沸石(千葉県南房総市平久里川流域)2
方沸石 Analcime Na(AlSi2O6)・H2O 珪酸塩鉱物
トムソン沸石 Thomsonite-Ca NaCa2Al5Si5O20・6H2O 珪酸塩鉱物
千葉県平久里(荒川)の沸石類、続きです。
(前回はソーダ沸石 沸石(千葉県南房総市平久里川流域)2)
片側が押しつぶされたような、左右対称の幅の広い菱形が見えるので、方沸石の偏菱24面体の結晶だと思います。この面の形を凧型といったりしますね。西洋凧の形です。ザクロ石もこの形をとるものが多いです。
写真では判別しにくいのですが、白くてちょっと濁ったような光沢のものと、透明度が高くて少し青っぽい光沢のものがまじりあっています。2枚目の写真で、ところどころ天地左右が対称の幅の狭い菱形の光が見えるので、多分青っぽい透明なものは魚眼石ではないかと思うんですがどうでしょうか。。。
方沸石は長石に近い性質を持っていて、準長石という扱いをされることもあるそうです。分類の境界線上にある感じでしょうか。準長石とは、長石に似ているが、長石よりも珪酸分が少ない鉱物のグループで、石英とは共存しないそうです。確かに平久里では石英って見ないですね。。。石英ができるほど珪酸分が多ければ、方沸石ではなく長石ができるとか。
準長石には、他には霞石や白榴石などがありましたが、白榴石は現在では沸石に分類されています。白榴石というのはあまり聞かないですが、日本での産出は(まだ)確認されていないようです。結晶形は偏菱24面体で方沸石やザクロ石と同じですが、実際に見たことはないです。
3枚目の写真は、上部に方沸石が、下部に柱状の結晶が見えます。ソーダ沸石にも似ているのですが、断面が正方形ではなく長方形、ちょっと厚めの板状になっていて、トムソン沸石ではないかと思います。平久里では、これが母岩にへばりつくようにびっしりついているのをよく見かけますね。
こちらもトムソン沸石の、球状の集合体ではないかと思います。トムソン沸石というと、むしろこういう集合した姿のほうが一般的かもしれません。「トムソン沸石」で画像検索すると、板状結晶の写真はほとんど出てこず、球状集合ばかりです。断面がどうなっているのか、切ってみたいですね(まあ画像検索すればそういうのも出てきますけど)。
トムソン沸石のグループにはCaを含んだ灰トムソン沸石と、Stを含んだストロンチウムトムソン沸石の2種類があります。日本で産出するトムソン沸石のほとんどは灰トムソン沸石なので、わざわざ「灰」はつけないことが多いようです。
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