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○静岡県

2021年3月23日 (火)

黄鉄鉱(静岡県河津町河津川流域S鉱山)

Pyrite FeS2 硫化鉱物

 

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一番最初の記事、黄鉄鉱(静岡県河津町河津川流域)の上流の鉱山跡で採集したものです。先に拾った黄鉄鉱は、この鉱山跡から流れてきたんですね。

 

そのあたりに鉱山跡があったという話をネットでちらと見て、いろいろ調べ探しました。あまり名の知られた場所ではないので、とりあえずS鉱山ということにしておきます。まあ記事を見れば、知ってる人は「あああそこか」と見当つくと思いますが。。。

山の中で若干沢歩きあるいは廃道辿りしなければならず、伊豆にしては割と行きにくいこと、あるいはもしかしたら大したものが出ないとかの理由で、人があまり訪れた形跡が見られません。伊豆半島の鉱床を列記した櫻井欽一の「伊豆半島の鉱物」(『伊豆半島 IZU PENINSULA』東海大学出版会、1972年)を見ても、取り上げられていないですね。

あるらしい、という段階からうまく見つけ出せると、テンションあがります。あらかじめ地形図を見て、ここにあるはずだと予想した場所に実際にあると、なおさらです。『ロストワールド』のチャレンジャー教授になった気分が味わえます。まあ、伊豆にはまだ知られていない鉱山あとやポイントなんて、まだまだいくつもありそうな気もしますけれど。

S鉱山では、沢沿いに約250mにわたって坑道やズリが残っています。自分が見た限りでは、坑道跡は、上流域に3~4、中流域に2、下流域に1。中流域の坑道がもっとも大きく、立派でした(下の写真)。ズリは下流域と上流域に2か所ほどありました。沢沿いに一応経路あとも残っていますが、当然のことながら、崩れかけた場所多数。でも、そんな急峻な沢ではないので(2~4メートル程度の落差の棚がいくつかあります)、そんなに苦労はしませんでした。

 

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左:下のズリに打ち捨てられた軌道のレール。
右:一番大きな中流域の坑口。入口のところに登り階段がある。

 

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上流の坑道群。

 

上と下のズリでは、見られる石にかなり違いがありました。

下のズリでは、石英(小さな水晶)、方解石、黄鉄鉱などが中心。写真の五角十二面体の黄鉄鉱は、ここの産です。やっぱり下流で見つかるものより、ずっと大きいしきれいだなあ。母岩はグリーンタフでしょうか。

上のズリでは、多分銀黒を含んだ石英(他の伊豆の金銀鉱山でよく見かけるものです。水晶はほとんどついてない)、黄銅鉱、黄鉄鉱(こちらのは六面体です。一面が湾曲したようなものが多いみたい)、硫砒鉄鉱? 方鉛鉱? それに、ズリの表面が緑色で染まっているところがあります。孔雀石ですね。上のズリには銅が多く含まれているみたいです。孔雀石も結晶はミクロサイズばかりでしたが。

それほど珍しいものを見つけたわけではありませんが(というか、どんな鉱物があるか情報があまりないので、はっきりと確定しにくいです)、ズリによって違いがあるということは、他にもいろいろ出そうな気がします。ここにはテルル、ビスマス系はないのかな? なんとなく亜鉛系の鉱物も出そうな気がする。

機会があれば、もうちょっと枝沢とか斜面など、引き続き探してみたいことろです。

 

2021年2月24日 (水)

普通輝石(静岡県賀茂郡南伊豆町伊浜)

Augite (Ca,Mg,Fe)2Si2O6 珪酸塩鉱物

 

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普通輝石かなぁ? 多分。

西伊豆の南端、妻良と雲見の間の小さな港町・伊浜近くの山の中で採集しました。場所的には蛇石火山の範囲内になると思います。

蛇石火山は140~130万年前に噴火したとされる第四紀の火山です。侵食によってかなりなだらかな地形となっていて、蛇石峠西にある大峠そばの520m峰が山地の最高峰。名前は青野川上流の蛇石という地名からきていますが、ここにある蛇のように見える蛇石がジオパークのポイントになっています。この蛇石は伝説では蛇石集落の北2kmちょっとのところにある蛇石大池(現在低層湿原となっている)まで続いているということですが、この大池もどうやら火口跡地のようです。

妻良から雲見までの道路(マーガレットライン)は海から離れてずっとなだらかな山の上を通りますが、妻良側の約半分くらいは蛇石火山の噴出物の領域です。鉱物的には妻良の付近にマンガン鉱山があったようですが、行ったことはありません。妻良から南の岬の先にある浜を目指して、二十六夜山を周る道を歩いたことがありますが、植生が日本っぽくなく、南洋的なヤブがかなりきつく、岩場もあって結局行き着けませんでした。でも、林道の途中で立派な柱状節理が立ち並んでいたのを見つけたのは思わぬ発見でした(こちらはジオポイントにはなっていない。まあ伊豆は柱状節理多いですもんね)。

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普通輝石は火成岩(と一部の変成岩)に含まれることの多い造岩鉱物で、ごく普通に見られるものです。

語源はギリシャ語のαυγή(アヴギ)。現代ギリシャ語では「暁」という意味で、古代ギリシャ語だとαὐγήは「太陽の光」「光線」「光沢」というような意味です。劈開のさまからつけられたようです。前回の重晶石の回にも名前が出てきたドイツのヴェルナー(Abraham Gottlob Werner, 1749-1817)によって、1792年に命名されました。

なんといっても名前がね、「普通」ですからね、名前につける言葉じゃないですよねぇw

その名前のとおり非常に地味でありふれた存在ですけど、きちんと結晶形が出ているのをそう頻繁に見るわけではありません。ミクロな結晶から、マクロな地質、火山地形まで思いをはせることができるのが、地学の面白さですね。

 

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妻良南の岬付近から、北側方面を見る。海をへだてて向こうに見えるのは左から、波勝崎、高通山、さらになだらかな蛇石火山。

 

2021年2月17日 (水)

重晶石(静岡県河津町河津川流域)

Baryte Ba(SO4) 硫酸塩鉱物等

 

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重晶石の板状結晶のあつまりではないかと思います。

河津川流域の湯ヶ野鉱山では重晶石が多く見られるそうなのですが、採集地はそのそばではあるけれども別の場所です(湯ヶ野の石が転げてくることはない)。湯ヶ野鉱山は行ったことがありません。入口に温泉用の無料駐車場があることは確認ずみなので、今度そばに行ったら見てきたいと思ってます(ちなみに湯ヶ野鉱山の山を越えた北の沢は見に行ったことがあるのですが、何も見つけられませんでした)。

周囲には火山とその痕跡ばかりで、噴出物をのけて鉱物を探すという感じの地域なので(ちょっと言い過ぎましたw)、この重晶石も温泉由来のものなのかな? ただ湯ヶ野鉱山は黒鉱鉱床に近いタイプらしく、黒鉱由来の可能性もある?

重晶石は健康診断で飲まされるバリウムの原料です。なんというか、いやーな気分になりますねw えらく濃厚な感じで、バリウムの入ったコップを持つとすごく重いことに気づきますが、コップが重いわけではなく、バリウム自体の重さです。重晶石Baryteの語源は古代ギリシャ語のβαρύς(barús)で、意味は「重い」。重晶石の「重」も、もちろんここからきています。まあ重いといっても、非金属としては重いということですが。

1800年、ドイツの鉱物学者カルステン(Dietrich Ludwig Gustav Karsten, 1768-1810)により命名されました。水成論で有名なヴェルナー(Abraham Gottlob Werner, 1749-1817)とレスケ(Nathanael Gottfried Leske, 1751-1786)の収集した、膨大な鉱物コレクションの整理・分類をしてまとめたことで知られている人です。ちょうどゲーテと同じ時代の人たちですね。「Karsten」で検索すると、彼の書籍がAmazonでいっぱい出てきます。欧米では今でもよく読まれているのでしょうか。

ただ検索していて気づいたのですが、バライトには「barite」と「baryte」の、2つの綴りがあるようです。アメリカを中心にいくつかの国では「barite」を、IMA(国際鉱物学連合:International Mineralogical Association)による公式な名称としては「baryte」としているとか(こちらは英国流らしい)。事情はよくわかりませんが、まあいろいろあったんでしょうかね。どうでもいいけど、こういうのは検索するのに面倒だからいっそのこと、「Jushosekite」にしたらどうでしょうw

 

2021年1月29日 (金)

パウ石(静岡県下田市稲生沢川流域)

Poughite Fe3+2(Te4+O3)2(SO4)・3H2O 酸化鉱物

 

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またまた稀産鉱物の宝庫、河津鉱山由来の、珍しい鉱物です(多分)。

最初微細な水晶の晶洞の中に見つけた時はキントレ石かと思ったのですが、キントレ石はもっと錆びて赤茶けた水晶などにくっついているイメージなので、ちょっと違和感がありました。さらにいろいろ調べているうちに、見つけました。それまでまったく聞いたことのなかった名前です。河津鉱山の黄色い鉱物ということで、やはりテルル系。

模式地は、テルル鉱物を多産したメキシコのモクテスマ(Moctezuma)鉱山。モクテスマというのは、アステカの国王の名前で、ナワトル語で「若き君主」の意だそうですが、モクテスマという町の名前がどのような経緯でついたかはわかりません。1968年、ゲインズ(Richard Venable Gaines)により、アメリカの鉱物学者・パウ(Frederick Harvey Pough、1906-2006 )に因んで命名されました。パウは、アメリカのいくつかの博物館長を務めた人で、Peterson Field Guide to Rocks and Minerals などの著作があります。

日本では河津鉱山のほか、北海道の手稲鉱山、小別沢鉱山で産出するようです。

 

それにしても、河津鉱山(蓮台寺川)の多彩な産出っぷりは、まったくびっくりします。ちょっと川原から拾ってきた石を、とにかく細かく割って顕微鏡でじっくり見ていくのが、ほんとうに楽しい。何かしら見つかります(もちろん、どういう石を拾うかが重要なんですが)。

ふと思ったんですが、蓮台寺川は下田市で、河津町からは結構離れているのに、 どうして「河津」鉱山なんでしょうかね。おかしくないですか。かなり範囲が広いとはいっても、蓮台寺川流域は全部下田市の範囲だし、車で県道414号を河津に向かっても、かなり距離があります(現在、新しくトンネルが掘られて、バイパスが建設されていますね)。どう考えても、ここを河津鉱山というのはおかしい。個人的には、河津といったら天城の南麓という感じで(登り尾、猿山、三筋山など、つまり河津川流域)、南伊豆の下田とははっきり別地域というイメージなんですよね。

1600年ころにはもう掘られていたようですが、昔はこのあたりも河津と呼ばれていたんでしょうか。やはり古い縄地鉱山あたりとまとめて認識されて、一緒に河津呼ばわりされていたとか? あるいは、昔はもっとずっと広い範囲で採掘されていて、河津川の周辺まで鉱山地域が広がっていたのか? もしそうならば、蓮台寺と河津の間の山間部、特に稲梓の西側周辺の山では石関連の話を聞きません(加増野や青野まで行けば鉱山跡があります)が、ちょっと気になりますね。。。

 

2021年1月 4日 (月)

岩塩(静岡県河津町菖蒲沢浜)

Halite NaCl ハロゲン化鉱物

 

Halite_shoubusawa_01

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ようするに、普通の塩ですね。

なんてことないようにも感じますが、日本では自然の岩塩は割と珍しいのです。珍しいというか、誰でも海で見たことはあるような気はするけれど、いざ採集しようと思うと、そう簡単ではなかったり。

日本では塩といえば基本海水からとるものと思っていますが、世界を見ると、海から塩をとる国のほうが実は少ないようです。モンゴルのピンク色の岩塩とかよく売ってますが、もちろんモンゴルには海はなく、あれは岩塩の鉱床から採掘しています。他にも、鉱床の塩が溶け込んだ湖の水から塩をとったりしているようです。

写真の岩塩は、磯の岩場に残った海水が蒸発して結晶したものです。ほどよい量の海水が岩のへこみに残り、晴天が続いて水が蒸発していくと塩分濃度があがり、水がすべて蒸発した後に結晶が残るわけですが、その条件として、まず晴天が続かなければなりません。さらに、日本は高温多湿ですので、結晶が残りにくく、からからに乾燥した日が続かなければなりません。風が強かったりして波が高くなれば、結晶もなにも残りませんし、結晶ができたあと潮が引いて海水が届かない場所、日時である必要もあります。

このように条件が多いので、いざ見つけようと思うと結構苦労するのですね。関東であれば、乾燥して晴天が続く冬が一番いいのかもしれません。東伊豆は、西伊豆のように風が強くないし、冬でも日差しがあればあたたかく、海岸線も長く岩場が多いので、最適といえるかも。

この写真の岩塩は、別に苦労して探してとったものでなく、冬に海岸を歩いていて偶然見つけたものです。

ところで、wikipediaを眺めていたら、世界で産出される岩塩の約半分は、ヨーロッパ、北米で冬の融雪剤として使用されると書いてありました。知らなかった、そんなの。。。普通に考えて、そんな大量の塩をばらまいてたら環境負荷大きいんじゃないのと思いますが、実際塩害は特に欧米ではかなり昔から問題になっているようです。日本でも雪の多いところでは交通量の多いところで植物が枯れたりする被害がでているみたい(塩を使わない融雪剤もあるようですが、かなりコストが上がるらしい)。

こういうのはほんとに難しいですねぇ。じゃあお金がかかっても被害のでないものを使え!環境第一!とか口で言うのは簡単ですが、コストが高いということは、製造のために使われる時間と手間、つまりエネルギーがより多いってことだから、それを勘案してどちらがより良いかは、一概に言えない。行程が複雑になればなるほど、それにかかるエネルギーは増えるのだから、結局一番安い(簡単な)方法が一番効率良い、無駄がない=環境にやさしい、ということになるような気もします。

これは発電方法の問題や、最近はやりのビニール袋の問題と一緒ですが、きりがないので、ここでやめることにします(ほんとはちょっと書いてみたが、政治的な自己主張みたくなってしまうので、このブログにふさわしくないのでやめたのだ)。

 

2020年12月 7日 (月)

苦土かんらん石(静岡県伊東市宇佐美)

Forsterite Mg2(SiO4) 珪酸塩鉱物

 

Forsterite_usami_01

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東伊豆の宇佐美、大崎海岸の苦土かんらん石です。白いのは灰長石かな?

宇佐美と網代の間、約5kmほど続く大崎海岸は、伊豆によくある断崖と海岸が続いており、多分大崎火山の溶岩流が海に落ち込んだあとだと思いますが(断崖には節理がよく発達している)、小さいけれども緑の透明なかんらん石や、灰長石の大きな結晶も見られます。

網代と海岸続きの上多賀の鉄かんらん石は以前とりあげましたが(鉄かんらん石(静岡県熱海市上多賀))、矢印のような形がなんだか似てますね。

宇佐美海岸には無料駐車場(夏には有料になる?)が多く、そこからちょっと歩いて行ける大崎海岸は行きやすいところですが、あまり奥まで行くのはちょっとためらわれます。多分場所によっては大潮で通行困難になりそう。でも、行きやすい東伊豆にしては人の少ない穴場的な海岸で、晴れていると気持ちいいです。冬だと東伊豆は風があまりないので、あったかい(西伊豆は風が強くて大変)。

途中の住宅地の石垣に洗面所がついていて、常に温泉が流れているのはさすが伊豆。

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左:大崎海岸。遠くに見える山は矢筈山と遠笠山かな? 右:宇佐美から大崎海岸に向かう途中、道の脇に温泉が湧きだしている。さすが伊豆。触ると熱い。

 

宇佐美と網代の間は、山を越えて歩くこともできます。昔の街道が一応残っていて、古い遺構などもそのまま残ってたりします。大崎海岸の上のナコウ山には、江戸城のための石の切り出し場(石丁場)がありました。担当した大名の名前が刻まれた石が残っていて、ちょっとした公園みたいになっています。伊豆にはこういう場所は多いのですが、歩く人もそんなに多くないとみえて、大抵ちょっと荒れてて面白いんですよねw 南のほうだからジャングルみたいになってるかと思いきや、稜線上は割とヤブも薄くて歩きやすかったりするのだけれども、冬でもクモの巣がはってるのはやっぱりあったかいんですね。

山中、場所によってはシダやヤブムラサキが多いところもあって、もしかしたら金とか見つかるかも?

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ナコウ山頂上近くの石丁場あと。「羽柴越中守石場」と刻まれている。

 

2020年11月26日 (木)

河津鉱山の金属様鉱物(静岡県下田市稲生沢川流域)2

下田・稲生沢川で見つけた、河津鉱山由来と思われる金属光沢鉱物のまとめ、つづきです。

 

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結構立派な姿の金属鉱物です。繊維状の見かけから、輝蒼鉛鉱()のように見えますが、どうでしょうね。

最初真っ黒で金属系にはまったく見えなかったのですが、洗ってみたらきらきらしだしました。

何もめぼしいものがついていないように見えた石が、洗うにつれてさまざまな鉱物が現れてくるのはほんとに楽しいですね。でも最近はあまりごしごし洗わなくなりました。ピカピカなのも、風情がないですし、洗っていると楽しくてつい夢中になり、あとからなんか面白いものまで洗い落としてしまったんじゃないかと心配になったりするのでw

 

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こちらはちょっと茶色が入ったような箔がけば立った感じの金属様鉱物。針でつつくと、触れただけでぐにゃっとつぶれてしまうくらい、もろいものです。

すぐそばの高根山鉱山で、これと似たものを見たことがあります。前回、マンガン系鉱物はまったく見かけなかったなどと言った舌の根も乾かぬうちからなんですがw この少し赤味が入った色ともろさは、ランシー鉱()ではないでしょうか。

河津鉱山と高根山は、稲生沢川を挟んで、ほとんど向かい合わせといっていいくらい近いですが、それぞれ特徴のある鉱山です。周辺には他にも珍しいものが出る産地があちこちにあって、ほんとに南伊豆は面白いですねぇ。

この辺は、鉱物を売りにして、全面に出してもいいんじゃないかと思うくらいですが、そういう気はないんですかね。伊豆はジオパークを割と観光のメインにしているような気がしますが、その一環として、河津鉱山など、入場料をとって鉱物を採集できるようにするのもありだと思うんですけどね。世界的にもあれだけ稀少な鉱物が多く出る産地はそうそうないと思いますし。お金がちょっとかかろうとも、安心して採集できるならその方が気が楽だし、産地の管理という意味でもいいと思うのですが。。。

温泉などもそうですが、出るところでは、それがあるのが当たり前と思ってるんじゃなかろうか。ないところから見ると、とてももったいないと感じることがあります。温泉のかけ流しとか、お湯を手に入れるにはガスや電気代が必要なところに住む自分には、資源の無駄づかいにしか見えないのだ。河津鉱山の稀少鉱物も、興味がなければ単なる石ころにすぎないし、日本では(採集を中心とした)鉱物趣味ははやんないんだろうなあ。。。

 

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こちらは黄鉄鉱ですね。あまり大きな結晶はないのかな? とても小さいけれど、やはり黄鉄鉱の結晶はとても惹かれます。

ちょっと古いですが、『狼と香辛料』というアニメがあります。ラノベ原作ですが、テーマ(タイトルの「香辛料」部分の要素)が中世ヨーロッパ(を思わせる世界)の経済学という、どこかの大学の地味な論文か、と突っ込みたくなるような作品ですがw 2期前半で、黄鉄鉱が取り上げられています。商売上手な占い師と祭りの浮かれた空気がきっかけでお守りとして流行し、高騰した黄鉄鉱をめぐるお話。取引する商人たちはみんな黄鉄鉱にもともと価値などないことを分かっていながらも、ひと儲けしようとする、まさに「愚者の金」ですねw

まあメインのテーマは、タイトルの「狼」部分の要素、旅商人である主人公と一緒に旅するホロという少女のほうなのですが、架空の世界のファンタジーとはいえ、実際の中世ヨーロッパの歴史をもとに書かれていると思われるし、そもそも商業がメインのファンタジーなんて、他に見たことありません。なかなか面白いですので、おすすめ。

 

2020年11月22日 (日)

河津鉱山の金属様鉱物(静岡県下田市稲生沢川流域)1

下田・稲生沢川で見つけた、河津鉱山由来と思われる石についていた、金属光沢の鉱物をまとめました。

まとめたのは、特定できないものが多いからです。川原にあったというズリの石が残っていたのか、それとももっと最近に山から川に転げ落ちてきたものなのかも分かりません。鉱山のある川の奥に行ったことはないので、過去どういう状況であったか、現在どうなっているかも知りませんので。

当然、非常に範囲が広かったという河津鉱山のどこから出たものかも一切分かりません。ちなみに、拾った場所では、マンガン系の鉱物、銅の二次鉱物の類はまったくありませんでした。

川で拾ってきて、家でよく洗ってから細かく割って確認したものです(洗わないと病気になりそうだったのでw)。

 

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薄い膜状で石英にへばりついた、銀白色の金属様鉱物。いろいろと調べてみて、その産状から候補としては、河津鉱(Kawazulite Bi2Te2Se)、硫テルル蒼鉛鉱()、パラグアナファト鉱(Paraguanajuatite Bi2Se3)のどれかではないかと思うのですが。。。これ以上は無理。

表面が結構なめらかになっている部分があるのを見ても、ビスマスーテルル系っぽい。

河津鉱は非常に希少な鉱物ではあるけれど、天然のトポロジカル絶縁体として、物理学界隈では最先端のトピックとしてよく知られているようです。自分は詳しくないのでよく分かりませんが、トポロジカル絶縁体というのは、金属でも絶縁体でもない新しい種類の個体物質といえるもので、その内部は絶縁体になっていますが、表面では不純物の有無にかかわらず電子が高速で自由に動き回れるのだそうです。その電子の挙動の解析に、トポロジー(位相幾何学)が使われているため、トポロジカル絶縁体といわれています。

これまではそれほど利用価値の高くなかったテルルービスマスが、このような新たな概念によって注目を浴びるとは、面白いですね。電子の安定した挙動から、量子コンピュータでの利用などが期待されているそうですが、どうなることでしょう。

 

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どちらも1枚目の写真の近くについていたものですが、3枚とも同じものかどうか分かりません。1枚目のような膜状ではなく、とても細かい粒子の集合のように見えます。2枚目には結晶のような劈開部分も見えますし、六角形にくりぬかれたような部分もあって、面白いです。金属様部分の表面に水晶が生成したあとも若干育って水晶を取り囲み、石を割った時に衝撃で水晶がはずれてその跡だけが残ったのかな?

やはりビスマスーテルル鉱物のようにも思えるし、あるいはその結晶部分から自然テルルのような気もするのですが。。。なにしろ河津鉱山では似たような鉱物が何種類も産出していたので、なんともいえませんね。

この3枚とも、割った石英の表面、一面に散りばめられるようについています。縦に割れていれば薄い帯状だったのだろうと思いますが、金属様部分でうまく割れたのでしょうね。

分析しないことにはその正体は分からないでしょうが。。。あと10年くらいで、安価で手軽な分析器が出ないかなあw

2に続きます。

 

2020年11月 5日 (木)

銅藍(静岡県下田市稲生沢川流域)

Covellite CuS 硫化鉱物

 

Covelliterendaiji_01

 

河津鉱山由来と思われる、銅藍です。

黄銅鉱、黄鉄鉱などのついた石を割ったところ、黒っぽい藍青色が姿を現しました。最初は黄銅鉱の酸化被膜かとも思ったのですが、よく見ると小さいながらも板状になっているようですので、銅藍であろうと考えました。被膜状や時に六角形の美しい姿をとる銅藍は、あこがれの標本のひとつだったので、汚い川から拾った思いもしなかったこの標本にはびっくりしました。

火山などでも産出することがあるようですが、多くの場合、硫化鉱の二次鉱物として生成されます。銅と硫黄だけの化学式がシンプルでいいですね(鉄などが混じる場合もある)。

鉱物の魅力の大きな要因がその色ですが、青から緑になることが多い銅の二次鉱物は、もっとも好きなもののひとつです。藍銅鉱をメタリックにしたような、時に虹色の光彩をはなつ銅藍は、中でも美しさが際立っていると思います。

人(標本)によってイメージは全然違うと思うけれど、自分的には、白から緑に変化する孔雀石は白い花崗閃緑岩とコケの色。青緑のブロシャン銅鉱は、ちょっと深いサンゴ礁の海の色、あるいはユーシンブルー。藍銅鉱は、高山で仰ぎ見る深い吸い込まれそうな紺碧の空。水亜鉛銅鉱は春のぼんやりと霞んだ淡い水色の空。銅藍はもっと人工的、都会的な金属の色ですね。音でいえば、プリペアード・ピアノって感じかな(現代音楽のジョン・ケージが「発明」した、ピアノの弦にいろんなものをはさんで変な音にする奏法or楽器です。ケージ以外あまり使っている人はいないw ポップス系では、デヴィッド・シルヴィアンと、うみぬこPくらいしか知らないw)。

 

それにしても色というのはなんなのでしょうね。鉱物を構成する元素によって明らかに色は変わってきますが、いろんな色の光を当てれば、表面の色もそれに合わせて変わってきます。また錯視のように、色のないところに色を感じることもあります。

色というのは、物体の表面の性質や光の波長などの物理的な性質ではなく、人間の脳による「感覚」であるという考えが最近あるようです。つまり、もともとこの世界には「色」というものは存在せず、人間の脳が作り出す「概念」であるということでしょうか。。。人間がいなければ今あるこの「世界」は存在しないというとおおげさですが、でもこれは実際その通りなので、人間の可視光とはまったく違う波長しか見えない生物しかいなければ、世界の姿はずいぶん違うわけです。あるいは、光(音、匂い、触覚でも)を認識しない生物しかいない世界であれば、世界の姿はまったく異なるし、光で認識する世界はそこでは存在しないということになる(誰も認識できなければ、存在するとはいえない)。

いやそんなことはない、誰も知らなくても存在しているのだ、という人がいるかもしれない。でもそれは、自分たちがそれが「存在」している、と知ってるからそう思うだけではないか。たとえばAという鉱物があって、ある時点でそのAとそっくりなBという鉱物が見つかったとします。Bという鉱物は、発見され「B」という名前がつけられる前から存在したのか? 存在はしていないと考えられます。それ以前にあったのはAだけで、Bという鉱物は「B」という名前がつけられた時点からしか存在しえない。その違いを認識しない段階では、その違いは存在しないのです。違うことを認識できないのではなく、違いそのものが存在していないのです。

ただ逆にいえば、色というものが「概念」であり物体の色はその物体の物理的性質ではない、としても、色で世界を認識する意識が存在する、ということだけで、色は本質である、ということもいえやしないか。。。認識することそのものが世界を決定するのならば、色で鉱物の種類を視認する意識があることによって、色は本質であると「設定」されるのではないか。。。宇宙とは、常にそのように再設定され続けている、定数など存在していない流動的なものなんじゃなかろうか。。。

 

まあ哲学ごっこも飽きてきたのでもうやめますがw 鉱物の色はなんとも不思議で美しいものであることであることよなあ(古文の授業風に)、と思うわけです。。。

 

2020年10月12日 (月)

テルル石?(静岡県下田市稲生沢川流域)

Tellurite? TeO2 酸化鉱物

 

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伊豆下田、河津鉱山のズリ跡からと思われる石です。

石英の小さな晶洞中にあった無色透明の板状の結晶。周囲の小さな水晶はオレンジ色に染まっています。普通に錆びがついているのか、それともテルルの色なのか、わかりません。その中で、この結晶だけは無色透明を保っていて、とても目立ちます。なんだろう?

自分としては、とりあえずこれはテルル石ではないかとしておきたい(まあ願望ですねw)。

ネット上で見られるテルル石の写真は、濃度の違いこそあれ、すべて黄色~オレンジ色をしているけれども、いろいろな本の説明では無色・白色~黄~橙となっています。

河津鉱山の産出鉱物の一覧(TrekGEO)の中で、こういう結晶になりうるものは他にあるのかどうか。正直、初めて見る名前がいくつも出ているのですが、この中だと、重晶石か、石膏か、輝沸石とか? あるいは2枚目の写真だったら、双晶で板状になっちゃった水晶とか? どれもイヤだなあw せっかく何とか探して手にした河津鉱山の石なんだから、テルル石の結晶にしておいてよ…

…という気分なのですw

もし本当の正体が判明すればそれにこしたことはないですが、不明である今はとりあえず、「テルル石?」という地位に置いておこうかと思います。

このブログではもともと「なんだかよくわからないもの」もどんどん載せていこうと思っていたので、まあお許しください。

 

大体鉱物というものは図鑑等を見ても、そっくりそのままのものが出てくることのほうが少ないですね。生物とはそこが違うところです。

ちょっと違う成分が入れば色もどんどん変わりますし、理想的な結晶の形をしているほうが珍しい。というか、差がはっきりしていないのが普通といっていいみたいです。

たとえば、キノコなんかに、ちょっと似ている気がします。キノコも、同じ名前のつくものであっても、地域によってちょっと違っていたりするような気がします。似た別種のキノコであっても、実ははっきりと分かれているのではなく、鉱物と同様にグラデーションのようにその間が連続しているのではないかと思うことがあります。

めんどくさいことに、名前も地域差があって、これがえらく紛らわしいことになっていたり。イッポンシメジというと、普通は毒キノコですが、地域(山梨や栃木など〈の一部地域?〉)によっては食べられるウラベニホテイシメジのことをイッポンシメジといったり(実際この2つはとても似ている)。それらとやっぱり似ている毒キノコ・クサウラベニタケのことを、ツキヨタケといったり(まったく別の毒キノコ)。ツキヨタケは日本で一番被害の多い毒キノコです(見た目、すごくおいしそうで大きいのです)。

でも鉱物は同定を誤っても、キノコみたいに苦しんだり死んだりしないので、まあ気楽ですねw