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2022年5月に作成された記事

2022年5月27日 (金)

緑鉛鉱(群馬県沼田市戸神山)

Pyromorphite Pb5(PO4)3Cl 燐酸塩鉱物等

 

Pyromorphite_togakim_04

Pyromorphite_togakim_03

Pyromorphite_togakim_01

Pyromorphite_togakim_02

 

あまり色がついていないけれど、緑鉛鉱で知られている産地なので、まあ緑鉛鉱だろうと。鉛系の六角柱の結晶はテンションあがりますね、まさに結晶って感じでw(理想的な結晶形はビア樽形) 石英などとは違うちょっと脂っぽい感じの樹脂光沢も、なかなか魅力があります。

語源は、ギリシャ語の「火」を意味するpyrと、「形」を意味するmorphです。熱を加えて溶かして冷やすと、再結晶するところからきています(1813年、Johann Friedrich Ludwig Hausmannによる)。

群馬県の沼田の街の北、鋭角にそびえるきれいな三角の戸神山では、16世紀ごろから金が採掘されていたようです。今でも坑口あとやズリが残り、とりわけ紫水晶で有名です。やっぱり水晶は人気がありますからね。。。探す人の多いきれいな水晶はそうそう見つからないと思いますが、ちょっとした紫石英ならば、そんなに苦労せずとも見つかります。登山道途中の祠の前にも、多分水晶を探しに来た人が置いていったと思われる紫石英がお供えしてありましたw 

山の南の神社(駐車場あり)から鉱山跡コースという登山道があって、急な岩場(難しくない)を直登して頂上に登れます。そんなに高い山ではないけれど、場所がよいので、利根川の流れる沼田の市街を見下ろし、上越の武尊山、迦葉山方面から、皇海山、赤城山、子持山、榛名山、浅間山と、非常に景色がよい頂上です。あと、やたらと人に慣れた小鳥がいますねw 人の手に飛び乗ってくる野鳥なんてはじめて見た。

鉱物が探せるポイントは山中いくつもあるみたいですが、自分はよく知らないので、本に載っていた登山道の途中からちょっとズレていける広いズリで、写真の緑鉛鉱は拾いました。

 

戸神山は信仰の山で、地元では石尊山ともいわれているようです。頂上には石尊山大山阿夫利神社の石塔があります。相州大山の子どもみたいなもので、なんとなく親しみがわきますね。

石尊信仰は相州大山からはじまりました。山岳信仰、修験道などの流れをくむものです。ある意味、はるか古代から続いてきたものが(神道や仏教にその都度取り込まれつつ)ずーっと形を変えてきた姿といえるかもしれません。大山詣りはかなり布教活動が盛んだったようで、大山講というシステムが作られ、そこから全国に広がり、各地に石尊山も作られていきました。戸神山もそのひとつでしょう。

大山詣りは信仰というだけでなく、江戸時代の観光という意味合いも大きかったようで、それも広まりの一因だったのでしょう。江の島、金沢、鎌倉という海沿いの風光明媚な観光地巡りもセットにされることが多かったみたいです(現在の金沢からは想像つきませんね。わずかに八景島だけが形を変えた観光地として残っているだけで)。当時の紀行文などを読むと、信仰というにはずいぶんはっちゃけた感じの人々の姿も垣間見られますw むしろレジャーという側面の方が強かったのかもしれません。

昔の行動や遺物などについて、「信仰」とか「宗教的」とか説明されるものって多いですが(なんだかよく分からないものはとりあえず「宗教的な」という形容詞をつけるみたいな?)、実はそれらの多くは、今のレジャーとか趣味とか気晴らしとか、そういったものだったのかも(昔はそういうものがあまりなかったみたいな固定観念がありませんか?) そういうふうに見方を変えてみると、なんとなく昔の事物や人々に共感がしやすく、理解が深まるような感じがしますね。

(参考:川島敏郎『相州大山信仰の底流―通史・縁起・霊験譚・旅日記などを介して』山川出版社、2016年)

 

2022年5月18日 (水)

鉄礬柘榴石(茨城県北茨城市華川町花園)

Almandine Fe2+3Al2(SiO4)3 珪酸塩鉱物

 

Almandine_hanazono_01

Almandine_hanazono_04

Almandine_hanazono_02

 

茨城県花園の鉄礬柘榴石です。あまりこれというものが見つからない中、この柘榴石はなかなか大きくてシャープな結晶で、印象的でした。基本真っ黒で不愛想な見かけですが、ものによっては若干ザクロ色が入ったようなものもありますね。ごく小さい結晶ならば、3枚目のように透明感のあるピンク色できれいなのもあるようですが。

柘榴石はたくさんの種類がありますが、宝石のガーネットといえば、普通はAlmandineのことです。アナトリアの古代都市・アラバンダ(Alabanda)を由来とする名前らしいのですが、アラバンダは産地ではなく、宝飾品としての加工拠点で有名だったところです。産出量の多さ、加工しなくとも美しい結晶形、かなり大きい結晶が出ること、ものによっては透明で美しい深赤色をしていて、古くから宝石として親しまれてきました。日本でも、大きくきれいな形の結晶の産出地があちこちにあります(ただし宝石になるようなレベルのもの、つまり透明度の高いものは日本にはほとんどない)。ちなみに、鉱物弱小県の神奈川県ですら小さいけれど透明できれいなのが出ますw(微細な柘榴石を含む火山灰が県全域に広がっている)

その硬さ(モース硬度7~7.5)から、研磨剤として採掘されていたこともあります。一応宝石なのに研磨剤。。。ガーネットは、「身近な、ありふれた宝石」といえるかもしれませんね。

ところで、劇場版アニメ『時をかける少女』の主題歌にもなった、奥華子の「ガーネット」という曲があります。この曲の歌詞中には「ガーネット」という言葉が出てこないのですが、この「身近な、ありふれた宝石」というのがぴったりな感じの内容で、とてもいい曲だった。自分は奥華子はメジャーデビュー前からお気に入りでよく聞いていたのですが、結局彼女は大きくブレイクはしませんでしたね。でも好きな人にとって、そんなのはどうでもいいのです(本人にとっては大きなことでしょうけど)。音楽とは、それが好きな人にとっては、心に一生残り続けるものだし、音楽の価値というのはそこにこそあるものだから。

 

花園溪谷周辺には何か所かポイントがあったようなのですが、もうあまり人も訪れないのでしょうか、ズリ(だったと思われる場所)も雑草に埋もれてよくわからなくなってたり、林道だったと思われるヤブをかき分けたりと、結構苦労しました。まあはっきりとした場所の情報もないので、このあたりかなぁと何となく雰囲気に任せて探すわけですが、土地勘がまったくないのでもう運任せ的な? それでも、それらしい場所を見つけると、それだけでうれしくて、なんかやり遂げた感があって、肝心の石探しは割とあっさりとすませちゃったりします。

花園神社とその背後の山中の奥宮、なかなか立派な滝など、北関東の山はほとんど経験がないので、石が見つからなくても割と楽しめた記憶があります。茨城県なんて、石に興味なければ多分来ることなかっただろうし。。。(そういえば昔、那珂川にカヤックでツーリングに来たことがあったことを思い出しました)

この辺の沢とか見て回ると、いろいろ見つかりそうだなぁという感じですが(思ったより険しそうな気もしますが)、多分地元の人はくまなく探し回っているのではないかと思います。ほとんど知られていないポイントとかもあるんだろうなぁ。

茨城県北部はさすがに日帰りでは遠いので、花園溪谷のキャンプ場に泊まりました。ここからだと、各ポイントを周るのにも便利でした。でも、他県ナンバーの車は自分たちだけだったと思うw ですよねー、そんな派手な観光地ではないので。でも結構居心地はよかったかな。

 

Hanazono

花園川の様子。渡渉してこのヤブ山のなかを探したw

 

2022年5月 8日 (日)

灰鉄輝石(長野県川上村甲武信鉱山)

Hedenbergite CaFe2+Si2O6  珪酸塩鉱物

 

Hedenbergite_kobushim_02

Hedenbergite_kobushim_04

 

甲武信鉱山の代表的な産物のひとつ、灰鉄輝石です。

ここではcmレベルの大きな結晶がごく普通に見つかるので、とても感動するのです。大きなものほど透明感がなく、黒色の柱状結晶になります。小さいものは緑がかった透明感のある結晶の束になっていることが多いです。

 

この前湯沼鉱泉に行った時、電気が止まっていて、真っ暗でしたw

最初は行く予定ではなく、廻り目平でテントを張るつもりだったんですが、ここは奥秩父・金峰山や小川山などへの登山口であるだけでなく、岩系の人たちの聖地みたいなところでもあって、いつも混んでてにぎわってるんですよねぇ。確かに居心地のいいところです。いっぱいでもう入れなかったので、それじゃあと湯沼鉱泉に行ってみたら昼なのに中は真っ暗。。。(それでも宿泊している人はいたらしい)

それで駐車場にテントを張らせてもらいました(もちろんそれなりのお礼はしてますよ)。おそらく阿鼻叫喚であっただろう廻り目平と違って、実に静かなものでした。ねこやご主人が様子を見に来たりしてw そもそも千曲川の最上流域にある川上村は、標高1200mを越えた高所ですので、夏の居心地は最高なのですよね。

次は普通に泊まりたいですが、正直いつまで営業しているか心配ではあります。

甲武信鉱山近辺は、奥秩父でもほとんど人の訪れない地域で、山登りとしてもちょっと興味があります。下の林道から稜線まで尾根伝いに行ってみたことがあり、岩稜や、ちょっと試しで掘ってみたような跡があったりと、なかなか面白かったのですが。。。標高を上げると、シャクナゲのヤブになってきて、おそろしくやっかいで時間がかかるので、途中であきらめて沢沿いのジグザグの鉱山道に下りたことがあります(下りるのもルート探しが必要ですが)。

シャクナゲのヤブというのは、まあとにかく最低最悪のヤブで、個人的にはその意味でハコネダケ(箱根あたりに密生しているササ)と双璧ですかねw 絶対先に進めさせないぞという強い意志を感じます。花はきれいですけどね。。。

一番上の坑口まで行くことがあったら、そのまま稜線まで割とすぐに登れるので、石探しの合間に行ってみるといいかもしれません。長峰とその北の1978峰(険しい岩のピークなので登るのは大変かも)の間に、地形図にも出ていない小さな岩の突起があって、眺めもよくていいお休みどころになっています。

 

Kobushim_01_20220508204601

甲武信鉱山の上の稜線から、左:金峰山、中央の低い鞍部:八丁平、右:小川山と屋根岩。

 

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