○山梨県

2020年8月13日 (木)

輝蒼鉛鉱(山梨県大月市大月町本沢鉱山)

Bismuthinite Bi2S3 硫化鉱物

 

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大月市の本沢鉱山跡の沢で採集した、輝蒼鉛鉱を含むと思われる標本です。

ここでよく見られる不透明な石英の塊を割ったところ、内部に銀色の鉱物が集まっていました。

「含むと思われる」と書いたのは、自信がないからです。ここでは、自然蒼鉛、輝蒼鉛鉱、ホセ鉱、硫砒鉄鉱、黄鉄鉱などが産出するらしいですが、どれも似たような見かけばかりなので。。。ところどころ青っぽく見える部分は、方鉛鉱でしょうか? 蒼鉛は、名前とは異なり、青っぽくなることはないみたいです。銀白色の部分が輝蒼鉛鉱ではないかと思うのですが、硫砒鉄鉱かもしれません。

針でひっかいてみると、結構簡単に削れるので、輝蒼鉛鉱としました(モース硬度は、輝蒼鉛鉱=2-2.5、硫砒鉄鉱=5-6)。

自然蒼鉛も期待したのですが、自然蒼鉛のわずかに赤味がかった銀色ではないようです。

 

3枚目の写真の箇所については、銀色の上に付着している緑がかった部分は泡蒼鉛、蒼鉛土の類ではないかと思うので、この銀色も、輝蒼鉛鉱ではないかと考えました。

1枚目の写真の右側には、こんな部分もありました。下はその拡大。

 

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波打った層状の断面のようなものがありましたが、これも蒼鉛関係でしょうか。石を割ってすぐは、にぶく銀色に輝いていたのですが(ただし、輝蒼鉛鉱と思われる部分の銀色とはちょっと違う)、数日で変色して輝きが失われました。小さくへばりついている銀色の箔状の部分は、輝きは変わりません。ちょっと赤味が入っているようにも見えますが、うーん、これだけで自然蒼鉛としての項目を立てるほどの自信はありませんねw 元素鉱物はぜひ増えて欲しいんですけどね。

左上の白いのは蒼鉛土の類に見えますが、どうでしょうね。金色に輝いているのは、黄鉄鉱でしょうか。蒼鉛と接して産出することはあるのかどうか、分かりませんが。

 

大月から真木川を遡る林道(舗装されていて立派)をずっと上っていくと、小金沢連嶺の黒岳と、雁ヶ腹摺山をつなぐ大峠に行き着きます。そのほんの少し下流、黒岳側から流れ込む小さな沢が、本沢鉱山跡です。林道が沢を渡るところでは、大量のズリ石が林道を埋める勢いで流れてきたのか、石を沢から掘りあげて脇に積んだようなあとが。つまり、林道のすぐ脇で、ズリ石を探すことができるような状況になっています。

沢の奥にも入ってみましたが、鉱山のあった跡のようなものは見つからず。露天掘りだったのかな? 短い沢で、ちょっと奥に入っただけですぐに急峻になっていくので、落石の危険が大きく注意したほうがいいかも。

 

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左:本沢鉱山の沢。右:白谷丸から雁ヶ腹摺山

 

大峠には駐車場があり、雁ヶ腹摺山にはせいぜい1時間程度で登ることができます。頂上付近はサンショウバラの咲くちょっとした草原になっていて、ここからの富士山の遠景が500円札に使われたことで有名です。

小金沢連嶺の黒岳へも、1時間半程度で登れます。黒岳は以前、山の向こう側、日川側から登ったことがあります。延々と林道を歩き、ずいぶん遠かった印象があるのですが、こちら側からだと、あっという間でした。。。黒岳の頂上はあんまりおもしろくないので、その南の白谷丸か、ちょっと距離はありますが北にある牛奥ノ雁ヶ腹摺山まで行くといいかも。どちらも広い草原になっていて、とてもきれいで気分いいところなのです。

このあたりの山稜上は、草原と、ちょっと秩父っぽい植生の森が交互に現れてくるので、非常に楽しいですね。この印象は、大菩薩、さらに笠取山、雁峠あたりと共通しています。

ところが、笹子峠から南に入ると、急激に秩父っぽさは失われ、御坂の山々になり、雰囲気ががらっと変わります。そこからは、秋山、道志、そして丹沢と連続した印象を受けます。

ちょうど笹子峠が境界になっているような感じです。地質と植生、そこから生じる風景の印象の関係を、肌で感じることができる地域だと思います。

 

2020年8月 4日 (火)

毒鉄鉱(山梨県甲州市黄金沢鉱山)

Pharmacosiderite KFe3+4(AsO4)3(OH)4・6-7H2O 燐酸塩鉱物等

 

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写真の真ん中、三角山のまわりの濃い黄色が毒鉄鉱だと思います。山の付け根の真ん中あたりに、立方体の結晶が1個見えます。これで、気づくことができました。

角度を変えて見ると、近くにいくつか正方形のきらめきが見られますが、何しろえらくちっちゃいので、写真にはうまく撮れませんでした。今のところ、これが精いっぱい。ルーペでも確認はほぼ無理で、顕微鏡でようやく何とか。。。という小ささです。洋紅石を探して、小分けにした石のすみずみを見まわしていたおかげで、気づきました。

色的には、ここで割とよく見られるビューダン石と似ているのですが(この同じ石にもついていました)、ビューダン石のほうがもうちょっと鮮やかな黄色かなあ。。。という感じ(あやふやw)。

毒鉄鉱の立方体の結晶は憧れていたので、まさかここ(黄金沢鉱山の上のズリ)で見つけられるとは思わず、びっくりです。でも、確かにあってもおかしくないですし、あらためてネットで検索すると、写真を掲載しているサイトもちゃんとありました(上の写真と色も同じでした)。もうちょっと大きくて、クリアに写真に撮れるくらいのであればよかったけど、まあ仕方ないね。

毒鉄鉱と名前はすごいですが、これは主成分が砒素なのでつけられた名前でしょう。でも、何だか寒天菓子みたいな見かけで、食べるとぴりぴりしそう。

 

黄金沢鉱山の上のズリは、石も割られて小さくなったものばかりで、もとの規模も狭いですし、洋紅石なども絶産に近いといわれます。でも、個人的には絶産という状態が実際にあるのか、疑問です。見つけるのがどんどん難しくなっていっているのは事実だと思いますが、地面に埋まったズリ石をすべて掘り返すことがまず不可能だと思いますし、すべての石のすべての箇所を見ることもできません。

ひょいと何気なく拾った石に、偶然珍しい鉱物がついていた、なんてことは多分誰でも経験しているのでは。山の神さまの気まぐれなのか、運なのか。

「運がいい」ということは、けっして偶然に好かれるということだけではないのではないか。人は外の世界を見るとき、一点に視線を集中させますが、意識していないだけで、それ以外のところもちゃんと見ているのだと思います。十分な知識と集中があれば、視線から外れた部分でも、無意識ではなにごとかに気づいて、それが意識を介さずに、「何気なく」石を拾うという行動に結びつくのだろうと思っています。

確かユングは『自伝』の中で、何気なく河原で拾ったなんということもない石が、その後非常に大事なものになっていき、執着するさまを描いていたと思います。ユングならば、「運がいい」ということをどう説明してくれたんでしょうか。

 

2020年7月25日 (土)

セリウム褐簾石?(山梨県北都留郡丹波山村泉水谷)

Allanite-(Ce) CaCe(Al2Fe2+)[Si2O7][SiO4]O(OH) 珪酸塩鉱物

 

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褐簾石か、鉄電気石か、どちらかだと思うのですが。。。緑は緑簾石、透明なのは石英、不透明な白いのは長石だと思います。

2枚目の写真は、1枚目の左端の、結晶面が出ていると思われる部分の拡大。

採集した場所は、黒川鶏冠山の南を流れる泉水谷の林道の奥、丸川峠北の牛首谷にある、水晶橋のそばの川原。松原聰『鉱物ウォーキングガイド』(丸善出版、平成17年)にも出ているポイントです。ちなみに現在泉水谷林道は、入口のゲートは閉まっていて、車で入れません。入っても、途中大きく崩れているので、バイク、自転車等も通行不可です(歩きなら大丈夫)。林道は、下流部では沢よりかなり高いところを走っていて、途中の小室川出合に下りる経路以外では沢に下りられそうにありません。でも上流部では沢のすぐそばを通っています。

水晶橋の付近は、ちょうど徳和花崗岩体の東の端にかかっていて、ペグマタイトが見られます。大きなものは見つかりませんでしたが、小さな水晶なら見つけることができるのは、橋名のとおり。林道沿いの崖の花崗岩にも、白く石英の脈が走っています。

以前、チタン鉄鉱(山梨県甲州市柳沢峠)で、この付近の褐簾石について記述された古い論文を引用しました。

「…柳沢峠付近のペグマタイト中(古い水晶坑)でソウ長石の 内部に点在する緑レン石に黒色のカツレン石がはめこまれて産する…」(木村幹「東洋産含希元素鉱物の化学的研究(第56報)山梨県大菩薩峠産カツレン(褐簾)石」『日本化学雑誌』第81巻第8号、1960年)、

1枚目の写真の右側のかたまりは、この記述と同じく、緑簾石に包まれているように見えます。

水晶橋と、水晶抗があったと思われる沢は、直線距離で約3km離れています。どうでしょうね、とりあえず、この記述を基に、褐簾石としました。ただ、小さいのでうまく試せていないのですが、かなり硬いです(モース硬度は、褐簾石5.5~6、鉄電気石7~7.5)。

やはりこれは、大菩薩峠に行って褐簾石を見つけて、較べるしかないですかね(大菩薩の褐簾石産地は稜線の南側。水晶橋は北側)。

 

ちなみに、『鉱物ウォーキングガイド』の水晶橋の章に出ている鉄電気石のポイントは、鶏冠山のほど近くで、水晶橋のひとつ下流の、小さな名無し橋のある沢の上流部にあたります。つまり、そこのポイントの石は、水晶橋にはありません。(その小さな橋でもしばらく探してみたんですが、特になにも見つからず。)

水晶橋付近の沢は、縞模様の岩がとても印象的で面白いです。きれいな渓谷なので、風景を見にちょっと歩くのもいいかもしれません(林道入口から結構遠いですけど)。

ただ、どこに行ってもいつも思うんですけど、多摩川水系の沢って、なんか水が濁ってるところが多くありませんか? 地質のせいなのか、単に雨が降って濁った時ばかりに行きあってしまったとかなのか。どこも、白っぽく濁ってるように見えるんですよね(前回の奥多摩鋸山の沢もそうだった)。相模川水系の沢はどこも透き通っていて、印象が全然違います。川床の岩の色なんかも影響してるのかもしれません。

 

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左:水晶橋、右:水晶橋付近の縞模様の岩

 

2020年7月 5日 (日)

菫青石(いぼ石)(山梨県道志村道志川流域)

Cordierite Mg2Al4Si5O18 珪酸塩鉱物

 

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北丹沢スカルン帯のいぼ石のいぼ部分(菫青石仮晶)です。

草下英明の『鉱物採集フィールド・ガイド』(草思社、1982)によると、「ほとんどは分解変質して黒雲母化しており、結晶の輪郭だけが残って、これが水に洗われた母岩の表面に突出して、いわゆるいぼ石状になっている」とのことなので、正確には菫青石の仮晶ということになるのでしょうか(めんどくさいので、ここでは菫青石として扱います)。

1枚目の写真のいぼ石も、なんとなく六角柱状のかたちが残っているように見えます。気のせいかな?

神奈川県民としては、本当は神奈川の石として紹介したいところですが、神奈川県では県の天然記念物で、国定公園内ですので、採集できません。でも丹沢県境尾根の向こう側は山梨県で、国定公園からもはずれているので、単なる石ころということになってしまいます。まあ山梨県では、たくさんある希少鉱物産出地のひとつですが、神奈川県では、スカルンなんてここしかありませんから、仕方ないですねw

室久保川沿いにある道志の湯近くに加入道山への登山道がありますが、その途上にもごく普通に転がっています(採集したのはそこではない)。でもベスブ石みたいな見た感じ透明できれいな鉱物などとは違い、いぼ石は単なるいぼいぼのある地味な石ころですので、わざわざ目にとめる人はいないでしょう。鉱物が好きな人でも、興味を持つ人は少ないかもしれません。

ただ、丹沢にも透明で青い結晶の、正真正銘の菫青石があるんじゃないかと思っています。アメリカのコロンビア大学には、江戸時代末に収蔵された道志産の青い結晶が保存されているそうです(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cordierite-527337.jpg)。こんなのがあるのならば、いつか見つけてみたいですね。

 

道志では、いぼ石をちょっとしたお祭りの行事で使っていたそうです。神奈川側でもやはりこの石をいぼ石といいますが、神奈川の箒沢・中川周辺と道志で佐藤姓が多いのを考えれば、いろいろ行き来があったことが分かります。また、県境尾根を挟んで道志側の室久保川、神奈川側のモロクボ沢などと、現在でも何やらややこしいことになっています(おそらく、どちらの側でも源流域の畔ヶ丸周辺の山々をまとめて諸窪山といっていたのではないか)。

「新編相模国風土記稿」の中川村の項には、天正7(1579)年 、道志の大窪村[現・道志大久保地区] の百姓が中川村を夜討したことから大きくなった騒動について記載があります。武田と北条の争いの舞台であり、江戸時代には三国山-菰釣山-二本杉峠の国境争いの舞台でもあり、どうもこの周辺はいろいろと確執、因縁、関係があったようです。今はなき箒沢の長老、佐藤浅次郎氏も、若い頃道志村との間で大太鼓の寄進の話を苦労してまとめたとか〈佐藤芝明『丹沢・桂秋山域の山の神々』〉。

 

ちなみに、「新編相模国風土記稿」には、白石峠や犬越路の地名はまったく出てきません。どちらも道を作るには険しすぎるので、馬が通れる城ヶ尾峠がメインの通路となります(そのすぐそばに信玄平という地名もある)。犬越路を信玄の軍勢が通ったなどという話は、とうてい信用できません(中川温泉の箔付のためだったという話もありますが、まあ深くは追求しないことにしましょうw)。

 

2020年6月25日 (木)

ミメット鉱(山梨県甲州市黄金沢鉱山)

Mimetite Pb5(AsO4)3Cl 燐酸塩鉱物等

 

Mimetite_koganezawam_01_

 

山梨県・塩山平沢にある黄金沢鉱山のミメット鉱です。

同地では、白い針状結晶や緑の透明結晶で産することが多いようですが、ミメット鉱はさまざまな色、形態をとることのある鉱物のようです。ネットで検索してみても、同じ鉱物の写真とは思えないものがいっぱい出てきます。

写真の標本は、少し黄味がかかった薄い肌色の樹脂光沢、六角柱状で若干真ん中が膨れた樽のようになっていて、緑鉛鉱に似た感じの結晶です(緑鉛鉱の実物は見たことないけどw)。左側にはもっと細いバージョンや、緑の針状のものも見えますが、これもミメット鉱でしょうか。いろんな姿のミメット鉱が同時に見られるお徳用標本ですねw

ミメット鉱は鉛と砒素と塩素の鉱物で、砒素が燐に変われば緑鉛鉱になります。ギリシャ語で「模倣」を意味する「mimethes」から名付けられましたが、これも緑鉛鉱に外見が似ているからだそうです。ミメット鉱からしたら、別に真似したわけじゃないのに、いい迷惑ですね。

 

黄金沢鉱山は、鈴庫鉱山に行く途中にあります。基本的には似たものを産しますが、少しずつ違うのが面白いです。黄金沢鉱山のほうがかなり狭いうえ、特に有名な洋紅石やミメット鉱が出る上流のズリの範囲は小さく、人も多く訪れたためか、叩かれて小さくなった石ばかりです。洋紅石は、もしかしたらこれがそうかも? というレベルのものしか拾えなかったのですが、まあこのミメット鉱を見つけられたので、いいかな(上のズリのことを知る前に、下のズリに2回ほど来て、全然ないなあとか思っていたのは秘密w)。

車があれば、とてもアプローチが楽な場所です。竹森といえば、今はもう行くことのできない水晶や鋭錐石の有名産地ですが(自分はもちろん行ったことはない)、ザゼンソウの群生地としても知られています。以前、そうとは知らず花の季節に訪れ、なんだろうと思い見に行ったことがあります。

竹森川の源流、鈴庫山の頂上には山神社があって、竹森の集落を見守っています。山間の狭い地域ですが、南に向かって開けていて明るく、見どころが(鉱山跡も)いっぱいあるいいところですね。

 

ZazensouSuzukurayama

左:竹森のザゼンソウ。右:鈴庫山の頂上から、竹森の谷を見下ろす。谷の向こうの小さな山は塩ノ山。下に、黄金沢鉱山のそばを通り、鈴庫鉱山に行く林道が見える。

 

2020年6月14日 (日)

ブロシャン銅鉱(山梨県都留市宝鉱山)

Brochantite Cu4(SO4)(OH)6 硫酸塩鉱物等

 

Brochantite_takaram_01

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以前の記事、含銅アロフェン(山梨県都留市宝鉱山)と同じく、カラミについていたものです。

ブロシャン銅鉱の板状結晶かと思いますが、どうでしょうね。銅の二次鉱物は似たものがたくさんあって困ります。孔雀石の結晶が、こういう板状になることもあるんでしょうか(どんな形でもありそう)。

ガラス質で、青みがかった深い緑色が、とてもきれいです。

2枚目の上の水色は水亜鉛銅鉱かな? その上に白い絹糸放射状のものがあるのですが、こちらは分かりません。

 

野外の銅像などに錆びてつく緑青は、大体孔雀石かこのブロシャン銅鉱であることが多いそうです。防衛大学・山口晴幸教授の、三浦半島の銅像などが酸性雨でどのくらい影響を受けているか、という論文を以前見たことがありますが、あれなどはちょっと変わった緑青の研究といえるかもしれません(他にも三浦半島の隧道におけるPM2.5とか、浜に漂着したゴミとか、巨樹とか、面白いことを多く研究している方です)。

ちなみに平賀源内によると、緑青には、山や鉱山などで自然にできた「石緑」、人為的な「銅青」があるとのこと。

放射状に結晶したブロシャン銅鉱は、その色、形、ともに美しく、憧れる鉱物のひとつで、ぜひ採集してみたいのですが、関東近辺では有名な産地は立ち入りができないところが多く、まだ見つけたことはありません。本などを見ると、もっともありふれた銅の二次鉱物などと書かれているのが、さらに腹立ちますw

ネットでは、宝鉱山でブロシャン銅鉱があったというような話は見つけられませんでしたが、あってもおかしくないですよねぇ? そもそも、宝鉱山の鉱物についての記事をあまり見かけません。

知る限り、宝鉱山は珍しい鉱物が出るという話もなく、カラミは鉱物ではないと、あまり鉱物好きの興味をそそる対象ではないのかも? 個人的に、宝鉱山周辺の山、大幡川源流域は大好きなので、山登りと鉱物探しが両立できる、お気に入りの地域です。人が少なく静かなままでいて欲しいと思うと同時に、もっと多くの人にこの地域の良さを知ってほしいとも思っているんですが。。。

 

ところでネットで宝鉱山を検索していたら、平成29年に、宝鉱山の坑廃水処理のミスで中和のための石灰が投入されず、有害物質が流れ出したおそれがあるという山梨県の報告書を見つけました。調査の結果、排水基準は超えていなかったとのこと(山梨県「旧宝鉱山(都留市大幡)の不適切な坑廃水処理について」)。宝鉱山は昭和45年に閉山していますが、今でも処理をし続けなければならないのですね。

考えてみると、大幡川は桂川の支流、つまり、相模川の上流で、うちの水も相模川の水です(神奈川の水源は、主に相模川と酒匂川)。他人事ではないということですね(割と知られていないのですが、相模川の源流は富士五湖の山中湖なんですよ!)。

 

2020年6月 7日 (日)

黄銅鉱(山梨県上野原市秋山金山)

Chalcopyrite CuFeS2 硫化鉱物

 

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正三角形の浮き出たものと結晶。美しいですね。

これを見ていると、鉱物を立体ではなく、もっと単純化した平面的な図形でその特徴を端的に表現できるような気がしてきます。

黄銅鉱は正三角形なんですね。

正三角形の重なりが、ほんとにしびれますねぇ。均整のとれた形を見て、「まるで自然でなく人の作ったような」という表現は間違いで、そういうのはむしろ自然の本質なんだなと感じます。人がそういうものを作りたいと思うのは、自然を模倣しようとする行為であって、その願望が人の存在の本質であるといえるかもしれません(自然とはなんぞやという定義はとりあえずおいといて)。

鉱物とは、幾何学の表象といえるかもしれない。数学とは発明したものか、発見したものか、という疑問が昔からありますが、これを見ていると、発見したものであるとしか思えません。つまり、「数学」というものは世界に遍在・実在するものであって、人間の作ったルール、ツールではない、ということです(哲学的にいうと、プラトン主義)。

ところでこういう問題を西アジアや西欧の人が語ると、なぜか当たり前のように「神様」というものが出てくるのだけど、日本人である自分は、なんで急に余計な要素を当たり前のように付け加えてくるのか、と思ってしまいます。そんなん別にいらんやんw(神さまはいると思いますけど、全知全能の神様はいらないかなw)

 

これを拾ったのは、山梨県の秋山にある、かなやま金山(ややこしいので地名はひらがなにします)周辺です。

秋山のかなやまといえば、『鉱物観察ガイド』(東海大学出版会、2008年)に、沸石の産地として紹介されていて有名ですが、その露頭はもうすっかり固められていて、ありません。脇にちょこっと沸石のかけらが見られるくらいです。

その露頭のさらに奥の谷間に、小さな集落と昔の金山地域が広がっています。かなやま集落から沢沿い→尾根沿いに千足峠に登る道(地形図や登山地図などには載っていない)が通っていて、その途中の尾根上に、金を露天掘りしていたという「つつみの平」があります。またあちこちの沢沿いにも、掘った跡がたくさんあって、地下には網の目のように坑道が走っているらしいです。

集落にはかなやま金山資料館がありますが、普段は開いておらず、管理人の人(すぐそばの星野さんという方)に頼んで見せてもらうみたいです(知らなかったので、中は見れなかった)。

かなやま金山は応永年間(1394~1428年)、南北朝の動乱で南朝の滅亡に巻き込まれてこの地に逃げてきた星野正美(まさたね)が開いたといいます。管理の方は、その18代目にあたるらしい。。。南北朝の歴史が普通に今まで続いてるのがすごいですね。

とにかく地味な山域なので、静かな山が味わえます。昔は人の行き来も多かったようで、いい感じの峠がいくつもあり、このあたりから雛鶴峠にかけての山域はもっと行ってみたいところです。ちゃんと登山者用駐車場もありますよ!

 

2020年5月20日 (水)

チタン鉄鉱(山梨県甲州市柳沢峠)―B2

Ilmenite Fe2+Ti4+O3 酸化鉱物

 

Ilmenite_yanagisawa_02

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前回・閃亜鉛鉱?(山梨県甲州市柳沢峠)からの続きです。

六角形を基本とした形状で、磁鉄鉱ほどではないとしても、結構強い磁性を持っています。

ということはやっぱりどこか上流にペグマタイトが露出しているところがあるってことですね。

このあたりの地質を大きく見ると、甲府花崗岩体の徳和バソリスに属します(広範囲に地下深部でできた花崗岩などが地表に露出しているものをバソリスという)。徳和バソリスは、御坂峠周辺(藤野木・愛川構造線)を南限として、そこから北上し、雁ヶ腹摺山・黒岳、大菩薩峠、柳沢峠、雁坂峠、甲武信岳、大弛峠、さらに南下して琴川ダムあたりまで含む、広い範囲です。御坂峠から大弛峠まで延々と稜線を繋いだイメージですね。

徳和というと、乾徳山や黒金山の登山口として知られていますが、乾徳山や黒金山自体は徳和バソリスではありません。

ところで黒金山という山名も、鉱物好きにとっては、ちょっと気になります。場所的には鉱山等あってもまったく不思議のないところですが、そういう話を聞きません(黒金山から稜線ぞいに国師岳方面に向かうと、デュモルチ石で知られる京の沢があります。一度行ってみたいんですが、距離もあってビバーク必須か。。。)。

『和名類聚抄』の宝貨部に、「銕[𨮘鉄附]説文云銕[他結反和名久路加禰此間一訓禰利]黒金也唐韻云𨮘[音賓]𨮘銕為刀甚利」とあるので、 黒金とは銕=鉄のことです。鉄鉱石として使われた、赤鉄鉱、磁鉄鉱、針鉄鉱、鱗鉄鉱、菱鉄鉱などの鉱山があったのかもしれません。

徳和バソリスの花崗岩は磁鉄鉱が多いそうですが、大菩薩の周辺は泥質岩に接しているためチタン鉄鉱が多いとのこと(TreckGEO大菩薩峠)、柳沢峠も同じということかな。

ネットで調べていて、柳沢峠の古い水晶坑のことが出ている文献がありました。「…柳沢峠付近のペグマタイト中(古い水晶坑)でソウ長石の 内部に点在する緑レン石に黒色のカツレン石がはめこまれて産する…」(木村幹「東洋産含希元素鉱物の化学的研究(第56報)山梨県大菩薩峠産カツレン(褐簾)石」『日本化学雑誌』第81巻第8号、1960年)。これだけです。こちらにはチタン鉄鉱についての記述はありません。

『日本希元素鉱物』は実際に実物を見たわけでないので、引用しづらかったのですが、Amazonで見てみたら中古も何点かあるのだけれど、すべて10万円前後でした。うん、買えませんねw

 

閃亜鉛鉱?(山梨県甲州市柳沢峠)―B1

Sphalerite ZnS 硫化鉱物


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青梅街道を、奥多摩湖から丹波山を経てずっと西に進むと、柳沢峠の山越えで、甲府盆地に入ります。

この石は、その柳沢峠付近の沢で拾ったものです。

峠のすぐそばには以前ここでも取り上げた鈴庫鉱山のある鈴庫山、武田の金山で有名な黒川鶏冠山、大菩薩などがあり、何か出てもおかしくないと思うのですが、特に「出る」とされているポイントではありません。ただ、地図を見ていて、ちょっと気になったところでした。

山梨の峠と鉱物」というサイトで、柳沢峠の項目に『日本希元素鉱物』が引用されています。「柳沢峠のすぐ西の沢に水晶坑跡がありこのペグマタイト中に褐レン石、緑レン石チタン鉄鉱があり、内部が褐レン石で表面が緑レン石になっているものも産する・・・・沢をパンニングすると灰重石がみられる」(長島乙吉、長島弘三共著『日本希元素鉱物』長島乙吉先生祝賀記念事業会、1960年)。

このひとかけの石(花崗岩)はペグマタイトっぽいんですが、他には一切見かけなかったので、ごくごく狭い範囲に露頭がある、あるいは以前はあったのか。。。または全然違う場所なのか。人のいた痕跡はあったけれど、鉱山のものかどうかは分かりません(時代を考えると、もっと新しいものっぽかったので多分違う)。大菩薩のペグマタイトでは褐簾石が見つかるそうですが(まだ探しに行ったことはない)、その脈が柳沢峠付近まで続いているのでしょうかね。

 

写真の石は、多分、閃亜鉛鉱、べっこう亜鉛といわれるものだと思いますが、どうでしょうね(べっこう亜鉛は初めて)。断口は貝殻状でした。

この石には他に、磁鉄鉱、煙水晶(石英)、白(?)雲母の小さなかけらがついていました。見つけたあと、沢をしばらく遡行したのですが、他は特になし。黒川鶏冠山に行った帰りだったので、ちょっと時間がなかった。

でも、もうちょっと探索してみたい感じです。もし『日本希元素鉱物』 に出ていたところなら褐簾石が、そうでなくとも、大きめの水晶ももしかしたらあるかもしれない。。。

 

。。。と思っていたんですが。磁石に明瞭に反応するし黒い粒だから磁鉄鉱だと深く考えていなかったのですが、調べているうちにチタン鉄鉱も磁石に反応するらしいと知り(今まで見たことなかった)、よくよく眺めなおしてみたら、これがどうやらチタン鉄鉱で間違いないようです(そのうち別項を立てて紹介するつもりです)。

これは早く再確認しに行かないと。。。

 

2020年5月15日 (金)

緑簾石(山梨県道志村道志川流域)

Epidote Ca2(Al2Fe3+)[Si2O7][SiO4]O(OH) 珪酸塩鉱物

 

Epidote_doshi_01

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道志川流域のペグマタイトで拾った緑簾石です。

白いのは微斜長石。右側の結晶は透き通っていてきれいです。最初、透輝石かなとも思ったんですが、ペグマタイトだし、まあ緑簾石だろうということで。。。

このあたりは、昔から登山にはちょくちょく来ていたのですが、石に凝ってから、片っ端から沢に入って水晶の出るポイントを探しました(教えてもらうような知り合いもいないので)。沸石の露頭があったり、大きな金雲母があったり、なかなか楽しい探索でした。結局すごい偶然で水晶のポイントも見つけることができました(山の神様のおかげですね)。

道志の沢は、神奈川側に比べると大分穏やかな印象です。真面目な沢登りなんて、はるか昔の学生の頃にちょこっと経験しただけなんですが、道志の沢はそんな自分でも割と安心して歩けます(もちろん場所による)。

まだまだ探索したいところはいっぱい残っているので、とにかく早く県外に行けるようになってほしいですね。。。

 

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同じ場所で拾った別の石。こちらも白いのは微斜長石、上部の細かい雲母のような欠片は、緑泥石のクリノクロアでしょうか。きらきら渋い緑に光る硬めの泥のような感じで、水晶や微斜長石などを覆っていて、楊枝や釘などでひっかくと削れます。

削っていくと、水晶が顔を出したりします。昔ポケモンにこういうのありましたよねw 地下にもぐって、いろんな色の玉や各種石、化石などを掘りだすのがすごい楽しかった記憶が。。。防御力に特化したメイプルみたいな化石ポケモン好きだったのでw

右側に、名前の通りすだれ状になった緑簾石が見えますが、緑泥石のせいでずいぶん隠されてしまってます。

左側のも緑簾石かな? 

今度楊枝で家でできる鉱石掘りをしてみようw