最近のトラックバック

無料ブログはココログ

▽炭酸塩鉱物等

2022年8月13日 (土)

白鉛鉱(山梨県甲州市鈴庫鉱山)

白鉛鉱 Cerussite Pb(CO3) 炭酸塩鉱物等

 

Cerussite_suzukuram_01

Cerussite_suzukuram_02

 

鈴庫鉱山の白鉛鉱ではないかと思います。あるいは、異極鉱とか? うーん、よくわかりませんが、TrekGEOにはここの産出鉱物として白鉛鉱があげられているので、まあ白鉛鉱とするのが一番無難かなぁ。

沢沿いにいくつもズリが連なる鈴庫鉱山ですが、少なくとも表面にはあまりめぼしいものは見つかりません。産出鉱物として挙げられている鉱物のリストを見るとなかなか魅力的なのですが、何度訪れても、おおっと思うものはないですね。

掘り返せば、いろいろ珍しいものもあるのかもしれません。昔はカニュク石で緑色に見えたとかなんとか聞きますが、まあおおげさに言っているんでしょうw 写真のものは目立つズリではないところで見つけたものです。よく探せば、まだいろいろ見つかる場所なんじゃないだろうかと思っているのですが。。。

竹森から林道を登っていくと鈴庫鉱山の入口がありますが、さらに登っていくと、坂脇峠。黄金沢鉱山、鈴庫鉱山、さらに北の雷川にある朝日鉱山をつないだラインに中低温熱水鉱床が走っているようですが、坂脇峠周辺にはところどころちっちゃなペグマタイトも点在していて、鈴庫山から坂脇峠に続く尾根上では、時々小さな水晶なんかも拾ったりします。石英の塊があちこち転がっているところとか、いきあうと実にわくわくしますね。大抵、すでに掘ったような跡があって、どれだけ捜索済みなんだよとw こんな地味な山域ですが、まれに登山者もいるみたいです。

現在のズリは山の南、竹森側にありますが、山の北側、滑沢側にも採掘現場はあったようですね。もしかしたら、時期によってはこちらが中心だった可能性もあるかもしれません。

地形図を見ると、坂脇峠の北、滑沢の上流域に家屋がいくつか描かれていて、塩山小屋敷という地名になっていますが、基本すべて廃屋のようです(現地に行ったことはない)。すでに廃村といっていいでしょう。現在滑沢の住民は一世帯のみで、少し下流にある滑沢キャンプ場の経営者です。竹森から鈴庫鉱山を登り、尾根伝いに滑沢まで歩いた時、その奥さまに少しお話をうかがったことがあるのですが、曾祖父?祖父?はもともと九州出身のミヤケという鉱山技師で、鈴庫鉱山の仕事のために滑沢に移り住み、ここで早くに亡くなったのだそうです。自分は鈴庫鉱山には行ったことはないけれど一度行ってみたい、やっぱりスズクラというからには錫が採れたのか? とのお話(錫はとれないと思いますと応えましたw)。

竹森から歩いてきたといったら驚かれましたが、山を越えればそれほど遠くないのだけれど、笛吹川沿いの車道を使うと、竹森(平沢)と滑沢ってえらく遠いのですよね。そりゃびっくりされるわけだ。。。

鈴庫鉱山の歴史はそれほど詳しくは分からないけれど、ネットで調べると「1935(昭和10)年より金・銀・鉛・砒素・亜鉛・硫化鉄カニュク石が採掘された。鉱業権は宮部武雄から日本鉱業(株)に移った。1950(昭和25)年に閉山。」とのこと(廃墟検索地図 https://haikyo.info/s/13510.html)。ズリの大きさを見れば、かなり大規模だったように思えるのですが、どうだったのでしょう。ちなみに滑沢はもともと1907(明治40)年の恩賜林への入植ではじまった(同上)と書かれているので、鉱山のための集落ではなかったようですが。。。

滑沢のさらに山ひとつ越えた雷川(朝日鉱山)については、全然わかりません。きれいなナメ滝の多いところみたいですが(滑沢は確かにそうだった)、沢登りが得意じゃない自分には、ちょっと無理かなぁ。。。

 

2022年6月24日 (金)

ポクロフスキー石?(千葉県鴨川市八岡海岸)

Pokrovskite Mg2(CO3)(OH)2 炭酸塩鉱物

 

前回の孔雀石(千葉県鴨川市八岡海岸)から続き。

千葉県鴨川の八岡海岸、鴨川鉱山のズリと思われる場所で見つけたもの。

繊維状の孔雀石のそばに、褐色繊維状のものを見つけました。これはなんだろう? よく見ると、色の濃い部分は光を反射して、思ったよりもきらきらしています。孔雀石が変質して、その形状のまま茶色の別の鉱物になったようにしか見えません。すぐそばに孔雀石がなかったら、見当もつかなかったに違いありません。

 

Pokrovskite_yooka_02

Pokrovskite_youka_01

 

孔雀石のグループを調べ、ポクロフスキー石という鉱物ではないかとあたりをつけたのですが、はたしてどうでしょう。。。孔雀石のグループの中で、褐色になるものはこの石くらいしかなかったからですが、自分もはじめて知った鉱物ですし、(日本語で)ネット検索してもあまり情報がでてきません。日本では、福岡県飯塚市の古屋敷というところでの産出が確認されているようです。ただし、古屋敷のポクロフスキー石は、アルチニ石に似た白色透明の結晶だそうですが(上原誠一郎・武田朋之「福岡県飯塚市古屋敷産ポクロウスク石」日本鉱物科学会年会講演要旨集、2014)。

孔雀石のCu(銅)が、Mg(マグネシウム)に置き換わったものです。鴨川鉱山では、嶺岡オフィオライト中の蛇紋岩を採掘してニッケルを精錬していました(銅も抽出していた?)。Mgは蛇紋石の主要構成元素ですので、ポクロフスキー石の材料は十分そろっている、ということになりますね。ちなみに、同じ石の数センチ横には、思いもかけず、菫泥石らしい紫の結晶もついていました(多分そのうち取り上げます)。母岩は蛇紋石ということになります。

ポクロフスキー石は、ロシアの鉱物学者、Pavel Vladimirovich Pokrovskii(Павла Владимировича Покровского, 1912-1979)にちなんで命名されました。カザフスタンの蛇紋岩地域で発見されたようですが、詳しいことはよくわかりません。デジタル鉱物図鑑には載っていませんので、本当にその鉱物かはわかりませんが、念のためちょっとデータを載せておきます。

ポクロフスキー石(ポクロウスク石)、孔雀石グループ、単斜晶系、モース硬度3、劈開完全、比重2.5。

 

千葉県は、以前は石なし県などといわれていたらしいですが、特に嶺岡地域はとても鉱物種が豊富で、驚きますね。全然石なしなんかじゃないじゃん。神奈川のほうが全然石なしです。。。

自分は顕微鏡で見るのが好きなので、現地でルーペだけで探すのは、かなり無理があります。はっきり何かを見つけた場合以外は、なんとなく怪しげな石を選んで持ち帰り、顕微鏡で探したりするのですが、こうなると頼りになるのは自分の「勘」ということになります。

「勘」というとずいぶんあやふやで頼りなげなものに聞こえるのですが、個人的には「直観」「勘」というのは、偶然、偶発性というのとはちょっと違うんじゃないかと思っています。目線の意識を集中させることのできる部分というのはとても狭いもので、ほんとに「点」でしかない。広い範囲からなにものかを探すのに、「意識」というのは効率が悪すぎます。「勘」というものを明確な手法として活用できれば、大変に便利なのではないか、と考えるわけです。

自分の印象では、視点を定めず、視界をぼんやりさせて、なんか気になった石を探す(自然と目に飛び込んでくる)、つまり「無意識」で探す、みたいなものじゃないかと思っています。それには、探す対象への知識や経験が意識の領域から無意識の領域にまで深まっている必要があると思うので、自分ではまだまだ全然足りないんですが。。。「自然と目に飛び込んでくる」というのは、偶然ではなく、精神的活動の発露なのですね。

それとちょっと似たようなものに、ユングとパウリの、意味のある偶然「シンクロニシティ」という考えがありますが、これは別にオカルト的なものではありません(オカルト的なものが悪いといっているわけではない)。人間の無意識が、偶発的な出来事のなかから自分に関わる「意味のある〈象徴〉」を見出そうとする、精神の方向性、みたいなもので、人間の精神の状態を表す言葉と考えています。「金」「賢者の石」を追求する錬金術を、人間の精神の象徴と考えたユングらしい、精神の内外の接触面を表現しようとした言葉ですね。錬金術じゃなんだか中世っぽいしウケが悪いので、より現代的に量子物理学要素を入れたと(これはギャグとして言ってるんですよ?w)。

けっしてただの言葉遊び、頭の中だけの概念・思考というだけでなく、鉱物を探すという実際の遊びにも活用できる考えなのです(これは半分はギャグで半分は本気)。確かユングの自伝には、河原かどこかでふと目に留まって拾った石がえらく気に入って、ずっと大事にしていたとか、そんなエピソードがあったような。。。(何十年も前に読んだものなので、ちょっと自信ない)

 

2022年6月20日 (月)

孔雀石(千葉県鴨川市八岡海岸)

孔雀石 Malachite Cu2(CO3)(OH)2 炭酸塩鉱物等

アタカマ石? Atacamite Cu2Cl(OH)3 ハロゲン化鉱物

 

Malachite_yooka_01

Malachite_yooka_02

Malachite_yooka_03

 

千葉鴨川の八岡(よおか)海岸は、湾の中にいくつかの小さな島が点在し、鴨川松島などといわれたりしています。北側半分を九十九里浜が占める千葉は、深く切れ込んだ湾などがほとんどないので、こういう風景はあまり見られないからかもしれませんが、正直わざわざ他県の名勝地である「松島」なんてつけるのはどうかと思わざるをえない。。。(全国に〇〇松島という景勝地はいくつもありますが、どこも同様に思います)千葉は千葉ならではの景色があって、たとえば屏風ヶ浦みたいなところはなかなか他にないですしね。松島的な風景としては、松島に到底かなうわけないんだから。。。

でもここは、さまざまな岩石が見られる嶺岡オフィオライト(「自然銅」(千葉県南房総市平久里川流域)の項参照)が海に面した地域で、鉱物もいろいろなものが産出します。自分的にはもうそれだけで松島よりレベル上なのだw

これはその海岸で拾った孔雀石。皮膜状だったり、こういうきれいな球状(小さい)で見られます。

海岸の南の巾着山にあった鴨川鉱山のズリ石が、海岸に散在しているようです。鴨川鉱山は、採掘した蛇紋岩からニッケルなどを精錬していたらしいですが、現在は、鉱山により山を崩されて平らになったところに、千葉県立鴨川青少年自然の家が建っています。こちらで当時の写真が紹介されています(jinomonta064のブログ)。

 

ネット上で検索すると、ここの孔雀石を採集した人はみんな、波が高ければ海水をかぶるであろう海岸沿いの孔雀石ということで、アタカマ石を期待していますね。自分も孔雀石を見つけた時、最初にそれを思いましたw でも、アタカマ石の写真を見ると、孔雀石よりはブロシャン銅鉱っぽい青みの入った深緑から黒っぽい色をしていて、どうやらこれは違うみたいです。繊維状のものもありましたが、どう見ても孔雀石にしか見えないなぁ。。。3枚目の写真の黒い球体は、孔雀石が変色したものでしょうか、これはアタカマ石ではない。。。ですよね? 後ろの薄青い皮膜状の部分は、珪孔雀石?

アタカマ石は、銅を含んだ石や岩が酸化してできる鉱物です。砂漠や海岸などでよく生成され、孔雀石と一緒になっていることが多いそうです。孔雀石があるということは、ここの石は銅を多く含んでいるということですが、自然銅、黄銅鉱などは見かけませんでした。どういうかたちで一次的な銅成分があるのかが、よくわかりません(ちなみに伊豆や丹沢でよく見かけるのと同じような、緑色の多分凝灰岩中に黄鉄鉱が入っている石はありました)。

海岸の山側のズリ状のところでばかり探していましたが、満潮になると海水につかるような、もっと海に近いところで探してみれば、もしかしたらはっきりとアタカマ石とわかるようなものが見つかるかもしれません。今度行ったらそうしてみよう。日本ではきれいな板状結晶などはほとんど見られないそうですが。。。

ところで、繊維状の孔雀石などもあったのですが、それに接してちょっと怪しげなものを見つけました。

それは、次回に取り上げることにします。

 

2022年3月26日 (土)

菱苦土石(埼玉県秩父市秩父鉱山)

Magnesite Mg(CO3) 炭酸塩鉱物等

 

Magnesite_chichibum_01

Magnesite_chichibum_02

 

秩父鉱山・道伸窪のそばの沢で見つけたもの。面が湾曲していて、爪のような形状が特徴的ですね。

菱苦土石、苦灰石(Dolomite: CaMg(CO3)2)、菱鉄鉱(Siderite: Fe(CO3))のどれかではないかとかなり迷いました。色、形状、モース硬度、劈開などは、3つともほぼ変わりがないので、なかなか判断がつきかねます(秩父鉱山では全部産出するとのこと)。

冷希塩酸でほとんど反応が見られないこと、温希塩酸で発泡すること、溶液が無色であったことなどから、菱苦土石としました(苦灰石は冷希塩酸で発泡する。菱鉄鉱は溶液が黄緑色をしているとのこと〈藤原卓編著『必携鉱物鑑定図鑑』白川書院、2014年〉)。ちなみに長波UVでは蛍光しませんでした。

菱苦土石も菱鉄鉱も、方解石の仲間です。「苦土」はマグネシウムのこと。わかりやすい名前ですね。

上2枚の写真は同じ石の違う部分。ほぼ菱苦土石の塊です。

下の写真は同じ場所で採集した、違う石についていた菱苦土石。

 

Magnesite_chichibum_03

 

透明で白い地は方解石です。こちらも湾曲した菱形の結晶ですが、大小さまざまの球状に寄り集まっているのが特徴です。

どちらも石英、方解石、黄鉄鉱等が一緒についていて、特に3枚目の石では黄鉄鉱の双晶があちこちにくっついているという。。。なんかもうさすが秩父鉱山としか言えない。

 

菱苦土石(Mg(CO3))のMgが、Feになると菱鉄鉱(Fe(CO3))になりますが、自然界では「100%」「0%」というのはほとんど存在しないと思います。必ず他のものが混じっているもので、この菱苦土石も結構多くのFeが混じっているのかもしれない(黄鉄鉱〈FeS2〉が共存しているわけだし)。詳しいことはもっと信用ある資料で「固溶体」について調べてもらったほうがよいですが、ほとんどの鉱物の種類というのは、かっちりしたものではなくグラデーションになっていて、あやふやなものと考えたほうがよいのでは、名前をつけること(レッテルを貼ること)ははたして正しい認識方法なのか、などとたまに考えたりします。

「自然」というものは、もともとあやふやなのがデフォルトであるといえるかもしれません。「数字で表せない科学」「計算できない科学」というものが、現実では当たり前にあると感じます。科学において計算できるのは、計算できるように事象を限定しているからで、本当はありのまま計算せずに捉えることができるような方法があればそうしたほうがいいだろうし、むしろ計算することによって本質から離れてしまうことだってあり得るのでは。。。

 

「レッテルを貼る」というのは、人間関係では明らかに否定的な意味合いを含んでいますねw 相手に「〇〇主義者」などというレッテルを貼りつけて(その人の思想がどの程度その主義と重なっているかどうかは関係ない)、そのレッテルを批判することで、相手の言論を封じるという議論の仕方をしている人をよく見かけます。というか、「〇〇主義者」などという言葉は、いい意味でも悪い意味でも、そういう使い方しかできないものです。それは個人ごとに必ずあるグラデーションをスミベタで塗りつぶしてしまう。いやだねぇw

今では、その反対の意味であるはずの「多様性」という言葉ですら、使われすぎて、なんか「〇〇主義者」と似たニュアンスになってきてるような気がするのだ。

ということで、今回はキーボードが走りすぎて書いてしまったけれども、こういう「個人的意見」はできる限り書かないようにするのが一番ですねw 自省。。。

 

2021年11月25日 (木)

菱マンガン鉱(山梨県南巨摩郡身延町草間鉱山)

Rhodochrosite Mn(CO3) 炭酸塩鉱物等

 

Rhodochrosite_simobe_01

Rhodochrosite_simobe_02

 

身延にある下部温泉の奥、草間鉱山(下部鉱山)は、マンガンを主体とする産地です。マンガンだけでなく、銅の鉱床も入り混じっているようです。草間鉱山のある下部川の支流・入ノ沢をさらに上流まで遡れば、武田の金山跡(茅小屋金山)もあるらしい。自分が現地に行ったときには河川工事作業中で、鉱山跡まで行けなかったので、仕方なく林道そばの川原でさがしました。それでもチョコレート色のハウスマン鉱、黒く輝くブラウン鉱などは目につくところに多く落ちていたし、塊状の満礬柘榴石、また自然銅らしい部分を含んだ石などもありました。沸石も豊富です。

かなり昔から本などで紹介されていたようで、有名なポイントですが、さすがに不便な場所でもあり、そうそう気軽に訪れるわけにもいきません(昔、碧っぽいうさぎの人が隠れたりしてましたよねぇ、そういえばw)。下流の川原でもこれだけ色々見つかるのだから、ズリまで行けばまだいろいろあるかもしれません。

写真は、赤く四角っぽい菱マンガン鉱(だと思います)の結晶ですが、その周りに一面についているきらきら光り輝く粒子はなんだろう。小さすぎてわからない(ベメント石:Bementite〈Mn7Si6O15(OH)8〉かな?)。相変わらず微細な結晶ですが、実体顕微鏡の接眼レンズごしに見るその姿は、息をのむくらいにきれいですね。二次元の写真では、なかなか表現しきれないです。

Rhodochrositeは「バラ色」という意味のギリシャ語(ρόδο χρώς)が語源で、方解石の仲間で硬度も3.5~4程度と硬くないのですが、その色の美しさから大きなものは宝石としても扱われます。日本も代表的な産地のひとつですが、鉱山がすべて閉山して久しい今となっては、立派な結晶はそうそう見つからないでしょうね。それでも、各地のマンガン鉱山跡では、今でも割と目にすることの多い鉱物です。でも真っ赤なものはそうそう見つからない感じ。

 

入ノ沢の草間鉱山(下)でしばらく石を探したあと、本流の下部川の川原に降りてみたのですが、ここもいろいろ面白い石がありますね。しかも、草間鉱山のようなマンガンに加えて、それとはちょっと違う系統の石英を中心とした鉱物なども見つかります。どうやら下部川の上流には、ほかにも面白そうな場所があるみたい。。。このあたり、もうちょっと探索してみたいなあ。

 

Shimobe_01

入ノ沢そばの林道に立っている、湯之奥金山の説明板。草間鉱山については何も記述がないが、ここが鉱山跡への入口。

 

ところで、現在(2021/11)、身延はたいへんに不便な状況にあります。草間鉱山に行ってから富士山側に抜けようとしたら、身延から中ノ倉を通って本栖湖に抜ける道が崩れて通行止めとか。迂回路を使えと看板があったのだけれども、それが、一度甲府盆地まで出てから精進湖を通るルートで、どれだけ遠回りなんだよ。。。

ちなみに草間鉱山の林道の奥も、湯之奥猪之頭トンネルで天子山地を突っ切って、朝霧高原・人穴の方に通じているのですが、ここも今のところ通行止めです。つまり、富士宮から精進湖まで、身延と富士山麓側との通行ができるところがすべて封じられているという状況です。折角、富士川沿いを、甲府と静岡をつなぐ中部横断自動車道が繋がったというのにねぇ。。。

 

2021年8月29日 (日)

方解石(埼玉県秩父郡小鹿野町二子山)

Calcite Ca(CO3) 炭酸塩鉱物等

 

Calsite_futagoyama_01

Calsite_futagoyama_03

 

秩父鉱山の北にある二子山の方解石です。

鉱物目当てで行ったのでなく、以前登山目的のみで訪れた時に、きらきら光っていてきれいだったので拾ってきたものです(最近戸棚を整理していて発見しましたw)。方解石であることは知っていましたが、まだ鉱物を集めたりしていないころの昔のことです。多分、東峰・西峰を登ったあと、魚尾道峠(よのうとうげ)に下りる途中だったような気がしますが。。。方解石のポイントって、股峠近くでしたっけ? 近くは通っているはずなので、ポイントから登山道に転げ落ちてきたものかもしれません。

透明度が高く、あちこち結晶内部が七色に光っているところがあって、とてもきれいです。方解石は非常にありふれた鉱物ですが、場所によってまったく異なる、さまざまな形態で見られるのが、とても楽しいのです。ここの方解石はそのシャープさ、透明さ、輝きに非常に魅力があります。

西峰と東峰からなる二子山は石灰岩の山で、フズリナ(紡錘虫)やウミユリの化石なども見つかります。古生代に南の海で堆積した有機物の層がプレート移動してきて、中生代ジュラ紀に日本に付加した後に隆起してできた山です。遥か遠い過去の海の残滓を垣間見ることができます。

このあたりには同じような断崖絶壁の山も多いですが、二子山は特に独立した岩稜の見かけのすごさや、普通の登山道があることもあって、人気の山ですね。クライミングの人も多いです。西峰には普通の登山道のほかにも中・上級者用の鎖などがついていないルートもあって、岩を登るのが好きだけどクライミングまではちょっと。。。という人にもとても面白い山です。昔鎖が邪魔と言われて、わざわざはずしたらしい。確かに、峻険とはいえ、手がかり足がかりは多くて、登りやすいです(表妙義などとは比較になりません)。

最近特によく感じる一般登山道の過剰整備を思うと、鎖をすべてはずしたルートを残したのは、高く評価されるべきだと思います。日本ではちょっとしたところでも危ないあぶない危険きけん! と、誰でも子ども扱いするのがデフォななか、よくこういう大人な対応をしたなあと感心します。最近、「山を登りにきたのに、いつのまにか階段ばかり登っていた、な、なにを言っているのかわからねーと思うがry)」と思うことが多くてねw

秩父の石灰岩の山は、いくつか採掘の対象となり、姿を変えています。二子山の隣の叶山も石灰岩が採掘され、下の写真のような姿です。掘られる前はどんなだったんでしょうね。。。子どものころ見た記憶の中の武甲山の姿は、今見る姿とずいぶん印象が違うんですが。。。これらの山々がコンクリートの材料になり、日本の近代化を支えてきたわけです。どんなに姿を変え、たとえ消えてなくなってしまったとしても、山の名前は記憶にとどめておきたいですね。

 

Futagoyama_01

魚尾道峠付近から見た西峰の岩稜。まるでミニ・ヨーロッパ・アルプスといった風情。

 

Futagoyama_02

西峰の岩尾根と、隣の叶山。石灰岩が採掘される前は、二子山のような岩山だったのかも?

 

2021年6月 8日 (火)

含ストロンチウム方解石(茨城県北茨城市華川町花園)

Strontium-rich Calcite (Ca,Sr)CO3 炭酸塩鉱物等

 

Calsite_hanazono_02

Calsite_hanazono_01

 

ストロンチウムを含んだ晶質石灰岩(大理石)、方解石です。ストロンチウムによって、うす青い色がついているといいます。ストロンチウムを含む鉱物といえば、天青石、糸魚川石なども、やはりこんなうす青い色合いですね(糸魚川石なんて実際に見たことはないですけど)。そんなにはっきりした色ではないのですが、だからこそ、とても美しいです。

天青石や方解石では青い色のもとになっていますが、炎色反応では深紅で、花火の赤にも使われるそうです。

ストロンチウムというと、原発の事故などで放出された放射性同位体・ストロンチウム90が有名かもしれません。ウランの核分裂で生成される代表的な放射性物質がストロンチウム90で、カルシウムと化学的な性質が似ているので、体内に取り込まれると骨などに集まって留まる傾向があり、危険であるとされています(方解石に含まれやすいとか関係があるかどうかは知らない)。現在でも、大気圏内核実験や原発事故などの影響で、わずかな量が大気圏内に残留しています。

当然のことながら、鉱物に含まれるストロンチウムや花火などのそれは、放射性ではありません。ペグマタイトの放射線のほうがはるかに高いでしょう。花園のペグマタイトには、燐灰ウラン鉱、モナズ石、ジルコンなどの放射性鉱物が含まれているので。いちいち心配していても仕方ありません。放射線もウイルスも自然界に普通に存在するものですからね。杞憂というものです。

(ところで、「杞憂」という言葉は中国の『列子』に出てくる話ですが、杞の国のとっても心配性の人が空が落ちてこないか心配しているのをみて、ある人がそんなあり得ないことを心配してもしょうがないと説いて聞かせたことからきています。でも実際にはこの先には続きがあって、その話をきいたまた別の人が、あり得ないということはない、もしかしたら空が落ちてくるかもしれないぞ、といったとか。。。で、さらに最後に列子が、落ちようが落ちまいがまあどうでもいいんじゃないの、としめくくりますw だから、実際には「杞憂」という言葉では、その話題を締めくくることはできないのだw)

 

福島との県境にほど近い北茨城の花園山(798m)は阿武隈高地に属し、基本なだらかな山体ですが、花園川の浸食によって渓谷が造られ、滝場も多く見られます(だから沢は思いのほか険しく、気軽に遡行はできない感じ)。周辺はペグマタイトがとても豊富な地域ですが、花園鍾乳洞はその中心部から若干離れたところにあります。ペグマタイトの露頭があちこちにあり、気になってなかなか先に進めない楽しい道中ですが、最後、道はヤブの中に消えます。昔は行きやすかったみたいですが、現在ではトゲトゲの草がいっぱいで、半そでだと傷だらけになりますよ。。。夏には行きたくないかなw

 

Hanazonos_01
ヤブに埋もれた花園鍾乳洞。入口はとても狭い。

Hanazonos_02
鍾乳洞の前には、大きな晶質石灰岩がごろごろ落ちている。

 

多分、次に続きます。

 

2021年5月17日 (月)

孔雀石(静岡県下田市稲生沢川流域)

Malachite Cu2(CO3)(OH)2 炭酸塩鉱物等

 

Malachite_rendaiji_01

Malachite_rendaiji_02

Malachite_rendaiji_03

 

河津鉱山由来と思われる孔雀石。さすが河津鉱山と思わざるを得ない姿ですね。けっして珍しい石ではないけれど、こんな繊維状の集合はそうそうないんじゃないでしょうか。先端が細くなるにしたがって、緑から白に変わっていく孔雀石の性質がよくわかります。

3枚目の写真も、孔雀石でいいのかな? すごく薄い絹布のような、ベルベットが淡い緑にきらめいたような姿が不思議。孔雀石は細かくなっていくとどんどん緑が薄くなっていって、白に近づいていくのが特徴で、似たような緑の鉱物と見分けるときもこの性質が助けになります。

以前紹介した秩父鉱山の孔雀石もきれいだったけれど、それとはちょっと違ってより繊細な感じです。やっぱり河津鉱山って秩父鉱山と並ぶ東日本を代表する鉱物の産地だったんだなと実感しますね。。。緑の鉱物といえば、河津鉱山では特にブロシャン銅鉱が有名ですが、まだ見たことはないです。やっぱり憧れます。ちなみにブロシャン銅鉱は孔雀石と似ていますが、色が白方向によることはありません。

日本画では孔雀石の粉末を岩絵具(緑青)として使いますが、粒子の細かさによって色合いを変え、緑から白まで十数段階にも分けられています。細かく砕いた孔雀石をふるいにかけ、大きさをそろえ、不純物をのぞいていく。さらに細かくするには水に沈殿させ、沈殿の速度によって少しずつ選別していきます。この作業を水簸(すいひ)といいますが、まだ機械ではなく人の手で行っているお店もあるようです。大きな数十kgの固まりを何か月もかけて細かく割り、選別していくとか。

産地によって色の微妙な違いとかあるのかな? 日本産の天然藍銅鉱を使った群青の岩絵具とか、いったいいくらくらいになるんだろうw 皮膜状の藍銅鉱じゃ絵具にできないだろうから、結晶を砕くんでしょうか。なんかもったいないw

マンガン鉱物で岩絵具を作れば、時間とともに色が変わっていくのかな? ほんの一瞬しか色がもたない絵で、そのはかない変化のさまを記録して、無常観を表現するとかどうかな。1日くらいしか色がもたない緑マンガン鉱の色絵具とかどうでしょう?(どうでしょうと言われましてもw)。

 

2020年12月22日 (火)

孔雀石(埼玉県秩父市秩父鉱山)

Malachite Cu2(CO3)(OH)2 炭酸塩鉱物等

 

Malachite_chichibum_01

Malachite_chichibum_03

 

秩父鉱山(渦の沢)の孔雀石です。特に面白いものを選んで。秩父鉱山とひとくちで言っても、その範囲はかなり広く、他のポイントではあまり見かけないのですが、渦の沢では孔雀石がついた石がちらほらと見られます。ここは中津川沿いでバス停のあるもっとも奥、森林科学館のすぐそばなので、秩父鉱山で一番行きやすいポイントのひとつですが、見つかる鉱物種は割と限られるみたいです。緑簾石や閃亜鉛鉱、磁鉄鉱などは、結構立派なものがありますね。

1枚目は、緑簾石の結晶が絹糸状の孔雀石に包まれています。周りの黒いのは閃亜鉛鉱かな?

あんまり珍しいものはないといいつつも、さすが秩父鉱山、もし他の場所でこれが見つかったらすごく嬉しいところですが、秩父では、まあこんなもんかな、ですんでしまう。。。

2枚目は丸く成長した孔雀石。層状に成長したさまがよく見えます。

海外では、建築建材として使われるくらいに大きな塊が採掘されますが、そういうのは見ても単なる緑の岩って感じで、いまいちつまらない。このくらい小さいほうがありがたみが増すというものですw モース硬度は4弱程度でそんなに硬いものではないので、「宝石」ではありませんが、装飾品、顔料として広く使われてきました。割とどこでもあるし、珍しいものでもないのですが、やっぱりこの緑色を見つけると、ついつい手にとってしまいます。

古代エジプトの時代から研磨して装飾品にしたりしていたそうですが、自分が孔雀石で一番きれいだと思うのは絹糸状のきらめきであって、磨いてしまったら台無しなんじゃないかとw やっぱり原石のままが一番好きかなぁ。

マラカイトの語源はギリシャ語でμαλαχή 、アオイ科の植物のことらしいです。葉っぱの色にちなんでいるとのことですが、検索して写真を見ても、まあ普通に植物の緑色としかいいようがないですねw 実物を見たわけではないので何ともいえませんが、何か他の植物とは違って孔雀石との共通点があったのでしょうか。。。

孔雀石には時に目玉のような形象が見られます(2枚目の写真も、その系統ですかね)。こういうものは魔除け、邪眼よけとして使われていたかもしれないそうですが、納得のいく話です。モノノケの視線を逸らす魔除けは、相手を見返して視線をさける目玉であったり、視線を一定させないための籠目だったりします。中国や日本の九字、西洋から日本まで見られる五芒星(日本の陰陽道では晴明九字ともいう)なども、その一系統です。北陸などで悪い日に家先に網模様の籠をつるしたりするのもこれで、どうもこの手の魔除け、邪眼よけというのは世界共通なのが面白いですね。

そう考えると、研磨して装飾品にしていたというのは、別に美しさを求めていただけでなく、模様を強調して、魔除けとしての効果を求めたものなのかもしれません(そうだとしたら台無しとかいってすいませんw)。自然に産する不思議な緑の目玉など、魔除けにぴったりな感じです。

まあ邪眼の力をなめるなよってことでw

 

2020年11月30日 (月)

コーリンガ石(群馬県藤岡市八塩鉱山)

Coalingite Mg10Fe3+2(CO3)(OH)24・2H2O 炭酸塩鉱物等

 

Coalingite_yashiom_01

Coalingite_yashiom_02

 

群馬県、三波川近くの八塩鉱山のコーリンガ石(赤褐色の部分)だと思います。

ブルース石を含む蛇紋岩の風化によって生成される鉱物で、1年間野外にそれを置いておくと、コーリンガ石ができるそうです(堀秀道『楽しい鉱物図鑑②』草思社、1997)。うちの庭のズリに置いておいて、実験してみますかね。

どちらの写真も上部に青緑の部分があり、これがブルース石ではないかと思います。八塩鉱山の石の多くは、半透明・青緑のきれいな部分がついてますが、全部ブルース石なのかな?

特に2枚目の写真は、青緑を含む上部(ピントがあってないところ)は採集した時割って出てきた面で、コーリンガ石がついているのは露出していた表面のみでした。ズリに転がっているうちに、コーリンガ石になってしまったんですね。黒い粒々は、クロム鉄鉱だと思います。

上記の本にも書いてありますが、たった1年で違う種類になってしまうとは、なんとまあいそがしい鉱物ですねw(マンガン系もそうですが)

コーリンガ石には、大気中の炭酸ガスを吸収する作用があります。二酸化炭素は現在ではなにやら大変な悪者的扱いになってしまっていますが、地球上に普通に存在する、絶対に必要なものでもあります。実際に炭酸ガスが増えているのか、それを原因とした影響がはっきり現れているのか、それが人間の活動によるものなのか、ということは別として、冷静に考えることが必要かなと思います(正直にいうと、政治的影響が大きすぎて、どの立場の話もそっくりそのまま信用していいのかどうか疑問を感じないでもないこともなくはないこともない←態度を明確にできないということを表現していますよw)。

 

カリフォルニア州のコーリンガ近くの蛇紋岩のアスベスト鉱床で最初に発見(報告)されたことから、この名前がつきました。ネットや本で調べると、コーリンガ石とコーリング石2種類の表記があったので、どっちがいいのだろうと調べていたら、以下のような事情があることが分かりました。

元々はコーリングという地名だったようですが、サザン・パシフィック鉄道(Southern Pacific Railroad)の駅Coaling Station Aという表記を省略してCoaling Aと書いていたのが定着して、コーリンガ(Coalinga)になってしまったようです。だからまあ、どっちでもいいのかなw(Coalingiteに「a」は入ってないですし)