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○東京都

2022年7月 9日 (土)

赤碧玉(東京都西多摩郡奥多摩町鋸山)

Red Jasper SiO2 酸化鉱物

 

Redjasper_nokogiriyama_01

Redjasper_nokogiriyama_02

 

奥多摩・鋸山の赤碧玉です。マンガン鉱山のズリ中、あるいはそばの沢などでごく普通に見かけます。結構きれいなものも簡単に見つかります。碧玉とは、微細な石英の結晶の集まったもので、この辺は碧玉と見わけがつけにくいチャートも多い地域ですが、2枚目の拡大写真のように粗粒の部分もあって、すぐわかると思います。

透明感のある黄緑の部分はなんだろう。カリオピライトかな? 黒いのは軟マンガン鉱か、ブラウン鉱か、よくわかりませんが。。。

多分磨けばきれいになるのでしょう。日本でも古代から勾玉などの装身具に使われてきた、一応宝石の一種といっていいのでしょうか。色鮮やかな、という赤ではありませんが、落ち着いた、まさに古代という感じの色合いです。現代では透明感が重視されるけれど、古代では不透明で色の美しいものが好まれてきたような気がします。透明な水晶なんていくらだって見つけられただろうに、そういうものを使った古代の遺物ってあんまりないような気がするのですが。。。

基本的には目に見えないほど細かい石英の結晶の集合で、瑪瑙、玉髄などと同じですが、不純物が多いため、不透明でさまざまな色がついたものを碧玉という場合が多いようです。一般的な呼び方を以下にまとめてみます。

石英 Quartz(鉱物種名)
 ・肉眼で見える程度に結晶化したもの(顕晶質)
  ・結晶形がはっきりとしているもの:水晶 Quartz
  ・結晶形がない塊状のもの:石英 Quartz
 ・
肉眼では見えないほどの微細な結晶の集合した構造をもつもの(潜晶質)
  ・不純物が少なく(
半透明)模様のないもの:玉髄 Chalcedony
  ・縞状の模様があるもの(部分によって不純物の量は変わる):瑪瑙 Agate
  ・不純物が多く(不透明)模様のないもの:碧玉 Jasper

こんな感じで使われることが多いようです。なかなか難しいですね。。。

もちろん、自然物なので、分けようと思ってもどっちだ? というようなことも多いので、そんな厳密なものではないと思います。

 

ところで現在では 「碧」の字は「青・緑の石」という意味になります。色限定ですか。だとしたら、赤碧玉という言葉はちょっと無理やりっぽい感じがしちゃいますね。「碧」の字そのものは、甲骨文からありますが、三つの玉をつなげた装身具を意味する「王」、輝くという意味の「白」、そして「石」から構成されていて、青・緑といった色の意味は含まれていないと考えられます。字に色の要素が含まれたのは後の時代からでしょうか。あるいは「王」の字の三つの玉は、もともと青・緑の石のことを意味していたのか。

秦~漢代に成立した『山海経』西次二経 には「又西北五十里高山、其上多銀、其下多青碧・雄黄」とあり、わざわざ「青」をつけているので、「碧」の字そのものには色の意味は含まれていないように見えます。後漢代の漢字字書『説文』には「碧、石之青美者」とあり、色要素が含まれているように見えます(青は多分どちらかといえば緑のことかと思います)。うーん、どうなんだろう。

古代では、青や緑というのは、とても好まれたようですね。日本や中国、中南米でもヒスイは非常に珍重されましたし。
まだガラスのなかった古代エジプトでは、ファイアンスという陶器が盛んに作られました。エジプシャン・ブルーともいわれる、はるか古代への憧憬を湧きあがらせるような美しい青緑の陶器です。ファイアンスは、石英(珪石)と石灰(有機性のものが使われることが多かったらしい)、それに緑青(ろくしょう)を粉にして混ぜて焼いたものだそうですが、つまり、ブロシャン銅鉱の青緑色なんですね。

昔はどの国でも、青と緑の文字と実際の色の区別があやふやで、色の認識の問題かと思っていたのですが、そうではなく、単に青緑の色が一般的だったってだけなのかもしれません。今では色を認識するうえで、青緑をポイントにすることはなく、青と緑をまったく別の色として認識のポイントにしたうえで、その中間のどこかとして青緑を考えますが。。。もしかしたらその認識の原点は、信号の色? そういったささいなところから、人間の認識の割と深いところが変わってしまうのかもしれません。

 

2020年7月23日 (木)

辰砂(東京都西多摩郡奥多摩町鋸山)

Cinnabar HgS 硫化鉱物

 

Cinnabar_nokogiriyama_01

Cinnabar_nokogiriyama_02

Cinnabar_nokogiriyama_03

 

奥多摩駅からほど近い、鋸山のマンガン鉱山跡のズリから見つけた辰砂です。

奥多摩駅からすぐそばにそびえるのが愛宕山。頂上に愛宕神社があります。そこから岩場などのある稜線を登ると、鋸山です。頂上は植林の中で展望などはまったくなく、途中の岩場の付近は明るくまあまあ面白い道で、鋸山から先、稜線は大岳山、御岳山などにつながっています。

鋸山の頂上のすぐ下に大ダワという峠があり、鋸山林道が山を越えていますが、その林道沿いにズリ跡(植林地になっている)があります。真っ黒いマンガン鉱石や、時に微細な水晶を含む赤碧玉などがごろごろしています。碧玉というと普通は石英の一種のことだと思うのですが、参考にしたサイトでは、「チャートが変成してできた」と書かれていました(「東京都奥多摩町鋸山鉱山のマンガン鉱石中に見られる辰砂」)。

黒いマンガン鉱石を割ると、たまに真っ赤な辰砂が見つかります。大きな結晶といったものはほとんどでないようで、大体粒状みたいですが、それでも奥多摩の手軽な場所で辰砂が採集できるのはうれしいですね。

中国の辰州(現在の湖南省あたり)で多くとれたので、辰砂と呼ばれました。古代から丹(に)と呼ばれ、赤の顔料として使われてきた、由緒ある鉱物です。練丹術というのは、まさにこの丹を使って不老不死の仙薬などを作ろうという方術で、おそらく、水銀の防腐剤としての効能や、赤=血液、赤=神聖な色、という連想からきたものではないかと思います。水銀をめぐる歴史・文化なども、調べていけばかなり深そうな気がします。

 

古い言葉といえば、鋸山のそばの大ダワ。タワとかタオ(タヲ)というのは峠や、山の低くなったくびれたところを意味し、今でもあちこちに地名として残っています。普通に暮らしていたら知らないかもしれませんが、登山に行く人ならば、すぐにいくつか思い出せるでしょう。「撓み」からきているのだと思いますが、万葉集の大伴家持の歌にも「… 山のたをりに 立つ雲の …」(19・4169)とあるように、古くからの言葉です。峠は「タヲ越え」あたりからきているのでしょうか。

峠は、タムケ(手向け)からきているという説(道祖神などに手向けて祀った)もあるようですが、峠に必ず道祖神、山の神等があるわけではなく、また峠以外にも道祖神などはあるのだから、ちょっと納得しがたいです。峠というのは地形であって、山とか川とかと同等なもの。地形を表現する名は、人の行為を表現する名前より、より基本的なものと考えるべきで、それが逆転している「タムケ」説はないと思います。

道祖神、山の神等は、何らかの「境界」にあるものだと思います。峠も数ある境界のひとつなだけで、イコールでは結べません。

鉱山用語も、古い日本語が残っているようです。この前テレビのニュースで、沖縄では洞窟のことをガマというのだと知ったのですが、石好きの人ならなるほどーと思うはずです。そう、晶洞(鉱物の結晶が大きく育っている岩の中の空間)のことをガマといいます。多分、非常に古い言葉なのでしょう。一番端の沖縄と、かなり狭くて特殊な鉱山用語の中にだけ、残ったんですね。柳田国男の『蝸牛考』や、比較音楽学者クルト・ザックスの音楽の伝播に関する説なども、参考になるはず。

 

もうひとつ、丹沢(特に札掛周辺を中心とした地域)のどこかに、辰砂を産する沢があるのではないかと、個人的に期待しているのです。もしあれば、それこそ「丹沢」の語源であるといえるんじゃないかなと。。。丹沢にはマンガン鉱床は割とあちこちにありますし、特に東丹沢は修験道が盛んだった地域であり、その関係からも辰砂の産出が注目されてもおかしくはないのでは。

もともと「丹沢」という地名は、札掛周辺付近のことだったらしいですし、藤熊川、大日鉱山、行者道の重なる、菩提峠から三の塔、行者岳、大日岳周辺が怪しいと勝手に考えていますw 可能性は決して低くないのでは。

もし辰砂が出れば、他の丹沢語源説はすべて霞んじゃうレベルなんだけどなぁ。。。

 

2020年5月23日 (土)

藍鉄鉱?(東京都檜原村三頭山)※

Vivianite Fe2+3(PO4)2・8H2O 燐酸塩鉱物等

 

Biotite_mitousan_03

Biotite_mitousan_02

Biotite_mitousan_01

 

2020/5/23追記

ネットで、これとそっくりの写真を見つけました。

もしかして、藍鉄鉱か?(電子顕微鏡室/Electron Microscope Section、東京大学物性研究所)

説明中にある「土壌や粘土中に球果状に集合してノジュールで産出することが多く」という状態に該当するわけですね。

デジタル鉱物図鑑の説明に、「堆積岩中、低-中熱水脈より産出」とあります。そういえば、三頭山の頂上から東の稜線上、チャートが多かったっけ。。。

とりあえず、自信ないけれどもタイトルとカテゴリーを変更します。

 

 

以前の記事


2020/4/28

黒雲母(東京都檜原村三頭山)

biotite K(Mg,Fe2+)3(Si3Al)O10(OH,F)2 珪酸塩鉱物

奥多摩の三頭山で拾った石です。

石目当てというわけではなく、普通に山登りに行って、三頭山に登った記念にと、足元にあった何となく惹かれた石を拾いました。泥まみれで、家に帰ってからもずっと置きっぱなしになってたのですが、数か月たってからふと思い立って、洗ってみたところ・・・固まっていた泥が思ったよりも厚く、それをどんどん流れ落としていくと、多くの小さな水晶が姿をあらわして、びっくりしました。

そういえば、現地に三頭山の地質の説明で貫入岩体で石英閃緑岩が云々と書いてあったな、と思い出しました。

奥多摩方面はあまり行ったことがなく(そんなに魅力を感じたことがなかった)、そのあたりの地質に関する知識もほとんどなかったので。。。

ルーペで見てみると、黒い球状のものがたくさんついているのに気づきました。

多分、黒雲母が球状に集合したものではないかと思います。3枚目の写真の右下に、半分に割れて断面が見えているものがあります。その質感が、明らかに雲母にしか見えなかったのでそう考えましたが、どうでしょう。雲母が丸くなっているのではなく、板状の雲母が集合して、まるで牡丹の花のようになっているのが、なかなか趣きがあっていいですね。

いずれにしても、こんな風にきれいな球状に集まった雲母は初めてみますが、そういえば小川山で花びらのように咲いた白雲母のついた石を拾ったことがあります。

ネットで探しても似たようなものは出てこなかったけど(雲母が球状のかたまりになったものはあった)、そんなに珍しいってわけでもないのかな?

雲母ってどこでも見つかるし、あまり注目することはなかったけれど、なかなか奥深いかもしれない。。。