○静岡県

2020年10月12日 (月)

テルル石?(静岡県下田市稲生沢川流域)

Tellurite? TeO2 酸化鉱物

 

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伊豆下田、河津鉱山のズリ跡からと思われる石です。

石英の小さな晶洞中にあった無色透明の板状の結晶。周囲の小さな水晶はオレンジ色に染まっています。普通に錆びがついているのか、それともテルルの色なのか、わかりません。その中で、この結晶だけは無色透明を保っていて、とても目立ちます。なんだろう?

自分としては、とりあえずこれはテルル石ではないかとしておきたい(まあ願望ですねw)。

ネット上で見られるテルル石の写真は、濃度の違いこそあれ、すべて黄色~オレンジ色をしているけれども、いろいろな本の説明では無色・白色~黄~橙となっています。

河津鉱山の産出鉱物の一覧(TrekGEO)の中で、こういう結晶になりうるものは他にあるのかどうか。正直、初めて見る名前がいくつも出ているのですが、この中だと、重晶石か、石膏か、輝沸石とか? あるいは2枚目の写真だったら、双晶で板状になっちゃった水晶とか? どれもイヤだなあw せっかく何とか探して手にした河津鉱山の石なんだから、テルル石の結晶にしておいてよ…

…という気分なのですw

もし本当の正体が判明すればそれにこしたことはないですが、不明である今はとりあえず、「テルル石?」という地位に置いておこうかと思います。

このブログではもともと「なんだかよくわからないもの」もどんどん載せていこうと思っていたので、まあお許しください。

 

大体鉱物というものは図鑑等を見ても、そっくりそのままのものが出てくることのほうが少ないですね。生物とはそこが違うところです。

ちょっと違う成分が入れば色もどんどん変わりますし、理想的な結晶の形をしているほうが珍しい。というか、差がはっきりしていないのが普通といっていいみたいです。

たとえば、キノコなんかに、ちょっと似ている気がします。キノコも、同じ名前のつくものであっても、地域によってちょっと違っていたりするような気がします。似た別種のキノコであっても、実ははっきりと分かれているのではなく、鉱物と同様にグラデーションのようにその間が連続しているのではないかと思うことがあります。

めんどくさいことに、名前も地域差があって、これがえらく紛らわしいことになっていたり。イッポンシメジというと、普通は毒キノコですが、地域(山梨や栃木など〈の一部地域?〉)によっては食べられるウラベニホテイシメジのことをイッポンシメジといったり(実際この2つはとても似ている)。それらとやっぱり似ている毒キノコ・クサウラベニタケのことを、ツキヨタケといったり(まったく別の毒キノコ)。ツキヨタケは日本で一番被害の多い毒キノコです(見た目、すごくおいしそうで大きいのです)。

でも鉱物は同定を誤っても、キノコみたいに苦しんだり死んだりしないので、まあ気楽ですねw

 

2020年9月19日 (土)

白鉛鉱(静岡県下田市稲生沢川流域)

白鉛鉱 Cerussite Pb(CO3) 炭酸塩鉱物等

 

Cerussite_rendaiji_01

 

静岡県下田で拾った石。下田の街中を流れるのが稲生沢川。

石の出所としては、河津鉱山の川沿いにあったというズリ跡から流れてきたものだと思います。当然のことながら、数多い坑道のどこから出た石かは分かりません。河津鉱山の石が説明されるときの特徴のひとつである、陶器状の石英のついた石もいくつか見られました。

白く細長いのが白鉛鉱だと思います。UV長波で黄色く光ります。半透明の米粒みたいのはなんだろう? 石英? 方解石? それともこれも白鉛鉱?(この米粒はUVでは光りません)

黄色く染色されているのは、テルル成分かもしれません。他も、黄色に染まった石が多いです。もしそうなら、上部の金属光沢は、自然テルルやテルル蒼鉛鉱などのテルル系鉱物かもしれませんが、見ただけでは判別は無理なので、ここではとりあえずスルーってことでw

このすぐそばの晶洞の様子が下の写真。

 

Cerussite_rendaiji_02

 

半透明の牙状の結晶が白鉛鉱だと思います。ただし、UVで黄色く光る部分と光らない部分があります。その違いは普通の照明をあててみても、まったく分かりません。

こちらにも、半透明や白~肌色の粒状のものがついているのですが、これ、ものによっては六方晶系の短柱状結晶に見えます。これも、UVで黄色く光るものと光らないものが混在しています。白鉛鉱は斜方晶系なので、これは白鉛鉱ではないですね(ただし、双晶によって擬六方晶系の形をとることも多いそうですが)。

最初にこれを見た時は、色とか、六角柱状とか、鉛系ということで、山梨で採集したミメット鉱をすぐに思い出しました(ミメット鉱(山梨県甲州市黄金沢鉱山))。河津鉱山では、緑鉛鉱、ミメット鉱、すべて産出します。種類が多いというのも困りますね、特定しにくくて(贅沢すぎるw)。

まあ今回は白鉛鉱の項なので、どちらであるか予想しませんが、どちらかであろうとは思います。

それにしても、河津鉱山の石、ちょっと割ってみるだけで、非常に面白いです。多分この先鉱山跡に行けるようになることはないと思うのですが、これが今では匂いのひどいドブ川(特に蓮台寺川はひどい。多分水に触ると病気になる)にわずかに転がっているだけというのは、ちょっと悲しすぎませんかね。

結局日本における鉱物趣味は、ヨーロッパのような歴史もないですし(明治以前だとほとんどわずか一人、木内石亭しかいない)、金銀掘って儲けるとか、そんな認識しかないんでしょうね(ただ、武田信玄は鉱物マニアだったような気がしないでもないw)。

 

2020年7月30日 (木)

玉髄(静岡県河津町やんだ)

Chalcedony SiO2 酸化鉱物

 

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さまざまな沸石、特にモルデン沸石の産地として有名な、河津・やんだの玉髄。

白浜層に相当する、海の中で噴出して固まった溶岩や、それが砕け堆積して固まった角礫岩の上に、セラドン石、玉髄や沸石の結晶が成長しました。

玉髄は化学式を見ればわかるように、ようするに石英です。非常に小さな石英の結晶が集まって塊になったもので、含まれる不純物によってさまざまな色のものがあります。ちなみに、瑪瑙もやはり石英で、層状の模様がついたものをいいます。

やんだの玉髄は、色は白か青のものがほとんどですが、どうしてこんなきれいな色になるんでしょうか。セラドン石が関わっているのではないかという説もあるようですが、まだよくわかっていないようです。セラドン石は、火山噴出物(火山灰など)が海中で堆積し凝灰岩となり、熱水によって石英に富んだ部分が変質して生成するとのこと。とするとやはりセラドン石がらみなんでしょうか。ここのセラドン石は緑に近いですが、場所によっては青に近いものもあるので、生成した時の条件で色が変化するのかもしれません。

1枚目は露頭での接写です。こんな感じで、露岩に空いた隙間・晶洞の中で、玉髄や沸石の結晶が成長しています。

2枚目の写真は、小さな輝沸石の結晶の上に、うす青い球の玉髄がくっついています。輝沸石が青緑なのは、その下のセラドン石の色。

3枚目はその球がいくつもつらなって柱になった様子です。写真の右側は、その玉髄の表面に透明な沸石がコーティングしているようで、きらきらしています。グラデーションがきれいですね。下の母岩の青緑が、セラドン石。

 

このあたりの海沿いは、いろいろな鉱物が見られるのですが、ちょっとずれるとその種類がどんどん変化していくのが面白いですね。

やんだの浜から、海に向かって左手の岩場は沸石はほとんど見られず、玉髄が目立ちます。右手の海食棚は沸石と玉髄(ここがモルデン沸石の産地)。さらにそのすぐ南は菖蒲沢浜で、水晶やめのう、自然金などがあります。縄地鉱山を経て下田に近づくと、マンガン系の鉱物が見られるようになってくる。

伊豆はほんとに面白いです。

 

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やんだの風景

 

2020年6月19日 (金)

鉄かんらん石(静岡県熱海市上多賀)

Fayalite Fe2+2(SiO4) 珪酸塩鉱物

 

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伊豆の東の入口・多賀の、よく知られた産地の鉄かんらん石。

きれいな結晶です。角がまろやかで、形もなんかかわいい感じですね。形が崩れて溶けてしまったようなもの(こういうのは黒というより褐色)も多く見られますが、ちょっと探せば、写真のようにきれいな結晶も割と簡単に見つかると思います。石の白っぽいところに、1ミリくらいの黒い粒々が点々とついていて、わかりやすいです。

地のきらきらは、微細なクリストバル石のようです(ここの石にみられる白い球顆は、ほぼクリストバル石)。たまにある雲母のように薄いのは、鱗珪石かな? 小さな形のよい水晶もよく見られます。

JR多賀駅や長浜海浜公園(夏の海水浴シーズンは駐車場が有料になるみたい)からほど近い、ホテルの裏手の大きな岩がごろごろしている磯浜がポイントです。とても手軽にアクセスできる場所ですが、夏は避けた方がよいかもしれません。自分たちが行ったのは朝で、すぐそばのホテル内で朝食の時間らしい気配がしていたので、ハンマーは使うのを控えました。ガンガンやったら迷惑ですよねぇw でも手ごろな転石も結構あるので十分探せます。

近所に住んでいるらしいおじいさんが言うには、昔はこんなではなかったが、台風で一夜にして今みたいな大きな岩がごろごろした浜に変わってしまったとか。いつの台風のことかは分かりませんが。。。

 

『鉱物観察ガイド』(東海大学出版会、2008年)によると、ここの鉄かんらん石は、「おそらくほとんどすべてライフン石であろう」とのこと。

かんらん石は、成分の違いで何種類かあります。普通に「かんらん石」といえば、緑色のきれいなオリビン(olivine、宝石としての名前はペリドット〈peridot〉)のことで、これは大体マグネシウムを多く含む苦土かんらん石です。

マグネシウムより鉄が多くなると鉄かんらん石になり、マンガンが多くなればマンガンかんらん石(テフロ石)になり、カルシウムとマグネシウムが多くなるとモンチセリ石という鉱物になります(他にもあるけれど、興味ある方はご自分でお調べくださいw)

鉄かんらん石の鉄が酸化すると、ライフン石になります。どうせ見ても違いはよく分からないんでしょうけど。。。先ほど「形が崩れて溶けてしまったようなもの」と書きましたが、もしかしてそれって、酸化してしまった状態、つまりまさにライフン石なのかも?

 

多賀というと、伊豆の入口という感じで、なかなかここを目的地とすることはないのですが、神奈川からだと割と気軽に行けるいいポイントだと思います。

しかし、熱海高校ヨット部はうらやましいなあw(ポイントに行く途中、ヨット部の艇庫の前を通るのだ)

 

2020年6月 3日 (水)

たんぱく石(オパール)(静岡県河津町河津川流域)

Opal SiO2・nH2O 酸化鉱物


Opal_kawadu_01

 

伊豆の沢で見つけた、たんぱく石(オパール)です。

残念ながら遊色はないようですが、ほの青く光るような柔らかい光沢で、とてもきれいなものです。

一部虹色に見えますが、表面の反射で光ってるだけみたいですねw

分子がきれいにそろっていると、内部からさまざまな色が浮かびあがる遊色が現われます。遊色があるオパールはプレシャス・オパールといって宝石ですが、ないものはコモン・オパールといって、まあありふれたオパール、普通の水を含んだ石英、ということですねw

遊色のあるたんぱく石は、水に入れておかないと、水分が抜けて遊色がなくなってしまいます。でも表面を研磨すると、色は消えなくなるそうです。何だか鉱物らしくないというか、有機物みたいな石です。

 

たんぱく石は結晶質ではないので、正確にいえば「鉱物」ではありませんが(結晶質でないと鉱物の定義にはずれる)、例外的に鉱物として扱われているようです。鉱物とは、自然に存在する(地質的作用によって生成された)、一定の化学的組成をもった、結晶質の無機質物質、です。たんぱく石は結晶質というところで、はずれてしまいます。人間が作った人工ダイヤなども鉱物ではないし、貝が作り出した真珠も鉱物ではないことになります。

以前取り上げた鉱山のカスである「カラミ」からできたアロフェンも、この定義によれば鉱物かどうか、怪しくなってきます。

ただそれをいうなら、人間の掘った鉱山のズリから生じた二次鉱物も、鉱物ではないということになるのか。。。

自然と人為の境界とは、無機と有機の境界とは。。。

突き詰めると、人間と自然を対立させる(対等のものと考える)文化と、そうではない自分がどう付き合うかという、壮大な話になってとめどなくなってくるので、この辺で止めておきますが、このブログではその定義に拘ることなく、好き勝手にいろいろ扱っていきます。対象を限定するのは大事なことですが、地球物理学ブログではなく、博物ブログなのでw

 

2020年5月31日 (日)

黒曜石(静岡県伊豆市皮子平)

Obsidian SiO2(H2O) 酸化鉱物

 

Obsidian_kawagodaira_06

 

鉱物ではなく石ころです。

伊豆の天城にある皮子平は、約3200年前に大爆発した東伊豆火山群のひとつで、このへんでは珍しい流紋岩質火山。伊豆で最も激しかった噴火で、西の広い範囲にわたって火山灰が飛び(琵琶湖でも見つかっている)、考古学の縄文後期の年代指標としても使われています。天城山稜の戸塚峠すぐ北にある火口跡から現在の筏場南端まで、約4kmにわたって溶岩流が流れ、さらに火砕流が駆け下りました。地形図を見ても、現地で見ても、溶岩の流れた痕、その両端と先端が切り立っているさまがはっきりとわかります。

火口周辺の広い範囲にわたって黒曜石が散らばっているので、噴火で火山ドームが形成され黒曜石ができたあと、さらに爆発的噴火で周囲に吹き飛ばされたのではないかと思います。北の溶岩流上の林道や天城主稜線上だけでなく、西の大見川を挟んだ対岸の尾根上にも結構大きなかけらがごろごろしています。

傾斜の緩い溶岩流上は今ではその多くが植林地ですが(天城のすべての植林杉の祖先である「精英樹」がある)、上のほうはブナ(伊豆最大といわれるブナがある)、ヒメシャラの森となっていて、稜線から外れていることもあって、人気の少ない別天地です。

北の筏場から、筏場林道、軽石林道(わかりやすい林道名!)などで溶岩流上を歩くか、天城主稜線の戸塚峠から下って行くことになりますが、いずれにせよ、アプローチは結構長くて大変かも。ちなみに火口地点は柵で人工的に囲まれてしまっていて、入れません。

Kawagodaira_01Kawagodaira_02
左:皮子平。右:筏場蛇喰川、皮子平から流れた火山泥流(ラハール)堆積物の崖。

 

ここの黒曜石は、同じ伊豆の柏峠や神津島のもののように真っ黒できれいではなく、白い粒(斜長石の斑晶)が多く入っているのが特徴。割って石器にはしずらい感じで、実際ほとんど使われた形跡はないようです。

顕微鏡で見ると、ガラス質の部分は透き通っていて、中に多くの結晶や気泡のようなもの、石英のかけらのような屈折率が違う面?や虹色の反射が見えて、とてもにぎやかです。深い水の中をのぞき込んでいるようで、とてもきれいですね。構成物としては、斜長石、斜方輝石、角閃石、磁鉄鉱、単斜輝石など。

以下はマクロ写真集。残念ながら、どれがどれかは分かりませんw すべて、ガラスの中に浮いているものです。

 

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2020年5月27日 (水)

水晶(黄銅鉱含有)(静岡県南伊豆町青野川流域)

石英 Quartz SiO2 酸化鉱物

黄銅鉱 Chalcopyrite CuFeS2 硫化鉱物

 

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針鉄鉱(静岡県南伊豆町青野川流域)と同じ地域で拾った石です。

小さな水晶・針水晶と黄銅鉱が散りばめられており、特に内部に黄銅鉱が内包された水晶が多く見られました。

ここの水晶の透明度は高いので、中身がとてもよく見えます。

ここの鉱床は、湯ヶ島層に属する安山岩質岩石の隙間を充填した浅水性含銅金銀石英脈ですが、黄銅鉱がまず晶出してから、石英がそれらを取り込みつつ成長していった、ということになるのでしょうか。

下の写真には、赤い鉱物の内包物が見えます。なんだろう、赤鉄鉱とかかな?

 

Quartz_aono_01

 

見ていてふと思ったのですが、水晶が内包することになる鉱物を取り込みながら成長するのって、どうなっているのだろう。

普通に考えたら、水晶の表層の部分部分が、周囲の熱水に溶け込んだSiO4を結合させていって、成長していくわけですよね? ある部分に邪魔もの(内包物となる鉱物)があったら、そこの成長は止まって、周りから取り囲むように成長していくのだと思うけど、そうすると成長の度合いが場所によってズレてしまうわけだから、最終的にきれいな水晶の形にならないような気がします。。。

表面が同じ速度で成長していくから、きれいな形の結晶になると思っていたんですが、そうじゃないんだろうか。

でも例えば骸晶というのは、部分部分で成長の度合いが違うから、あんな変な形に成長していくらしいので、成長に邪魔な別の鉱物があったら、やっぱり同じように成長の度合いが違ってしまい、きれいな形にはならないような気がするのだけど、どうなんでしょう。

あるいは、成長する前の「種」の段階で、あらかじめきれいな(あるいは崩れた)形の結晶の「設計図」みたいなものが、すでに形成されていて、たとえ邪魔ものがあったとしても、その「設計図」に沿ってできる限り成長するようになっているとか?(鉱物の「意思」と言い換えれば、SFになるかも。シオドア・スタージョンの『夢みる宝石』はどんな話だったっけなあ)

そういう実験はされたことはないんでしょうか。

人工水晶(水晶に限る必要はないか)を作る際に、わざと邪魔ものを置いておくとどうなるのか(大きさ、邪魔もの鉱物の種類などを変えて)。

割と手軽に成長させられるいろいろな人工結晶があるし、そういう実験があったら、見てみたいなあ。学校の地学部とかで、やってみたら面白いんじゃない?(自分でやれとw)

 

2020年5月19日 (火)

沸石(静岡県河津町菖蒲沢浜)

菱沸石 chabazite Ca(Si4Al2)O12・6H2O 珪酸塩鉱物
モルデン沸石 Mordenite (Na2,Ca,K2)4(Al8Si40)O96・28H2O 珪酸塩鉱物
束沸石 stilbite NaCa2Al5Si13O36・14H2O 珪酸塩鉱物
ソーダ沸石 Natrolite Na2(Si3Al2)O10・2H2O 珪酸塩鉱物

 

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伊豆・菖蒲沢浜の白浜層の沸石です。タイトルをつけるとすれば、沸石の森かな。

沸石といえば、菖蒲沢浜のすぐ北隣のやんだ浜が特に有名ですが、あちらは潮が引いた時でないと入れません。すぐそばなのに、やんだでよく見る青いセラドン石と玉髄は、菖蒲沢浜の方ではほとんど見られません。かわりに、菖蒲沢浜では、微水晶、銀黒の入った石英と自然金、めのうなどが拾えます。陸で割れた石の中には、金と紛らわしい黄鉄鉱も見られます(鉱床自体は海中にあるようで、表面についた黄鉄鉱は海の水で錆び落ちてしまうらしい)。

沸石は、菖蒲沢浜の左手の岩場で見つけられます(やんだほど広くない)。

写真奥の大きな正方形は菱沸石、毛状はモルデン沸石、真ん中の刀状に先端が尖った集まりは束沸石、右の柱状はソーダ沸石だと思います。

写真に写っているかどうかは不明ですが、この石で一番大きく多かったのは輝沸石だったので、もしかしたら左の大きなぼやけたのがそうかもしれません(そうであれば、5種類の沸石が1画面に入っていることになるので、そういうことにしときましょうかw)

まさに沸石の森というにふさわしいですね。

千葉、神奈川、静岡は、沸石が多いところです(湯河原沸石が世界で最初に発見されたのも、神奈川と静岡の県境でした)。海岸だけでなく、丹沢、静浦山地などでも普通に見られます。沢で石の表面に白い膜のようにへばりついているのは大抵は沸石で、それが空洞などで結晶が成長すると、こんなにきれいな姿になるわけです。

種類も多く、それぞれの結晶の美しさ、さわやかな透明感も魅力的ですが、ありすぎて、「また沸石か」と若干がっかりすることもあったりなかったり。。。(贅沢な)

 

2020年5月13日 (水)

ランシー鉱(静岡県下田市高根山鉱山)

Rancieite (Ca,Mn2+)0.2(Mn4+,Mn3+)O2・0.6H2O 酸化鉱物

 

Ranciite_takaneyamam_01

 

下田市の高根山は、以前紹介したラムスデル鉱の拾える寝姿山のすぐ北。下田市街北のはずれから高根山の沢に少し入ったところに、高根山鉱山跡があります。湯ヶ島層群に相当し、もともとは金や銀をとっていたらしいです。

ここで採集できるランシー鉱は、新鮮なうちは赤銀の金属光沢を持っていますが、マンガン系の鉱物によくあるように、そのまま置いておくと酸化して段々輝きを失い、黒くなります(寝姿山のラムスデル鉱もそうでしたね)。

とてももろいというか柔らかく、石英の間に見つけたこのランシー鉱も、針で軽くつついてみたら、ぐにゃっとつぶれてしまいましたw

心なしか赤みが残っている感じです。つぶれて新鮮な中身が出てしまったのかw もともと塊状だったからいいけど。

 

高根山で一番多いのは石英です。小さな穴を中心として放射状に成長したようなもの(みかんを横に切ったような感じ)や、あちこち虫食いのように穴が空いたような、ひだ状になったようなものが多く見られます(こういうのは抜け殻石英というのかな?)。

大きいものはないけれど、透明度の高い水晶群もよく見つかります。これがとてもきれいなんですよね。小さいほうが透明度が高く見えるのは当たり前ではあるんですが、何だかきらめき方が他の水晶とは違うようにも思えます(小川山の水晶も、同じように感じる)。

このランシー鉱のすぐそばにも小さな晶洞があって、顕微鏡で見ると思わず息をのむような美しさです。

Quartz_takaneyamam_01

 

鉱物好きの人にはもしかしたらそういう人が多いのかもしれませんが、自分は人工的にカットされた宝石には、まったく興味を持てません。それ、別にガラスでいいじゃん、とか思ってしまいます(カット前であれば好きw)。

無骨な岩についた小さな水晶は、別に無理やりカットしなくてもそのままで最高にきれいだし、人為的なダイヤモンドとかよりずっと美しいと感じます。この方が安上がりでいいですねw

また、晶洞をのぞき込むと、きれいな結晶の一部だけが垣間見える、という状況がいいのかもしれません。ハンマーで叩けば結晶が壊れてしまうかもしれないから、のぞき込むように見るしかない、というのが。

手が届いた瞬間に興味を失ってしまうってこともありますしねw

 

2020年5月 5日 (火)

ラムスデル鉱(静岡県下田市寝姿山)

Ramsdellite MnO2 酸化鉱物

 

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下田・寝姿山のラムスデル鉱の針状結晶です。

下田市街から見える、寝姿山ふもとの怪しげな朽ちかけたお城(別に戦国時代からあるわけではないw)の脇を登っていって、山の中のヤブに入っていくと、黒い脈が走った暗紫色の流紋岩がごろごろ転がっていていて、それを割ると銀色に輝くきれいな脈があらわれます。それがラムスデル鉱。外の黒い脈もラムスデル鉱なのですが、外気にさらされていると黒くなってしまうわけですね。

大抵は流紋岩の隙間に脈となっていたり、固まりだったりしますが、たまに上の写真のような針状結晶もあって、個人的にはかなり好きな鉱物です。

 

Ramsdellite_nesugatayama_04

 

こちらは、写真の下部に四角柱状の自形結晶が埋もれてますね。

上部の腎臓状になったのもラムスデル鉱でしょうか。下の結晶とまったく同色で、形状のみの変化に見えます。

ここでとれるのはラムスデル鉱と、それが風雨にさらされて黒くなった軟マンガン鉱とエヌスタ石、それに細かい水晶しかないようです。最初の写真の細かい針状結晶が集合したものかと思いますが。。。デジタル鉱物図鑑の軟マンガン鉱の項目には、腎臓状の写真も掲載されていますね。

 

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こんなふうに、放射状のものもありました。球状に集合したものの断面という感じでしょうか。

いろいろな産状があって、楽しいですね。

 

下田は、市街北東のはずれには高根山鉱山跡もあり、こちらもなかなか面白いです。どちらも近辺には駐車場等ありませんので、駅の近くの駐車場に車を置いて、歩いて巡ることになります。特に高根山鉱山は住宅地すぐそばなので、無断駐車等はしないようにする必要があります。そんなに離れていないのに、産出する鉱物は全然違うのが面白いです。

河津鉱山も高根山からそんなに離れていないところにありますが、こちらは残念ながら立ち入りはできません。自分も行ったことはありません。こういったことにならないよう、あとの世代の人たちのことも考えて、乱獲や近隣の人たちへの迷惑行為にならないよう、気を付けて行動しないといけませんね。

 

ちなみに、車だったら下田からすぐ行ける爪木崎も、おすすめスポット。灯台付近ではすばらしい柱状節理が見られますし、東側の海岸では、岩場に石英脈が走っていて、小さな水晶がいっぱいついているのを見ることができます(公園内なので、ここは見るだけですよ!)。