珪灰石(茨城県笠間市柊山)
Wollastonite CaSiO3 珪酸塩鉱物
柊山は、稲田石で有名な稲田にあります。稲田石は白っぽい御影石、つまり花崗岩で、白っぽいということはつまり長石の構成比率が高いということになります。柊山はスカルン鉱物で知られているところですね。珪灰石は、石灰岩がマグマなどの接触により熱変成してできる、もっとも普通に見られるスカルン鉱物のひとつです。
真っ白い柱状の結晶の集まりで、なかなかうまく写真にとれません。。。沸石などもそうですが、白い鉱物は難しいですね。この写真も、色のコントラストをぐっと上げて調整して、ようやく表面の雰囲気がなんとなく出てきました。いつもは、写真の調整は最低限にするようにしているのですが。
柊山は稲田、福原駅のそばにある低い山で、頂上のそばのピークで大山祇神社や聖徳太子の碑などがあり、公園になっています。ちゃんと整備が継続されているわけではない感じで、車で林道経由で公園まで行けるものの、なんかヤブっぽいなぁ。。。あんまり人は訪れない感じがひしひしと伝わってきます(公園から北側の林道は、倒木等で車両通行不能でした)。公園や林道をちょっと散歩すると、石英の塊などがちらほら落ちていて、なんかありそう感は漂ってきます。でも、山の中はヤブが濃いので、正直あんまり入りたくない。。。
公園は開けていて、東側の眺めがあります。公園ピークの一角に珪灰石でできた大岩があったので、その周囲で転石を探して、採集しました(露頭をハンマーで叩くのはあんまり好きではないので、小さな転石を探して済ますことが多いです。ましてや山神社のある近くでは、はばかられますね)。多分、昔は近くの採石場などで探させてもらえたのかなぁ? 正直、人里離れた山奥ではない、こういう里山はいまいち苦手です。
公園の中をぶらぶらしていて、ちょっと季節外れな感じの、ギンリョウソウを見つけました。山に行くとあちこちで時折見かけるギンリョウソウですが、これだけもこもことたくさん寄り集まってるのはなかなか見たことないですね。
ギンリョウソウは腐生植物です。光合成をせず、菌類と共生して栄養をとっている植物で、基本葉っぱはなく、一種異様な見かけをしていることが多い不思議植物。もっとも普通に見かけるのがギンリョウソウで、まれにツチアケビやシャクジョウソウなどを見つけることもあります。「腐生」といっても、別に死骸などに生えるわけではなく、菌類と共生していることを表現しているのでしょう。
普段の生活圏ではほとんど目にすることがなく、湿った暗い森の中で、真っ白なギンリョウソウが顔をのぞかせている姿を見つけると、とても印象なので、つい写真に撮りたくなってしまいます。
ちなみにランなども、葉っぱも葉緑素もありますが、菌類に依存している植物です。やっぱりちょっと不思議な形をした花が印象的ですよね。こういう印象がどこからくるのか考えて見ると、「菌類との共生」という生活様式が、ヒトからずいぶん遠いところにあるということが関係しているような気がします(こういう環境、生活様式からくる形態のことを「生活形」といいます)。鉱物の結晶と環境の間には、こういう関係はないんでしょうかねぇ?
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