板状節理(静岡県伊豆の国市葛城山)
Platy Joint
以前紹介した鱗珪石(静岡県伊豆の国市城山)のとなりの山、葛城山でみられる板状節理。
伊豆の国市の街からロープウェイで登れる山で、駿河湾や富士山の眺めがすばらしいところです。その裏側(南側)に登山道があって、この板状節理のなかを登っていくことになります。ただし、ちょっとマイナーなルートで、小さな山だと思って軽くみていると、なかなか険しいのであせることになるかも。でも、なかなか壮観なのです。
となりの城山と同じく、この葛城山も、火山の火道で固まった溶岩が周りの土壌が侵食されたあとも残った火山岩頸(火山の根)です。この板状節理も、溶岩が冷えて固まる時の体積収縮によって形成されたものとされています。ようするに、冷えて縮む時に、規則正しくひび割れができたってことですね。「柱状節理の六角の柱は、冷却面に直角に発達する。板状節理の板の方向は、溶岩の流理面を代表している」(森本良平『日本の火山』創元社、1958)とのことですが、流理面ということは、流れた方向ということ? 火道の溶岩は上下に流れていただろうから、この写真の場合、もし固まったあとに90度ひっくり返ったのでなければ、流れに垂直に板が発達するということ? よくわかりません。
節理が板状になるか、柱状になるか、その違いはどこにあるのでしょうか。これも面白い問題ですね。溶岩の質なのか、できるときの環境の違いなのか。あるいは偶然に選択されるのか。そういう研究してる人はいるのかな?
そういえば、草津白根山にある鏡池(先の噴火の火口すぐそば)は、亀甲状構造で有名です(現在でも立ち入り禁止になっているようです。草津白根山湯釜の噴火警戒レベルは現在1なはずだけれど、気象庁って各自治体に信用ないんでしょうか? とりあえず禁止しとけば余計な手間はかからないっていうやつ?)。土壌の水分が凍結融解を繰り返してできるとされる構造ですが、こういう自然界に見られる「結晶」状構造とでもいう現象は、とても興味深いものがあります。出来方はそれぞれいろいろ違うようですが、なにかしらの共通項があったら面白いのに。構造土とかそういう類のものは、氷河地形や火山地形などの、いうなれば極端な環境でできた地形に多くみられる気がします。
城山と葛城山、あとは西伊豆の海が見下ろせる発端丈山の、静浦山地南部三山は、お手軽にもかかわらずなかなか面白いところなので、まとめておすすめです。伊豆がまさに火山でできた地域であることを感じることができます。伊豆の低山を代表するウバメガシの森(日本の北限)の美しさも捨てがたいですね。中部山岳地帯では見られない植生と、溶岩と白浜層の岩で構成された独特の景観・雰囲気が、この周辺の特徴です。
発端丈山の山頂から、東を望む。葛城山(左)。その横に小さく頭をのぞかせているのは城山。右の遠景は、天城・遠笠山の裾野。その途中に頭を出しているのは、東伊豆の代表的な火山岩頸・矢筈山。すべて火山ですね。
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