最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« 含ストロンチウム方解石(茨城県北茨城市華川町花園) | トップページ | 黄鉄鉱(栃木県日光市足尾町足尾銅山) »

2021年6月10日 (木)

石墨(茨城県北茨城市華川町花園)

Graphite C 元素鉱物

 

Graphite_hanazono_01

Graphite_hanazono_04

 

前回の北茨城花園の含ストロンチウム方解石の中に、黒いほこり粒のようなものがぽつぽつとついているのを見つけました。下の写真のように、白い方解石中にうす青い脈が走っていて、特にそこに集中して見られました。ルーペでのぞいてみると、金属光沢の黒い六角形の薄板状結晶。非常に小さいですが、石墨の自形結晶です。

TrekGEOの花園鍾乳洞のページに、産出鉱物として石墨が載っていました。ネット上では、TrekGEO以外ではここの石墨のことは全然見つけられなかったので、どんなふうに出るのかわかりませんでしたが、こういう産状なんですね。石灰岩の接触変成域の晶質石灰岩ということは、有機物由来でしょうか。

 

Graphite_hanazono_03

 

元素記号は炭素C。ダイヤモンドと同じですが、原子の結合の仕方が全然違います。雲母のように層状の構造をもち、層と層の間の結合が弱いため、薄くはがれるような劈開があります。ダイヤモンドは3次元的に原子が結合しているので硬いのですが(モース硬度10)、石墨はモース硬度1~2と、もっとも柔らかい鉱物のひとつです。極端すぎw

鉛筆の芯は基本石墨が原料(のひとつ)ですが、人工的に合成されたもの、精製して純度を高めたもの(つまり工業用に使用される場合などということか)は「黒鉛」と呼ばれ、天然のものは「石墨」と呼ばれています。ただし名前を使い分けているのは日本だけで、英語ではどちらもGraphite。

「黒鉛」という名前ですが、もちろん鉛はまったく含まれていません。昔、元素を分析できなかったころは鉛を含むと考えられ、ラテン語で「鉛」を意味する「plumbum」と呼ばれていました。そこからつけられた和名が「黒鉛」で、それが今でもそのまま使われ続けているため、こんなややこしいことになってしまいました。

ちなみにGraphiteはギリシャ語で「書く」を意味するgrapheinからきています。文法のグラマーや、グラフ(表)と同系統の言葉ですね。

鉛筆の芯は、粉末にした石墨(黒鉛)と粘土を混ぜて作りますが、その比率で硬さを調節します。粘土が多いほど硬くなります。層状の原子構造=滑りやすさ、が、鉛筆の書き心地の秘密のようですね。ちなみに色鉛筆は粘土ではなく、染料と滑石、蝋(これでさらになめらかさを出す)などをまぜるそうです。

 

石墨を筆記用具とする方法が広まったのは、16世紀、良質な石墨鉱床が発見されたイギリスから(カンバーランドのボローデール鉱山)。当時は石墨を細長く切って、糸を巻いたり板ではさんだりして持ち手を作り、そのまま使っていました。ところが、これまでになかったこのお手軽な筆記用具が広まると、良質な石墨が貴重品となり、値段もどんどんあがっていくことに。。。

さらにそんな中、イギリスとの戦争(ナポレオン戦争)が起こり石墨が手に入らなくなったフランスで、画家で化学者でもあったジャック・ニコラス・コンテが、石墨の粉末と粘土をまぜて焼き固める、現在でも使われている工法による鉛筆を開発しました(1795年)。石墨の小さな欠片を無駄なく有効利用できるだけでなく、硬さも自由に調整できる画期的な発明です。まさに必要は発明の母(ちなみにこの言葉、出典は『ガリバー旅行記』なんだって!)。もちろん絵を描くときに使うコンテは、このコンテの作った鉛筆からきています。

ごく小さな六角形の粒から、どんどんと歴史が広がって大事になっていくのが楽しいですねぇ。

 

« 含ストロンチウム方解石(茨城県北茨城市華川町花園) | トップページ | 黄鉄鉱(栃木県日光市足尾町足尾銅山) »

〇茨城県」カテゴリの記事

▽元素鉱物」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 含ストロンチウム方解石(茨城県北茨城市華川町花園) | トップページ | 黄鉄鉱(栃木県日光市足尾町足尾銅山) »