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2022年11月に作成された記事

2022年11月20日 (日)

板状節理(静岡県伊豆の国市葛城山)

Platy Joint

 

Platyjoint_katsuragiyama_01

Platyjoint_katsuragiyama_02

 

以前紹介した鱗珪石(静岡県伊豆の国市城山)のとなりの山、葛城山でみられる板状節理。

伊豆の国市の街からロープウェイで登れる山で、駿河湾や富士山の眺めがすばらしいところです。その裏側(南側)に登山道があって、この板状節理のなかを登っていくことになります。ただし、ちょっとマイナーなルートで、小さな山だと思って軽くみていると、なかなか険しいのであせることになるかも。でも、なかなか壮観なのです。

となりの城山と同じく、この葛城山も、火山の火道で固まった溶岩が周りの土壌が侵食されたあとも残った火山岩頸(火山の根)です。この板状節理も、溶岩が冷えて固まる時の体積収縮によって形成されたものとされています。ようするに、冷えて縮む時に、規則正しくひび割れができたってことですね。「柱状節理の六角の柱は、冷却面に直角に発達する。板状節理の板の方向は、溶岩の流理面を代表している」(森本良平『日本の火山』創元社、1958)とのことですが、流理面ということは、流れた方向ということ? 火道の溶岩は上下に流れていただろうから、この写真の場合、もし固まったあとに90度ひっくり返ったのでなければ、流れに垂直に板が発達するということ? よくわかりません。

節理が板状になるか、柱状になるか、その違いはどこにあるのでしょうか。これも面白い問題ですね。溶岩の質なのか、できるときの環境の違いなのか。あるいは偶然に選択されるのか。そういう研究してる人はいるのかな?

そういえば、草津白根山にある鏡池(先の噴火の火口すぐそば)は、亀甲状構造で有名です(現在でも立ち入り禁止になっているようです。草津白根山湯釜の噴火警戒レベルは現在1なはずだけれど、気象庁って各自治体に信用ないんでしょうか? とりあえず禁止しとけば余計な手間はかからないっていうやつ?)。土壌の水分が凍結融解を繰り返してできるとされる構造ですが、こういう自然界に見られる「結晶」状構造とでもいう現象は、とても興味深いものがあります。出来方はそれぞれいろいろ違うようですが、なにかしらの共通項があったら面白いのに。構造土とかそういう類のものは、氷河地形や火山地形などの、いうなれば極端な環境でできた地形に多くみられる気がします。

 

城山と葛城山、あとは西伊豆の海が見下ろせる発端丈山の、静浦山地南部三山は、お手軽にもかかわらずなかなか面白いところなので、まとめておすすめです。伊豆がまさに火山でできた地域であることを感じることができます。伊豆の低山を代表するウバメガシの森(日本の北限)の美しさも捨てがたいですね。中部山岳地帯では見られない植生と、溶岩と白浜層の岩で構成された独特の景観・雰囲気が、この周辺の特徴です。

 

Karsuragiyama

発端丈山の山頂から、東を望む。葛城山(左)。その横に小さく頭をのぞかせているのは城山。右の遠景は、天城・遠笠山の裾野。その途中に頭を出しているのは、東伊豆の代表的な火山岩頸・矢筈山。すべて火山ですね。

 

2022年11月 6日 (日)

磁鉄鉱(群馬県利根郡川場村川場鉱山)

Magnetite Fe2+Fe3+2O4 酸化鉱物

 

Magnetite_kawabam_01

Magnetite_kawabam_02

 

群馬県川場鉱山(鉱石山)の磁鉄鉱です。正八面体のなかなかきれいな結晶ですね。茶色の母岩は灰鉄柘榴石です(灰鉄柘榴石(群馬県利根郡川場村川場鉱山))。

ありふれた鉱物ですが、きれいな結晶はやっぱりいいですね。探しやすい鉱物の中では、水晶と並んでもっともかっこいい鉱物のひとつだと思います(そんな基準聞いたことないけどw)。鉱石山で採集した柘榴石はネット上でよく紹介されているけれど、磁鉄鉱のことはあまり見かけず、頭になかったので、見つけた時はおおっとなりました。

鉱石山はスカルンですが、その変成の熱源は赤倉谷花崗岩(磁鉄鉱系列)だそうです。花崗岩はマグマが深いところで固まった深成岩なので、このあたりに多い温泉の熱源にもなっているのでしょうか。近くには、塩河原温泉、川場温泉、小住温泉など、いくつかの温泉が点在しています(鉱石山の右側を通る県道64号線は、奥利根ゆけむり街道という別名がある)。

川場温泉は1200年前、弘法大師が見つけた(お湯を出した)という伝説になっていますね。弘法大師にまつわる話はあまりに多すぎるので、それが本当かどうかというのは重要なことではありませんがw とにかくかなり古くから知られていた温泉というのは確かなようです。温泉というものの有用性を考えたら、それがどれだけ貴重なものかわかるというものです(何もないところからあったかいお風呂を用意する難易度の高さを想像してみよう)。

 

空海がらみの話は日本全国にありますが、空海、役の小角、安倍晴明は、日本の(いい意味での)三大心霊的ヒーローですね。悪い意味だと菅原道真、平将門、崇徳上皇で三大怨霊(昔、長銀が健在だったころ仕事で大手町によく行っていましたが、女性社員がいつも将門の首塚に花を供えていたと聞いたことがあります)。

鉱石山は武尊山の前衛です。武尊山はもちろん日本武尊からきていますが、修験道の山でもありました。でも、そんな古い歴史があるわけではないようです。開山は江戸寛政年間とのこと。日本武尊と結びつけられたのも、この時期からでしょうか?(大体どうしたら「武尊」を「ほたか」と読めるのかという) 日本武尊も、地名などの由来の際に引き合いに出されることの多い名前です。大抵は笑って聞いて楽しむ感じの話ですが、たまに、え、これは一体なに? どういう由来が? と怪しむような地名、それにからんだ伝説がありますね。

奥多摩の鳩ノ巣溪谷のあたりに将門神社、将門大橋という場所がありますが、そのさらに奥、奥多摩駅から雲取山に向かって尾根を大分登ったところに、将門馬場(1455m)という山があります。なぜこんな山の上に将門の名が? しかも馬場? 。。。なんでも、東国に逃走した将門が通ったルートだという伝説があるようですけど。。。「実は生きていた」系伝説ですね。

大月の北方、金鉱のあった金山のそばには、「セーメーバン」(1006m)という不可思議な名前の山があります。そのあたりの伝説では、「セーメー」は安倍晴明のことで、「バン」(盤)は鉱山用語の鉱脈のこと、村人に頼まれて水を引こうとした晴明が鬼にだまされて亡くなった場所「晴明盤」である、とか。この場合のバンとはつまり水脈ということでしょうか? 鉱山用語を調べると、「上盤」とは「鉱脈の上側にある岩石の層」、「下盤」は「鉱脈の下側にある岩石の層」と説明されているので、盤には脈という意味が確かにありそうですね(別子鉱山用語集)。一体なにがあったんだ?(ちなみにこの場合の「晴明」とは、安倍晴明本人のことではなく、陰陽道関連の人、という程度の意味じゃないかと思います。)

大体山の上で水脈というのはおかしい気が。。。探すのなら鉱脈か(金山という土地柄もありますし)。陰陽道というのはいうなれば、龍脈を探しそれを活用する知識をもった人のことですから、そこから連想される水脈や鉱脈に対する知識を持っていたというのは、うなずける話ですね。鉱脈を探す際、なんらかの役目を陰陽師がおっていたというのは、ありえそうな気がします。

東丹沢の菩提峠から二ノ塔に大分登ったあたりには、日本武尊の足跡といわれる石があります。全然足跡には見えないのですが、その周辺の地形は何となく人工的な感じで、まるで遺跡のなかみたいな雰囲気が漂っています。多分、相州大山から現・ヤビツ峠、菩提峠を経由して塔ノ岳方面に登る古い行者道のルートがここを通っていて、宿泊所のような施設があったのではないかと思います。江戸期に流行った相州大山詣りですが、やはり当時信仰登山で流行った鐘ヶ嶽を経由して大山に向かう尾根上(ここも行者道で、現在では弁天御髪尾根と呼ばれる)には、すり鉢広場と呼ばれている窪地があり(空鉢嶽)、ここも、行者たちの宿泊所があったといわれています。八菅修験道の中心地で、近くの経ヶ岳あたりは弘法大師、役の小角の伝説までそろっていて、大盤振る舞いといった感じw

多分、昔からヒーローものって人気あって、人を集めるにはよかったという一面もあったのでしょうね。もちろん、そういう各種逸話のもとになる出来事がなにか実際あって、それが少しずつ姿を変えながら伝わってきたと考えるほうが自然だと思います。どんな怪しげな伝説であっても、必ずなにかその核になるものはあって、完全な創作ってそうそうないんじゃないかなあ。

 

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