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〇茨城県

2021年9月15日 (水)

青鉛鉱(茨城県城里町錫高野)

Linarite CuPb(SO4)(OH)2 硫酸塩鉱物等

 

Linarite_suzukoya_01

Linarite_suzukoya_03

 

前回(翠銅鉱?(茨城県城里町錫高野))の続き。同じ石です。「ちょっと違う色合いの水色の部分」と書いたのが、この部分。

希塩酸で、泡だったりしませんが、ちょっと白っぽく脱色するように分解します。この反応、色の傾向、形状から、青鉛鉱ではないかと考えましたけど、どうでしょうねぇ。多分いいんじゃないかな。

2枚目の写真で、濃緑色はブロシャン銅鉱、淡いシアンの一番サイズの大きいのが前回取り上げた部分(翠銅鉱?)、その間にところどころ、もうちょっと濃い水色で透明感のある部分が、今回の青鉛鉱ではないかと思うものです。写真だとちょっと分かりにくいですが(撮影が下手なせいですね)、目で見ると色合い、透明感など、違いがはっきりと分かります。

青鉛鉱というと、藍銅鉱に似た濃い青の透明な結晶というイメージですが、そのイメージと違ってちょっと薄い色合いですね。でもネット上で見てみると水色に近いものもちらほら見られます。自分は美しい紺色の立派なものなんて見つけたことはありませんが、それでも1枚目の写真のように、先が尖った、あるいは刀状の結晶が集合して伸びている様がなかなかいい感じ。皮膜状じゃつまらないですもんね(というか判別できない)。

割とありふれた二次鉱物だそうですし、高取鉱山・錫高野でも多くはないものの鉛系の鉱物(方鉛鉱など)の産出はありますし、採集場所では孔雀石はよく見つかります。青鉛鉱そのものの産出記録は見つかりませんでしたが、あってもおかしくないのかな?

青鉛鉱はその美しい青さから憧れの鉱物のひとつです。ちょっと思っていた色と違うけれども、まあいいかw でも、この青鉛鉱にしろ、翠銅鉱? にしろ、まさか錫高野で見つかるとは夢にも思っていなかったものです。成分を分析したりできないので、「この場所では何が産出する可能性があるか」という情報そのものが、鉱物判別のための一番重要な手段なわけです。その一番の手段が使えないので、判定にまったく自信が持てないのがつらいところ。軟十年も見続けていれば、手に取っただけでぱっとわかるようになるんでしょうか。。。

 

青鉛鉱のLinariteという名前は、スペインのアンダルシア州リナーレス(Linares)が由来。鉛の鉱山で栄えた街ですが、現在ではいくつもあった鉱山はすべて閉山したそうです。フラメンコの有名な歌手・カルメン・リナーレスは、ここの出身ですね。

パコ・デ・ルシアの有名な「リナーレスの調べ Aires De Linares」という曲は、タランタという鉱山の歌です。きつくて危険なリナーレスの鉱山での生活の中から生まれたものなんでしょう。そう考えながら聞くと、何だか青鉛鉱の青色が、人生の哀愁と、その裏側にある諦観にも似た突き抜けた明るい空の色のようにも思えてきます。

 

ところで錫高野には何度か行っているのですが、そばにある物産センター(県道51号線とビーフラインの交差するところ)にいつも寄って買い物していきます。きのこがおすすめなのです。珍しいハナビラタケがここの名産で、ここでしか買えないんじゃないかなあ。センター内にあるそば屋・そば処山桜もおすすめ。暖かいきのこ汁にそばをつけて食べる、つけきのこそば(うどんもあり)が、えらくおいしいのです。錫高野に行った帰りに、これを食べるのが楽しみのひとつなのだ。

 

2021年9月 5日 (日)

翠銅鉱?(茨城県城里町錫高野)

Dioptase? CuSiO3・H2O 珪酸塩鉱物

 

Dioptase_suzukoya_01

 

錫高野の、稜線そばのズリで見つけました。囲われている崩れた坑口のそばのズリです。ここはよくトパズや、孔雀石なども見つかるところで、面白いんですよねぇ。

まるでペンキを塗ったかのような光沢をした鮮やかなシアンの鉱物で、ぱっと見、これは何だ!と目を奪われます。濃い緑の部分は、ブロシャン銅鉱のように見えます(写真には出ていないが、他にもちょっと違う色合いの水色の部分がある。)。

色的にも銅の二次鉱物だし、水亜鉛銅鉱か変わった形の珪孔雀石かなあ? と思って、希塩酸をかけてみてもまったく何の反応もしないし(多くの銅の二次鉱物は反応する。水亜鉛銅鉱や孔雀石なら泡立つ)、非常にきれいで目立つものであるにもかかわらず、一体なんなのか、全然分からなかったんですよね(濃い緑の部分は希塩酸で溶け、水色の部分は溶けずに色が抜けて白くなる)。一見もろそうなんですが(銅の二次鉱物はもろいものが多い)、いざ削ってみようとすると思ったより硬く、裁縫用の針でもほとんど削りとれません。

でも最近ネット上で、伊豆の河津鉱山で採集したという、翠銅鉱の写真を見つけました。不明鉱物として持ち込まれたものを分析したら翠銅鉱だったという話らしい。

翠銅鉱 東京大学物性研究所 電子顕微鏡室/Electron Microscope Section マクロ写真館 日本の鉱物

これ、まったく同じものに見えませんか? 外形も、色も、そっくりそのままに見える。

翠銅鉱ならば、希塩酸でなんの反応もなかったというのもわかります。組成としても、ここにあるものばかりで、妙な元素が必要というわけでもないので、まあおかしくはないといってもいいかな。。。モース硬度も5なので、結構硬めなのもうなずける。

ということで、(?)付きではあるけれども、「翠銅鉱」として、ここにも載せてしまいます。

普通の(海外産標本の)翠銅鉱とは、もう色も結晶形もまるで違いますね。普通翠銅鉱というと、エメラルドグリーンの透明感のある結晶で(実際昔はエメラルドと間違えられたらしい)、硬度こそ宝石とするには低いものの、非常にうつくしい鉱物です。もしこれが実際に翠銅鉱だとしても、目で見てわかるわけないですよね。。。Dioptaseで検索しても、このような見た目の翠銅鉱は、上記のサイトの写真1枚以外はまったく出てきません。

日本で産出するところはどうやらほとんど知られていないようです。調べられたのは、結局上記サイトの河津鉱山と、島根の銅ヶ丸鉱山だけでした。これは多分海外産との見かけの差異によるものではないでしょうか。売られているきれいな結晶と全然違うものを見つけても、分析しないと翠銅鉱だとは分からないですし、大学の研究室のようなところでない限り、分析なんてできませんから。。。実際には、結構あるのかもしれません。主に銅鉱床の酸化帯で生成されるということで、孔雀石や珪孔雀石があるところには、まれにあるのかも? どのような条件の違いで、同じ材料から違う鉱物が生成されるのか、詳しいことは自分にはよくわかりません。

先ほども書いたとおり、はじめはエメラルドと間違えられていましたが、エメラルドと違って劈開があります。1797年、フランスの鉱物学者アユイによって、劈開面の可視性を意味して、ギリシャ語の「~を通して」を意味する「dia」と、「見ること」を意味する「optasia」から命名されました。

劈開面のクラックが透けて光を反射し、きらきらきれいなのだそうですが、写真のものはそれを彷彿とさせるようなところはありません。日本のどこかに、海外産のようなきれいなDioptaseはないもんでしょうかね。。。

 

2021年7月25日 (日)

鉄電気石(茨城県北茨城市華川町花園)

Schorl NaFe2+3Al6(Si6O18)(BO3)3(OH)3(OH) 珪酸塩鉱物

 

Schorl_hanazono_01

Schorl_hanazono_02

Schorl_hanazono_03

 

花園の鉄電気石です。色がなんか苦土電気石っぽい感じですが、鉄以外の成分がちょっと混じっているせいでしょうか? 3枚目の写真のように真っ黒い部分もありますし、花園で産出するのは鉄電気石という情報しかないので、まあそうなのでしょう。

採集したのは、松原聰『鉱物観察ガイド』(東海大学出版会)の花園の章に紹介されている「峠下橋」という地点だろうと思います。なにしろ川に釣り人が多くて、人のいない大分下流で渡渉せざるをえず、ヤブっぽい山の中を進んでいったので、思ったよりたどり着くのに苦労しました。鉈でもあればよかった。でも、今まで見つけた電気石の中でもかなり立派なものだったので、行った甲斐はあったかな、かな?

部分的に母岩に放射状になってついているので、見つけた時は、泥がついていて紅柱石みたいにも見えたんですが、残念、違った。。。結局はっきりと紅柱石といえるものは見つけられませんでした。

 

トルマリンというと、健康にいいというトルマリンを使った商品の数々を思い出します。

なぜ体にいいと言われるのか調べてみると、マイナスイオンの発生、表面電荷の発生、ミネラル分の溶出、熱の発生などの効果があるといいます。マイナスイオンというのはよく言われますが、よくわかりません。森林とか、沢などでも出ていて、それが人間の精神や健康によいとかいわれます。とりあえず体にいいことにして商品の広告にしてたら、うまく世に広まってしまった例のようにも思えます。夏の土用の丑の日にうなぎを食べるみたいな?(うなぎの旬は冬。平賀源内のせいで、旬にはあまりお店で売っていないという本末転倒なことになってしまったw)

こういうのが科学的に正しいとか間違っているというのは、よくわかりません。科学って、現実にうまく則している考えを煉瓦のように積み重ねて作られた体系だと思うので、そもそも科学でうまく説明のついていないものごとは、まだ「科学」を判断基準にするべきレベルのものごとではない、と思うのです。最近は「科学的根拠に基づいた」という言葉がなんとも容易く印籠のように使われることが多く、その言葉を使うだけで、まるで本当みたいに思えてくる魔法の言葉になっていますね。なので、逆に若干のインチキ感すら漂わせてしまう始末。

実際のところ、トルマリンが健康にいいと根拠なく信じこんで身につけている人と、そんなのはうそだとバカにしている人がいたとして、そのどちらか、より健康に長生きした方が正しい、とか、その程度のレベルの話でしかないんじゃないか(実際にどちらがより健康であったかなんて客観的な判断は不可能)。統計をとって有意差がみられるとかそんなのは、現実の人間の通常の生活には関係ないのであって、知り合いがそうだったとか、話に聞いたとか、結局そういう個人的な見方こそが、人間にとっては本当に重要なことなんじゃないかという気すらしてきます(低い可能性をひいた人に、それは統計的に可能性は低いのだといっても、何ら実用性はない)。

もし疑いなく重要であることがあるとしたら、それは個人の生存と種の繁栄・保存にどれだけ有用であるか、という一点ではないか。生命にとって、その一点のみが最大・唯一の価値なんじゃないか。そうならば、「科学的根拠がない」トルマリンの効用を信じて身につけるというのも、意味があることになる。特に身につけることによる害がないのなら、そう信じている人にとっては、身につけないことより身につけることのほうが個人の生存には有用だと考えられるから。

 

ああ何だかしょうもないことを書きつらねてしまった気がするw

ちなみに自分にとって鉱物を探すのは、個人の生存にとって非常に有用です。つねに何かに集中して興味をもっていないと死んでしまうから。種の保存に有用かどうかはわからないw

 

2021年6月29日 (火)

蛍石(茨城県城里町錫高野)

Fluorite CaF2 ハロゲン化鉱物

 

Fluorite_suzukoya_01

Fluorite_suzukoya_02

Fluorite_suzukoya_03

Fluorite_suzukoya_04

 

よく知られた錫高野の蛍石です。

高取山東の沢の上流、左岸に露頭があります。有名どころなので、もうきれいに整った結晶は滅多に見つからないのではないかと思いますが(大きいものであれば、劈開が強いので立方体あるいは八面体にきれいに割れるはず。。。でもチャレンジしたくないw)、淡い緑や紫がきれいです。青く光っている2、4枚目の写真は、それぞれ1、3枚目に長波(365nm)の紫外線をあてたもの。加熱しても光るそうですが、試したことはありません(破片が飛び散るらしい)。

よくきれいな結晶が売られているのを目にしますが、分離結晶の場合はほとんど加工されたものではないかと思います。日本では加工するのに十分なほどの大きな固まりは産しないです。最大の産出国は中国です。ちなみに漢方でも(紫色の)蛍石が使われるのですが、なぜか紫石英という名称になっています(昔はアメジストだったらしいが)。蛍石のほうが手に入りやすかったからですかね? 中国の南部では、紫色の方解石を、「紫石英」として使っているところもあるようです。つまり、〈紫色の透明な石〉という「概念」が必要だったということでしょうか。成分ではなく、視覚的な形象による分類を基本にしているということで、西洋文明とはまったく異質なものを感じますね。おもしろい。

蛍石は古くから鉄鉱石の融剤として使われてきたため、「流れる」という意味のラテン語「fluere」から名付けられました。さらにこの蛍石を由来として、蛍光現象(fluorescence)、フッ素(fluorine)などが名付けられました(なお、エネルギーを受けた物体の発光現象のことをルミネセンス〈luminescence〉とも言いますが、その違いはちょっとあやふやなところもあって面倒なので、ここではスルーします。興味ある方は自分で調べてね)。

 

先日全14話完結した「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」というアニメがありました。AI(アンドロイド)の人類への反逆にいたる過程、そしてそれを阻止しようとする未来から来たAIと、史上初の自律人型AI歌姫の100年にわたる物語でしたが、最近珍しい、純粋なSFオリジナルのアニメでした。このサブタイトル「Fluorite Eye’s Song」の「Fluorite」というのはもちろん、蛍石のことです。

蛍石は色収差が非常に小さいので、高級な光学製品にレンズとして使われています(現在ではほとんど人工蛍石ですが)。蛍石のモース硬度は4なので、ガラスよりも加工もしやすいのかな?(ガラスは5~6)

アニメでは頻繁にAIの目の精密なアップ画像が使われていて、そこだけ作画が変わるので非常に印象的でしたが、つまりこの目は蛍石のレンズだったんですね(というか、Fluorite Eyeという言葉で、人間ではない、AIを象徴してたってことですけど)。人間の目は「水晶体」。水晶とフローライトというふたつの鉱物で表現しているのは、その類似性なのか差異だったのか、なかなかうまい表現だと思います。よい作品だったので、興味あったらぜひ。

 

2021年6月10日 (木)

石墨(茨城県北茨城市華川町花園)

Graphite C 元素鉱物

 

Graphite_hanazono_01

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前回の北茨城花園の含ストロンチウム方解石の中に、黒いほこり粒のようなものがぽつぽつとついているのを見つけました。下の写真のように、白い方解石中にうす青い脈が走っていて、特にそこに集中して見られました。ルーペでのぞいてみると、金属光沢の黒い六角形の薄板状結晶。非常に小さいですが、石墨の自形結晶です。

TrekGEOの花園鍾乳洞のページに、産出鉱物として石墨が載っていました。ネット上では、TrekGEO以外ではここの石墨のことは全然見つけられなかったので、どんなふうに出るのかわかりませんでしたが、こういう産状なんですね。石灰岩の接触変成域の晶質石灰岩ということは、有機物由来でしょうか。

 

Graphite_hanazono_03

 

元素記号は炭素C。ダイヤモンドと同じですが、原子の結合の仕方が全然違います。雲母のように層状の構造をもち、層と層の間の結合が弱いため、薄くはがれるような劈開があります。ダイヤモンドは3次元的に原子が結合しているので硬いのですが(モース硬度10)、石墨はモース硬度1~2と、もっとも柔らかい鉱物のひとつです。極端すぎw

鉛筆の芯は基本石墨が原料(のひとつ)ですが、人工的に合成されたもの、精製して純度を高めたもの(つまり工業用に使用される場合などということか)は「黒鉛」と呼ばれ、天然のものは「石墨」と呼ばれています。ただし名前を使い分けているのは日本だけで、英語ではどちらもGraphite。

「黒鉛」という名前ですが、もちろん鉛はまったく含まれていません。昔、元素を分析できなかったころは鉛を含むと考えられ、ラテン語で「鉛」を意味する「plumbum」と呼ばれていました。そこからつけられた和名が「黒鉛」で、それが今でもそのまま使われ続けているため、こんなややこしいことになってしまいました。

ちなみにGraphiteはギリシャ語で「書く」を意味するgrapheinからきています。文法のグラマーや、グラフ(表)と同系統の言葉ですね。

鉛筆の芯は、粉末にした石墨(黒鉛)と粘土を混ぜて作りますが、その比率で硬さを調節します。粘土が多いほど硬くなります。層状の原子構造=滑りやすさ、が、鉛筆の書き心地の秘密のようですね。ちなみに色鉛筆は粘土ではなく、染料と滑石、蝋(これでさらになめらかさを出す)などをまぜるそうです。

 

石墨を筆記用具とする方法が広まったのは、16世紀、良質な石墨鉱床が発見されたイギリスから(カンバーランドのボローデール鉱山)。当時は石墨を細長く切って、糸を巻いたり板ではさんだりして持ち手を作り、そのまま使っていました。ところが、これまでになかったこのお手軽な筆記用具が広まると、良質な石墨が貴重品となり、値段もどんどんあがっていくことに。。。

さらにそんな中、イギリスとの戦争(ナポレオン戦争)が起こり石墨が手に入らなくなったフランスで、画家で化学者でもあったジャック・ニコラス・コンテが、石墨の粉末と粘土をまぜて焼き固める、現在でも使われている工法による鉛筆を開発しました(1795年)。石墨の小さな欠片を無駄なく有効利用できるだけでなく、硬さも自由に調整できる画期的な発明です。まさに必要は発明の母(ちなみにこの言葉、出典は『ガリバー旅行記』なんだって!)。もちろん絵を描くときに使うコンテは、このコンテの作った鉛筆からきています。

ごく小さな六角形の粒から、どんどんと歴史が広がって大事になっていくのが楽しいですねぇ。

 

2021年6月 8日 (火)

含ストロンチウム方解石(茨城県北茨城市華川町花園)

Strontium-rich Calcite (Ca,Sr)CO3 炭酸塩鉱物等

 

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ストロンチウムを含んだ晶質石灰岩(大理石)、方解石です。ストロンチウムによって、うす青い色がついているといいます。ストロンチウムを含む鉱物といえば、天青石、糸魚川石なども、やはりこんなうす青い色合いですね(糸魚川石なんて実際に見たことはないですけど)。そんなにはっきりした色ではないのですが、だからこそ、とても美しいです。

天青石や方解石では青い色のもとになっていますが、炎色反応では深紅で、花火の赤にも使われるそうです。

ストロンチウムというと、原発の事故などで放出された放射性同位体・ストロンチウム90が有名かもしれません。ウランの核分裂で生成される代表的な放射性物質がストロンチウム90で、カルシウムと化学的な性質が似ているので、体内に取り込まれると骨などに集まって留まる傾向があり、危険であるとされています(方解石に含まれやすいとか関係があるかどうかは知らない)。現在でも、大気圏内核実験や原発事故などの影響で、わずかな量が大気圏内に残留しています。

当然のことながら、鉱物に含まれるストロンチウムや花火などのそれは、放射性ではありません。ペグマタイトの放射線のほうがはるかに高いでしょう。花園のペグマタイトには、燐灰ウラン鉱、モナズ石、ジルコンなどの放射性鉱物が含まれているので。いちいち心配していても仕方ありません。放射線もウイルスも自然界に普通に存在するものですからね。杞憂というものです。

(ところで、「杞憂」という言葉は中国の『列子』に出てくる話ですが、杞の国のとっても心配性の人が空が落ちてこないか心配しているのをみて、ある人がそんなあり得ないことを心配してもしょうがないと説いて聞かせたことからきています。でも実際にはこの先には続きがあって、その話をきいたまた別の人が、あり得ないということはない、もしかしたら空が落ちてくるかもしれないぞ、といったとか。。。で、さらに最後に列子が、落ちようが落ちまいがまあどうでもいいんじゃないの、としめくくりますw だから、実際には「杞憂」という言葉では、その話題を締めくくることはできないのだw)

 

福島との県境にほど近い北茨城の花園山(798m)は阿武隈高地に属し、基本なだらかな山体ですが、花園川の浸食によって渓谷が造られ、滝場も多く見られます(だから沢は思いのほか険しく、気軽に遡行はできない感じ)。周辺はペグマタイトがとても豊富な地域ですが、花園鍾乳洞はその中心部から若干離れたところにあります。ペグマタイトの露頭があちこちにあり、気になってなかなか先に進めない楽しい道中ですが、最後、道はヤブの中に消えます。昔は行きやすかったみたいですが、現在ではトゲトゲの草がいっぱいで、半そでだと傷だらけになりますよ。。。夏には行きたくないかなw

 

Hanazonos_01
ヤブに埋もれた花園鍾乳洞。入口はとても狭い。

Hanazonos_02
鍾乳洞の前には、大きな晶質石灰岩がごろごろ落ちている。

 

多分、次に続きます。

 

2021年4月 5日 (月)

鉄重石(茨城県城里町錫高野)

Ferberite Fe2+(WO4) 酸化鉱物

 

Ferberite_suzukoya_01

 

錫高野(高取鉱山)の代表的な鉱物のひとつ、鉄重石です。

上の写真はカメラ本体のみでのマクロ写真。重石というだけあって、ずっしりと重いです。

下は細長いノリのような小さな鉄重石を顕微鏡で拡大したもの。どちらも母岩は石英。

 

Ferberite_suzukoya_02

 

錫高野は天正年間末(1590年)ごろ砂錫が発見され(豊臣秀吉が関白の位についたのが1591年、天正19年のこと)、以降、江戸時代には錫が採掘されてきた古い鉱山です。

明治41年には鉄マンガン重石が発見され、錫高野から高取山をはさんで西側の高取鉱山でタングステン、銅、錫が採掘されてきました。昭和60年以降現在まで、休山しています。

成分的には、鉄を多く含む部分とマンガンを多く含む部分が混じっているようで、以前は鉄マンガン重石といわれていましたが、現在では鉄成分のほうが主なので鉄重石といわれています(マンガン成分のほうが多ければマンガン重石となる。固溶体の50%ルールといったりします)。

普通、鉱山あとでは採掘していた鉱物はズリにほとんど残っていないものですが(それが目当てで採掘していたんだから当たり前、ズリはいらない石の捨て場)、錫高野では鉄重石も錫も結構よく見かけます。高取鉱山の中心地(塩子川)は錫高野(桂川)と高取山を挟んで若干離れていて、明治以降は錫高野側ではあまり採掘されていなかったんでしょうか。一応坑道跡は残っているんですが(錫高野と高取鉱山の坑道は繋がっているらしい)。

タングステンは、硬度の高さ、比重の大きさ、熱膨張率の低さなどから、超硬度の合金として切削用工具などに使われ、また武器の装甲、弾芯(装甲を貫く徹甲弾など)としても使用されることが多いようです。第二次世界大戦時の艦砲用の徹甲弾にも使われたのでしょうか。一般的には電球のフィラメントのイメージですが、最近はLEDが普及してきたので、かなり減ってきているようですね(ただし、高取鉱山のタングステンは不純物の除去が難しく、フィラメントとしては使えなかったという話も。。。)。

タングステンは現在ではほとんど中国からの輸入に頼っているそうですが、天然資源としては日本にもまだ存在しているということですね。

ただ、鉱山というのは基本大変な重労働で、環境問題にも大きく関わってくるので、まったく採算に合わないということなのでしょう。汚いやばいところは他の国にやってもらって、金持ち国はお金を出して、環境問題を大きく叫ぶってわけですねw 二酸化炭素排出量なんかと同じく。

 

Ferberiteの名前は、ドイツ・チューリンゲンはゲラ出身のテキスタイル商人で、アマチュア鉱物学者のモリッツ・ルドルフ・フェルバー(Moritz Rudolph Ferber: 1805-1875)にちなんでつけられました。1872年、彼は膨大な鉱物コレクションを有するイエナの「Großherzoglichen Societät für die gesamte Mineralogie」(〈ワイマール〉大公国全鉱物学協会とでも訳すか?)の会長に選任され、イエナ大学から博士号を授与されています。ゲーテも会長だったことがある組織です。

 

2020年5月22日 (金)

錫石(茨城県城里町錫高野)

Cassiterite SnO2 酸化鉱物

 

Cassiterite_suzukoya_01

 

錫高野で拾った錫石です。いかにも正方晶系という形がもえますね。

高取鉱山は鉄マンガン重石(タングステン鉱石)、錫石などをメインに採掘していた鉱山です。今でも、ズリで鉄マンガン重石と錫石はよく目にすることができます。どちらも地味な鉱物ですが、この質感には水晶などとはまた違う重厚な魅力があります。

ここは車でアクセスしやすいので、鉱物目当ての人も割と見かけます。ズリもあちこちにあって広いし、危ないところもそんなにない感じなので、気軽に探しに来れるんでしょうね。小さなスコップだけを持って軽装で歩いている人もいるし、ちょっと水晶でも探しに行くか、みたいな?

こういう場所が近くにあったら、ひょいひょい通っちゃうでしょうね。

 

 

そういえば、スズといえば、スズヤベーカリーですね(いや違う)。

石に関しては特に他の人に向けて発信する気など毛頭なかった自分が、このブログを作ろうと思ったきっかけは、アニメにもなったマンガ『恋する小惑星(アステロイド)』(Quro作)です。わかる人はすぐわかったと思いますが、当然ブログのタイトルもそこからきてますw

高校の地学部が舞台のマンガで、小惑星発見という夢をかなえようとする主人公二人と、地学部(天文部と地質研究会が合併して地学部になった)の地学系女子たちをめぐる話で、あちこちに地学的ネタがもりこまれています。

『まんがタイムきららキャラット』(芳文社)という雑誌で今も連載されてます。例えば以前同誌で掲載されていた『けいおん!』は軽音楽部が舞台ですが、別に音楽がテーマになってるわけでなく、単なる舞台設定にすぎないけれど、『恋する小惑星(アステロイド)』はそうではなく、まさに地学そのものが一番重要なテーマになっていて、そこが一番の魅力。天文、地質、地理、さらに気象など、別々の興味を持った子たちが、一見全然違う分野のように見えるものが、けっして無関係ではないことに気づいていくところも、すごく共感できます(自分もそうやって、興味を広げてきました)。

国土地理院に行って、目をきらきらさせる女子高生なんてはたして実在するのか。まさに非実在青少年 (笑)(でも自分は、街のくねくねの小径を見て川をふさいだ跡だとうれしそうに説明してくれる女性を知っているのだ。だから、多分実在すると思う。してほしいw)

内輪ネタで、掲載誌の「まんがタイムきららキャラット 」を「マイカ・タイム雲母(きらら)カラット」とパロるというギャグを見て、やるな! と思いましたね(雲母は英語でmica、日本の古語で岐良々〈きらら〉)。

作者(それと非常に出来のよかったアニメの制作も)の、地学に対する思いが、伝わってきます。本当に好きなんでしょうね。だから、桜先輩の地質標本館で標本に見入る姿や、部の会報をみんなで作っていく様子など見ていて、やっぱり自分も何かしたいなあと思えてきたのです。もうひとえに『恋する小惑星(アステロイド)』のおかげです。

一応、ここを作るきっかけを書いておいてもいいかなと思ったので、載せておきますね。

(ちなみに、地質班の副部長は桜井美景(みかげ)という名前で、多分櫻井欽一と御影石からきてるのかも?)

(あ、スズヤベーカリーっていうのは、主人公の友だちの実家のことねw)

 

2020年5月 2日 (土)

トパズ(茨城県城里町錫高野)

Topaz Al2SiO4F2 珪酸塩鉱物

 

Topaz_suzukoya_01

Topaz_suzukoya_02

 

茨城県高取鉱山のすぐわきの有名な産地、錫高野で拾ったものです。

大きなトパズはもう滅多に見つからないみたいですが、顕微鏡サイズなら。。。

拾ったときは、()孔雀石がついていたのでとりあえず手にとったんですが(青や緑色をした銅の二次鉱物が好きなので)、ルーペで見ても気づきませんでした。それまでトパズを見つけたことがなかったので、どんな産状が知らなかったですし、それに微小だったので。

家に帰ってから顕微鏡で見ていて、脈に沿って、小さなトパズがいくつもついているのに気づきました。よくも偶然に拾ってこれたなあと、我ながら感心しましたw 顕微鏡がないと、絶対気づかないと思います。自分はこういうのを、「山の神さまに預けられた」と思うことにしています。

よく言われているように、水晶とは全然輝きが違うんですね。そんなあやふやなこと言われても。。。と思っていましたが、見れば一目瞭然です。

 

東の林道から入ったのですが、堰堤上のズリ周辺の沢では、以前来た時よりもいろいろなものが転がっていました。多分、昨年2019年の台風19号等の影響だと思いますが、沢の両岸が大分削れていて、ズリの下部が掘られて露出したのだろうと思います。蛍石(石英に埋まっていてわかりにくいので、あやしいものはUVライトで探す)もちょこちょこと見られました。

こういう有名どころは、何がとれるかあらかじめ分かるので、同定しやすくていいですね。まったく情報のないところで鉄マンガン重石とか見つけても、何の鉱物だかわかるわけがありません。

高取山はそんなに深く険しい山ではないので、いろいろ歩きまわれて楽しいですね。

ただ、神奈川からだとちょっと遠いですけど。。。