▽珪酸塩鉱物

2020年8月10日 (月)

苦土電気石(長野県茅野市金鶏金山)

Dravite NaMg3Al6(Si6O18)(BO3)3(OH)3(OH) 珪酸塩鉱物

 

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南アルプスの北端・入笠山の、さらに北の山域にある、金鶏金山の苦土電気石です。

ここの苦土電気石は、少量のクロムを含んでいて、透明感のある鮮やかな緑色をしています。珍しいものではなく、特にここでは、白雲母や水晶とともに繊維状、針状でごく普通に見られるものですが、拡大すると透き通った結晶が実に美しいものです。

鉄さびで茶色の皮膜に覆われていることも多いのですが、シュウ酸につければきれいになります。こういう処理はできればやりたくはないのですが、ここで稀に見られるフローレンス石やデュモルチ石などを探すために、いくつかきれいにしてみました。上の1、2枚目の写真などは、そうやってきれいにしたものです。

 

金鶏金山は例によって武田信玄時代の金山のひとつで、この周辺にはいくつも当時の、あるいはその後の鉱山時代の遺構が残っています。下のJR青柳駅から要所に道標までありますし、現地にも説明板が設置されていますが、はたしてどれだけの人が見るのか。。。バイクの人は少々いるようですが、興味ある人いるかなぁ。まあいないよねw

林道沿いなので、軽トラやジムニー等なら楽に現地まで登れると思いますが、うちの車だと無理なので、林道の往復16kmを歩かなければなりません。ショートカットの山道(あるいは尾根等)を通っても、かなり長いです。。。さらに、このあたりの山道は、どうやらオフロード・バイクがよく走っているようで、道が深く掘られてつるつるになっているところもあって、かなり歩きにくい。。。登山者には、見向きもされていない地域で、ヤマレコの記録もほとんどありません(ここの記録は結構参考にしているのですが)。

すぐそばにはろう石山があり、ろう石、苦土(フォイト)電気石、デュモルチ石などが組になっていることが多いことを考えると、金鶏金山でも苦土フォイト電気石がありそうに思うのですが、どうなんでしょうか(デュモルチ石はあるらしい)。

また、ここから直線距離で1kmたらずのところには、向谷鉱山跡もあります。こちらにも行くつもりだったのですが、さらに遠くなるし、金鶏金山が想像以上に面白かったので、行くのをあきらめました。この地域の山の様子も何となく分かったので、下からまっすぐ歩いて登れそうなあてがついたので、またの機会に行ってみたいですね。

 

ところで、最近行ったまったく別の山域なのですが、休業中の山小屋でトタンを抑えている石が白っぽくて気になって見てみたら、ちょっとした水晶がついているのを見つけました。あってもおかしくない地域だし、確かにところどころで石英のかたまりを見つけたのですが、鉱物採集のポイントとしてはまったく話はなく、古い山行の記録を見てもヒントは全然ない(昔の山行記録だと、鉱山の調査をしていたとか、たまに書かれていたりするんですよね)。これは! と思ったのですが、後でそこから1kmも離れていないあたりに武田の金山があったというあやふやな噂があることを知りました。

山梨周辺だと、なんだか武田信玄がすみからすみまで探しつくし、その後追いをしているだけなのか、という気分になりましたw 地質図を見るより、信玄の行動、信玄関連の地域の伝説などを調べたほうがいいような気がしてきます。戦の進軍の際にも、そういうポイントを絡めているように感じることもあります。

信玄なんなんだよw

 

2020年7月25日 (土)

セリウム褐簾石?(山梨県北都留郡丹波山村泉水谷)

Allanite-(Ce) CaCe(Al2Fe2+)[Si2O7][SiO4]O(OH) 珪酸塩鉱物

 

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褐簾石か、鉄電気石か、どちらかだと思うのですが。。。緑は緑簾石、透明なのは石英、不透明な白いのは長石だと思います。

2枚目の写真は、1枚目の左端の、結晶面が出ていると思われる部分の拡大。

採集した場所は、黒川鶏冠山の南を流れる泉水谷の林道の奥、丸川峠北の牛首谷にある、水晶橋のそばの川原。松原聰『鉱物ウォーキングガイド』(丸善出版、平成17年)にも出ているポイントです。ちなみに現在泉水谷林道は、入口のゲートは閉まっていて、車で入れません。入っても、途中大きく崩れているので、バイク、自転車等も通行不可です(歩きなら大丈夫)。林道は、下流部では沢よりかなり高いところを走っていて、途中の小室川出合に下りる経路以外では沢に下りられそうにありません。でも上流部では沢のすぐそばを通っています。

水晶橋の付近は、ちょうど徳和花崗岩体の東の端にかかっていて、ペグマタイトが見られます。大きなものは見つかりませんでしたが、小さな水晶なら見つけることができるのは、橋名のとおり。林道沿いの崖の花崗岩にも、白く石英の脈が走っています。

以前、チタン鉄鉱(山梨県甲州市柳沢峠)で、この付近の褐簾石について記述された古い論文を引用しました。

「…柳沢峠付近のペグマタイト中(古い水晶坑)でソウ長石の 内部に点在する緑レン石に黒色のカツレン石がはめこまれて産する…」(木村幹「東洋産含希元素鉱物の化学的研究(第56報)山梨県大菩薩峠産カツレン(褐簾)石」『日本化学雑誌』第81巻第8号、1960年)、

1枚目の写真の右側のかたまりは、この記述と同じく、緑簾石に包まれているように見えます。

水晶橋と、水晶抗があったと思われる沢は、直線距離で約3km離れています。どうでしょうね、とりあえず、この記述を基に、褐簾石としました。ただ、小さいのでうまく試せていないのですが、かなり硬いです(モース硬度は、褐簾石5.5~6、鉄電気石7~7.5)。

やはりこれは、大菩薩峠に行って褐簾石を見つけて、較べるしかないですかね(大菩薩の褐簾石産地は稜線の南側。水晶橋は北側)。

 

ちなみに、『鉱物ウォーキングガイド』の水晶橋の章に出ている鉄電気石のポイントは、鶏冠山のほど近くで、水晶橋のひとつ下流の、小さな名無し橋のある沢の上流部にあたります。つまり、そこのポイントの石は、水晶橋にはありません。(その小さな橋でもしばらく探してみたんですが、特になにも見つからず。)

水晶橋付近の沢は、縞模様の岩がとても印象的で面白いです。きれいな渓谷なので、風景を見にちょっと歩くのもいいかもしれません(林道入口から結構遠いですけど)。

ただ、どこに行ってもいつも思うんですけど、多摩川水系の沢って、なんか水が濁ってるところが多くありませんか? 地質のせいなのか、単に雨が降って濁った時ばかりに行きあってしまったとかなのか。どこも、白っぽく濁ってるように見えるんですよね(前回の奥多摩鋸山の沢もそうだった)。相模川水系の沢はどこも透き通っていて、印象が全然違います。川床の岩の色なんかも影響してるのかもしれません。

 

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左:水晶橋、右:水晶橋付近の縞模様の岩

 

2020年7月16日 (木)

ヘスティングス閃石(長野県川上村甲武信鉱山)

Hastingsite NaCa2(Fe2+4Fe3+)(Si6Al2)O22(OH)2 珪酸塩鉱物

 

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甲武信鉱山の代表的な鉱物ともいえる、へスティング閃石。

肉眼やルーペで見ると、割と地味な風合いの、濃緑がかった繊維質の不思議な石という感じですが、顕微鏡をのぞき込むと金属的に思える輝きが素敵な鉱物です。角閃石の仲間。甲武信鉱山で検索すると、鉄へスティング閃石と書かれたものが多くヒットするので、これもそうなるのでしょうか。

初めて甲武信鉱山に行って、第2テラスで深緑のきれいにカットされたようなきらきら輝く石を拾って、感動しました。それがこの石。水晶は内包物の多い透明度のあまり高くないものが多く、形もちょっといびつな感じで、自分にとっては甲武信鉱山といえば、このヘスティング閃石とベスブ石のイメージです。

水晶のポイントは見るも無残な感じで掘り荒らされていて、木々の根っこがむき出しになっていたりして、正直あまりそこにいたくないのです。

甲武信鉱山のポイントは結構急な山を登らないといけませんが、梓川沿いの選鉱場あとでも、へスティング閃石がちょっとくっついた石は割と見かけました。

 

自分が鉱物に凝りだしたきっかけは、甲武信鉱山でした。でも、なぜ最初にそこに行こうと思ったのか、思い出せないw ベスブ石目当てだったような気がしますが。。。

あと、湯沼鉱泉はねこでいっぱいだと聞いて、そこにひかれたのかもしれない。

実際、ねこだらけでした。人よりもねこのほうが我が物顔であちこちで丸くなっていて、ここは天国かとw ねこしか入れない部屋もあるとか。どのねこも自由気ままに生活している感じです。ねこが嫌いな人だったら、一瞬たりとも耐えられないと思います(ねこアレルギーのお客さんは、自分の車の中で寝たとかw)。

川上村は遠いですね、清里まで行って、そこから山の中に入っていかなきゃならない。秩父・中津川から三国峠を越えれば着くと考えると、ずいぶん大回りしているわけですが、うちの林道に非力な車だと三国峠を越えるのは多分無理(一度行ってみたいんですが)。

またねこに会いに行きたいなぁ。

 

2020年7月 5日 (日)

菫青石(いぼ石)(山梨県道志村道志川流域)

Cordierite Mg2Al4Si5O18 珪酸塩鉱物

 

Cordierite_doshi_01

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北丹沢スカルン帯のいぼ石のいぼ部分(菫青石仮晶)です。

草下英明の『鉱物採集フィールド・ガイド』(草思社、1982)によると、「ほとんどは分解変質して黒雲母化しており、結晶の輪郭だけが残って、これが水に洗われた母岩の表面に突出して、いわゆるいぼ石状になっている」とのことなので、正確には菫青石の仮晶ということになるのでしょうか(めんどくさいので、ここでは菫青石として扱います)。

1枚目の写真のいぼ石も、なんとなく六角柱状のかたちが残っているように見えます。気のせいかな?

神奈川県民としては、本当は神奈川の石として紹介したいところですが、神奈川県では県の天然記念物で、国定公園内ですので、採集できません。でも丹沢県境尾根の向こう側は山梨県で、国定公園からもはずれているので、単なる石ころということになってしまいます。まあ山梨県では、たくさんある希少鉱物産出地のひとつですが、神奈川県では、スカルンなんてここしかありませんから、仕方ないですねw

室久保川沿いにある道志の湯近くに加入道山への登山道がありますが、その途上にもごく普通に転がっています(採集したのはそこではない)。でもベスブ石みたいな見た感じ透明できれいな鉱物などとは違い、いぼ石は単なるいぼいぼのある地味な石ころですので、わざわざ目にとめる人はいないでしょう。鉱物が好きな人でも、興味を持つ人は少ないかもしれません。

ただ、丹沢にも透明で青い結晶の、正真正銘の菫青石があるんじゃないかと思っています。アメリカのコロンビア大学には、江戸時代末に収蔵された道志産の青い結晶が保存されているそうです(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cordierite-527337.jpg)。こんなのがあるのならば、いつか見つけてみたいですね。

 

道志では、いぼ石をちょっとしたお祭りの行事で使っていたそうです。神奈川側でもやはりこの石をいぼ石といいますが、神奈川の箒沢・中川周辺と道志で佐藤姓が多いのを考えれば、いろいろ行き来があったことが分かります。また、県境尾根を挟んで道志側の室久保川、神奈川側のモロクボ沢などと、現在でも何やらややこしいことになっています(おそらく、どちらの側でも源流域の畔ヶ丸周辺の山々をまとめて諸窪山といっていたのではないか)。

「新編相模国風土記稿」の中川村の項には、天正7(1579)年 、道志の大窪村[現・道志大久保地区] の百姓が中川村を夜討したことから大きくなった騒動について記載があります。武田と北条の争いの舞台であり、江戸時代には三国山-菰釣山-二本杉峠の国境争いの舞台でもあり、どうもこの周辺はいろいろと確執、因縁、関係があったようです。今はなき箒沢の長老、佐藤浅次郎氏も、若い頃道志村との間で大太鼓の寄進の話を苦労してまとめたとか〈佐藤芝明『丹沢・桂秋山域の山の神々』〉。

 

ちなみに、「新編相模国風土記稿」には、白石峠や犬越路の地名はまったく出てきません。どちらも道を作るには険しすぎるので、馬が通れる城ヶ尾峠がメインの通路となります(そのすぐそばに信玄平という地名もある)。犬越路を信玄の軍勢が通ったなどという話は、とうてい信用できません(中川温泉の箔付のためだったという話もありますが、まあ深くは追求しないことにしましょうw)。

 

2020年6月22日 (月)

マンガンパンペリー石(神奈川県秦野市水無川流域)

Pumpellyite-(Mn2+) Ca2Mn2+Al2(Si2O7)(SiO4)(OH)2・H2O 珪酸塩鉱物

 

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湘南の海沿いの国道134号線で、渋滞で有名な花水川。水無川はその上流部にあたり、源流は丹沢の塔ノ岳になります。

『神奈川県産鉱物目録』によると、マンガンパンペリー石は、丹沢の高松鉱山においては「微細な柱状結晶の放射状集合からなる塊状物質をなしてカリオピライト・石英などと産する」、大日鉱山においては「微細な柱状結晶の集合からなる淡肉灰色塊状集合をなす。共存する紅簾石より色が淡い」(加藤昭・木島勇著『神奈川県産鉱物目録』神奈川自然誌資料(17)、1996)。

大日鉱山は、水無川の源流近くにあります。薄い肉色で、放射状になっているので、マンガンパンペリー石で間違いないと思いますが、どうでしょうね。色の濃いところは紅簾石のようです。黒いのはブラウン鉱か。

マンガンパンペリー石は、上記の著者加藤昭他によって1981年に発表された日本産の新鉱物で、山梨県の南アルプスの玄関口・芦安近くの落合鉱山で発見されました。なにげに日本では産地がかなり限られている鉱物です。

日本はマンガン鉱物がとても豊富で、欧米の鉱物好きには、輝安鉱などよりも珍しがられるそうです(欧米ではマンガンの産地があまりない)。でも、きれいな結晶になるものも少ないし、見た目地味なものが多いので、見わけもよくつかず、手をつけづらい鉱物種です。自分も、マンガン産地というのは、ほとんど訪れたことはありません。もうちょっと勉強しないとね。

水無川をさかのぼり、本谷沢まで行くと、濃い紫がかったマンガン系と思われる石がたくさん落ちていますが、あんまり意識して見たことはないです。本谷沢・セドノ沢沿いに大日鉱山の鉱山道を下地にした書策(かいさく)新道がありますが、新道といいつつもはや廃道で、道標もなければ、途中で何か所か崩壊してたりもするので、もの好きか沢登りの人しか行かないところです。セドノ沢の道をはずれてすぐのところに、今でも大日鉱山の試掘跡が口を開けているのを見ることができます。

大日鉱山については、詳しくは〇福氏の「丹沢の鉱山跡を探る 3」を参照してください。

 

自分にとっては、本谷沢は、子どものころよく遊びに行った故郷みたいなところです。出合のすぐそばの山小屋にいつも行っていて、小屋のねこやいぬと遊ぶのに飽きると、近くの本谷沢に行って石を拾ったりして遊んでいましたが。。。もしきれいな沸石でも見つけてたら、そのまま石が趣味になってたかもしれないw

その山小屋(仲小屋)はもともと大日鉱山の宿舎で、北村政次郎氏が譲り受けて、山小屋にしました(当時は名前など知らず、おじいと呼んでいた)。小屋そのものは、まだ結構しっかりと残っていますが、もう当時の記憶がある人も、ずいぶん少なくなってきたんじゃないでしょうか。

今では、政次郎氏が道をつけた、小屋の裏手からの尾根を政次郎尾根、表尾根に登りつめた小ピークを政次郎の頭と言うようになりました。地名になっちゃったねぇw 今思うに、もともと大日鉱山で働いていたのかもしれませんが、自分が子どものころに亡くなったので、確かめるすべはありません。

 

2020年6月19日 (金)

鉄かんらん石(静岡県熱海市上多賀)

Fayalite Fe2+2(SiO4) 珪酸塩鉱物

 

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伊豆の東の入口・多賀の、よく知られた産地の鉄かんらん石。

きれいな結晶です。角がまろやかで、形もなんかかわいい感じですね。形が崩れて溶けてしまったようなもの(こういうのは黒というより褐色)も多く見られますが、ちょっと探せば、写真のようにきれいな結晶も割と簡単に見つかると思います。石の白っぽいところに、1ミリくらいの黒い粒々が点々とついていて、わかりやすいです。

地のきらきらは、微細なクリストバル石のようです(ここの石にみられる白い球顆は、ほぼクリストバル石)。たまにある雲母のように薄いのは、鱗珪石かな? 小さな形のよい水晶もよく見られます。

JR多賀駅や長浜海浜公園(夏の海水浴シーズンは駐車場が有料になるみたい)からほど近い、ホテルの裏手の大きな岩がごろごろしている磯浜がポイントです。とても手軽にアクセスできる場所ですが、夏は避けた方がよいかもしれません。自分たちが行ったのは朝で、すぐそばのホテル内で朝食の時間らしい気配がしていたので、ハンマーは使うのを控えました。ガンガンやったら迷惑ですよねぇw でも手ごろな転石も結構あるので十分探せます。

近所に住んでいるらしいおじいさんが言うには、昔はこんなではなかったが、台風で一夜にして今みたいな大きな岩がごろごろした浜に変わってしまったとか。いつの台風のことかは分かりませんが。。。

 

『鉱物観察ガイド』(東海大学出版会、2008年)によると、ここの鉄かんらん石は、「おそらくほとんどすべてライフン石であろう」とのこと。

かんらん石は、成分の違いで何種類かあります。普通に「かんらん石」といえば、緑色のきれいなオリビン(olivine、宝石としての名前はペリドット〈peridot〉)のことで、これは大体マグネシウムを多く含む苦土かんらん石です。

マグネシウムより鉄が多くなると鉄かんらん石になり、マンガンが多くなればマンガンかんらん石(テフロ石)になり、カルシウムとマグネシウムが多くなるとモンチセリ石という鉱物になります(他にもあるけれど、興味ある方はご自分でお調べくださいw)

鉄かんらん石の鉄が酸化すると、ライフン石になります。どうせ見ても違いはよく分からないんでしょうけど。。。先ほど「形が崩れて溶けてしまったようなもの」と書きましたが、もしかしてそれって、酸化してしまった状態、つまりまさにライフン石なのかも?

 

多賀というと、伊豆の入口という感じで、なかなかここを目的地とすることはないのですが、神奈川からだと割と気軽に行けるいいポイントだと思います。

しかし、熱海高校ヨット部はうらやましいなあw(ポイントに行く途中、ヨット部の艇庫の前を通るのだ)

 

2020年6月12日 (金)

緑簾石(神奈川県山北町酒匂川流域)

Epidote Ca2(Al2Fe3+)[Si2O7][SiO4]O(OH) 珪酸塩鉱物

 

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小さいけれども、宝石みたいに美しい緑簾石の結晶。

写真だと、どうしても実体顕微鏡で見る美しさが出せません。

鉱物的には、丹沢といえば玄倉の塩素燐灰石だったようですが、今では丹沢を代表するのは緑簾石ではないかと思います。

丹沢の色って、個人的には白と緑なんですよね。中心の深成岩地域の、白ザレと緑のコケのコントラストの美しさは、他にない魅力だと思います。だからというわけではないですが、白いトーナル岩と緑の緑簾石をイメージしたのかもしれない。

 

丹沢(神奈川側)の地質話など、いくつか。(ハタチガ沢以外は、お手軽なところばかりです)

寄(やどろぎ)から雨山峠に登るとき、コシバ沢を越えて雨山沢に入りちょっと歩くと、急に沢の中が明るくなります。地味な色の丹沢層と、真っ白なトーナル岩域の境界が、はっきりわかります。また寄大橋から雨山峠登山口に行く道の脇に、海の中で溶岩が噴き出した、枕状溶岩があります(看板がついてた)。

白石峠に登る道や、白石峠から加入道山に登る稜線上の、真っ白だったり桃色がかったきれいな晶質石灰岩(大理石)は、誰でも気づくでしょうね。あんな贅沢な道はそうそうないかもしれない。

表尾根の行者岳の鎖場は、すべすべの緑で薄くコーティングされたきれいな岩ですが、あれは透輝石かな?(緑簾石? 大日鉱山あたりではどちらもあるようですが) 休日になるとものすごい人で行列ができるらしいですが(そういう時は行かないw)、おそらくほとんどの人は気づかず踏みつけてると思います。順番を待つ間に、ちょっと汚れをごしごし拭き取ってみると、きっとそのきれいさにびっくりすると思います。同じものは、不老山から湯船山あたりの稜線や駿河小山側の沢でも見かけます。

煤ヶ谷から物見峠に行く道や、大山三峰の稜線を歩くとき、青っぽい緑のきれいな石がたくさん落ちてるのを見ることができます。これはセラドン石といって、まだ丹沢のあたりが海の中にあったころ(ちょうど今の伊豆諸島と同じ状態)、噴火した火山の噴出物が海中に積もってできた石です。古代の人は、これで飾り物を作ったりしたそうです(東海の翡翠、みたいな立ち位置?)。

同じ地域、宮ヶ瀬の鍋嵐のそば、ハタチガ沢の源流近くに、俗に「柱状節理の滝」といわれている涸れ滝があります。でもこれは柱状節理ではなく、本来は地面に水平であるべき緑色凝灰岩(グリーンタフ)の地層が、丹沢の隆起を起こした地殻変動によって垂直に立ってしまったものだと思います。いずれにせよ壮観ですが、行くのは結構大変なので自己責任で(地形が険しいだけでなく、水の木と並んで丹沢でもっともクマが多い地域です)。

やはり同じ地域、土山峠から宮ヶ瀬尾根側に入る林道をしばらく行くと、橋の脇の崖に、非常に立派なたまねぎ状構造が見られます(たまねぎ状構造は、そのうちこのブログで取り上げるつもり)。

世附川周辺は、以前も取り上げましたが、鉱山跡がいくつもあります。そのうち一番手軽に見られるのは、浅瀬から世附林道をしばらく歩いていくと芦沢橋で世附川を渡りますが、橋のすぐ下流右岸側の「焼け」た崖にぽっかり開いた坑です。名前は分かりません。試掘跡ではないかと思います。世附川のもっと上流、土沢出合あたりでは、黄銅鉱、黄鉄鉱を多く含んだ鉱石も、割とごろごろ落ちています。

 

こう見ても、やっぱり白と緑が多いですね。

でも、丹沢でも場所によっては孔雀石とか珪孔雀石があったりするので、もしかしたら大好きな青い銅の二次鉱物があるんじゃないかと期待してるんですが。。。いつか見つけてみたいですね。

 

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丹沢、同角沢・遺言棚の落ち口。

 

2020年6月 6日 (土)

クリントン石(埼玉県秩父市秩父鉱山)

Clintonite CaAlMg2(SiAl3O10)(OH)2 珪酸塩鉱物

 

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雲母の一種、クリントン石だと思います。秩父鉱山産。脆雲母に分類されます。

ネット等で見るのは石灰沢産出のものばかりで、デジタル鉱物図鑑でも産地は秩父では石灰沢しか書いていないのですが、これは隣の橋掛沢で拾った石についていました。地質図を見ると、同じスカルンの脈が石灰沢と橋掛沢を横切っているので、そこから出たものですかね(片山信夫他「秩父鉱山橋掛沢、石灰沢及び出会附近のスカルン鉱物の産状」『鉱物学雑誌』第2巻第1号、1954年)。ちなみに、日本で最初に見つかったのは、秩父の道伸窪だそうです。昔はザンソフィライト(Xanthophyllite)といわれていました(阿部英一「埼玉県秩父鉱山産ザンソフィライト」『地質学雑誌』第51巻第607号、昭和19年)。

白地に青緑の結晶が映えて、とてもきれいです。

白い部分は大体方解石だと思うので、シュウ酸か希塩酸につけて溶かせば、隠れているものが現われてきそうな気もしますが、まあこのままでも十分かと思います。

ちなみに、石灰沢でも、クリントン石らしいものは拾いました。

 

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写真ではあまり出ていないけれど、スピネルがついていないか探して、石のほんのりと青緑に染まった部分を見ていて発見しました(スピネルはなかったw)。

クリントンというと、米大統領だったビル・クリントンのことを思い出すと思いますが、もちろん関係ありません。ニューヨーク州知事などを務めたアメリカの政治家・博物学者のデウィット・クリントン(DeWitt Clinton、1769-1828)にちなんでつけられた名前です。石の原産地はニューヨーク州オレンジ・カントリー。デウィット・クリントンはニューヨークのエリー運河を推し進めた人物だそうです。もしかしたら、原産地と運河が何か関係あるとか、そういうことでしょうかね?

いずれにせよ、石に昔の政治家の名前をつけるとか、自分にはちょっと分かりかねる趣味ですw

 

日本ではそういうのはあまりやらない気がします。日本以外の国では、軍艦(艦艇)の名前は大体過去の偉人とか軍人の名前ですが、日本では人の名前を一切つけませんでした(日本とイギリスはちょっとおかしいw)、例外ありまくりですが、大体戦艦は日本の旧国名(長門とか武蔵とか)、空母は瑞獣などから(瑞鳳とか飛龍とか)、重巡洋艦は山の名前(妙高とか鳥海とか)、軽巡洋艦は川(阿武隈とか酒匂とか)、駆逐艦は和風月名、自然現象や樹木名(睦月とか、〇風、〇波、〇雨とか)、海防艦は島(八丈とか福江とか)からきています。一説によると、明治天皇が、「沈んだら申し訳ない」と言ったとか言わないとか。。。

おかげで、万葉集などに駆逐艦の名前が散見されるようになりました。風流でいいですね。現代の海上自衛隊の護衛艦も、これらの船名を受け継いでいます。個人的には、最近流行りの「グローバル・スタンダード」とかいって、浅はかに人名をつけたりしないでほしいですねw

 

2020年5月26日 (火)

氷長石(長野県川上村甲武信鉱山)

Adularia KAlSi3O8 珪酸塩鉱物

 

Adularia_kobushim_01

 

結晶の形から、透明な氷長石の結晶だと思います。

長石はいろいろな種類がありますが、氷長石は、カリウムを主成分とするカリ長石のグループに含まれる、正長石の仲間です。

ネット上や鉱物の本にある甲武信鉱山の氷長石の写真を見ると、大きな白濁した標本ばかりで透明なものはほとんど出ていませんが、顕微鏡サイズだとこんな透明なものもあるんですね(ちなみに、この石は氷長石の出るポイントではないところで拾ったものです。どこだったかなあ、その近くの緑水晶のポイントだったか)。

英名のアデュラリアは、イタリアに近いスイス南部のアデュラ山からきています。イタリアでアデュラ山というと、その山域の最高峰3402m峰のこと。ドイツ語だと同峰はラインヴァルトホルンといい、アデュラといえば、アデュラ・アルプスという広い山域のことを指すとか。ややこしい。

この石を最初に報告したのはイタリアの自然研究者、建築家のエルメネジルド・ピニ(1739-1825)ですが、スイスを旅行中に手に入れたとのこと。どちらの意味でアデュラと名付けたんでしょうね。現地の人にどこで拾ったか聞いたら「ああこれはアデュラのあたりの沢で拾ったんじゃよ」(UFO特番のインタビュー吹替風に)みたいな? ところで、ゲーテはこのピニとミラノで会ったそうですが、その時に氷長石を見せてもらったようです。ハルツ旅行中に輝く真っ白い方解石を見つけて「ピニのもっていた氷長石を思い出した」と日記に書いています(木村直司編訳『ゲーテ地質学論集・鉱物篇』筑摩書房、2016年)。鉱物の話題で盛り上がったんでしょうねぇ。

自然研究者、科学・数学分野の専門家であり文学者でもある人物といえば、日本の寺田寅彦、ペルシャのオマル・ハイヤームなどがいますが、やはりゲーテはちょっと他に比べるもののない一頭地を抜く存在です。さらに政治家でもあるというのは、ちょっと想像を越えています。

自分は学生のころ、ドイツ詩の授業(山口四郎先生)をとっていましたが、ゲーテの詩ほど完璧に詩形にのっとり、なおかつ想像喚起力に満ち溢れたものは他にはないなあと思ったのを覚えています。またいまでも覚えている数少ないドイツ語の授業で、物理学者のハイゼンベルクのゲーテについての講演を取り扱ったものがありました。ゲーテの原植物(Urpflanzen)について、DNAを思わせるなどと語っていたのがすごく印象的でした。考えてみれば、DNAは原植物であると同時に原動物でもあるわけで。。。(ゲーテにとっての原植物が観念論でなく現実に存在するはずだという考え方は、あくまでフィールドワークを中心としたゲーテらしいところで、好きだなあw)

岩石については、ゲーテはヴェルナーの影響で水成論をとっていたようですが、フンボルトの火成論以降はかなり揺れていたようです。ちょうどそういう時代だったということでしょうね。光の粒子論と波動論もそうですが(ゲーテの色彩論)、定説が確立していない時代に生きていたら面白かっただろうなあと思います。

 

まあ一言でいうと、楽しそうに採集旅行にいそしむゲーテは、鉱物好きにとっては偉大な大先輩なのですw

 

2020年5月19日 (火)

沸石(静岡県河津町菖蒲沢浜)

菱沸石 chabazite Ca(Si4Al2)O12・6H2O 珪酸塩鉱物
モルデン沸石 Mordenite (Na2,Ca,K2)4(Al8Si40)O96・28H2O 珪酸塩鉱物
束沸石 stilbite NaCa2Al5Si13O36・14H2O 珪酸塩鉱物
ソーダ沸石 Natrolite Na2(Si3Al2)O10・2H2O 珪酸塩鉱物

 

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伊豆・菖蒲沢浜の白浜層の沸石です。タイトルをつけるとすれば、沸石の森かな。

沸石といえば、菖蒲沢浜のすぐ北隣のやんだ浜が特に有名ですが、あちらは潮が引いた時でないと入れません。すぐそばなのに、やんだでよく見る青いセラドン石と玉髄は、菖蒲沢浜の方ではほとんど見られません。かわりに、菖蒲沢浜では、微水晶、銀黒の入った石英と自然金、めのうなどが拾えます。陸で割れた石の中には、金と紛らわしい黄鉄鉱も見られます(鉱床自体は海中にあるようで、表面についた黄鉄鉱は海の水で錆び落ちてしまうらしい)。

沸石は、菖蒲沢浜の左手の岩場で見つけられます(やんだほど広くない)。

写真奥の大きな正方形は菱沸石、毛状はモルデン沸石、真ん中の刀状に先端が尖った集まりは束沸石、右の柱状はソーダ沸石だと思います。

写真に写っているかどうかは不明ですが、この石で一番大きく多かったのは輝沸石だったので、もしかしたら左の大きなぼやけたのがそうかもしれません(そうであれば、5種類の沸石が1画面に入っていることになるので、そういうことにしときましょうかw)

まさに沸石の森というにふさわしいですね。

千葉、神奈川、静岡は、沸石が多いところです(湯河原沸石が世界で最初に発見されたのも、神奈川と静岡の県境でした)。海岸だけでなく、丹沢、静浦山地などでも普通に見られます。沢で石の表面に白い膜のようにへばりついているのは大抵は沸石で、それが空洞などで結晶が成長すると、こんなにきれいな姿になるわけです。

種類も多く、それぞれの結晶の美しさ、さわやかな透明感も魅力的ですが、ありすぎて、「また沸石か」と若干がっかりすることもあったりなかったり。。。(贅沢な)