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2022年2月に作成された記事

2022年2月11日 (金)

沸石(神奈川県足柄上郡林道秦野峠・高松鉱山周辺)(菱沸石、濁沸石、輝沸石)

菱沸石 chabazite Ca(Si4Al2)O12・6H2O 珪酸塩鉱物
濁沸石 Laumontite CaAl2Si4O12・4H2O 珪酸塩鉱物
輝沸石 Heulandite (Na,Ca)2-3Al3(al,Si)2Si13O36・12H2O 珪酸塩鉱物

 

Chabazite_hadanotoge_01

Chabazite_hadanotoge_02

 

Heulandite_hadanotoge_01

 

丹沢山地の南部域で採集した沸石です。

1~3枚目は、林道秦野峠付近の産。松田町の寄(やどろぎ)・稲郷と、玄倉をつなぐ林道の峠です。

1、2枚目の、四角くちょっと表面がマットがかったような半透明な菱沸石。見る機会の多いありふれた沸石ですが、これはちょっと他のと違った雰囲気で、表面の質感もてかてかした感じじゃないし、辺はシャープだけれど、面はちょっと膨らんだ感じで、面白い。くずきりみたいですごくおいしそう。

2枚目も同様ですが、先端を斜めにすぱっと切った刀状の小さな結晶は、濁沸石。

3枚目は、輝沸石。球状のかたまりから四方八方に結晶が成長しています。

 


(2022/2/24追記)

この菱沸石としたものですが、方解石ではないかという指摘をいただきました。今度調べてみるつもりですが、とりあえず念のためにここに追記をしておきます。確かに方解石っぽい感じもするのですよね。。。


 

Laumontite_takamatsum_01

 

林道秦野峠から南に延びる稜線を3kmほど辿っていくと、高松山です。高松鉱山近くの沢(以前の忍石海緑石?の項と同じ採集場所)では、4枚目の写真のような濁沸石の結晶がたくさん見られます。

成分式を見るとわかるように、沸石は水分子を多く含んでいますが、濁沸石は他の沸石と違い、空気に触れた状態でこの水分子が抜けてしまうので、放置しておくと白く濁っていき、粉状に分解してぼろぼろに崩れてしまいます。保存するためには水の中に入れておいたりしないといけません。

つまり、濁沸石の多い岩盤というのは、崩れやすいということですね。実際、林道秦野峠あたりの岩はもろくてすぐに崩壊するので、すぐ通行止めになったりします(今もダメかも)。露頭のそばにいても、自然にぽろぽろと小さな岩の欠片が落ちてくるので、結構怖かったり。あれは濁沸石のせいかもしれない。

現在高松山の南麓では新東名のトンネル工事が進められていますが、昨年末(2021年12月)、新東名の工事が難航しており、完成予定が再延長されるというニュースが流れました。もっとも難航しているのが、全長2.9kmの高松トンネル。高松山というか、その南の山上にある高松集落の下あたりを通るトンネルですが、尺里川をさかのぼって高松鉱山に行く途中で工事現場を通ります。

 

Hisarigawa_01

 

トンネルを掘ったあとの大量のズリはどこにあるんだろう、見てみたいなあ、マンガン鉱石とかあるかも! などとのんびり考えながら通り過ぎましたが(笑)、かなり苦労していたのだなあ、すいません。濁沸石の脈とか多そうだし、関係あるのかな?

 

松田町の寄は、沸石の産地として有名なようですね。寄のすぐ北・稲郷にも、マンガンが出た稲郷鉱山があったようです。枕状溶岩が見られる地域でもあります。

寄から山北の八丁地域まで、明治頃まではいくつかの生活道が山を越えて通っていました。花嫁が歩いて通った道ということで、はなじょろ道と言われていましたが、最近廃道になっていた古道が整備され、歩きやすくなったようです。山の上まですべて植林に覆われて暗く、正直登山としては魅力に欠ける山域といわざるを得ないのですが(ただこの周辺の植林は整備が非常にきちんとしていて気持ちはいいのです)、山の中に仏像などの遺構も多く、まあ興味の方向を変えてみれば面白い地域であるといえるのかな。。。でも、高松山の頂上だけは伐採された眺めのいい草原で気持ちいいですよ。

寄も、行政的には「やどりき」という読みのようですが、自分はずっと以前から「やどろぎ」とよんでいました。変な名前ですね。植物のやどりぎからきているのでしょうか。ロウバイ園で有名ですが、見に行ったことはありません。むしろその時期は混むので避けます。ちなみに、町の中を流れる川は、中津川。また中津川か。。。

林道秦野峠は林道上の峠ですが、旧秦野峠はまた別の場所です。峠を越える道は、痕跡はあるけれど辿ったことはないのでどうなっているかわかりません。この周辺は緑のきれいな緑色凝灰岩が多く、激しい崩壊地ばかりです。

個人的には、旧秦野峠から鍋割山までの稜線は、丹沢でも一番のマイフェイバリットですね。伊勢沢の頭の明るい草原、檜岳(ひのきだっか。ドッケなどと同じ岩山を意味する言葉に「岳」をあてたらしい)のブナ林、雨山峠付近から石英閃緑岩域に入り、崩れやすく険しい地形となっていきます。真っ白な岩と、馬酔木やコケの緑が美しい地域。人でごったがえす鍋割山の頂上直前まで、人もそんなに多くなく、変化に富んだ地質と植生が続きます。何度行っても飽きない地域です。

 

Hinokidakka_01

檜岳のブナ林

 

2022年2月 6日 (日)

海緑石?(神奈川県足柄上郡山北町尺里川)

海緑石 Glauconite? K(Fe, Mg, Al)2(Si, Al)4O10(OH)2 珪酸塩鉱物
緑泥石 Chlorite? [ A ][(OH)8|AlSi3O10] 珪酸塩鉱物
セラドン石 Celadonite? KMgFe3+Si4O10(OH)2 珪酸塩鉱物

 

Glauconite_takamatsum_01

Glauconite_takamatsum_02

 

高松鉱山の近くの沢で拾ってきた石を顕微鏡で見ていて、妙な構造物を見つけました(場所としては、以前の忍石と同じですが、今回の石は多分マンガン鉱山としての高松鉱山とは無関係だと思います)。

結構大きくて、最初ぱっと目に入った時はなんか虫関係のように見えて、ビクゥとしました(石を顕微鏡で見ていると、たまに虫がすごいでかく見えてぎゃーとなることってありますよね?)。

これはまた不思議な形。こんなのは見たことないですねぇ。

緑のきれいな透明感のある鉱物の欠片が、白い地にきれいに整列しています。その整列の仕方もいろいろあって、面白い。まるで何らかの生物由来のようにも見える配列です。

この緑の石はなんだろう。緑の石といえば。。。高松鉱山ではクロムをわずかに含んだ透輝石が出るようです。あと、一番最初に思い出したのは、ここは丹沢層大山亜層群ですので、セラドン石。大山の周辺(特に大山の北側)では必ず目にする緑の石です。川音川下流の松田惣領あたりでも多いみたいです(そのあたりはいつも通り過ぎるだけなので、よく知らないのだけれど)。見かけ的にも場所的にも、まあセラドン石でおかしくはない? あとは緑泥石という可能性もあるか。

でもそういえば、高松鉱山は酒匂川支流・尺里川(これで「ひさりがわ」と読みます。多分「久里」がどこかで「尺」になっちゃった?)ですが、そのすぐ西側の皆瀬川では、海緑石が見つかっています。セラドン石と海緑石は、ほとんど見分けがつかないとか。

この構造の白い地はなんだろう。セラドン石は、あちこちでよく見かけますが、こんなのは見たことがないです。ぱっと見、石灰岩とか方解石のように見えるんですが。。。

海緑石は、浅めの海で堆積した泥岩、砂岩、石灰岩などの中で見つかるそうです。化石、石炭、石油などのそばで見つかることが多いなど、どうも有機物との関連があるようなないような。。。海緑石の見つかった皆瀬川も、石灰岩、サンゴや有孔虫の化石が多いところです。それに対してセラドン石は、火山灰が海中で堆積した凝灰岩中でできますので、見かけは似ているけれど、でき方はまるで違いますね。

この整然とした配列がどうしてできたか考えてみました。

その1(有孔虫化石の海緑石化?)

貝殻の化石が、緑泥石、海緑石に交代された例があるようです。上の写真も、何かの生物の殻の模様のようにも見えなくもない?(鈴木清一、疋田吉識、上木原明美「緑泥石および"海緑石"に交代された化石貝殻微細構造」日本地質学会学術大会講演要旨194 第99年学術大会〈92熊本〉、1992、https://www.jstage.jst.go.jp/article/geosocabst/1992/0/1992_301/_pdf/-char/ja)。詳細がわからないのですが、この論文の本文には写真など出ているのでしょうか。見てみたいなあ。殻の部分の多くは方解石になっているということですが。。。例えばここに出ている、有孔虫、Elphidiumエルフィディウムの写真を見ると、非常に似てるような気がするのですが、どうなんでしょう(島根半島・宍道湖中海ジオパーク (https://kunibiki-geopark.jp/)> 有孔虫について)。1枚目の写真の構造物の大きさは直径約1mmで、有孔虫の大きさですね。

その2(破壊の瞬間が保存された?)

フィリピン海プレートにのった伊豆地塊が日本本土に近づくにつれ、どんどん間の海は浅くなっていきます。それと同時に現在の丹沢にあたる地域が隆起し、そこから流出する土砂が海に流れ込み、さらに浅海化が進みます(足柄層)。やがて海は完全になくなり、伊豆が半島となります。浅い海であったところは土砂に埋まり、さらに伊豆の移動で強い圧力を受けて、石灰岩か砂岩、泥岩中に海緑石が生成されます。

プレートの移動はさらに続き、丹沢の隆起は続きますが、やがて圧力に耐えきれず、その昔は浅海であった境界付近はぐちゃぐちゃに破砕されることになります(神縄断層)。海緑石も強く圧力を受けますが、まずその周囲の柔らかい石灰岩か砂岩、泥岩が岩の中で細かく砂のように破壊され、粘度の高い液状化したような状態になり、海緑石もその中で強い圧力を受けて破裂。けれども砂の中で破片はばらばらにならず、破壊の瞬間の状態が保存され、やがてそのかたちのまま、再び固まった。。。とか?

 

という感じで、白い地の部分を考慮して、海緑石か緑泥石ではないかと考え、記事のタイトルも「海緑石?」としました。緑泥石はもう取り上げているので、別の鉱物名にしたいですからね(笑)。

個人的には、その1(有孔虫化石の海緑石化?)が正解ではないかと思っていますが、どうなんでしょうか。。。

 

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