▽燐酸塩鉱物等

2020年10月25日 (日)

ヒンスダル石?(山梨県甲州市黄金沢鉱山)

Hinsdalite PbAl3(SO4)(PO4)(OH)6 燐酸塩鉱物等

 

Hinsdalite_koganezawam_01

Hinsdalite_koganezawam_03

 

最初は藻の類かと思いました。次に、ここではよく見られるビューダン石が変な形で集まったのかと思っていたのですが、ビューダン石で検索していて、黄色い管状のHinsdaliteの写真を見つけました(ヒンスダル石はビューダン石の仲間)。はじめて聞く名前だったので、Hinsdaliteで検索していくと、今度は円形の黄色い中心核が白で縁どられた写真も出てきました。どちらの写真も、これと似ています。こちらの写真は解像度が低いので、詳細はよく見えませんが。。。他に類似の鉱物はまったく見つけられませんでしたので、ヒンスダル石?として掲載することにしました。

日本では、北海道の小別沢鉱山、秋田の亀山盛鉱山、それに島根の銅ヶ丸鉱山くらいでしか出ていないようなのですが、どうなんでしょう。黄金沢鉱山で出ても、まあおかしくないような気もしますが。。。(銅ヶ丸鉱山は江の川にあります。昔広島から河口の江津までカヤックでツーリングしたことがあって、懐かしく思い出しました)

珍しいのは、ポロニウム(Po)を含んでいるからでしょうか。天然のポロニウムは、非常に微量しか存在していないといいます。ウラン系の鉱物にもPoが含まれていて、放射性元素です。緑鉛鉱にも含まれていますね。

ネット上でもそれほど情報がないのですが、「鉱物たちの庭」尾去沢石の項目に、次のような記述がありました。

「…(尾去沢石は)産出は珍しくないが、一般に粉末状。秋田県亀山盛鉱山のものは、緑鉛鉱→ヒンスダル石→尾去沢石+ビーバー石の順で風化生成したとみられ、ビーバー石と累帯構造をなし、顕微鏡的に菱面体結晶を示すものがあるという。尾去沢石は…「日本の新鉱物」には、稀に管状の形態を示すとある。」(カッコ内引用者)

尾去沢石が稀に示すという管状の形態、もしかしたら、今回のヒンスダル石のような形態のことでしょうか。

また、松原聰・松山文彦「岐阜県遠ケ根鉱山産セグニット石」にも、以下のような記述がありました。

「二次鉱物の緑鉛鉱からヒンスダル石が生成され,ビーバー石―尾去沢石固溶体の形成に至るプロセス,また鉛ゴム石からヒンスダル石へのプロセスを確認している(松原ら,1997年岩鉱学会講演準備中)(以下略)」(松原・松山「岐阜県遠ケ根鉱山産セグニット石」鉱物学雑誌、第26巻第4号、1997年)

鉛ゴム石、また知らない名前が出てきた。。。検索してみると、青い緑鉛鉱といったような形態をしている鉱物です。結晶が長く伸び、六角形が丸みを帯びたような写真もあって、ちょっとヒンスダル石に似た感じのものもありました。

黄金沢鉱山で緑鉛鉱は出るという話は聞きませんが、緑鉛鉱のPo4がAsO4になるとミメット鉱になります(Asは砒素)。

。。。でもまあこういう難しい話は詳しくないのだから、あまり首を突っ込まない方がよいですねw 専門の人に任せておきましょう。

ただ、こういった二次鉱物、三次鉱物が出る可能性もあると覚えておけば、訳の分からないものを見つけたときに、それが何なのか、アタリをつける助けになると考えて、ちょっと頭の隅に置いておけばいいかと思います。

この石のおかげで、また新しい鉱物の名前と見かけを覚えることができたわけだし。このあたりの鉱物は、よくある鉱物図鑑のような本にはほぼ載っていないものばかりですからね。

 

2020年8月 4日 (火)

毒鉄鉱(山梨県甲州市黄金沢鉱山)※

Pharmacosiderite KFe3+4(AsO4)3(OH)4・6-7H2O 燐酸塩鉱物等

 

Pharmacosiderite_koganezawam_01

Pharmacosiderite_koganezawam_02

 

写真の真ん中、三角山のまわりの濃い黄色が毒鉄鉱だと思います。山の付け根の真ん中あたりに、立方体の結晶が1個見えます。これで、気づくことができました。

角度を変えて見ると、近くにいくつか正方形のきらめきが見られますが、何しろえらくちっちゃいので、写真にはうまく撮れませんでした。今のところ、これが精いっぱい。ルーペでも確認はほぼ無理で、顕微鏡でようやく何とか。。。という小ささです。洋紅石を探して、小分けにした石のすみずみを見まわしていたおかげで、気づきました。

色的には、ここで割とよく見られるビューダン石と似ているのですが(この同じ石にもついていました)、ビューダン石のほうがもうちょっと鮮やかな黄色かなあ。。。という感じ(あやふやw)。

毒鉄鉱の立方体の結晶は憧れていたので、まさかここ(黄金沢鉱山の上のズリ)で見つけられるとは思わず、びっくりです。でも、確かにあってもおかしくないですし、あらためてネットで検索すると、写真を掲載しているサイトもちゃんとありました(上の写真と色も同じでした)。もうちょっと大きくて、クリアに写真に撮れるくらいのであればよかったけど、まあ仕方ないね。

毒鉄鉱と名前はすごいですが、これは主成分が砒素なのでつけられた名前でしょう。でも、何だか寒天菓子みたいな見かけで、食べるとぴりぴりしそう。

 

黄金沢鉱山の上のズリは、石も割られて小さくなったものばかりで、もとの規模も狭いですし、洋紅石なども絶産に近いといわれます。でも、個人的には絶産という状態が実際にあるのか、疑問です。見つけるのがどんどん難しくなっていっているのは事実だと思いますが、地面に埋まったズリ石をすべて掘り返すことがまず不可能だと思いますし、すべての石のすべての箇所を見ることもできません。

ひょいと何気なく拾った石に、偶然珍しい鉱物がついていた、なんてことは多分誰でも経験しているのでは。山の神さまの気まぐれなのか、運なのか。

「運がいい」ということは、けっして偶然に好かれるということだけではないのではないか。人は外の世界を見るとき、一点に視線を集中させますが、意識していないだけで、それ以外のところもちゃんと見ているのだと思います。十分な知識と集中があれば、視線から外れた部分でも、無意識ではなにごとかに気づいて、それが意識を介さずに、「何気なく」石を拾うという行動に結びつくのだろうと思っています。

確かユングは『自伝』の中で、何気なく河原で拾ったなんということもない石が、その後非常に大事なものになっていき、執着するさまを描いていたと思います。ユングならば、「運がいい」ということをどう説明してくれたんでしょうか。

 


2020/10/20追記

先日また黄金沢鉱山に行って見つけた毒鉄鉱と思われる写真を追加します。

集合して塊状になっていますが、正方形の光が見えるので、毒鉄鉱だと思います。長野県の向谷鉱山でも、これとそっくりの毒鉄鉱の集合体がありました。

 

Pharmacosiderite_koganezawam_03

 

2020年6月25日 (木)

ミメット鉱(山梨県甲州市黄金沢鉱山)※

Mimetite Pb5(AsO4)3Cl 燐酸塩鉱物等

 

Mimetite_koganezawam_01_

 

山梨県・塩山平沢にある黄金沢鉱山のミメット鉱です。

同地では、白い針状結晶や緑の透明結晶で産することが多いようですが、ミメット鉱はさまざまな色、形態をとることのある鉱物のようです。ネットで検索してみても、同じ鉱物の写真とは思えないものがいっぱい出てきます。

写真の標本は、少し黄味がかかった薄い肌色の樹脂光沢、六角柱状で若干真ん中が膨れた樽のようになっていて、緑鉛鉱に似た感じの結晶です(緑鉛鉱の実物は見たことないけどw)。左側にはもっと細いバージョンや、緑の針状のものも見えますが、これもミメット鉱でしょうか。いろんな姿のミメット鉱が同時に見られるお徳用標本ですねw

ミメット鉱は鉛と砒素と塩素の鉱物で、砒素が燐に変われば緑鉛鉱になります。ギリシャ語で「模倣」を意味する「mimethes」から名付けられましたが、これも緑鉛鉱に外見が似ているからだそうです。ミメット鉱からしたら、別に真似したわけじゃないのに、いい迷惑ですね。

 

黄金沢鉱山は、鈴庫鉱山に行く途中にあります。基本的には似たものを産しますが、少しずつ違うのが面白いです。黄金沢鉱山のほうがかなり狭いうえ、特に有名な洋紅石やミメット鉱が出る上流のズリの範囲は小さく、人も多く訪れたためか、叩かれて小さくなった石ばかりです。洋紅石は、もしかしたらこれがそうかも? というレベルのものしか拾えなかったのですが、まあこのミメット鉱を見つけられたので、いいかな(上のズリのことを知る前に、下のズリに2回ほど来て、全然ないなあとか思っていたのは秘密w)。

車があれば、とてもアプローチが楽な場所です。竹森といえば、今はもう行くことのできない水晶や鋭錐石の有名産地ですが(自分はもちろん行ったことはない)、ザゼンソウの群生地としても知られています。以前、そうとは知らず花の季節に訪れ、なんだろうと思い見に行ったことがあります。

竹森川の源流、鈴庫山の頂上には山神社があって、竹森の集落を見守っています。山間の狭い地域ですが、南に向かって開けていて明るく、見どころが(鉱山跡も)いっぱいあるいいところですね。

 

ZazensouSuzukurayama

左:竹森のザゼンソウ。右:鈴庫山の頂上から、竹森の谷を見下ろす。谷の向こうの小さな山は塩ノ山。下に、黄金沢鉱山のそばを通り、鈴庫鉱山に行く林道が見える。

 


2020/10/20追記

先日また黄金沢鉱山に行って見つけたミメット鉱の写真を追加します。

後ろの小さな透明柱状結晶もミメット鉱でしょうか。

かなり狭く、多くの人が訪れたであろうズリですが、洋紅石などと比べるとミメット鉱は結構探しやすい印象です。

 

Mimetite_koganezawam_02

 

2020年5月23日 (土)

藍鉄鉱(東京都檜原村三頭山)※

Vivianite Fe2+3(PO4)2・8H2O 燐酸塩鉱物等

 

Biotite_mitousan_03

Biotite_mitousan_02

Biotite_mitousan_01

 

2020/5/23追記

ネットで、これとそっくりの写真を見つけました。

もしかして、藍鉄鉱か?(電子顕微鏡室/Electron Microscope Section、東京大学物性研究所)

説明中にある「土壌や粘土中に球果状に集合してノジュールで産出することが多く」という状態に該当するわけですね。

デジタル鉱物図鑑の説明に、「堆積岩中、低-中熱水脈より産出」とあります。そういえば、三頭山の頂上から東の稜線上、チャートが多かったっけ。。。

間違いなさそうなので、タイトルとカテゴリーを変更します。

 

 

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2020/4/28

黒雲母(東京都檜原村三頭山)

biotite K(Mg,Fe2+)3(Si3Al)O10(OH,F)2 珪酸塩鉱物

奥多摩の三頭山で拾った石です。

石目当てというわけではなく、普通に山登りに行って、三頭山に登った記念にと、足元にあった何となく惹かれた石を拾いました。泥まみれで、家に帰ってからもずっと置きっぱなしになってたのですが、数か月たってからふと思い立って、洗ってみたところ・・・固まっていた泥が思ったよりも厚く、それをどんどん流れ落としていくと、多くの小さな水晶が姿をあらわして、びっくりしました。

そういえば、現地に三頭山の地質の説明で貫入岩体で石英閃緑岩が云々と書いてあったな、と思い出しました。

奥多摩方面はあまり行ったことがなく(そんなに魅力を感じたことがなかった)、そのあたりの地質に関する知識もほとんどなかったので。。。

ルーペで見てみると、黒い球状のものがたくさんついているのに気づきました。

多分、黒雲母が球状に集合したものではないかと思います。3枚目の写真の右下に、半分に割れて断面が見えているものがあります。その質感が、明らかに雲母にしか見えなかったのでそう考えましたが、どうでしょう。雲母が丸くなっているのではなく、板状の雲母が集合して、まるで牡丹の花のようになっているのが、なかなか趣きがあっていいですね。

いずれにしても、こんな風にきれいな球状に集まった雲母は初めてみますが、そういえば小川山で花びらのように咲いた白雲母のついた石を拾ったことがあります。

ネットで探しても似たようなものは出てこなかったけど(雲母が球状のかたまりになったものはあった)、そんなに珍しいってわけでもないのかな?

雲母ってどこでも見つかるし、あまり注目することはなかったけれど、なかなか奥深いかもしれない。。。

 

2020年4月24日 (金)

カニュク石(山梨県甲州市鈴庫鉱山)―A1

Kankite Fe3+(AsO4)・3.5H2O 燐酸塩鉱物等

 

鈴庫鉱山は、水晶で有名な竹森川の上流域にあります。

ここで採集できるのが、下のカニュク石です。

きれいなうぐいす色で珍しいけど、まあ地味ですねw

Kankite_suzukura_01

このカニュク石のついた石のひとつに、小さな粒粒が付着しているものがありました。

最初は虫の卵か何かかと思ったんですが、おそるおそる顕微鏡で見てみたら。。。

(次項に続く)