○神奈川県

2020年7月12日 (日)

柱状節理〈1〉(神奈川県足柄下郡新崎川流域)

Columnar jointing

 

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岩の分類を追加します。

柱状節理は大好きで、いろいろ見てきましたが、この滝は一番のお気に入りです。新崎川上流の中尾沢F2になります。10年くらい前から、毎年年末~新年に一度お参りみたいな感じで訪れていましたが、2年位前、沢がひどく荒れて経路がわかりにくく、ちょっと危ない感じになりました。それ以来、ちょっと足が遠のいているのですが、最近はどうなっているのか。。。

滝としてはそんなに大きいものではないのですが、美しさという点では、これに勝る滝を見たことはありません。ちょうど南向きの沢なので、日の光がよく当たり、細かいしぶきがきらめくさまは見ていて飽きません。

中尾沢を遡行し、F1(時間によってはよく虹が出ている)の左を巻いてよじ登ると、いきなり目の前に現れます。さらに右岸の小尾根を伝って、落ち口に登ることもできます。ちゃんとした登山道などはありません。この辺は、地形図に道として描かれていても実際にはもう跡形もないものも多いです。箱根周辺のハコネダケ(ササ)のヤブは、通行不可能といっていいので、あまりうろちょろできないのですが。。。(このあたりで、わずか数十メートル程度のヤブが越えられず、撤退したことがありますw)

 

柱状節理は、溶岩が岩になり、さらに冷えていく過程で収縮するために4~7角形に規則正しく割れ目ができて、柱状になったものです。

すべて火山といってよい伊豆にはあちこちに柱状節理が見られ、特に火山から流れた溶岩が沢沿いに流れ、冷やされてできた例が多いようです。冷却面に垂直に柱ができるので、ここの場合、沢に沿って沢を埋めるように溶岩が流れて固まり、そのあとに上にまた水が流れて崩れていって滝ができたのでしょう。滝の上に登ると、川床に六角形の岩が続いているのが分かります。

ここに行くには湯河原の梅園で有名な幕山から入りますが、幕山で多くのクライマーが練習している岩も柱状節理です。ただその柱状節理は幕山の噴火で流れた溶岩でできていて、写真の柱状節理は、箱根外輪山の白銀山からの溶岩ということになります。

箱根は超有名観光地ですが、あまり知られていないスポットもいくつかあり、人でいっぱいになって欲しくないなあと思ったりしていたり。。。

 

2020年6月22日 (月)

マンガンパンペリー石(神奈川県秦野市水無川流域)

Pumpellyite-(Mn2+) Ca2Mn2+Al2(Si2O7)(SiO4)(OH)2・H2O 珪酸塩鉱物

 

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湘南の海沿いの国道134号線で、渋滞で有名な花水川。水無川はその上流部にあたり、源流は丹沢の塔ノ岳になります。

『神奈川県産鉱物目録』によると、マンガンパンペリー石は、丹沢の高松鉱山においては「微細な柱状結晶の放射状集合からなる塊状物質をなしてカリオピライト・石英などと産する」、大日鉱山においては「微細な柱状結晶の集合からなる淡肉灰色塊状集合をなす。共存する紅簾石より色が淡い」(加藤昭・木島勇著『神奈川県産鉱物目録』神奈川自然誌資料(17)、1996)。

大日鉱山は、水無川の源流近くにあります。薄い肉色で、放射状になっているので、マンガンパンペリー石で間違いないと思いますが、どうでしょうね。色の濃いところは紅簾石のようです。黒いのはブラウン鉱か。

マンガンパンペリー石は、上記の著者加藤昭他によって1981年に発表された日本産の新鉱物で、山梨県の南アルプスの玄関口・芦安近くの落合鉱山で発見されました。なにげに日本では産地がかなり限られている鉱物です。

日本はマンガン鉱物がとても豊富で、欧米の鉱物好きには、輝安鉱などよりも珍しがられるそうです(欧米ではマンガンの産地があまりない)。でも、きれいな結晶になるものも少ないし、見た目地味なものが多いので、見わけもよくつかず、手をつけづらい鉱物種です。自分も、マンガン産地というのは、ほとんど訪れたことはありません。もうちょっと勉強しないとね。

水無川をさかのぼり、本谷沢まで行くと、濃い紫がかったマンガン系と思われる石がたくさん落ちていますが、あんまり意識して見たことはないです。本谷沢・セドノ沢沿いに大日鉱山の鉱山道を下地にした書策(かいさく)新道がありますが、新道といいつつもはや廃道で、道標もなければ、途中で何か所か崩壊してたりもするので、もの好きか沢登りの人しか行かないところです。セドノ沢の道をはずれてすぐのところに、今でも大日鉱山の試掘跡が口を開けているのを見ることができます。

大日鉱山については、詳しくは〇福氏の「丹沢の鉱山跡を探る 3」を参照してください。

 

自分にとっては、本谷沢は、子どものころよく遊びに行った故郷みたいなところです。出合のすぐそばの山小屋にいつも行っていて、小屋のねこやいぬと遊ぶのに飽きると、近くの本谷沢に行って石を拾ったりして遊んでいましたが。。。もしきれいな沸石でも見つけてたら、そのまま石が趣味になってたかもしれないw

その山小屋(仲小屋)はもともと大日鉱山の宿舎で、北村政次郎氏が譲り受けて、山小屋にしました(当時は名前など知らず、おじいと呼んでいた)。小屋そのものは、まだ結構しっかりと残っていますが、もう当時の記憶がある人も、ずいぶん少なくなってきたんじゃないでしょうか。

今では、政次郎氏が道をつけた、小屋の裏手からの尾根を政次郎尾根、表尾根に登りつめた小ピークを政次郎の頭と言うようになりました。地名になっちゃったねぇw 今思うに、もともと大日鉱山で働いていたのかもしれませんが、自分が子どものころに亡くなったので、確かめるすべはありません。

 

2020年6月12日 (金)

緑簾石(神奈川県山北町酒匂川流域)

Epidote Ca2(Al2Fe3+)[Si2O7][SiO4]O(OH) 珪酸塩鉱物

 

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小さいけれども、宝石みたいに美しい緑簾石の結晶。

写真だと、どうしても実体顕微鏡で見る美しさが出せません。

鉱物的には、丹沢といえば玄倉の塩素燐灰石だったようですが、今では丹沢を代表するのは緑簾石ではないかと思います。

丹沢の色って、個人的には白と緑なんですよね。中心の深成岩地域の、白ザレと緑のコケのコントラストの美しさは、他にない魅力だと思います。だからというわけではないですが、白いトーナル岩と緑の緑簾石をイメージしたのかもしれない。

 

丹沢(神奈川側)の地質話など、いくつか。(ハタチガ沢以外は、お手軽なところばかりです)

寄(やどろぎ)から雨山峠に登るとき、コシバ沢を越えて雨山沢に入りちょっと歩くと、急に沢の中が明るくなります。地味な色の丹沢層と、真っ白なトーナル岩域の境界が、はっきりわかります。また寄大橋から雨山峠登山口に行く道の脇に、海の中で溶岩が噴き出した、枕状溶岩があります(看板がついてた)。

白石峠に登る道や、白石峠から加入道山に登る稜線上の、真っ白だったり桃色がかったきれいな晶質石灰岩(大理石)は、誰でも気づくでしょうね。あんな贅沢な道はそうそうないかもしれない。

表尾根の行者岳の鎖場は、すべすべの緑で薄くコーティングされたきれいな岩ですが、あれは透輝石かな?(緑簾石? 大日鉱山あたりではどちらもあるようですが) 休日になるとものすごい人で行列ができるらしいですが(そういう時は行かないw)、おそらくほとんどの人は気づかず踏みつけてると思います。順番を待つ間に、ちょっと汚れをごしごし拭き取ってみると、きっとそのきれいさにびっくりすると思います。同じものは、不老山から湯船山あたりの稜線や駿河小山側の沢でも見かけます。

煤ヶ谷から物見峠に行く道や、大山三峰の稜線を歩くとき、青っぽい緑のきれいな石がたくさん落ちてるのを見ることができます。これはセラドン石といって、まだ丹沢のあたりが海の中にあったころ(ちょうど今の伊豆諸島と同じ状態)、噴火した火山の噴出物が海中に積もってできた石です。古代の人は、これで飾り物を作ったりしたそうです(東海の翡翠、みたいな立ち位置?)。

同じ地域、宮ヶ瀬の鍋嵐のそば、ハタチガ沢の源流近くに、俗に「柱状節理の滝」といわれている涸れ滝があります。でもこれは柱状節理ではなく、本来は地面に水平であるべき緑色凝灰岩(グリーンタフ)の地層が、丹沢の隆起を起こした地殻変動によって垂直に立ってしまったものだと思います。いずれにせよ壮観ですが、行くのは結構大変なので自己責任で(地形が険しいだけでなく、水の木と並んで丹沢でもっともクマが多い地域です)。

やはり同じ地域、土山峠から宮ヶ瀬尾根側に入る林道をしばらく行くと、橋の脇の崖に、非常に立派なたまねぎ状構造が見られます(たまねぎ状構造は、そのうちこのブログで取り上げるつもり)。

世附川周辺は、以前も取り上げましたが、鉱山跡がいくつもあります。そのうち一番手軽に見られるのは、浅瀬から世附林道をしばらく歩いていくと芦沢橋で世附川を渡りますが、橋のすぐ下流右岸側の「焼け」た崖にぽっかり開いた坑です。名前は分かりません。試掘跡ではないかと思います。世附川のもっと上流、土沢出合あたりでは、黄銅鉱、黄鉄鉱を多く含んだ鉱石も、割とごろごろ落ちています。

 

こう見ても、やっぱり白と緑が多いですね。

でも、丹沢でも場所によっては孔雀石とか珪孔雀石があったりするので、もしかしたら大好きな青い銅の二次鉱物があるんじゃないかと期待してるんですが。。。いつか見つけてみたいですね。

 

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丹沢、同角沢・遺言棚の落ち口。

 

2020年5月 4日 (月)

白雲母(神奈川県山北町世附川流域)

Muscovite KAl2(Si3Al)O10(OH)2 珪酸塩鉱物

 

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世附川大又沢流域で拾った石。

白雲母か真珠雲母だと思うのですが、わかりません。肉眼だと銀色に見えるけれど、顕微鏡で見ると銀色なわけではなく透明で、輝きがとても強いので銀色に見えるのだとわかりました。

同じ場所(沢)で方解石が割と見られ、この雲母がついている石も真っ白でUVライトで見るとほの赤く光るので、カルシウム成分が多いのだろうということで、真珠雲母かも?

でもここには赤褐色の柘榴石もあって、どうやら上流域に、有名な世附権現山細川谷の柘榴石を含む流紋岩脈の続きがあるみたい。とすると、これは鉄礬柘榴石か? 本を見ると白雲母の共生鉱物として鉄礬柘榴石と書いてあるので、白雲母かも? それとも関係ない? この白雲母?と柘榴石が一緒についている石もあるのですが、その柘榴石は色がちょっとオレンジで、鉄礬柘榴石っぽくないんですよね。実際、細川谷の柘榴石は、鉄礬ザクロ石と満礬ザクロ石の2種類あるらしいし。。。

まあ素人考えなので、まったくわかりませんし、こういう時は大抵ありふれた鉱物のほうなので、白雲母としました。

いずれにしても、輝きの強いきれいなものです。

 

丹沢の大又沢は、神奈川側からだと、浅瀬から大又沢林道をずーっと歩いて行くか、中川の上の原から二本杉峠を越えて行くかの二択になりますが、長い林道歩き、あるいは山越え(しかも途中廃道か道のない尾根歩き含む)と、どっちも結構大変です。それでも行く最大の魅力のひとつは、人が少ないことでしょう。ひとりでも他の登山者、釣りの人に会うと、今日はちょっと混んでた、と感じますw

地質的にも丹沢層~トーナル岩層、地蔵平から富士見峠周辺のどこかには火山があったらしいですし(これが丹沢ザクロ石流紋岩のもと)、北の最奥部には多分ペグマタイトがあるはず。はでな鉱物はそうそうありませんが、おもしろい地域です。

ちょっと前、法行沢に行ったとき、初めて見る工法の新しい木製谷止工がありました。令和元年作なので、もしかしたら昨年の台風の後に作られたものかもしれません。下手なアートなんかより、よほど芸術。特に木製のものは、他にもすばらしい「作品」がいくつか見られます。こういうのを見るのも楽しみのひとつですね。

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2020年4月23日 (木)

方解石?(神奈川県山北町世附川流域)

Calcite Ca(CO3) 炭酸塩鉱物等

 

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神奈川県の西丹沢の沢で拾った石です。

一般的に西丹沢というと、中川の流域、畔が丸、檜洞丸あたりまで含めた地域のことを指すことが多いようです。でもこれだと、畔が丸以西の大又沢、水の木周辺が仲間外れになってる感が強いので、個人的にはちょっと違和感を覚えます。

自分としては、中川を境界にして、その西側、畔が丸から三国山(世附川流域)を越え籠坂峠までが西丹沢というイメージがあります。檜洞丸、蛭が岳あたりは、中央丹沢という感じ(玄倉川流域)。

この石を拾ったのは、世附川の支流の沢です(塔ノ岳亜層群になるのかな?)。水が流れたあとが真っ白になっている沢で、もう見るからに何かありそうな雰囲気。

実際、中流あたりに古い試掘の跡と思われる孔があります(丹沢の鉱山跡について詳しい〇福さんの「丹沢を探る」にも出ていない)。この周辺は、いくつか鉱山跡もあり、それらの時代に掘られたものかもしれません。さらにこのあたりは、大正から昭和初期に、後醍醐天皇のお宝がどこかに埋まっているという噂が流れ、あちこち掘り返されたこともあったようですが、そういう宝さがしのあとではないでしょう。

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沢には黄鉄鉱、黄銅鉱を含む石が多く(目に見えるような自形結晶はない)、その周辺では今ではかけらも見つからない鎌田鉱山はこんな感じだったんじゃないか、と思わされます。

鎌田鉱山も、すごい金の含有率だったという話もあり、黄鉄鉱黄銅鉱しか出なかったという証言もあったり、何だか謎です。今も、土砂に埋もれつつある塞がれた坑道口が見られますが、ズリらしきものはまったくありません。森林軌道沿いにあったので、すべて軌道で運び出してしまったのかも?

 

写真の石ですが、多分、鍾乳石状になった方解石ではないかと思うのですが、どうでしょうね。。。

玉髄もこんな形になることもあるらしいし、沸石も丹沢に多いですが、ちょっと違うっぽいし、沢の流れたあとが真っ白になっているのは、石灰岩が多いためかもしれないと考えると、方解石のような気がします。

顕微鏡でしか見えないような小さなものは、硬さも調べられないし、薬品を使ったりしたらすべて溶けて消えそうなので、なかなか調べようがありませんね。