毛鉱(埼玉県秩父市秩父鉱山)
Jamesonite Pb4FeSb6S14 硫化鉱物
秩父鉱山、大黒の川原で見つけた毛鉱です(すべて1つの石の部分)。あったのは、マンガン鉱などが見つかるところ。大黒でちょっと珍しいものを見つけるのは、ほとんどこのとても狭い範囲内で、ちょうどここに捨てられたズリが特別だったのだろうと思います。大黒川原の右岸斜面は全部ズリでできているようですし、まだまだいろいろなものが埋まっているんでしょうねぇ。川原上の広い駐車スペースも、ズリで平地を広げたような感じに見えます。
毛鉱とブーランジェ鉱は、なかなか肉眼では判別が難しいようですが、特に1枚目のものはサイズがかなり大きく毛というよりはまさに針で、ブーランジェ鉱とは見た感じが全然違うと感じました(詳しくはブーランジェ鉱(山梨県甲州市黄金沢鉱山)を参照のこと)。色も黄鉄鉱のようにちょっと黄色がかっていて、立派です。少なくとも1枚目の写真は、毛鉱と確定していいのではないかと。まあ正確なところはわかりませんけどね。。。
2枚目の写真では、ブーランジェ鉱との違いがよくわからないです。どうやら毛鉱らしいものと同じ石の欠片についていたので毛鉱だろう、といった程度の考え。でも、毛鉱とブーランジェ鉱は共生するので、ブーランジェ鉱の可能性もあります。
あと、3枚目のように、青く見える部分もいくつかあって、とてもきれいです。この青は何に由来するんでしょう。mindat.orgの毛鉱の写真を見ても、いくつか青く輝く写真があります。拡大すると、どうやら基本的に虹色の輝きをもったものが、反射の加減で特に青が強調されているような感じです。どうやら地色というわけではないみたいです。ちなみにブーランジェ鉱のmindat.orgの写真を見ると、やはり青によったものが多く見受けられますね。
どの写真も、まわりはほぼ全部石英(水晶)です。
鉱物名は、スコットランドの博物・鉱物学者・ロバート・ジェイムソン(Robert Jameson, 1774-1854)にちなみます。エジンバラ大学出身ですが、ドイツのフライベルク鉱山学校(Bergakademie Freiberg)で、ヴェルナー(Abraham Gottlob Werner, 1749-1817)の下でも学んでいます。
ここでも何度も名前が出てきたヴェルナー。その下で学んだということは、ジェイムソンもやはり岩の水成論の立場に立っていました。この時代のヴェルナーの影響の大きさがわかりますね。
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