけた輝安鉱です。

水晶・針水晶の群落の上に、針状(毛状)結晶がまぎれていました。

毛鉱やブーランジェ鉱、ベルチェ鉱など、肉眼では見分けがつかない似た鉱物(すべてアンチモンの鉱物)もあり、これが一体どれなのか迷いましたが、周囲にもうちょっと太めの輝安鉱や、黄色い黄安華(輝安鉱が酸化して硫黄分が抜けて生成されるアンチモンの二次鉱物。ちなみに輝安鉱はSb2S3〈Sb=アンチモン、S=硫黄〉)がついているので、輝安鉱で間違いないのではないかと考えました。

まさに、顕微鏡でしか見ることのできない不思議な世界ですね。

こちらは同じ石についていた、別の結晶。

Stibnite_kamogawa_03

Stibnite_kamogawa_02

 

市之川は丁度中央構造線の付近に位置しており、その断層による裂け目を充填するように輝安鉱の結晶が発達した、裂罅充填鉱床といわれる産地です。世界でもまれにみる規模の鉱床で、海外の鉱物好きの間でも、日本といえば市之川の輝安鉱、的な感じみたいです。ただし1メートル近くもあるようなすごい結晶がとれたのは、明治のころまでで、日本の多くの鉱山と同様に、昭和中期には閉山しています。

標本の多くは海外に輸出されたらしく、どうも明治のころ、日本はすばらしい鉱物の産出国というイメージがあったみたいですね。当時の海外の輸出業者(石専門ではない)の日記で、日本の水晶はすばらしい! と絶賛されてたりします(どこの水晶だったんだろう、山梨かな?)。

ところでネットを見ていると、「続日本紀」には、飛鳥時代の文武2(698)年七月乙亥 「伊予国献白〇(金に葛)。  」の記事があり、この「〇(金に葛) 」が市之川の輝安鉱ではないかという説もあるそうです。ただ、その時代に市之川の輝安鉱が知られていた、採掘されていたという証拠は一切なく(公式には延宝7年(1679年)に発見された)、伊予国には他にも輝安鉱産地はいくつもあるので、まあ推して知るべしといった感じですね。

 

年始年末に、広島、しまなみ、四国周辺を、宿泊地を決めず、念のためテントも持って車で回ってきました。その時に市之川や関川、別子にも行って(生口島にも寄ったのだけど、最近立ち入りできなくなったらしく大ショック)、拾ったもの。輝安鉱は憧れの鉱物のひとつだったので、市之川から流れてきたものを見つけることができて、大満足でした。

関川もそうですが、普通に街はずれの川原でこんなものを見つけられるのはうらやましいですね(まあ西の人にとっては、秩父とかに気軽に行けるのはうらやましいとなるのかもね)。