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2022年1月16日 (日)

枕状溶岩(神奈川県足柄上郡山北町玄倉)

Pillow lava

 

丹沢湖の東端・玄倉で湖に流れ込む小菅沢の川原では、枕状溶岩の露頭やそのかけらがごろごろしているのを見ることができます。

 

Pillow-lava_kosugezawa_01

 

Pillow-lava_kosugezawa_02

Pillow-lava_kosugezawa_03

 

粘性の小さな玄武岩質の溶岩(含まれているSiO2が少なく、高温であるほど、粘性は小さくなる)が、ちょうどねり歯磨き粉がチューブから押し出されたような感じで円筒状に海中で噴出し、そのまま急冷されて固まり、さらにそこから新たな溶岩が突き出て、という過程を繰り返して、断面が丸まった溶岩が積み重なったような形状になったものが、枕状溶岩です。つまり枕状溶岩があるということは、水中で溶岩が噴出したことを示すわけで、広い範囲で枕状溶岩が見られる丹沢地域が昔は海だったことの証拠になるわけです。

溶岩の表面は水で急冷されるためにガラス質になり、内部はガスが抜けて孔だらけになったところに火山灰などが充填されます。

写真の様子から、その構造がはっきりと見て取れると思います。溶岩の間の白い部分は緑簾石類や曹長石だそうです。1枚目の写真で分かりやすいですが、各溶岩の輪郭部分がちょっと色濃くなっているのは、急冷されガラス質になった部分で、チルドマージンといいます。

 

小菅沢は玄倉山神峠や秦野峠を源流としており、どちらも源流地域は大きく青々とした崩壊地がむき出しになっています。丹沢層の塔ヶ岳亜層群の地域です。とても崩れやすい悪い渓相で、玄倉から山神峠への道はもう長いこと通行し難い状況のままです(沢の対岸にも鉄塔の管理道跡がありましたが、今現在通れる状態かどうかはわからない)。小菅沢周辺を通っている秦野峠林道の西側も、何か所か崩れているようです(東側も大きく崩れて2022年1月現在工事中で通れない)。

丹沢には他にも、寄沢(やどろぎさわ)、水棚沢(檜岳〈ひのきだっか〉東の沢)、早戸川最上流部などで枕状溶岩が確認されていますが、ここ小菅沢が一番気軽に見に行きやすい場所だと思います。以前、寄から雨山峠に向かう林道の途中に、枕状溶岩とその説明板があったのですが、最近行った時には見当たりませんでした。崩れちゃったのかな?

水棚沢はもろい岩の極悪の沢らしいし、早戸川もちょっと敷居高すぎて、自分には行きづらい場所。

小菅沢の現場は、玄倉から歩いてそんなに遠くありません。20分もかからないかな? 秦野峠林道(登山者用駐車場が入口にあります)を少し歩いていくと、小菅沢橋という大きな橋があります。その橋を渡らず、橋の右脇から沢に下ります(残置ロープがある)。広い川原を少し上流に遡ると、5分もかからず、大きな堰が見えてきますが、このあたりからが現場です。

左岸側に作業林道が通っているので、堰の上流に行けます。川原をうろうろしていれば、すぐに見つかると思いますが、大きな台風ひとつくれば川原の様相はあっという間に変ってしまいます。以前、有志の方々が、枕状溶岩が分かりやすいようにここの岩を時々きれいにしてくれていたようなのですが、今も継続しているかどうかは知りません。自然のままだとコケまみれだったり汚れていたり、ぱっと見分からないことが多いので、すばらしい活動だと思っていたのですが。多分そのころと比べてちょっとわかりにくくなっているようです。博物館などで展示されているのを見るのもいいのですが、やはり実際のその現場で見たり触ったりするのとは比較にならないと思いますね(触れるのって、思っているよりずっと大事なことだと思います)。

 

以前、秦野峠林道の出発地点には、丹沢湖ビジターセンターがありました。中川上流にあった西丹沢自然教室は登山用のベース施設、丹沢湖ビジターセンターは、丹沢の自然を紹介する施設と、その機能を分割していたのではないかと思いますが、2015年に後者を廃止して、その機能を統一したのでしょう、自然教室は西丹沢ビジターセンターと改称されました。今でも丹沢湖BCの立派な建物だけは残っているのですが、まったく使用されておらず、玄倉林道が長いこと通行止めになっているせいもあり、玄倉は結構閑散とした状態です。玄倉が出発点の「一般登山道」で現在通行できるのは、西丹沢県民の森から石棚山に登るルート1本だけですから、まあ仕方ないんですが。。。

いつも玄倉に来ると、丹沢湖BCの建物がもったいないなぁと思います。すぐそばにこんな枕状溶岩を気軽に見られる場所もあるし(こんな来やすい場所は他にない)、一時期はユーシン・ブルーを目当てのハイキング客も、結構たくさん見かけたんですがねぇ(現在熊木沢ダムは水をためていないので、上流の湖はありません)。

玄倉林道が通行できるようになったら、丹沢湖BCやユーシン・ロッジ、山神峠の経路など全部まとめて復活しないかなぁと願っています(あと倒れかけた山神峠の総檜造りの山の神さまのお社も)。神奈川県民の自分としては、そのために県税を投入するというなら、もう大喜びで賛成なんですがね。神奈川県で一番の(というより唯一の)秘境ですから。

 

神奈川の秘境といえば、数年前箱根の硫黄地獄を訪れたら、完全に人工的に固められて跡形もなくなっていて、愕然としました。それまでも時たま来ていて、地元の人からそこで作っていたゆで玉子をもらったりして思い出もある、箱根の自然と直に触れ合えた数少ない場所だったのですが、それ以来、神奈川の数少ない好きなジオ・スポットのひとつがなくなってしまって、悲しすぎて箱根はもう行きたくないって気分がずっと何年も続いています。どうしてそうなってしまったのか詳細は知りませんが。。。

 

Kosugezawa_01

Kosugezawa_02

上下:小菅沢の様子

 

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