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2022年12月に作成された記事

2022年12月28日 (水)

硫砒鉄鉱(埼玉県秩父市秩父鉱山)

Arsenopyrite FeAsS 硫化鉱物

 

Arsenopyrite_chichibum_01

Arsenopyrite_chichibum_02

 

秩父鉱山の大黒川原で採集した硫砒鉄鉱。シャープな結晶がたまりませんね。こんな標本が、ちょっと探しただけで割と簡単に見つかってしまうのが、秩父鉱山の楽しいところです(大黒では硫砒鉄鉱はそんなに多くないそうですが)。大黒川原は(車があって林道が通行できれば)簡単に行け、運がよければ車骨鉱や毛鉱なども見つかる良ポイントです。

以前、明治時代の横浜で日本茶を中心に取り扱っていたヨーロッパ商人の研究書を見たことがありますが、その商人が気に入っていた日本の産物が、水晶とねずみ獲りだったとか。もしかしたらそのねずみ獲りは、硫砒鉄鉱から抽出した亜ヒ酸だったかもしれません。昔は硫砒鉄鉱は毒砂と呼ばれ、江戸時代から石見銀山のねずみ獲りは有名でした。

硫砒鉄鉱(亜ヒ酸)はまさに毒の王様で、多くの公害や歴史上の殺人・暗殺(と伝わる事件)にその名前が関わってきます。無味無臭で使いやすく、硫砒鉄鉱が割とありふれた鉱物で、手に入りやすかったから、というのがその大きな理由です。鉱物採集という点でも、硫砒鉄鉱は目にする機会も多く、気をつけなければならない鉱物のひとつといえます。鉱石を触った指をなめたり、割った時の粉塵などをできるだけ吸わないようにする必要があります。砒素の多い鉱山のズリでは、時に白い粉をふいたような硫砒鉄鉱の鉱石が見つかりますが、間違ってもなめたりしないようにします。

そんな負のイメージの強い鉱物ですが(だからこそ?)、その結晶は鋭角的で実に魅力的ですね。

 

肉眼で十分見られるような標本は確かにすごいけれど、そんなものは今の日本ではそうそうないですし、なんというか、風雅に欠けますねw(意味がわからない)接眼鏡をじっと息をひそめてのぞき込むと、思いもよらないような世界が広がっているほうが、楽しいのだ(まあこの写真の結晶は十分肉眼でも見えるのだけれども)。

山中の、人のほとんど行かないようなところを歩いていると、まれになんの話も聞いたことがないようなところで、自然の露頭なのか鉱山跡のズリなのか、石英を多く含んだ鉱石が散らばっているのを見つけることがあります(先日も伊豆の滑沢溪谷付近で一か所見つけました)。大抵は小さな水晶とかで、ここに載せるようなものではないのだけれど、思いもよらない場所で見つけるそれは、とても輝いてみえます。そういうものも、顕微鏡で見ると、やたらときれいだったり。

秩父鉱山のある中津川溪谷周辺も本当はいろいろ探し回ってみたいし、数回地図を頼りに歩いてみたけれど、あのあたりはイメージとして両神山とか赤岩とか、険しい岩山なので、そうそう容易くふらふらできない感じ。林道もすぐ通行止めになるし、土日通行可などといっておきながら、急遽工事がはじまって、奥から帰れなくなったりすることもあります(これは本当にやめてほしいなぁ)。

でも探せば、絶対なにか見つかる場所でもあります。八丁峠までの道の途中、なんかあるかなと思いながら石ころを見ながら歩いていると、いともたやすく小さな水晶が転がっていたりするのを見つけることができました(大したものではない)。峠から両神山に向かうとすぐ、鉱山の空中索道の跡地もあります。名も知らない小さな沢に入っても、おや? と思うものがあったりします。

埼玉県と長野県を結ぶ唯一の道路である中津川林道沿いにある中津川村キャンプ場は、なかなかよいキャンプ場で(冬は営業停止)、特に別料金などなく、温泉に入れるのでおすすめ。茶色く濁ったお湯で、強い鉄の匂いがします。伊香保とか、浅間山の天狗温泉に近い感じですね。キャンプ場の対岸の沢が真っ赤な水が流れていて(この水を沸かしたのかな?)、この点でも天狗温泉を思わせるのですが、どうやらこの沢の上流にも鉄鉱床があるようです。ウズノ沢も近いので、まあなにかしらはあるんでしょう(笑)

ちなみにキャンプ場の裏山は、秩父槍ヶ岳。マイナーですが、マニアックな登山者を惹きつける山です。とても気軽に歩けるところではありません。岩が落ちてきそうで通るのが怖い中津川林道をさらに奥に進むと、王冠のキャンプ場があって、その先、三国峠・川上村までは現在通行止めです。一度でいいから、川上村に抜けてみたいのだけれど、はたして通れるようになる日がくるのか。。。ちなみに最奥の沢は金蔵沢といいます。ね、いかにも何かありそうでしょう?w

 

2022年12月 1日 (木)

セラドン石(神奈川県愛甲郡清川村煤ヶ谷)

Celadonite KMgFe3+Si4O10(OH)2 珪酸塩鉱物

Celadonite_susugaya_01

Celadonite_susugaya_02

 

南関東、伊豆や千葉などでよく見ることのできる、青緑の石です。相模川中流から下のあたりで緑のきれいな石があったら、大抵はこのセラドン石だと思います。その産地の中心は、厚木で相模川に合流する中津川・小鮎川流域の、いわゆる東丹沢地域。とりわけ、七沢、煤ヶ谷に多く感じられます。丹沢層煤ヶ谷亜層群にあたる地域ですね。この標本は、小鮎川の支流・谷太郎川流域で拾ったものです。

特に珍しい石というわけではなく、川に普通に転がっています。探す必要もなく、すぐに見つかります。乾燥しているとちょっとくすんだ色だけれども、濡れると緑が鮮やかになって見違えるほど美しさが際立つので、川の中にあるととても目立ちます。東丹沢では薄い緑がかった凝灰岩が多く、コケの緑も多いのですが、濃い緑のセラドン石は目を引きますね。相州大山から宮ヶ瀬の山中では、ちょくちょく細かいセラドン石が散らばった露頭に行きあうことも多いです。

ただし、春から秋の間にこの辺の山に行くのは、お勧めしません。当地の気温が10度以上になる、特に雨上がりは、自分は近寄りません。。。

厚木や伊勢原の弥生~古墳時代の遺跡から、このセラドン石を加工した装飾品が出土しています。昔の人も、やっぱり気になったんでしょうね。こう言ってしまうとちょっとあれですが、ヒスイの代用品みたいな感じかもしれません。昔の人はきれいな緑の石が大好きですから。。。ただし、ヒスイに比べると、かなりやわいです(モース硬度は2、加工がしやすいということでもある)。

伊豆・河津では、このセラドン石の表面を細かい輝沸石が覆い、透明できらめく緑の宝石のような状態になったものがあり、とてもきれいです(玉髄(静岡県河津町やんだ)参照)。インドでも、セラドン石で緑に見える輝沸石や魚眼石が産出するようです。

 

Celadonite_susugaya_03
川の中に転がる、セラドン石(濃い青緑部分)を含む火山礫凝灰岩(七沢石)

 

セラドン石は雲母族の鉱物。500万年前に丹沢地域が本州に接触する以前、まだ太平洋の海だった1500万年前頃に、噴火した火山の火山灰や火山礫などの噴出物が海の底に堆積して堆積岩となり、それがさらに熱(マグマ、熱水など)を受けて、変成してできました。海中の成分と反応して青緑になる(鉄成分による?)といわれていますが、詳しくは知りません。海緑石とは見分けがつかないほど似ているので、産地で判断するしかありません。

地図を見ると、小鮎川上流から宮ヶ瀬湖にかけて、まっすぐな線を引けるような地形になっているのがわかると思います。これがかつてのプレート境界線であった、牧馬-煤ヶ谷構造線。その北側、相模川に沿った線は、藤野木-愛川構造線といい、やはりかつてのプレート境界です。丹沢山域を中心にして、楕円(の上半分)を幾重にも囲むようにつながる線です(楕円の下にあたるのが国府津-神縄断層)。

プレートの沈み込み帯だけあって、煤ヶ谷のあたりの山は激しい地殻変動のあとが残されていて、本来は地面に平行なはずの地層が、垂直に立ってしまったと思われるさまなども見られます(そのうち紹介するかも)。

 

ところでまったく関係ないのですが、うちのねこは、煤ヶ谷の出身です。子ねこの時、山のなかで死にそうになっていたそうで、引き取った時も、弱弱しくて心配しましたが、今では元気すぎて困るのだ。懐かしい煤ヶ谷の石に反応するかなと思ったけど、まったくそんなことはなかった(当たり前w)。

 

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