最近のトラックバック

無料ブログはココログ

○埼玉県

2021年7月10日 (土)

灰礬柘榴石(埼玉県秩父市秩父鉱山)

Grossular Ca3Al2(SiO4)3 珪酸塩鉱物

 

Grossular_chichibum_02

Grossular_chichibum_01

Grossular_chichibum_03

 

たまには見栄えのいいものを。

秩父鉱山橋掛沢の灰礬柘榴石です。

ここでは、基本飴色をしたものが多いようですが、3枚目のように透明なものもちらほらと見られます。同所ではベスブ石も産するのですが、柘榴石と色も形も似ていて、正直どっちがどっちか自信ないんですよねぇ。。。ベスブ石のほうがもうちょっと緑が混じった感じの色になるのかな。。。でも灰礬柘榴石といっても、産地によっていろいろな色のものがあるのがややこしいところ(まあ鉱物って他のものもそういうの多いですが)。

他の成分が混じっておらず、理想的な組成、つまりほぼCaAlSiOの3種だけでできたものほど無色透明です。クロムが混じれば緑がかり、マンガンが混じればピンク、1、2枚目のような飴色は、酸化した鉄分による色でしょうかね?

でも、Grossularという名前は、セイヨウスグリ(グーズベリー、ラテン語でgrossularium)という植物の名前に由来します。多分その透明感のある黄緑色の実からきているのだろうと思います(1808年ドイツのヴェルナーによる命名)。ちなみにヴェルナーは1803年にまずこの石にKanelsteinという名前をつけています。意味はシナモンストーン。こちらはシナモンの茶色からきているのでしょう。いろんな色があり得る鉱物を、色から名前を付けるのはどうやらやめたほうがいいみたいですねw

 

橋掛沢は両神山から流れ出る沢ですが、それにしては産地まで特に危険なところがなく行きやすいので、秩父鉱山の中でも人にすすめやすいところです。訪れる人も多いのかな? 結晶も大きくて肉眼、ルーペだけで十分観察できる立派さ。隣の石灰沢と並んで、秩父鉱山の代表的な産地のひとつといえると思います。

両神山は標高1723mとそんなに高いわけでなく、高さだけでいえば秩父の山の中では前衛のひとつでしかないんですが、その山容が麓からよく見えるために、古くからよく知られていたのでしょう(「名山」となるには、麓から格好よく見えることが第一の条件ではないかと思います)。岩場が多い山の例にもれず、やっぱり修験道の道場として栄えていたようです。開山は奈良時代、役小角による・・・ってどこでも名前が出すぎですね>役行者。修験道の地は、大抵役小角が開山した、来山したという話がついてまわります。まったく困った人だw(安倍晴明、日蓮とともに、日本三大呪術ヒーローといえるw)

イザナギ、イザナミ両神を祀るから両神山になったという説や、日本武尊がこの地を通りすぎるのに八日かかったので「八日見(ようかみ)山」と呼ばれるようになったという説、山上に竜頭神社奥社があり竜神山とも呼ばれていたそうで(『世界大百科事典』平凡社)、そこから漢字があてられた説などいろいろあって、面白いですね。いずれにせよ、古代からよく知られた山だったのでしょう。

実は行ってみたいとずっと思いながら、なぜかまだ登ったことがない山のひとつなんですよねぇ。両神山は百名山のひとつになってしまっているので、人の多いところにはあんまり行く気がしない天邪鬼体質のせいもありますw 北の二子山(方解石で有名ですね)や中津川流域側から見える両神山はとても立派で憧れもあるんですが。。。

 

2021年5月23日 (日)

毛鉱(埼玉県秩父市秩父鉱山)

Jamesonite Pb4FeSb6S14 硫化鉱物

 

Jamesonite_chichibum_03

Jamesonite_chichibum_01

Jamesonite_chichibum_02

 

秩父鉱山、大黒の川原で見つけた毛鉱です(すべて1つの石の部分)。あったのは、マンガン鉱などが見つかるところ。大黒でちょっと珍しいものを見つけるのは、ほとんどこのとても狭い範囲内で、ちょうどここに捨てられたズリが特別だったのだろうと思います。大黒川原の右岸斜面は全部ズリでできているようですし、まだまだいろいろなものが埋まっているんでしょうねぇ。川原上の広い駐車スペースも、ズリで平地を広げたような感じに見えます。

毛鉱とブーランジェ鉱は、なかなか肉眼では判別が難しいようですが、特に1枚目のものはサイズがかなり大きく毛というよりはまさに針で、ブーランジェ鉱とは見た感じが全然違うと感じました(詳しくはブーランジェ鉱(山梨県甲州市黄金沢鉱山)を参照のこと)。色も黄鉄鉱のようにちょっと黄色がかっていて、立派です。少なくとも1枚目の写真は、毛鉱と確定していいのではないかと。まあ正確なところはわかりませんけどね。。。

2枚目の写真では、ブーランジェ鉱との違いがよくわからないです。どうやら毛鉱らしいものと同じ石の欠片についていたので毛鉱だろう、といった程度の考え。でも、毛鉱とブーランジェ鉱は共生するので、ブーランジェ鉱の可能性もあります。

あと、3枚目のように、青く見える部分もいくつかあって、とてもきれいです。この青は何に由来するんでしょう。mindat.orgの毛鉱の写真を見ても、いくつか青く輝く写真があります。拡大すると、どうやら基本的に虹色の輝きをもったものが、反射の加減で特に青が強調されているような感じです。どうやら地色というわけではないみたいです。ちなみにブーランジェ鉱のmindat.orgの写真を見ると、やはり青によったものが多く見受けられますね。

どの写真も、まわりはほぼ全部石英(水晶)です。

 

鉱物名は、スコットランドの博物・鉱物学者・ロバート・ジェイムソン(Robert Jameson, 1774-1854)にちなみます。エジンバラ大学出身ですが、ドイツのフライベルク鉱山学校(Bergakademie Freiberg)で、ヴェルナー(Abraham Gottlob Werner, 1749-1817)の下でも学んでいます。

ここでも何度も名前が出てきたヴェルナー。その下で学んだということは、ジェイムソンもやはり岩の水成論の立場に立っていました。この時代のヴェルナーの影響の大きさがわかりますね。

 

2021年3月18日 (木)

マンガン斧石(埼玉県秩父市秩父鉱山)

マンガン斧石 Axinite-(Mn) Ca4Mn2+2Al4[B2Si8O30](OH)2  珪酸塩鉱物

チンゼン斧石 Tinzenite Ca2Mn2+4Al4[B2Si8O30](OH)2  珪酸塩鉱物

 

Axinitemn_chichibum_01

 

前回の鉄斧石から続き、今回はマンガン斧石。秩父鉱山、大黒下の川原産です。

鉄斧石の鉄FeのかわりにマンガンMnが入ったもので、若干肌色がかった感じ。マンガン鉱物に多い赤・ピンク系が若干混じっているってことか。結晶が少しずつズレながら重なって集合しているさまがわかります。結晶面が滑らかなので、きらめきがきれいです。

大黒の川原わきの斜面はどうやらズリでできているようで、さらにその一部の狭い範囲だけでマンガン系の石が多く見られます(ピンクの菱マンガン鉱が目立つ)。このマンガンがらみの石に、いろいろな珍しい鉱物が共存していることが多いようです。マンガン斧石も、その狭い範囲内で見つかります。

同じ石の別の箇所には、色の濃いものもついていました。

 

Axinitemn_chichibum_02

 

表面に赤さびがついているわけではなさそうです。これは、マンガン斧石よりマンガン成分を多く含む、チンゼン斧石ではないかと思うのですが、どうでしょうね。写真を見る限り、こんな色をしていることが多いみたいですが。

マンガン斧石に比べるとかなり珍しいようで、ぐっと産地は減ります。CaのかわりにMnがちょっと増えただけなんですが、こんなに色が変わっちゃうものなんですかね。まあ分析したわけではないので、記事のタイトルは「マンガン斧石」としておくことにします。鉱物の組成というのは連続的なグラデーションで、わずかな差の鉱物の場合、分析なしでは判断できません。色なんてちょっとした差で変わってしまいます。。。

名前は、スイスのチンゼン(Tinzen, Tinizong)という地名に由来します。チンゼンそばのAlpe Parsettensというところで産するらしいですが、この場所がどういうところなのかよく分かりません。Alpeというのは、アルプスの山の名前ではなく、アルプスの中腹の草原地帯のことなのだそうですが、そこに鉱山等があったのか、露頭なのか。。。google mapで検索しても出てきませんね。

 

荒川の上流、奥秩父もみじ湖で、奥秩父の三国山を源流とする支流の中津川が合流します。さらに少し上流、中津川の支流・神流川が合流しますが、その神流川沿いに大黒の鉱山跡があります。地形図にも(廃坑)として表記されている、まさに秩父鉱山の中心地といっていいところですね。中津川はずっと深い渓谷が続きますが、このあたりは川原が若干広がっていて、気持ちのいいところです。

川沿いの崖にいくつか掘ったあとが見られますが、特に大きな坑口が真っ黒い口をあけていて、なかなか不気味な感じです。多分中は深い坑道が延々と続いているんでしょう。自分は洞窟とか苦手なので、鉱山あとにいっても坑道に入ることはほとんどないんですが、そういうのが好きな人たちの記録や写真を見ているとちょっと面白そうだなとも感じますが、感じるだけで入りたくはないですねw ベルヌの『地底探検』みたいなもんですかねぇ。

 

Chichibum_daikoku_01Chichibum_daikoku_02
左:神流川沿いの崖に大きな坑道が。右:大黒付近の沢の様子。

 

2021年3月11日 (木)

鉄斧石(埼玉県秩父市秩父鉱山)

Axinite-(Fe) Ca4Fe2+2Al4[B2Si8O30](OH)2 珪酸塩鉱物

 

Axinitefe_chichibum_01

Axinitefe_chichibum_02

 

秩父鉱山・六助沢で採集した、鉄斧石です。斧の形が明確にわかる結晶ではありませんが、うす紫がとてもきれいな結晶。周囲の緑の小さな結晶は、緑簾石です。

名前は見てわかる通り、まさに結晶の形が斧のようだということで、1797年、フランスの鉱物(結晶)学者・ルネ=ジュスト・アユイ(René Just Haüy:1743~1822年)によって、ギリシャ語のαξίνα(axina:斧)を語源として命名されました。時代的にちょうどフランス革命の真っただ中で生きた人ですね。聖職者でもあった彼は実際、聖職者民事基本法に反発して投獄されたりしています。

それまでは鉄電気石の一種と考えられており、さまざまな人によって、いろいろな名前をつけられていたようです。その名前を連ねてみると。。。Espéce de Schorl、Schorl violet、Schorl transparent lenticulaire、Thumerstein、Thumite、Yanolite、Glasschörl、axinit、ferroaxinite。。。一番シンプルで短いaxinitになってよかったな、と(ちなみに「Schorl」は鉄電気石のことです)。

現在ではその成分の違いによって、鉄斧石(Fe)、苦土斧石(Mg)、マンガン斧石(Mn)、チンゼン斧石(Mnが多い)の4種類に分けられ、斧石グループを作っています(2007年より)。鉄斧石がもっとも産出が多いらしいですが、自分にとってはこれが初めて見つけた鉄斧石です。スカルンなどでは割と出やすいようです。

 

狭い範囲にいくつものスポットがある秩父鉱山ですが、各ポイントで微妙に出るものが違っていて、大変楽しいです。しかもそれぞれの結晶が立派で種類も多く、何度行ってもあきないで時間を忘れてしまいます。六助沢は、普通の鉱石のほか、マンガン、輝安鉱などのアンチモン鉱物なども産出するところで、もうちょっといろいろ探してみたいですね。まだそれほど上まで行ったことがないので。

もともと六助鉱山では金・銀・鉛などを採っていたようですが、日窒鉱業開発(現・ニッチツ)に買収されてからは、肥料の重要な原料の硫酸を目的に、閃亜鉛鉱が採掘されていたようです。その経緯については「樵路巡遊」というサイトの「六助道【廃径】が詳しいですので、興味ある方はぜひ。

石目当ての人もよく見かけるところですが、釣り人も割と見かけます。こんな鉱山の川で魚とれるのか分かりませんが、どうなんでしょう、釣れたとしても、あんまり食べたくはないような気もしますけど。。。以前も釣りの人と会ったら、「割れた石がたくさんあるけどこれはなんだろう?」という反応でした。ですよねー、お互い自分の興味あることはよく知ってるけれど、そうでなければ全然知らないものですよね。

自分も川や海によく行っていたにも関わらず、これまで釣りだけはなぜか全然やらないできてしまいました(唯一冬の赤城山でワカサギ釣りだけはしたことがあるが、一匹も釣れずw)。今となっては石釣りに忙しくて、とても手が回りません。

 

2021年1月25日 (月)

灰鉄輝石(埼玉県秩父市秩父鉱山)

Hedenbergite CaFe2+Si2O6 珪酸塩鉱物

 

Hedenbergite_chichibum_01

 

秩父鉱山の山鳥露頭の川原にあったもの。灰鉄輝石の針状結晶の集合だと思いますが、どうでしょうか。針状の細かい結晶を拡大すると、結構透明感がある感じです。灰鉄輝石というと、もうちょっと緑っぽいイメージがありますけど、鉱物って同じ種類でもいろんな色合いがあって、判断しずらいですよねぇ。

自分の大ざっぱな感覚では、スカルンで放射状の集合があったら、緑系のものであれば灰鉄輝石、白ければ珪灰石という感じ。山鳥の露頭近くには灰鉄輝石が多いらしいので、間違いないと思うんですが。。。

大抵の鉱物図鑑って肉眼で見えるくらい大きくて立派な標本の写真しか載ってないので、こういう顕微鏡レベルの小さなものの判断基準にはなかなかならない気がします。せめて海外のすごいものの写真でなく、国内の標本の写真を使ってくれればいいんですけど。。。保育社の豊遙秋・青木正博著『検索入門 鉱物・岩石』という本は、日本で採集できる(立派な結晶ではない)地味な写真を使っていて、しかも石の成因別になっているので、結構参考になります。こういう類の顕微鏡写真主体のものがあれば一番いいんだけど(売れなさそうw)。

(ところでキンドルの鉱物本をいくつか持ってるんですが、キンドル版ってなぜ文字検索できないのだろう。データ版である意味がまったくないと思うのだけれど。持って歩くのが楽なのはいいんだけど、いいところといったらそれくらいで、検索できないデータって買う価値ないよなあといつも思います)

 

Hedenbergite_chichibum_02

Hedenbergite_chichibum_03

 

こちらは、同じ秩父鉱山の大黒下にあったもの。川原でなく、その上の広い駐車スペース脇の石山の中に落ちてたもの。あの辺の斜面って、大黒抗のズリでできてるみたいですが、そこを均して平地にした時の石の山だと思います。これも灰鉄輝石だろうと思いますが、どうなんだろう。

自分の少ない経験の中でいうと、最初見た時、金鶏金山にたくさんあった苦土電気石と見かけそっくりじゃん、と思った(苦土電気石(長野県茅野市金鶏金山)秩父鉱山でも苦土電気石は出るみたいだけど、金鶏金山ではクロムが含まれているから緑がかってるのであって、そうでなければこんな色ではないみたいだし、とすれば、灰鉄輝石しかないかなぁ、と。

多分もっといろんな博物館等で現物を見ればいいんだろうけど、そういうところに行く時間があったら現場に行きたいと思ってしまうのがいけないんだろうなあ。きれいな鉱物をコレクションしたいわけでなく、「探す」ということが好きなんですね。だから、目的の鉱物が見つからなくても、まあそれはそれで仕方ない。本当は、名前のはっきりした実物を実際に見ないと、覚えられないとは思うんですが。自分はミネラルショーみたいなところは行ったことはないし、行く気もないのです。それで知識がなかなか増えなくても、まるで見当違いの間違ったことを書いてしまっても、それは仕方ない、実際、よく分からないのだからw

 

ごくまれに、こういうズリなどで、別の場所で採れた石を捨てていく人がいるらしいですね。正直、意味がわからない。。。河津鉱山のズリとかに石捨て場みたいになった場所が昔あったらしいですし、ここ秩父でも出るはずのないものが落ちていたことがあったらしい。

重機を持ち出したとかいう話や、多人数で端から端まで一気に掘り起こしたとか。。。大きな露頭の岩が一夜にして消えた、などという話もありますね。自分も、別の場所ですが、大きなつるはしやスコップを使って掘っている人を見かけたことがありますが、これはアウトかな、と。こうなると採集とはいえずもはや採掘ではないかと。多分売るために掘っているのではないかと思いますが、こういうものを手にしてしまう可能性が0ではない以上、どんな場合でも、お金で鉱物を買うことは一切しないと個人的に決めています(当然売る、交換する、などもなし)。売り買いが悪いといっているわけではありません。現在ではどんなことも経済と無縁ではいられない。これは自分だけの決め事で、コレクションが目的ではない自分だからこそできることですし、他の人がどう考え行動するかはその人の問題で、口を出す気はないのだ(ただ、違う産地の石を違うところに捨てるのはやめてくれとは言いたい)。

まあこの話題は書き出すと過激な文面に走りやすいのでもうやめますが、この機会に自分のやり方を明記しておいてもいいかな、と思い、書いておきますね。

 

2020年12月22日 (火)

孔雀石(埼玉県秩父市秩父鉱山)

Malachite Cu2(CO3)(OH)2 炭酸塩鉱物等

 

Malachite_chichibum_01

Malachite_chichibum_03

 

秩父鉱山(渦の沢)の孔雀石です。特に面白いものを選んで。秩父鉱山とひとくちで言っても、その範囲はかなり広く、他のポイントではあまり見かけないのですが、渦の沢では孔雀石がついた石がちらほらと見られます。ここは中津川沿いでバス停のあるもっとも奥、森林科学館のすぐそばなので、秩父鉱山で一番行きやすいポイントのひとつですが、見つかる鉱物種は割と限られるみたいです。緑簾石や閃亜鉛鉱、磁鉄鉱などは、結構立派なものがありますね。

1枚目は、緑簾石の結晶が絹糸状の孔雀石に包まれています。周りの黒いのは閃亜鉛鉱かな?

あんまり珍しいものはないといいつつも、さすが秩父鉱山、もし他の場所でこれが見つかったらすごく嬉しいところですが、秩父では、まあこんなもんかな、ですんでしまう。。。

2枚目は丸く成長した孔雀石。層状に成長したさまがよく見えます。

海外では、建築建材として使われるくらいに大きな塊が採掘されますが、そういうのは見ても単なる緑の岩って感じで、いまいちつまらない。このくらい小さいほうがありがたみが増すというものですw モース硬度は4弱程度でそんなに硬いものではないので、「宝石」ではありませんが、装飾品、顔料として広く使われてきました。割とどこでもあるし、珍しいものでもないのですが、やっぱりこの緑色を見つけると、ついつい手にとってしまいます。

古代エジプトの時代から研磨して装飾品にしたりしていたそうですが、自分が孔雀石で一番きれいだと思うのは絹糸状のきらめきであって、磨いてしまったら台無しなんじゃないかとw やっぱり原石のままが一番好きかなぁ。

マラカイトの語源はギリシャ語でμαλαχή 、アオイ科の植物のことらしいです。葉っぱの色にちなんでいるとのことですが、検索して写真を見ても、まあ普通に植物の緑色としかいいようがないですねw 実物を見たわけではないので何ともいえませんが、何か他の植物とは違って孔雀石との共通点があったのでしょうか。。。

孔雀石には時に目玉のような形象が見られます(2枚目の写真も、その系統ですかね)。こういうものは魔除け、邪眼よけとして使われていたかもしれないそうですが、納得のいく話です。モノノケの視線を逸らす魔除けは、相手を見返して視線をさける目玉であったり、視線を一定させないための籠目だったりします。中国や日本の九字、西洋から日本まで見られる五芒星(日本の陰陽道では晴明九字ともいう)なども、その一系統です。北陸などで悪い日に家先に網模様の籠をつるしたりするのもこれで、どうもこの手の魔除け、邪眼よけというのは世界共通なのが面白いですね。

そう考えると、研磨して装飾品にしていたというのは、別に美しさを求めていただけでなく、模様を強調して、魔除けとしての効果を求めたものなのかもしれません(そうだとしたら台無しとかいってすいませんw)。自然に産する不思議な緑の目玉など、魔除けにぴったりな感じです。

まあ邪眼の力をなめるなよってことでw

 

2020年11月12日 (木)

磁鉄鉱(埼玉県秩父市秩父鉱山)

Magnetite Fe2+Fe3+2O4 酸化鉱物

 

Magnetite_chichibum_01

Magnetite_chichibum_02

 

秩父鉱山は橋掛沢の、きれいな十二面体の磁鉄鉱です。

磁鉄鉱自体はもうどこにでもある鉱物ですが、黄鉄鉱と同じで、ありふれているからこそそのきれいな結晶が際立っていると思います。大抵はかたまり状か八面体の結晶ですが、肉眼で結晶という不思議を見ることができるのはやはり魅力的ですね。磁石を近づけると、すごい勢いで吸いつきます。

黄鉄鉱はあまり役にたちませんが、磁鉄鉱(の風化した砂鉄)は、たたら製鉄の原材料として、日本ではもっとも重要な鉱物のひとつでした。ちなみに「たたら」とは元々ふいごのことですが、次第に砂鉄と木炭を熱して鉄の原料を作る際の炉、さらには製鉄場のこともたたらといわれるようになりました。語源は、サンスクリット語の「熱」を意味するタータラ、ダッタン語の「猛火」を意味するタタトルからきているなどといろいろな説がありますが、いずれにせよインド・中央アジアあたりから伝わったもののようです。

磁鉄鉱といえば、自然の鉱物の中で最も磁気が強いものですが、それでも磁石といえるほどの強さはありません。さらに磁性が強くなって自ら砂鉄などを引き寄せるようになったものを天然磁石・ロードストーン(Lodestone、Loadstone)といいます。落雷の電流によって生成されるともいわれていますし、または磁鉄鉱が酸化・風化によって磁赤鉄鉱(Maghemite)となると、天然磁石になります。

ロードは道とか進路という意味で、リード(lead)と同じ語源を持ちます。人を導いてくれる羅針盤などからついた名前でしょう。

 

Magnetiteの語源ははっきりとはしていないのですが、ひとつは、古代ギリシャ・テッサリアのマグネシア(Μαγνησία)で磁鉄鉱がとれたので名前がついたという説があります(マグネテス人という人々が住んでいたらしい)。ただ、マグネシアには滑石の鉱山もあり、滑石からできた白い粉をマグネシアと呼んだ→マグネシウムの由来、という話もあり、実にややこしいことになっています。ここでは磁鉄鉱、滑石だけでなく、マンガンなども産出したようですね。さらに、ギリシャのマグネシアの人々が小アジアに移住し、現在のトルコにもマグネシアという地名が2か所あります。そして、そのうちの1か所からも磁鉄鉱は産出したようです。質が悪くあまりくっつかないという話が残っているので、多分ロードストーンではなくまさに磁鉄鉱だったんですね。

もうひとつ、プリニウスの「博物誌」には、ギリシャの詩人ニカンドロスによると、マグネスという羊飼いが放牧をしている時、偶然発見したので、その名前から命名されたという話が載っています。

。。。まあとにかくあのあたりが語源ってことですね(あやふや)。

羅針盤が作られたのは中国ですが(11世紀、宋の時代)、磁石は紀元前から「慈石」として知られていました。どうやら石が引き合うさまを、親子の慈しみになぞらえたようです。現在の中国河北省には磁県という地名がありますが、これは慈石が採れた慈石山という山があり、そこから慈州→磁州→磁県と変わってきたらしいです。

 

硫黄と同様、世界の磁鉄鉱史もかなり面白そうですね。多分調べれば調べるだけいろいろと出てきそうですが、きりがないので、このへんにしときます。

 

2020年9月 8日 (火)

赤鉄鉱?(埼玉県秩父市秩父鉱山)

Hematite Fe2O3 酸化鉱物

 

00_chichibumhashikake_01

00_chichibumhashikake_02

00_chichibumhashikake_03

 

秩父鉱山・橋掛沢(奥のスカルン露頭のあたり)で採集した石です。

うす青い水晶がとてもきれいな石です。

そのそばにある薄いのは最初は特に気にせず、ルーペで見ていた時は雲母だろうと思っていたのですが、顕微鏡で見てみたら、なんだか違うようなのに気づきました。

赤銅色のすごく薄い板2枚で、銀色の中身を挟み込んだような構造になっていますが、これは一体なんでしょう?

中身と外側は全然別のもののように見えるので、2つの鉱物の組み合わせということになります。薄焼きの煎餅でクリームをはさんだ、神戸のゴーフルっていうお菓子がありますが、そんな感じ。あるいは、オランダのストロープワーフルとか。複数の鉱物で形成された、一定の形状の構造、こういうのを指す言葉が、多分あるに違いないと思うのですが(きっとありますよねぇ?)、調べきれませんでした。それとも、名前がつくような決まった現象というわけではない?

または、全然違うものに見えるけれど、実は同じもので、外側が酸化したりして変化しているだけ?

3枚目の写真は、中身の銀色の部分が露出した状態だと思います。

ネット等で探してみても似たようなものは見つかりませんでしたが、外側の部分のみでいえば、若干酸化して赤味のついた赤鉄鉱の板状結晶のように見えます。雲母状の集合のことを雲母鉄鉱、板状結晶を鏡鉄鉱といったりします。時に雲母状結晶が花びらのように重なって、アイアンローズといわれたりもしますね。秩父鉱山の産出リストにも赤鉄鉱は出ているし、まあ間違いないのではないか。。。?(自信があるわけではない)

中身の銀色の部分も、やはり単体で見れば、赤鉄鉱のようにも見えてきます。

ということで、とりあえず?付きの赤鉄鉱ということでタイトルをつけることにしました。

 

2020年6月 6日 (土)

クリントン石(埼玉県秩父市秩父鉱山)

Clintonite CaAlMg2(SiAl3O10)(OH)2 珪酸塩鉱物

 

Clintonite_chichibumhashikake_01

Clintonite_chichibumhashikake_02

 

雲母の一種、クリントン石だと思います。秩父鉱山産。脆雲母に分類されます。

ネット等で見るのは石灰沢産出のものばかりで、デジタル鉱物図鑑でも産地は秩父では石灰沢しか書いていないのですが、これは隣の橋掛沢で拾った石についていました。地質図を見ると、同じスカルンの脈が石灰沢と橋掛沢を横切っているので、そこから出たものですかね(片山信夫他「秩父鉱山橋掛沢、石灰沢及び出会附近のスカルン鉱物の産状」『鉱物学雑誌』第2巻第1号、1954年)。ちなみに、日本で最初に見つかったのは、秩父の道伸窪だそうです。昔はザンソフィライト(Xanthophyllite)といわれていました(阿部英一「埼玉県秩父鉱山産ザンソフィライト」『地質学雑誌』第51巻第607号、昭和19年)。

白地に青緑の結晶が映えて、とてもきれいです。

白い部分は大体方解石だと思うので、シュウ酸か希塩酸につけて溶かせば、隠れているものが現われてきそうな気もしますが、まあこのままでも十分かと思います。

ちなみに、石灰沢でも、クリントン石らしいものは拾いました。

 

Clintonite_chichibumsekkai_01

 

写真ではあまり出ていないけれど、スピネルがついていないか探して、石のほんのりと青緑に染まった部分を見ていて発見しました(スピネルはなかったw)。

クリントンというと、米大統領だったビル・クリントンのことを思い出すと思いますが、もちろん関係ありません。ニューヨーク州知事などを務めたアメリカの政治家・博物学者のデウィット・クリントン(DeWitt Clinton、1769-1828)にちなんでつけられた名前です。石の原産地はニューヨーク州オレンジ・カントリー。デウィット・クリントンはニューヨークのエリー運河を推し進めた人物だそうです。もしかしたら、原産地と運河が何か関係あるとか、そういうことでしょうかね?

いずれにせよ、石に昔の政治家の名前をつけるとか、自分にはちょっと分かりかねる趣味ですw

 

日本ではそういうのはあまりやらない気がします。日本以外の国では、軍艦(艦艇)の名前は大体過去の偉人とか軍人の名前ですが、日本では人の名前を一切つけませんでした(日本とイギリスはちょっとおかしいw)、例外ありまくりですが、大体戦艦は日本の旧国名(長門とか武蔵とか)、空母は瑞獣などから(瑞鳳とか飛龍とか)、重巡洋艦は山の名前(妙高とか鳥海とか)、軽巡洋艦は川(阿武隈とか酒匂とか)、駆逐艦は和風月名、自然現象や樹木名(睦月とか、〇風、〇波、〇雨とか)、海防艦は島(八丈とか福江とか)からきています。一説によると、明治天皇が、「沈んだら申し訳ない」と言ったとか言わないとか。。。

おかげで、万葉集などに駆逐艦の名前が散見されるようになりました。風流でいいですね。現代の海上自衛隊の護衛艦も、これらの船名を受け継いでいます。個人的には、最近流行りの「グローバル・スタンダード」とかいって、浅はかに人名をつけたりしないでほしいですねw

 

2020年4月29日 (水)

黄鉄鉱(埼玉県秩父市秩父鉱山)

Pyrite FeS2 硫化鉱物

 

Pyrite_chichibum

 

全体が見えないのでよく分からないけれど、黄鉄鉱の双晶ではないかと思います。

角がシャープで複雑な幾何学的結晶は、見ていてテンションあがります。

ネットで黄鉄鉱の双晶を調べたら、ドイツの十字形に貫入双晶した黄鉄鉱が有名らしいです(鉱物たちの庭)。何となく似た雰囲気ですね。

双晶というのは、複数の同じ種類の単結晶が、原子配列に則して結合した状態で成長したものです。鉱物によって、いろんな結合の仕方があります。鉱物の種類ごとに原子配列は決まっているのだから、その結合の角度も当然厳密に決まっていて、たとえば水晶の日本式双晶だと、必ず84度33分の角度で接しています。二つの結晶がひっついたまま、それぞれ個別に成長したものは山ほどありますが、それとはまったく別の現象です。

こういうのは結晶学の分野になるのでしょうけど、自分はあまり詳しくありません。

鉱物趣味を持つようになってから、無機化学は勉強しなおしているのですが、結晶学まではなかなか手が出せません。以前からの地質学への興味から鉱物に入った自分にとっては、結晶学というのはちょっと異質で難しすぎ。。。

 

この石は、秩父鉱山のとあるポイントで拾ったものです。

急斜面の崩れかけた廃道をたどって(自分の一番得意な分野なので、自然と足が向かったw)、大きな黄鉄鉱や黄銅鉱の自形結晶がごろごろしている夢のような産地を見つけました。坑口らしきものもありました。多分、かなり古い坑道か、試掘の跡ではないかと思います(他の坑口のように、きちんと廃坑処理されていない)。鉱物の多さから見て、多分あまり知られていないところなのかも?(だから場所ははっきりと書かないよw)。

Img_0804

 

より以前の記事一覧