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2022年6月24日 (金)

ポクロフスキー石?(千葉県鴨川市八岡海岸)

Pokrovskite Mg2(CO3)(OH)2 炭酸塩鉱物

 

前回の孔雀石(千葉県鴨川市八岡海岸)から続き。

千葉県鴨川の八岡海岸、鴨川鉱山のズリと思われる場所で見つけたもの。

繊維状の孔雀石のそばに、褐色繊維状のものを見つけました。これはなんだろう? よく見ると、色の濃い部分は光を反射して、思ったよりもきらきらしています。孔雀石が変質して、その形状のまま茶色の別の鉱物になったようにしか見えません。すぐそばに孔雀石がなかったら、見当もつかなかったに違いありません。

 

Pokrovskite_yooka_02

Pokrovskite_youka_01

 

孔雀石のグループを調べ、ポクロフスキー石という鉱物ではないかとあたりをつけたのですが、はたしてどうでしょう。。。孔雀石のグループの中で、褐色になるものはこの石くらいしかなかったからですが、自分もはじめて知った鉱物ですし、(日本語で)ネット検索してもあまり情報がでてきません。日本では、福岡県飯塚市の古屋敷というところでの産出が確認されているようです。ただし、古屋敷のポクロフスキー石は、アルチニ石に似た白色透明の結晶だそうですが(上原誠一郎・武田朋之「福岡県飯塚市古屋敷産ポクロウスク石」日本鉱物科学会年会講演要旨集、2014)。

孔雀石のCu(銅)が、Mg(マグネシウム)に置き換わったものです。鴨川鉱山では、嶺岡オフィオライト中の蛇紋岩を採掘してニッケルを精錬していました(銅も抽出していた?)。Mgは蛇紋石の主要構成元素ですので、ポクロフスキー石の材料は十分そろっている、ということになりますね。ちなみに、同じ石の数センチ横には、思いもかけず、菫泥石らしい紫の結晶もついていました(多分そのうち取り上げます)。母岩は蛇紋石ということになります。

ポクロフスキー石は、ロシアの鉱物学者、Pavel Vladimirovich Pokrovskii(Павла Владимировича Покровского, 1912-1979)にちなんで命名されました。カザフスタンの蛇紋岩地域で発見されたようですが、詳しいことはよくわかりません。デジタル鉱物図鑑には載っていませんので、本当にその鉱物かはわかりませんが、念のためちょっとデータを載せておきます。

ポクロフスキー石(ポクロウスク石)、孔雀石グループ、単斜晶系、モース硬度3、劈開完全、比重2.5。

 

千葉県は、以前は石なし県などといわれていたらしいですが、特に嶺岡地域はとても鉱物種が豊富で、驚きますね。全然石なしなんかじゃないじゃん。神奈川のほうが全然石なしです。。。

自分は顕微鏡で見るのが好きなので、現地でルーペだけで探すのは、かなり無理があります。はっきり何かを見つけた場合以外は、なんとなく怪しげな石を選んで持ち帰り、顕微鏡で探したりするのですが、こうなると頼りになるのは自分の「勘」ということになります。

「勘」というとずいぶんあやふやで頼りなげなものに聞こえるのですが、個人的には「直観」「勘」というのは、偶然、偶発性というのとはちょっと違うんじゃないかと思っています。目線の意識を集中させることのできる部分というのはとても狭いもので、ほんとに「点」でしかない。広い範囲からなにものかを探すのに、「意識」というのは効率が悪すぎます。「勘」というものを明確な手法として活用できれば、大変に便利なのではないか、と考えるわけです。

自分の印象では、視点を定めず、視界をぼんやりさせて、なんか気になった石を探す(自然と目に飛び込んでくる)、つまり「無意識」で探す、みたいなものじゃないかと思っています。それには、探す対象への知識や経験が意識の領域から無意識の領域にまで深まっている必要があると思うので、自分ではまだまだ全然足りないんですが。。。「自然と目に飛び込んでくる」というのは、偶然ではなく、精神的活動の発露なのですね。

それとちょっと似たようなものに、ユングとパウリの、意味のある偶然「シンクロニシティ」という考えがありますが、これは別にオカルト的なものではありません(オカルト的なものが悪いといっているわけではない)。人間の無意識が、偶発的な出来事のなかから自分に関わる「意味のある〈象徴〉」を見出そうとする、精神の方向性、みたいなもので、人間の精神の状態を表す言葉と考えています。「金」「賢者の石」を追求する錬金術を、人間の精神の象徴と考えたユングらしい、精神の内外の接触面を表現しようとした言葉ですね。錬金術じゃなんだか中世っぽいしウケが悪いので、より現代的に量子物理学要素を入れたと(これはギャグとして言ってるんですよ?w)。

けっしてただの言葉遊び、頭の中だけの概念・思考というだけでなく、鉱物を探すという実際の遊びにも活用できる考えなのです(これは半分はギャグで半分は本気)。確かユングの自伝には、河原かどこかでふと目に留まって拾った石がえらく気に入って、ずっと大事にしていたとか、そんなエピソードがあったような。。。(何十年も前に読んだものなので、ちょっと自信ない)

 

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