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▽珪酸塩鉱物

2021年10月17日 (日)

沸石(千葉県南房総市平久里川流域)2

方沸石 Analcime Na(AlSi2O6)・H2O 珪酸塩鉱物

トムソン沸石 Thomsonite-Ca NaCa2Al5Si5O20・6H2O 珪酸塩鉱物

 

千葉県平久里(荒川)の沸石類、続きです。

(前回はソーダ沸石 沸石(千葉県南房総市平久里川流域)2

 

Analcime_heguri_01

Analcime_heguri_02

 

片側が押しつぶされたような、左右対称の幅の広い菱形が見えるので、方沸石の偏菱24面体の結晶だと思います。この面の形を凧型といったりしますね。西洋凧の形です。ザクロ石もこの形をとるものが多いです。

写真では判別しにくいのですが、白くてちょっと濁ったような光沢のものと、透明度が高くて少し青っぽい光沢のものがまじりあっています。2枚目の写真で、ところどころ天地左右が対称の幅の狭い菱形の光が見えるので、多分青っぽい透明なものは魚眼石ではないかと思うんですがどうでしょうか。。。

方沸石は長石に近い性質を持っていて、準長石という扱いをされることもあるそうです。分類の境界線上にある感じでしょうか。準長石とは、長石に似ているが、長石よりも珪酸分が少ない鉱物のグループで、石英とは共存しないそうです。確かに平久里では石英って見ないですね。。。石英ができるほど珪酸分が多ければ、方沸石ではなく長石ができるとか。

準長石には、他には霞石や白榴石などがありましたが、白榴石は現在では沸石に分類されています。白榴石というのはあまり聞かないですが、日本での産出は(まだ)確認されていないようです。結晶形は偏菱24面体で方沸石やザクロ石と同じですが、実際に見たことはないです。

 

Thomsonite_heguri_01

 

3枚目の写真は、上部に方沸石が、下部に柱状の結晶が見えます。ソーダ沸石にも似ているのですが、断面が正方形ではなく長方形、ちょっと厚めの板状になっていて、トムソン沸石ではないかと思います。平久里では、これが母岩にへばりつくようにびっしりついているのをよく見かけますね。

 

Thomsonite_heguri_02

 

こちらもトムソン沸石の、球状の集合体ではないかと思います。トムソン沸石というと、むしろこういう集合した姿のほうが一般的かもしれません。「トムソン沸石」で画像検索すると、板状結晶の写真はほとんど出てこず、球状集合ばかりです。断面がどうなっているのか、切ってみたいですね(まあ画像検索すればそういうのも出てきますけど)。

トムソン沸石のグループにはCaを含んだ灰トムソン沸石と、Stを含んだストロンチウムトムソン沸石の2種類があります。日本で産出するトムソン沸石のほとんどは灰トムソン沸石なので、わざわざ「灰」はつけないことが多いようです。

 

2021年10月 2日 (土)

沸石(千葉県南房総市平久里川流域)1

ソーダ沸石 Natrolite Na2(Si3Al2)O10・2H2O 珪酸塩鉱物

 

Natrolite_heguri_01

Natrolite_heguri_02

 

千葉県平久里のソーダ沸石です。

晶洞の中にきれいな四角柱状の結晶がひしめいているのですが、狭い隙間からのぞき込むようにしか見ることができません。とても怖くて割ったり入口を広げたりできないw がんばればがんばっただけ失敗して、すべて粉々になりそう。もっとらんとです、わたし。。。(ネガティブ・スパイラル)

でもそのおかげで、石を割った衝撃にも耐えて、きれいなままの結晶が残されたんだから、まあよかった。ちゃんと見れないけどね。

平久里で見られる鉱物は、沸石各種、方解石、ペクトライト、魚眼石、ゾノトラ石、トベルモリー石等々、みんな白や無色(透明)なものばかりで、結晶形がはっきりしていないものは、正直どれがどれやらちょっと自信ないです。また、その色のせいで、写真を撮るのがすごく難しい。。。

でも、これだけいろんな鉱物があるのに、千葉県は昔は「石なし県」と揶揄されていたとか。正直、神奈川なんてもっとないような気もしますが。。。鉱物的にいえば、やっぱり目立つ大きさの水晶がなかったことがそのゆえんでしょうか。鋸山をはじめ、採石場はたくさんあるし、やわい凝灰岩を手掘りした(廃)隧道も無数にあります。石そのものはいっぱいあるんですよね。2020年には、とうとうチバニアンなんて地質年代の名称までつけられて、すっかり日本の地質学の中心のような存在にまで成り上りました。

ところで、千葉の採石場でネット検索したら、ロケ用採石場の紹介ページが出てきました。これってやっぱあれ? 特撮ものとかで火薬使用する戦闘シーンって必ず採石場跡みたいなところでやってたけど、それですよねぇw

 

ソーダとはナトリウムのこと。だから、ソーダ沸石は、ほぼNatrolite(ナトリウム石)の直訳ということになりますね。鉱物には「lite」の語尾を持つ名前が多いですが、ギリシャ語のリトス=石がその語源です。観葉植物としてよく売られている、多肉植物のリトープスというのも、そのまるで石のような見かけからきています。

西欧の言葉の語源の多くがギリシャ語なのを見ると、やはりそっちの勉強をするならギリシャ語って必須なんですかねぇ。

日本の歴史・古典を知りたいのなら、漢学の知識が必須だと自分は考えていますが、それと同じような関係性にあるのかな。日本の古典や江戸の大衆文学など読むと、わざわざその断りなどもなく、ごく当たり前に中国の歴史や逸話などが下地にされていて、ようするにそういう知識は誰でも知っているのが当然だったんだなと思います。

最近高校で漢文など必要ないという声もちょこちょこ聞かれます。でも日本に住んで日本語を母語としているんだから、やっぱり昔から基礎知識とされていた漢学は必要なんじゃないかなぁ。別に中国語を勉強したり、白文を読めるようになる必要はないし。自国の古典を読めない、理解できないというのは、やっぱりちょっとね。。。シェークスピアを知らないイギリス人や、ゲーテを知らないドイツ人がいたら、「え、知らんのwww」ってなるでしょ? 源氏物語を知らない日本人がいたら、やっぱり外からそう思われてるってことに。別にマンガでしか知らなくても全然いいんです。自分だって原文で源氏物語なんて理解できないんだから(とはいいつつ、やっぱりそれは情けないことなんだと思うけれども)。

学問って表面だけさらっと流しても、面白さは見えてこないですよねぇ。ある程度深いところを見て、ああこれとあれ(同じ学科だとは限らない)は全然関係なさそうだけど、実は根っこは同じだったんだなぁ、と気づくところから、面白くなってくるものだと思います。できれば広い範囲を学ぶ学生のうちに、できるだけ幅広く見渡したほうがいいんでしょうね。学校を卒業してからだって、別に勉強はいくらでもできるけど、時間がなくなるので。。。

ところで、最近若い人はよく「気づきがある」みたいな言い方をするようですが、自分はこれがすごく違和感があります。自分が若いころはこんな言い回しはなくて、「気づき」は動詞としてしか使わなかったと思う。でも最近気づいたのですが、こういう言い回しって、最近の教育関係の文章、学習指導要領なんかにやたらと出てくるんですね。自分のころは今のアクティブ・ラーニングなんてものもなかったし、最近の学校ではどういう授業をしているのか、とても興味があります。

もう一度、中学高校からやり直してみたいなぁw

 

2021年9月 5日 (日)

翠銅鉱?(茨城県城里町錫高野)

Dioptase? CuSiO3・H2O 珪酸塩鉱物

 

Dioptase_suzukoya_01

 

錫高野の、稜線そばのズリで見つけました。囲われている崩れた坑口のそばのズリです。ここはよくトパズや、孔雀石なども見つかるところで、面白いんですよねぇ。

まるでペンキを塗ったかのような光沢をした鮮やかなシアンの鉱物で、ぱっと見、これは何だ!と目を奪われます。濃い緑の部分は、ブロシャン銅鉱のように見えます(写真には出ていないが、他にもちょっと違う色合いの水色の部分がある。)。

色的にも銅の二次鉱物だし、水亜鉛銅鉱か変わった形の珪孔雀石かなあ? と思って、希塩酸をかけてみてもまったく何の反応もしないし(多くの銅の二次鉱物は反応する。水亜鉛銅鉱や孔雀石なら泡立つ)、非常にきれいで目立つものであるにもかかわらず、一体なんなのか、全然分からなかったんですよね(濃い緑の部分は希塩酸で溶け、水色の部分は溶けずに色が抜けて白くなる)。一見もろそうなんですが(銅の二次鉱物はもろいものが多い)、いざ削ってみようとすると思ったより硬く、裁縫用の針でもほとんど削りとれません。

でも最近ネット上で、伊豆の河津鉱山で採集したという、翠銅鉱の写真を見つけました。不明鉱物として持ち込まれたものを分析したら翠銅鉱だったという話らしい。

翠銅鉱 東京大学物性研究所 電子顕微鏡室/Electron Microscope Section マクロ写真館 日本の鉱物

これ、まったく同じものに見えませんか? 外形も、色も、そっくりそのままに見える。

翠銅鉱ならば、希塩酸でなんの反応もなかったというのもわかります。組成としても、ここにあるものばかりで、妙な元素が必要というわけでもないので、まあおかしくはないといってもいいかな。。。モース硬度も5なので、結構硬めなのもうなずける。

ということで、(?)付きではあるけれども、「翠銅鉱」として、ここにも載せてしまいます。

普通の(海外産標本の)翠銅鉱とは、もう色も結晶形もまるで違いますね。普通翠銅鉱というと、エメラルドグリーンの透明感のある結晶で(実際昔はエメラルドと間違えられたらしい)、硬度こそ宝石とするには低いものの、非常にうつくしい鉱物です。もしこれが実際に翠銅鉱だとしても、目で見てわかるわけないですよね。。。Dioptaseで検索しても、このような見た目の翠銅鉱は、上記のサイトの写真1枚以外はまったく出てきません。

日本で産出するところはどうやらほとんど知られていないようです。調べられたのは、結局上記サイトの河津鉱山と、島根の銅ヶ丸鉱山だけでした。これは多分海外産との見かけの差異によるものではないでしょうか。売られているきれいな結晶と全然違うものを見つけても、分析しないと翠銅鉱だとは分からないですし、大学の研究室のようなところでない限り、分析なんてできませんから。。。実際には、結構あるのかもしれません。主に銅鉱床の酸化帯で生成されるということで、孔雀石や珪孔雀石があるところには、まれにあるのかも? どのような条件の違いで、同じ材料から違う鉱物が生成されるのか、詳しいことは自分にはよくわかりません。

先ほども書いたとおり、はじめはエメラルドと間違えられていましたが、エメラルドと違って劈開があります。1797年、フランスの鉱物学者アユイによって、劈開面の可視性を意味して、ギリシャ語の「~を通して」を意味する「dia」と、「見ること」を意味する「optasia」から命名されました。

劈開面のクラックが透けて光を反射し、きらきらきれいなのだそうですが、写真のものはそれを彷彿とさせるようなところはありません。日本のどこかに、海外産のようなきれいなDioptaseはないもんでしょうかね。。。

 

2021年8月 2日 (月)

褐簾石(山梨県甲州市大菩薩峠)

Allanite-(Ce) CaCe(Al2Fe2+)[Si2O7][SiO4]O(OH) 珪酸塩鉱物

 

Allanitece_daibosatsu_01

Allanitece_daibosatsu_02

 

有名な、大菩薩峠近くの褐簾石です。

モース硬度5.5~6と硬いのだけれども、かなりもろいですね。もっときれいな結晶もあったのですが、母岩が大きかったのでちょっと割って小さくしようとかなり優しく叩いたら、気づいたらどっかに飛んで行ってしまってました。。。(あるある)

山中ではあってもアプローチがしやすい産地で、人はかなり入っているようで、結局見つけられた一番きれいなのが写真のもの。露頭はどこだかわかりませんでした。ハンマーやルーペの忘れ物もあった。

この産地は駐車場から大菩薩峠に登る途中の沢ですが、石丸峠に向かう登山道途中の沢でもちょくちょくペグマタイトは散見されたので、探せば他にも何か所かあるんでしょう。

褐簾石のほかには、うっすらと緑~青がかったような長石があって、これがなかなかきれいです。アマゾナイトというほどのものではないけれど、時々ふもとの裂石あたりでも見つかるのと同じものかな。

褐簾石は名前のとおり緑簾石の仲間で、レアアース(希土類元素)を多く含んでいます。化学式の(Ce)とは、レアアースのセリウムのことです。ほかにはランタン(La)、ネオジム(Nd)、イットリウム(Y)などの種類がありますが、日本で産出する褐簾石のほとんどはセリウムを含む、Allanite-(Ce)です。ここの褐簾石もセリウム褐簾石であるといいます。

2013(平成25)年に日本の伊勢で発見され承認された新鉱物として、褐簾石の仲間のランタンバナジウム褐簾石(Vanadoallanite-(La))があります。太平洋日本近海の海底にはレアアースが大量に存在するらしいのですが、それが何百、何千万年かけて日本に付加した結果の姿が、このランタンバナジウム褐簾石ということになりますね。

 

大菩薩峠はハイキングでも「超」のつく人気の場所なので、人出、駐車場の混み方も超一級です(冬は林道が閉鎖されるので、かなり長い距離を歩かないといけません。人が少なくていいかも?)。大菩薩峠自体は特に面白い峠でもないけれど(中里介山の小説『大菩薩峠』を読んだことのある人っているの?w)、個人的には、人ががくんと減る石丸峠がおすすめです。石丸峠から南の小金沢山、黒岳周辺は、奥秩父を思わせる森、開けて気持ちの良い草原と、お気に入りの山域。鉱物的にも、本沢鉱山、湯の沢鉱山などがあって、興味深いですね。ローマ字にすると日本でもっとも長い名前であるらしい牛奥ノ雁ヶ腹摺山(Ushiokunogangaharazuriyama)もここです。さらに南に下れば、笹子峠を通って御坂山地。

大菩薩嶺から北に向かえば、柳沢峠、黒川鶏冠山と、鉱物がらみで知られた地域。さらに北に向かうと笠取山、雁峠(「雁」のつく地名が多いいですよねぇ、このへん)。その途中にある石保戸山は、名前的には昔は鉱山等があったのではないかという気もするのですが、どうなんでしょうか(石保戸山とは金銀鉱石を産む山という意味ではないかと思う)。

この周辺すべて、もっと南の御坂から甲武信岳周辺まで、甲府の花崗岩体が続いていて、山としても魅力的な、山梨でもっとも興味深い地域です(昇仙峡とか乙女鉱山とかその辺は、自分にとって存在しないも同然なので、興味なし)。

 

Ishimarutoge_01

石丸峠付近から、小金沢山と富士山。左はしは雁ヶ腹摺山。

 

2021年7月25日 (日)

鉄電気石(茨城県北茨城市華川町花園)

Schorl NaFe2+3Al6(Si6O18)(BO3)3(OH)3(OH) 珪酸塩鉱物

 

Schorl_hanazono_01

Schorl_hanazono_02

Schorl_hanazono_03

 

花園の鉄電気石です。色がなんか苦土電気石っぽい感じですが、鉄以外の成分がちょっと混じっているせいでしょうか? 3枚目の写真のように真っ黒い部分もありますし、花園で産出するのは鉄電気石という情報しかないので、まあそうなのでしょう。

採集したのは、松原聰『鉱物観察ガイド』(東海大学出版会)の花園の章に紹介されている「峠下橋」という地点だろうと思います。なにしろ川に釣り人が多くて、人のいない大分下流で渡渉せざるをえず、ヤブっぽい山の中を進んでいったので、思ったよりたどり着くのに苦労しました。鉈でもあればよかった。でも、今まで見つけた電気石の中でもかなり立派なものだったので、行った甲斐はあったかな、かな?

部分的に母岩に放射状になってついているので、見つけた時は、泥がついていて紅柱石みたいにも見えたんですが、残念、違った。。。結局はっきりと紅柱石といえるものは見つけられませんでした。

 

トルマリンというと、健康にいいというトルマリンを使った商品の数々を思い出します。

なぜ体にいいと言われるのか調べてみると、マイナスイオンの発生、表面電荷の発生、ミネラル分の溶出、熱の発生などの効果があるといいます。マイナスイオンというのはよく言われますが、よくわかりません。森林とか、沢などでも出ていて、それが人間の精神や健康によいとかいわれます。とりあえず体にいいことにして商品の広告にしてたら、うまく世に広まってしまった例のようにも思えます。夏の土用の丑の日にうなぎを食べるみたいな?(うなぎの旬は冬。平賀源内のせいで、旬にはあまりお店で売っていないという本末転倒なことになってしまったw)

こういうのが科学的に正しいとか間違っているというのは、よくわかりません。科学って、現実にうまく則している考えを煉瓦のように積み重ねて作られた体系だと思うので、そもそも科学でうまく説明のついていないものごとは、まだ「科学」を判断基準にするべきレベルのものごとではない、と思うのです。最近は「科学的根拠に基づいた」という言葉がなんとも容易く印籠のように使われることが多く、その言葉を使うだけで、まるで本当みたいに思えてくる魔法の言葉になっていますね。なので、逆に若干のインチキ感すら漂わせてしまう始末。

実際のところ、トルマリンが健康にいいと根拠なく信じこんで身につけている人と、そんなのはうそだとバカにしている人がいたとして、そのどちらか、より健康に長生きした方が正しい、とか、その程度のレベルの話でしかないんじゃないか(実際にどちらがより健康であったかなんて客観的な判断は不可能)。統計をとって有意差がみられるとかそんなのは、現実の人間の通常の生活には関係ないのであって、知り合いがそうだったとか、話に聞いたとか、結局そういう個人的な見方こそが、人間にとっては本当に重要なことなんじゃないかという気すらしてきます(低い可能性をひいた人に、それは統計的に可能性は低いのだといっても、何ら実用性はない)。

もし疑いなく重要であることがあるとしたら、それは個人の生存と種の繁栄・保存にどれだけ有用であるか、という一点ではないか。生命にとって、その一点のみが最大・唯一の価値なんじゃないか。そうならば、「科学的根拠がない」トルマリンの効用を信じて身につけるというのも、意味があることになる。特に身につけることによる害がないのなら、そう信じている人にとっては、身につけないことより身につけることのほうが個人の生存には有用だと考えられるから。

 

ああ何だかしょうもないことを書きつらねてしまった気がするw

ちなみに自分にとって鉱物を探すのは、個人の生存にとって非常に有用です。つねに何かに集中して興味をもっていないと死んでしまうから。種の保存に有用かどうかはわからないw

 

2021年7月10日 (土)

灰礬柘榴石(埼玉県秩父市秩父鉱山)

Grossular Ca3Al2(SiO4)3 珪酸塩鉱物

 

Grossular_chichibum_02

Grossular_chichibum_01

Grossular_chichibum_03

 

たまには見栄えのいいものを。

秩父鉱山橋掛沢の灰礬柘榴石です。

ここでは、基本飴色をしたものが多いようですが、3枚目のように透明なものもちらほらと見られます。同所ではベスブ石も産するのですが、柘榴石と色も形も似ていて、正直どっちがどっちか自信ないんですよねぇ。。。ベスブ石のほうがもうちょっと緑が混じった感じの色になるのかな。。。でも灰礬柘榴石といっても、産地によっていろいろな色のものがあるのがややこしいところ(まあ鉱物って他のものもそういうの多いですが)。

他の成分が混じっておらず、理想的な組成、つまりほぼCaAlSiOの3種だけでできたものほど無色透明です。クロムが混じれば緑がかり、マンガンが混じればピンク、1、2枚目のような飴色は、酸化した鉄分による色でしょうかね?

でも、Grossularという名前は、セイヨウスグリ(グーズベリー、ラテン語でgrossularium)という植物の名前に由来します。多分その透明感のある黄緑色の実からきているのだろうと思います(1808年ドイツのヴェルナーによる命名)。ちなみにヴェルナーは1803年にまずこの石にKanelsteinという名前をつけています。意味はシナモンストーン。こちらはシナモンの茶色からきているのでしょう。いろんな色があり得る鉱物を、色から名前を付けるのはどうやらやめたほうがいいみたいですねw

 

橋掛沢は両神山から流れ出る沢ですが、それにしては産地まで特に危険なところがなく行きやすいので、秩父鉱山の中でも人にすすめやすいところです。訪れる人も多いのかな? 結晶も大きくて肉眼、ルーペだけで十分観察できる立派さ。隣の石灰沢と並んで、秩父鉱山の代表的な産地のひとつといえると思います。

両神山は標高1723mとそんなに高いわけでなく、高さだけでいえば秩父の山の中では前衛のひとつでしかないんですが、その山容が麓からよく見えるために、古くからよく知られていたのでしょう(「名山」となるには、麓から格好よく見えることが第一の条件ではないかと思います)。岩場が多い山の例にもれず、やっぱり修験道の道場として栄えていたようです。開山は奈良時代、役小角による・・・ってどこでも名前が出すぎですね>役行者。修験道の地は、大抵役小角が開山した、来山したという話がついてまわります。まったく困った人だw(安倍晴明、日蓮とともに、日本三大呪術ヒーローといえるw)

イザナギ、イザナミ両神を祀るから両神山になったという説や、日本武尊がこの地を通りすぎるのに八日かかったので「八日見(ようかみ)山」と呼ばれるようになったという説、山上に竜頭神社奥社があり竜神山とも呼ばれていたそうで(『世界大百科事典』平凡社)、そこから漢字があてられた説などいろいろあって、面白いですね。いずれにせよ、古代からよく知られた山だったのでしょう。

実は行ってみたいとずっと思いながら、なぜかまだ登ったことがない山のひとつなんですよねぇ。両神山は百名山のひとつになってしまっているので、人の多いところにはあんまり行く気がしない天邪鬼体質のせいもありますw 北の二子山(方解石で有名ですね)や中津川流域側から見える両神山はとても立派で憧れもあるんですが。。。

 

2021年6月 1日 (火)

くさび石(チタン石)(山梨県道志村道志川流域)

Sphene(Titanite) CaTi(SiO4)O 珪酸塩鉱物

 

Titanite_doshi_01

Titanite_doshi_02

Titanite_doshi_03

 

以前取り上げた道志の長石(長石類(山梨県道志村道志川流域))にくっついていた、小さいけれども美しい結晶。最初に見つけた時は、かなりインパクトがあるその姿に、思わず声が出ました。

よく探すと、あちこちに点在しています。きれいな形の結晶だけど一体なんだろうとちょっと悩みました。1枚目のきれいな形の結晶は、デジタル鉱物図鑑の神奈川山北産の写真とほぼ同じ形。この写真のおかげで、はっきりとくさび石であると確定することができました。色は緑よりの褐色。くさび型が短く寸づまったようなかわいらしい形で、普通のくさび石がとんがってツンツンしてるのと比べるとまろやかな感じで、ちょっと天然ドジっ娘風味を感じます(何を言っているのかわからない)。

輝きが強いし、一瞬、もしかして道志にトパズが? とか夢を見かけましたw 色もなんかそれっぽいですよねぇ。表面についている黒緑は、緑泥石だろうと思います。

2枚目の写真は、角がシャープな結晶が3つ並んでいて、水晶よりも輝きが強く、なかなか目を引く様子です。3枚目の右のものは、確かにくさびのような形ですね。左の結晶は水晶かな? 色合いから、こちらもくさび石のような気もしますが、よくわからない。

以前やはり道志(今回とは違うポイントの産)の長石の上に、石英や緑簾石ではない黄色っぽい透明な結晶がついているのを見て、これはなんだろうと思った記憶がありますが、それもどうやらくさび石だったようです。どうやら道志では割と見られるもよう。

くさび石(スフェーン:Sphene )は、ギリシャ語のσφήνα(sphina)が語源で、シンプルに楔(くさび)のような形からきた名称です。チタン石も、単純にチタンを含んでいるという程度の意味でしょう。モース硬度は5~5.5でそんなに硬いわけではないですが、屈折率が高く、透明度が高いものはダイヤモンドのような輝きがあるために、宝石としても扱われます。一瞬トパズかと思ったのも、この光沢のせいかな? 宝石としては、スフェーンと呼ばれることが多いようです。ただ、立派なものは別として、存在自体はそれほど珍しいものではなく、スカルンやペグマタイトでは割とありふれた鉱物です。

チタンは、地殻中の金属元素としてはアルミニウム、鉄、マグネシウムに次いで多いと考えられていますが、利用できる形で取り出すのが難しいため、人間がチタンを金属として使いだした歴史はそんなに長くありません。チタン鉱石として使われるのはチタン鉄鉱やルチルで、最初にチタン元素が報告されチタンと命名されたのも、この二つの鉱物からでした(1795年、プロイセンのマルティン・ハインリヒ・クラプロートによる)。ギリシャ神話のティーターン(神々により地底に封じ込められた)から命名されました。なかなかいい名前ですが、くさび石のほうがわかりやすいかな?

 

2021年5月 9日 (日)

マンガンパイロスマライト(栃木県日光市足尾町久良沢鉱山)

Pyrosmalite-(Mn) Mn2+8Si6O15(OH,Cl)10 珪酸塩鉱物

 

Pyrosmalitemn_kyurasawam_01

Pyrosmalitemn_kyurasawam_02

Pyrosmalitemn_kyurasawam_03

 

足尾銅山東部の久良沢鉱山で見つけた、マンガンパイロスマライトの結晶。

世界でもかなり稀な鉱物ですが、足尾山地には産出地が何か所か知られていて、特にここ久良沢鉱山では鉱石として採掘するほどだったそうです。マンガンパイロスマライト目的の鉱山は世界でここだけだったみたい。

有名な足尾銅山(備前楯山周辺)は銅の鉱山でしたが、銅山からすぐ南、足尾山地から赤城山東麓にかけてマンガン鉱床が広がっていて、ここや以前紹介した茂倉沢鉱山(バラ輝石鈴木石テフロ石?ロスコー雲母)もそのうちに含まれます。

最初に見つける前は、よく似たバラ輝石とあまり区別がつかないのですが(久良沢鉱山は結晶質のきれいなバラ輝石が多い)、一度見つけてどういうものか分かると見わけがついてきます。現地でルーペだけで判別するのはきついですが、顕微鏡で探せば結構見出せます。さすがに鉱石として採掘していただけはありますね。

それでもきれいな六角板状の結晶を見つけるのはなかなか大変です。というか、採掘していたくせに、ズリから見つかっていいんでしょうかw 普通掘っていた鉱石はズリからほとんど出ないものだと思いますが。。。

一方向への劈開がはっきりしていて、光を反射してまるで雲母のような光沢があります。色はバラ輝石のようなピンクから、鉄分が多くなってくると緑や灰色がかったような色に変化してきます。マンガンより鉄のほうが多くなれば、鉄パイロスマライトとなる。

2枚目の写真はほぼ全画面が結晶の集まった部分なのですが(1枚目は一部を拡大して横から写して結晶の形を見やすくしたもの)、上部はピンク色をしているのが、下になるにつれ、だんだんと白く不透明に変化していっているのがわかると思います。結晶の形は六角板状のままなので、全部マンガンパイロスマライトだと思うんですが、成分の違いでしょうかね。白くなるのはマンガン成分の多寡によるものかなぁ?

 

久良沢鉱山は、足尾駅あたりで渡良瀬川に合流する内ノ篭川の上流・久良沢にあります。沢から山の急斜面を数十メートル登ったところに3つの坑道があり、そこからズリが沢になだれ落ちています。坑道によって、パイロスマライトの鉄分に若干の違いがある、つまり色にも違いが出てくるようですが、自分は坑道の中で採集したわけではないので、確認したわけではありません。

一番上の坑道が一番大きいのですが、ほぼ竪坑なので、これは怖くてとても入る気になりませんねw

坑口まで斜めに登る踏み跡がありますが、下に人がいる際は落石には注意が必要です。沢まで一気に石が転げ落ちる可能性が高い急斜面なので。

 

Kyurasawam_01

一番上の大きな坑道口。ほぼ下を向いて撮影している。

 

2021年5月 5日 (水)

長石類(山梨県道志村道志川流域)(丹沢の地名について1)

Feldspar  珪酸塩鉱物

微斜長石? Microcline K(AlSi3O8) 珪酸塩鉱物

 

Plagioclase_doshi_01

Plagioclase_doshi_03

Plagioclase_doshi_02

 

燐灰石(山梨県道志村道志川流域)と同じ場所で見つけたもの。

結局のところ、ここの長石はなんなんでしょうか。

微斜長石という話を聞いたことがあるのですが、はっきりとしないので、とりあえずタイトルは長石類ということにしておきました。

真ん中に穴があいたような面白い形が目立つ結晶群です。多分双晶を繰り返した結果だと思うのですが、なにやらえらく複雑なパズルのようになっていて、よくわかりません。この辺ではきれいな長石はよく見かけるのですが(林道上に普通に転がったりしている)、こういうのは初めて見ました。

長石の他に、緑泥石、緑簾石、石英(水晶)、あとなんだかよくわからない褐色透明の結晶がついています。

 

以下、マニアックすぎる丹沢の地名のお話。

丹沢には「水晶」のつく地名がいくつかあります。リストにしてみました。すべてが古くからの名称であるとは限らないと思います。小川谷(仲の沢)のような、登山者による愛称、通称みたいなものもあるかも。

〇山
1 水晶沢ノ頭(1278m、白石峠南)

〇沢
2 水晶沢(玄倉川・檜洞沢支流)
3 水晶沢(中川・モロクボ沢支流)
4 水晶沢(世附川・大又沢支流)
5 水晶崩レノ沢(早戸川支流)

〇尾根
6 水晶ノ尾根(蛭ヶ岳北東)
7 水晶カ尾根(室久保川流域)

〇その他
8 水晶平(臼ヶ岳南尾根)
9 水晶橋(三ヶ瀬川東沢)

 

2の水晶沢は、水晶や燐灰石で有名だった沢ですね。今では露頭は崩れてなくなってしまったそうですが、またあらわれる可能性もあります。沢は生き物ですから。でも玄倉林道は長く通行止めになっていて、現在(2021.5)、松田町の寄(やどろぎ)から雨山峠越えがユーシンへの正規の最短ルートです。ふざけた遠さです。通行止めになる前、急にユーシン付近がハイキングの人で賑わうようになってびっくりしたことがありましたが、今では静けさを取り戻していることでしょう。

8の水晶平は、2の水晶沢のすぐそば、ユーシン沢ー檜洞沢の左岸尾根にあたります。名前の由来に関してはわかりませんが、もしかしたら昔水晶が出たのかな? 場所からいって、可能性はありそうですが。。。それとも愛称かな?

5の水晶崩レノ沢の右岸尾根が、6の水晶ノ尾根に該当します。蛭ヶ岳の北東、早戸川の最上流域です。由来はわからず。これも愛称かな?

1の水晶沢ノ頭から神奈川側のモロクボ沢に流下するのが、3の水晶沢。普通に考えれば、沢名から山名がついたということになりますが(「~沢ノ頭」とはその沢の源流のピークという意味)、ここで水晶が出たという話は聞いたことはありません。神奈川側からはとても行きにくい沢です。大きなモロクボ大滝を越えて沢登りしないと、たどり着けません。神奈川側の沢名が山名の由来なのは、ちょっと違和感もありますね。でも水晶沢ノ頭の山梨側(室久保川)には、水晶が出るポイント、水晶を掘ったような跡が残っているところがあります(ペグマタイトだけでなく、場所によっては若干のスカルン鉱物も見られる)。

室久保川流域にあるという7の水晶カ尾根がどこなのか分からないのですが(明治初年のころには水晶を採掘していたそうです〈『道志手帖』Autumn 2018 no.21〉)、自分が思うに水晶沢ノ頭から出ているいくつかの尾根のどれかではなかろうか。むしろ、その尾根から山の名前として山梨側で「水晶ヶ尾山」というような名前がついて、逆にそこから神奈川側で水晶沢という名前がつけられ、現在の水晶沢ノ頭という山名になったのかもしれません。この周辺は、甲斐と相州側で、いろいろこんがらがってしまう地域ですし。。。昔はこのあたりは全部まとめておおざっぱに諸窪山といわれていたと思われます。ちなみに水晶沢ノ頭は、ピークともいえないような、単なる稜線のちょっとした高みにすぎません。

4の大又沢の水晶沢も、場所、名称がちょっとあやふやです。基本的には現在では下の地図のようになっています。

Omatasawamap

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出典:関東森林管理局Webサイト、施業実施計画図(2万分の1) 神奈川4-2地図(林班図)に筆者追記(文字・赤線)
(https://www.rinya.maff.go.jp/kanto/attach/pdf/R20700_keikaku_zumen-144.pdf)

 

このあたりには奥野歩道という道が通っていたのですが(現在は廃道)、以前は東海自然歩道に選定されていたことがあります(1992年まで)。そのころの道標や痕跡がところどころまだ残っていて、水晶沢の隣の戸沢(バケモノ沢)と呼ばれている沢に「水昌沢」という表示がされています。登山者の間ではこの道標は名前も場所も間違っているという認識がほとんどですが、本当にそうなのかな?

この認識は、おそらく松田警察のサイトで以前見ることができた「西丹沢頂稜河川土地名称図」(およびそれをもとにした「西丹沢登山詳細図」)をその根拠としているのだと思います(ちなみに林班図では水晶沢も戸沢も表示はなくバケモノ沢とだけ書いてある。地理院の地形図では下流に大又沢としか書いていない。)。城ヶ尾峠にある環境庁・神奈川県の地図も基本これに沿ったもので、違うのは「水昌沢」の道標だけです。まあこれでは間違っていると思われても仕方ない状況ですが。。。(ちなみに東海自然歩道は開始当初は厚生省、1971年から環境庁・環境省の管轄)。

Ohtakitogekami_map

今も残っている大滝峠上にある東海自然歩道ルート変更のお知らせ。同じものは城ヶ尾峠にもある。

 

神奈川県は、東海自然歩道には相当手間とお金をかけているように思います。他の資料と違うからと、簡単に「水昌沢」という標識を間違いだと決めつけていいものかどうか。なぜわざわざ「水昌」? 単なるミスってありえなくないですか? 場所の間違いはともかく、どうやったら何の意味ももたない「水昌」と間違えて道標を作成するのか、その経緯がまったく思いつかない。。。名前も場所もなにかしらの根拠があったからあえてこの表示にした、と考えることもできます。

ちなみに、水晶沢はちょっとだけ見に行ったことがありますが、ペグマタイトの痕跡は見つけることはできませんでした(下から上まで歩いたわけではない)。昔はペグマタイトの露頭があったのかもしれません。位置的にも戸沢(水昌沢)、バケモノ沢、あるいは赤沢のほうが、甲相国境尾根、道志のペグマタイト点在地域により近く、水晶がありそうな気がします。実際、上流に行くほど、粗粒のトーナル岩が目立って増えてきます。。(ちなみに、シキリ沢や白水沢では小さな水晶を見たことがあります)。

あと、バケモノ沢は、何かを隠そうとして人が近寄らないようにこんな名前がつけられたという噂は聞いたことがw

まだ地蔵平に集落があったころ、そこの子どもたちは水晶沢で水晶を拾って遊んだ、というような記述を以前見た気もするんですが、ネット上に以前あった江戸時代の菰釣山国境紛争や地蔵平についての詳しい記録のページはすでに消滅してしまいました。それを読んだ当時は、まだ鉱物に特に興味なかったからなぁ。。。保存しておけばよかったよ。。。誰か保存してませんか?

ちなみに、このすぐ近く、奥野歩道の先には、武田信玄が小田原を攻めた際に軍営を張ったとされる「信玄平」があります(この場所も文献を見るとちょっとあやしい)。信玄平は甲斐から相模への丹沢山中を抜ける間道・サカセ古道の途中にあります。古くは鎌倉で敗れ甲斐に逃げた新田義興も砦を建てたといわれる歴史ある道です(城ヶ尾の「城」はこのことを指すらしい)。

信玄の通るところ、金銀水晶ありですよw ここを通ったのも、金や水晶の下見を兼ねてたのかも?

 

Suishozawa_01Suishozawa_02

左:大又沢上流の水晶沢。3段20m棚。この上にはまだ行ったことないのだ。巻けるの? 右:戸沢にある「水昌沢」の道標。

 

2021年5月 2日 (日)

氷長石(静岡県河津町河津川流域S鉱山)

Adularia KAlSi3O8 珪酸塩鉱物

 

Adularia_izusm_01

Adularia_izusm_02

 

黄鉄鉱(静岡県河津町河津川流域S鉱山)で書いたのと同じ場所(下のズリ)で見つけたもの。最初同所で多く見られた方解石かとも思いましたが、希塩酸で反応がなかったので、長石だろうと思い形から。。。さらに、ここと同様の伊豆の金銀鉱山である、湯ヶ島、清越、土肥、縄地、河津等でいずれも氷長石が産出するということで、氷長石としました。ここも、金銀(および銅)鉱床ですし。

このブログでも氷長石は以前一度取り上げていますね(氷長石(長野県川上村甲武信鉱山))。

特に1枚目は、晶洞の真ん中に主役という感じで鎮座していて、なかなか趣きがあります。まわりに小さな水晶を従え、ひときわ高く聳える雪をいただいたアルプスの峰のようで、氷長石の名にふさわしい姿だと思います。何となくひんやりしてますしね。

2枚目はもうちょっと透明度が高く、こちらも氷の固まりっぽい感じです。

 

ところで自分はずっと氷長石を「ひょうちょうせき」と読んでいましたが、どうやら「こおりちょうせき」と読むと日本鉱物学会で取り決められたことがあるらしいです。。。でも本によっては索引の「ひ」の項目にあったりするんですよねぇ。まあ確かに「こおりちょうせき」の方が音的にはずっと分かりやすいことは確かですが。

氷長石は正長石の一種で、独立した鉱物種ではありません。分類的には、正長石と微斜長石の中間あたりにあやふやに位置するもののようです。正確には、ヨーロッパアルプスのアデュラ地域に産するものだけを「Adularia」というべきかもしれません。

1830年にドイツの鉱物学者・ブライトハウプト(Johann Friedlich August Breithaupt: 1791-1873)によって、メキシコのヴァレンシアナ鉱山で発見された長石(Valencianite)が、のちに氷長石の一種であるとされました。アデュラの氷長石とは若干違って不透明で、日本の金銀鉱山から産する氷長石の多くは、このValencianiteにあたるといいます(ただ、今ではValencianiteという名前はほとんど使われない)。

細かいことは置いといて、なかなかお気に入りの鉱物です。

 

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