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▽燐酸塩鉱物等

2021年3月30日 (火)

燐灰石(山梨県道志村道志川流域)

Apatite (Ca,Ba,Pb,Sr,et9.)5(PO4,CO3)3(F,Cl,OH) 燐酸塩鉱物等

 

Apatite_doshi_01

 

道志川流域、丹沢側のペグマタイトで採集したものです(ちなみに今回の写真はすべて顕微鏡写真ではありません)。長石、石英(水晶)、緑泥石の中に、六角柱状の結晶が見えます。

最初見つけた時は、とてもシャープな結晶でおおっと思ったのですが、特に深く考えずまあ長石だろうと。。。今回採集したポイントは長石(斜長石?)が非常に豊富だったので。現地ではルーペしかないし、探すのに夢中で、そんなによく観察できないですよね。ね?

でも家に帰ってから見ていて、何となく表面の雰囲気も違うし(真っ白ではない)、ちょっと中身は緑が入ってるし、六角柱状だし、長石じゃないんじゃないの、なんだろうと思っていたのです。

試しにUV(長波:365nm)を当ててみたらびっくり、きれいな強いオレンジ色で光りました。

 

Apatite_doshi_02

 

ということで、いろいろ考えて、燐灰石ではないかと思ったのですがどうでしょうか。今まで燐灰石を拾ってきちんと見たことがないので不安ではありますが、多分当たっているのではないかと。(ところで薄紫に光っているところがあちこちにありますが、長石の蛍光でしょうか。あるいは通常光が混じっていてそれが照らしているだけ?)

燐灰石は、フッ素燐灰石、水酸燐灰石、塩素燐灰石の3種類ありますが、どれかは分かりません。一番ありふれたフッ素燐灰石が可能性としてはもっとも高いのかもしれません。ちなみに同じ丹沢の玄倉・水晶沢で産出することで有名だったのは、塩素燐灰石です。道志のポイントも水晶沢も、同じ丹沢中央部のトーナル岩地帯ですが、それだけでは決められませんね。水晶沢のある同角の頭付近は、銅を中心とした硫化鉱物も出るし、モリブデン鉱もあるらしい特殊なところですし。

でも、道志のペグマタイトで燐灰石が出るという話は聞いたことがなかったですね。燐灰石は「ほぼあらゆる産状で出る最もふつうのリン酸塩鉱物」(松原聰他『図説 鉱物の博物学』秀和システム、2016年)だそうですが。。。

 

ちょっと久々の丹沢でしたが、やっぱりここは家に帰ってきたみたいに、心が落ち着きます。東、西、北とちょっと雰囲気は違いますが、他の山域のような「よそ行き」という感じがなく、人の踏み込んだ気配のない沢とかでもなんとなく安心できるんですよね。

子どものころ、まれに山の中で周囲から強い視線を感じることがありましたが、それが山の神さまだったと知ったのは、大人になって佐藤芝明『丹沢・桂秋山域の山の神々』でそっくり同じ経験が書かれているのを読んでからです。自分を超えた存在を感じると、それはどうも「恐怖」という感情の形をとるしかないようで、非常に恐ろしい経験なのですが、それが敵意ではないことは分かる。

ヨーロッパでもそういうことはあるらしく、日本の山の神さまに対応するのは、「パン(牧神)」です。オーストリアの作曲家・マーラーの妻が書いた伝記に、森の中の作曲小屋から蒼い顔で逃げてきたマーラーが、「パンに見つめられた」と言ったという話が出てきたと記憶しますが、それも同じ経験だろうと思います。

自分は宗教は敬して遠ざけるタイプの人間で霊感などもゼロですが、実のところ、今でも丹沢で感じることはたまーにあるんですよね。何だかよくわからないけれど、見られてる感がある。自分は赤ん坊のころから丹沢に連れて行かれていたので、向こうもちょっとは気にしてるんじゃないか、と思ったりします(子どものころの話はマンガンパンペリー石の項でも書きましたが)。

こんなことを書くと変なやつだと思われるかもしれませんが、まあ別にいいやw こういうのは、経験した人と言葉でしか知らない人では、理解しあえることはないと思っているので。。。人が五感でしか外の世界を認識しえない以上、もしそれが錯覚や幻聴であったとしても、それはその人にとっては真の経験であることに違いはなく、旅行したり本を読んだり音楽を聴いたりするのと同じく、その人の世界を形作るものだと思います。

 

Doshi_01

道志のペグマタイトの沢。

 

2020年12月12日 (土)

洋紅石(山梨県甲州市黄金沢鉱山)※

Carminite PbFe3+2(AsO4)2(OH)2 燐酸塩鉱物等

 

Carminite_koganezawam_02

Carminite_koganezawam_03

 

竹森・黄金沢鉱山の洋紅石です。

名前の由来にもなったカーマイン・レッド、赤褐色がとてもきれいな砒素、鉛系の二次鉱物ですが、黄金沢鉱山の石は色とりどりで、結晶も非常に小さいし稀少なので、見つけるのはなかなか大変です。最初上のズリのことを知らなかったこともあったけれど、4度目の訪問の際にようやく見つけました。

亀裂の奥の方には放射状の結晶群がありそうですが、怖いので割れませんねw

この鉱物があるのはごく狭い範囲のズリで、転がる石もほとんどが小さく割られていて、これまでずいぶん多くの人が訪れたのだなとわかります。その小さな石をさらに細かく割って探します。こういうちまちました採集も、それはそれで楽しいものです。

 

洋紅石の和名もカーマイン・レッドからの直訳ですが、西洋から伝わった紅ということですね。

カーマイン(carmine)の語源はラテン語のカルミヌス(Carminus)で、さらに辿ればアラビア語のキルミツ(qirmiz: قرمز))に由来するそうです。クリムゾンの語源も同じキルミツ(クリムゾンといえば、King Crimson→「レッド」と、やっぱり赤系統で連想が広がります。「レッド」は、個人的ロック名盤四天王のうちの1枚。ちなみにロック名盤四天王は30枚ほどありますw)。キルミツは虫(虫が作る)という意味で、これは紅色をカイガラムシから抽出していたためです。

さらにキルミツの語源を辿ると、サンスクリット語の कृमिज (kṛmi-ja)だそうです。この言葉の変遷を見ていると、古代からの文明の変遷が見えてくるようです。この言葉はそこから東のほうには伝わらなかったのでしょうか。そこから東は紅は植物からとる文化圏だったとか?

 

音楽でいうと、ギターという楽器のもとはリュートですが、そのさらにもとは、西アジアのウード、さらに辿ると、メソポタミア時代のバルバットという楽器に行き当たるのですが、これが東のほうに伝わっていくと、中国の琵琶、そして日本の琵琶にまでつながってくる。それぞれ伝わった先でその地域に適応して進化を遂げていくので、かなり錯綜としているのですが、琵琶とギターがつながっているのはすごいことですね。大抵は進化したものだけが残って、古いものは消えてしまうのですが、日本では多分一番古い雅楽の楽琵琶、そこから派生した平家、薩摩、筑前、五弦などの琵琶すべてが残ってるのが不思議。正倉院のラクダの絵がついている螺鈿紫檀琵琶など、まさに古代のロマンのかたまりみたいなものです。

こういうギター型の弦楽器というのは、ネックが長いもの、短いものや、ヘッドがまっすぐなもの、曲がっているものといったように色々あって、どの系統とか簡単に判断できません(インドのシタール・ヴィーナとか、ギリシャのブズーキなどのネックが長い弦楽器は別系統なのか? とかそういうこと)。調弦の仕方なども、楽器の使用法で変わってしまいます(ブズーキは、ギリシャの伝統的な調弦だとADADだが、現代的な調弦だとギターのように全部4度の関係であわせる。これは、演奏する音楽そのものがモノフォニックか、ポリフォニックかという違いで、旋律楽器か、和声楽器か、というふうに使用法が変わってくるためだと思います)。楽器は伝わっても、音は伝わりにくいということもあります。ものだけでなく、人が移動しなければならないし、音楽が伝わったとしても、それがいまいち趣味に合わなければ、あっという間に忘れられてしまいますからね。

何か鉱物というか音楽の話になってしまいましたが、これは自分が影響を受けた人四天王のひとりが、比較音楽の小泉文夫氏だからです(ちなみに影響を受けた人四天王は30人ほどいますw) 。

 

言葉とか、楽器(音楽)を見ていくと、古代から世界はきちんとつながっていたのだなぁと実感します。そして、地域ごとの差・違いこそが、ものごとを動かす原動力なのだなとも感じます。文化の熱力学ですねw

 


2021/1/13追記

ようやく洋紅石の満足できる標本を見つけました。かなり広い範囲で球状集合が見られます。小さいけれど、ルーペで見ても、その美しさはちょっと特別ですね。あらゆる鉱物の中でも、美しさという点で、一、二を争うのではないでしょうか。真っ赤なところと、ちょっと色が薄目のところがあるのですが、どちらもいいなあ。

小さくて明瞭に撮影できないのが残念。追加1枚目の青い部分は、スコロド石だと思います。

 

Carminite_koganezawam_06

Carminite_koganezawam_05

2020年11月19日 (木)

スコロド石(長野県茅野市向谷鉱山)

Scorodite Fe3+(AsO4)・2H2O 燐酸塩鉱物等

 

Scorodite_mukaidanim_01

 

細かい硫砒鉄鉱の間の隙間に、青白い半透明の球状の鉱物が見られました。拡大すると、非常に小さな粒々の集合のように見えます。これはスコロド石ではないかと思いますがどうでしょうか。淡い青色が魅力的です。

スコロド石は鉱山のズリなどで見られることの多い砒素の二次鉱物です。鉱山では硫砒鉄鉱は邪魔ものなので、ズリによく捨てられます。その集められた硫砒鉄鉱が風雨にさらされ酸化すると、砒素の部分が抜け、その砒素でスコロド石が生成されることが多いといいます。また、温泉水からもできます。

微小成分によって、青から緑を中心に、黄から褐色、紫などのさまざまな色になります。まれにきれいな柱状、両錘状の結晶になることもありますが、土状や塊、双晶して擬六面体・八面体などになったり、いろいろな形状をとります。こういうのはほんとに困りますね。上の写真のものは、とても小さな結晶が球状にまとまった姿だと思います。硫砒鉄鉱はいろいろなところで見られ、硫砒鉄鉱のあるところならスコロド石は大体あるそうですので、そんなに珍しいものではないのですが、いろいろな形、色、産状があるのでわかりづらく、そんなに意識することがないですね。大きくきれいな結晶なんてそうそうあるもんじゃないですし。

語源はギリシャ語のスコロドン(σκοροδον, skorodon)、ニンニクのことです。和名はそこから葱臭石(そうしゅうせき)。叩いたり、加熱すると、ニンニクやニラのような匂いがすることからつけられました。匂いが語源の石はスコロド石くらいじゃないでしょうか。まあ中には食べられる鉱物だってありますしね。。。(塩とか氷だって鉱物)

砒素を含む鉱石を叩き割るとこの匂いはよくするので、鉱物を探す人にはおなじみだと思います。実際、向谷鉱山で叩いている時、よくこの匂いがしました。山梨の黄金沢、鈴庫、本沢鉱山などでも、よくかぐ匂いです。こういう時は硫砒鉄鉱かスコロド石がついているのでしょうが、スコロド石は上に書いたように一定した姿、色ではないので、よく分からないんですよね。。。

その毒性から、硫砒鉄鉱と一緒に、殺鼠剤や殺虫剤の原料として使われていました。 砒素といえばカレー、もしかしたら砒素カレーはニンニク風味がついてたのかなどとつい考えてしまったのは、クラスのみんなには内緒だよっ☆

 

2020年10月25日 (日)

ヒンスダル石?(山梨県甲州市黄金沢鉱山)

Hinsdalite PbAl3(SO4)(PO4)(OH)6 燐酸塩鉱物等

 

Hinsdalite_koganezawam_01

Hinsdalite_koganezawam_03

 

最初は藻の類かと思いました。次に、ここではよく見られるビューダン石が変な形で集まったのかと思っていたのですが、ビューダン石で検索していて、黄色い管状のHinsdaliteの写真を見つけました(ヒンスダル石はビューダン石の仲間)。はじめて聞く名前だったので、Hinsdaliteで検索していくと、今度は円形の黄色い中心核が白で縁どられた写真も出てきました。どちらの写真も、これと似ています。こちらの写真は解像度が低いので、詳細はよく見えませんが。。。他に類似の鉱物はまったく見つけられませんでしたので、ヒンスダル石?として掲載することにしました。

日本では、北海道の小別沢鉱山、秋田の亀山盛鉱山、それに島根の銅ヶ丸鉱山くらいでしか出ていないようなのですが、どうなんでしょう。黄金沢鉱山で出ても、まあおかしくないような気もしますが。。。(銅ヶ丸鉱山は江の川にあります。昔広島から河口の江津までカヤックでツーリングしたことがあって、懐かしく思い出しました)

珍しいのは、ポロニウム(Po)を含んでいるからでしょうか。天然のポロニウムは、非常に微量しか存在していないといいます。ウラン系の鉱物にもPoが含まれていて、放射性元素です。緑鉛鉱にも含まれていますね。

ネット上でもそれほど情報がないのですが、「鉱物たちの庭」尾去沢石の項目に、次のような記述がありました。

「…(尾去沢石は)産出は珍しくないが、一般に粉末状。秋田県亀山盛鉱山のものは、緑鉛鉱→ヒンスダル石→尾去沢石+ビーバー石の順で風化生成したとみられ、ビーバー石と累帯構造をなし、顕微鏡的に菱面体結晶を示すものがあるという。尾去沢石は…「日本の新鉱物」には、稀に管状の形態を示すとある。」(カッコ内引用者)

尾去沢石が稀に示すという管状の形態、もしかしたら、今回のヒンスダル石のような形態のことでしょうか。

また、松原聰・松山文彦「岐阜県遠ケ根鉱山産セグニット石」にも、以下のような記述がありました。

「二次鉱物の緑鉛鉱からヒンスダル石が生成され,ビーバー石―尾去沢石固溶体の形成に至るプロセス,また鉛ゴム石からヒンスダル石へのプロセスを確認している(松原ら,1997年岩鉱学会講演準備中)(以下略)」(松原・松山「岐阜県遠ケ根鉱山産セグニット石」鉱物学雑誌、第26巻第4号、1997年)

鉛ゴム石、また知らない名前が出てきた。。。検索してみると、青い緑鉛鉱といったような形態をしている鉱物です。結晶が長く伸び、六角形が丸みを帯びたような写真もあって、ちょっとヒンスダル石に似た感じのものもありました。

黄金沢鉱山で緑鉛鉱は出るという話は聞きませんが、緑鉛鉱のPo4がAsO4になるとミメット鉱になります(Asは砒素)。

。。。でもまあこういう難しい話は詳しくないのだから、あまり首を突っ込まない方がよいですねw 専門の人に任せておきましょう。

ただ、こういった二次鉱物、三次鉱物が出る可能性もあると覚えておけば、訳の分からないものを見つけたときに、それが何なのか、アタリをつける助けになると考えて、ちょっと頭の隅に置いておけばいいかと思います。

この石のおかげで、また新しい鉱物の名前と見かけを覚えることができたわけだし。このあたりの鉱物は、よくある鉱物図鑑のような本にはほぼ載っていないものばかりですからね。

 

2020年8月 4日 (火)

毒鉄鉱(山梨県甲州市黄金沢鉱山)※

Pharmacosiderite KFe3+4(AsO4)3(OH)4・6-7H2O 燐酸塩鉱物等

 

Pharmacosiderite_koganezawam_01

Pharmacosiderite_koganezawam_02

 

写真の真ん中、三角山のまわりの濃い黄色が毒鉄鉱だと思います。山の付け根の真ん中あたりに、立方体の結晶が1個見えます。これで、気づくことができました。

角度を変えて見ると、近くにいくつか正方形のきらめきが見られますが、何しろえらくちっちゃいので、写真にはうまく撮れませんでした。今のところ、これが精いっぱい。ルーペでも確認はほぼ無理で、顕微鏡でようやく何とか。。。という小ささです。洋紅石を探して、小分けにした石のすみずみを見まわしていたおかげで、気づきました。

色的には、ここで割とよく見られるビューダン石と似ているのですが(この同じ石にもついていました)、ビューダン石のほうがもうちょっと鮮やかな黄色かなあ。。。という感じ(あやふやw)。

毒鉄鉱の立方体の結晶は憧れていたので、まさかここ(黄金沢鉱山の上のズリ)で見つけられるとは思わず、びっくりです。でも、確かにあってもおかしくないですし、あらためてネットで検索すると、写真を掲載しているサイトもちゃんとありました(上の写真と色も同じでした)。もうちょっと大きくて、クリアに写真に撮れるくらいのであればよかったけど、まあ仕方ないね。

毒鉄鉱と名前はすごいですが、これは主成分が砒素なのでつけられた名前でしょう。でも、何だか寒天菓子みたいな見かけで、食べるとぴりぴりしそう。

 

黄金沢鉱山の上のズリは、石も割られて小さくなったものばかりで、もとの規模も狭いですし、洋紅石なども絶産に近いといわれます。でも、個人的には絶産という状態が実際にあるのか、疑問です。見つけるのがどんどん難しくなっていっているのは事実だと思いますが、地面に埋まったズリ石をすべて掘り返すことがまず不可能だと思いますし、すべての石のすべての箇所を見ることもできません。

ひょいと何気なく拾った石に、偶然珍しい鉱物がついていた、なんてことは多分誰でも経験しているのでは。山の神さまの気まぐれなのか、運なのか。

「運がいい」ということは、けっして偶然に好かれるということだけではないのではないか。人は外の世界を見るとき、一点に視線を集中させますが、意識していないだけで、それ以外のところもちゃんと見ているのだと思います。十分な知識と集中があれば、視線から外れた部分でも、無意識ではなにごとかに気づいて、それが意識を介さずに、「何気なく」石を拾うという行動に結びつくのだろうと思っています。

確かユングは『自伝』の中で、何気なく河原で拾ったなんということもない石が、その後非常に大事なものになっていき、執着するさまを描いていたと思います。ユングならば、「運がいい」ということをどう説明してくれたんでしょうか。

 


2020/10/20追記

先日また黄金沢鉱山に行って見つけた毒鉄鉱と思われる写真を追加します。

集合して塊状になっていますが、正方形の光が見えるので、毒鉄鉱だと思います。長野県の向谷鉱山でも、これとそっくりの毒鉄鉱の集合体がありました。

 

Pharmacosiderite_koganezawam_03

 

2020年6月25日 (木)

ミメット鉱(山梨県甲州市黄金沢鉱山)※※

Mimetite Pb5(AsO4)3Cl 燐酸塩鉱物等

 

Mimetite_koganezawam_01_

 

山梨県・塩山平沢にある黄金沢鉱山のミメット鉱です。

同地では、白い針状結晶や緑の透明結晶で産することが多いようですが、ミメット鉱はさまざまな色、形態をとることのある鉱物のようです。ネットで検索してみても、同じ鉱物の写真とは思えないものがいっぱい出てきます。

写真の標本は、少し黄味がかかった薄い肌色の樹脂光沢、六角柱状で若干真ん中が膨れた樽のようになっていて、緑鉛鉱に似た感じの結晶です(緑鉛鉱の実物は見たことないけどw)。左側にはもっと細いバージョンや、緑の針状のものも見えますが、これもミメット鉱でしょうか。いろんな姿のミメット鉱が同時に見られるお徳用標本ですねw

ミメット鉱は鉛と砒素と塩素の鉱物で、砒素が燐に変われば緑鉛鉱になります。ギリシャ語で「模倣」を意味する「mimethes」から名付けられましたが、これも緑鉛鉱に外見が似ているからだそうです。ミメット鉱からしたら、別に真似したわけじゃないのに、いい迷惑ですね。

 

黄金沢鉱山は、鈴庫鉱山に行く途中にあります。基本的には似たものを産しますが、少しずつ違うのが面白いです。黄金沢鉱山のほうがかなり狭いうえ、特に有名な洋紅石やミメット鉱が出る上流のズリの範囲は小さく、人も多く訪れたためか、叩かれて小さくなった石ばかりです。洋紅石は、もしかしたらこれがそうかも? というレベルのものしか拾えなかったのですが、まあこのミメット鉱を見つけられたので、いいかな(上のズリのことを知る前に、下のズリに2回ほど来て、全然ないなあとか思っていたのは秘密w)。

車があれば、とてもアプローチが楽な場所です。竹森といえば、今はもう行くことのできない水晶や鋭錐石の有名産地ですが(自分はもちろん行ったことはない)、ザゼンソウの群生地としても知られています。以前、そうとは知らず花の季節に訪れ、なんだろうと思い見に行ったことがあります。

竹森川の源流、鈴庫山の頂上には山神社があって、竹森の集落を見守っています。山間の狭い地域ですが、南に向かって開けていて明るく、見どころが(鉱山跡も)いっぱいあるいいところですね。

 

ZazensouSuzukurayama

左:竹森のザゼンソウ。右:鈴庫山の頂上から、竹森の谷を見下ろす。谷の向こうの小さな山は塩ノ山。下に、黄金沢鉱山のそばを通り、鈴庫鉱山に行く林道が見える。

 


2020/10/20追記

先日また黄金沢鉱山に行って見つけたミメット鉱の写真を追加します。

後ろの小さな透明柱状結晶もミメット鉱でしょうか。

かなり狭く、多くの人が訪れたであろうズリですが、洋紅石などと比べるとミメット鉱は結構探しやすい印象です。

 

Mimetite_koganezawam_02

 


2021/1/13追記

またまた写真の追加。針状結晶の放射状集合と、柱状結晶。ミメット鉱の産状の豊富さはほんとに面白い。

というか、これってミメット鉱でいいんだよね?w

 

Mimetite_koganezawam_03

 

2020年5月23日 (土)

藍鉄鉱(東京都檜原村三頭山)※

Vivianite Fe2+3(PO4)2・8H2O 燐酸塩鉱物等

 

Biotite_mitousan_03

Biotite_mitousan_02

Biotite_mitousan_01

 

2020/5/23追記

ネットで、これとそっくりの写真を見つけました。

もしかして、藍鉄鉱か?(電子顕微鏡室/Electron Microscope Section、東京大学物性研究所)

説明中にある「土壌や粘土中に球果状に集合してノジュールで産出することが多く」という状態に該当するわけですね。

デジタル鉱物図鑑の説明に、「堆積岩中、低-中熱水脈より産出」とあります。そういえば、三頭山の頂上から東の稜線上、チャートが多かったっけ。。。

間違いなさそうなので、タイトルとカテゴリーを変更します。

 

 

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2020/4/28

黒雲母(東京都檜原村三頭山)

biotite K(Mg,Fe2+)3(Si3Al)O10(OH,F)2 珪酸塩鉱物

奥多摩の三頭山で拾った石です。

石目当てというわけではなく、普通に山登りに行って、三頭山に登った記念にと、足元にあった何となく惹かれた石を拾いました。泥まみれで、家に帰ってからもずっと置きっぱなしになってたのですが、数か月たってからふと思い立って、洗ってみたところ・・・固まっていた泥が思ったよりも厚く、それをどんどん流れ落としていくと、多くの小さな水晶が姿をあらわして、びっくりしました。

そういえば、現地に三頭山の地質の説明で貫入岩体で石英閃緑岩が云々と書いてあったな、と思い出しました。

奥多摩方面はあまり行ったことがなく(そんなに魅力を感じたことがなかった)、そのあたりの地質に関する知識もほとんどなかったので。。。

ルーペで見てみると、黒い球状のものがたくさんついているのに気づきました。

多分、黒雲母が球状に集合したものではないかと思います。3枚目の写真の右下に、半分に割れて断面が見えているものがあります。その質感が、明らかに雲母にしか見えなかったのでそう考えましたが、どうでしょう。雲母が丸くなっているのではなく、板状の雲母が集合して、まるで牡丹の花のようになっているのが、なかなか趣きがあっていいですね。

いずれにしても、こんな風にきれいな球状に集まった雲母は初めてみますが、そういえば小川山で花びらのように咲いた白雲母のついた石を拾ったことがあります。

ネットで探しても似たようなものは出てこなかったけど(雲母が球状のかたまりになったものはあった)、そんなに珍しいってわけでもないのかな?

雲母ってどこでも見つかるし、あまり注目することはなかったけれど、なかなか奥深いかもしれない。。。

 

2020年4月24日 (金)

カニュク石(山梨県甲州市鈴庫鉱山)―A1

Kankite Fe3+(AsO4)・3.5H2O 燐酸塩鉱物等

 

鈴庫鉱山は、水晶で有名な竹森川の上流域にあります。

ここで採集できるのが、下のカニュク石です。

きれいなうぐいす色で珍しいけど、まあ地味ですねw

Kankite_suzukura_01

このカニュク石のついた石のひとつに、小さな粒粒が付着しているものがありました。

最初は虫の卵か何かかと思ったんですが、おそるおそる顕微鏡で見てみたら。。。

(次項に続く)