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2021年4月11日 (日)

含クロム白雲母(長野県茅野市金鶏金山)

Fuchsite(Muscovite) K(Al,Cr)2AlSi3O10(OH,F)2 珪酸塩鉱物

 

Fuchsite_kinkeim_01

Fuchsite_kinkeim_02

Fuchsite_kinkeim_03

 

長野県金鶏金山の白雲母の変種です。クロムを含んでいるために緑を帯びていて、とてもきれいですね。金鶏金山はセリウムフローレンス石や水晶の日本式双晶、苦土電気石、滑石などさまざまな鉱物を産出しますが、この白雲母がここの代表といっていいのではないかと。現場に行きさえすれば、わざわざ探すまでもなくいっぱいあるので、あまり珍重されないかもしれませんが、結晶形もはっきりとしていて薄いものは透明度も高く、拡大するとほんとにきれい。

錆がついて茶や黄色く染まった部分と緑のグラデーションが、またポイントですね。薬品で錆をとってしまうと、この美しさがそこなわれてしまう、でも錆をとらないと稀産鉱物が探せない、というジレンマに直面することになります(珍しいセリウムフローレンス石はピンク色なので、錆がついてると紛れて探しにくい)。

写真は3種の形態を選びました。緑の鮮やかな1枚目、薄い錆で金色の花びらのように重なった集合と水晶の2枚目、透明度の高いうす緑の薄片の3枚目、どれも違っていいですねぇ(写真の出来には目をつむってください><)。地の無色部分は石英です。

緑の雲母のことを、Maripositeということもあります。MaripositeもFuchsiteも正式な鉱物名ではなく、白雲母(Muscovite)の一種。クロムではなくバナジウムが含まれると、ロスコー雲母となります。

フクサイトの名称は、ドイツ・バイエルン王国の化学者・鉱物学者であるヨハン・ネポムク・フォン・フックス(Johann Nepomuk von Fuchs、1774-1856年)に由来します。

1842年、やはりドイツの地質・鉱業・冶金・音楽学者のシャフホイトル(Karl F. Emil von Schafhäutl、1803-1890年)によって命名されました。この人、ちょっと面白い人物みたい。もともと印刷関連の職人であり、詩や演劇・物語などの文学作品も残していて、かなり多彩な方面で活躍しています。地質学関連では、アルプス地方の地質などの研究。音楽では、グレゴリオ聖歌などの研究のほか、楽器の音響についての研究もあり、ベーム式フルート(要するに現代のフルートのことです。それまでは主に木製で簡単なキーのついたようなトラヴェルソが使われていました)の開発にも関わっていたようです。文学ではキリスト教の色彩が濃い作品が多い。

 

グレゴリオ聖歌はヨーロッパではかなり異質なモノフォニックな音楽です。西アジアの影響を強く受けているものと思われます。なので、コードではなくモード(旋法)を基本としています。ヨーロッパでは唯一といっていいモノフォニーな伝統音楽ですね。

誤解している人も多いと思いますが、モノフォニーが進歩してポリフォニーになったりするような関係にあるものではありません。まったく別の、独立したものです。社会のあり方と音楽を簡単に関連づけることはできないと思いますが、狩猟を基本とする社会にはポリフォニーが、農耕を基本とする社会にはモノフォニーが多いような気がします(日本も基本モノフォニーな国でしたが、何分文化の掃きだめ的な位置にあるのでw)。

現在ポリフォニー(と平均律)が世界的に全盛なのは、ヨーロッパの帝国主義の賜物だと言ってしまっていいかも? 世界にはいろんな音楽があって、聞きなれていないものは理解できません。聞き方は、演奏の仕方と同じく、技能です。現在の日本人の大部分は、日本の伝統音楽は理解できません。聞きなれていないから。学校で1回だけちょこっと雅楽や長唄を無理やり聞かされても、退屈こそすれ、理解できるわけもないです。音楽の先生もほとんどの人は分からないけど聞かせているだけでしょう(学校の先生の多くはヨーロッパの数百年の範囲内の古典音楽という非常に狭い範囲しかまじめに勉強していないでしょうから)。

アラビアのウード奏者の人の話で、音楽の幅を広げたいとヨーロッパに音楽留学に行ったそうです(それまでヨーロッパの音楽はほとんど聞いたことがなかった)。初めてオーケストラの演奏会に行ったのですが、いつまでたってもずっと音合わせをしていて、全然始まらないなあと思っていたら、拍手が起こって終わっちゃったとかいう。。。「音楽」として認識できなかったわけですね。西アジアの多くの国の人からしたら、オーケストラは音が合っていないのが気になって仕方ないんじゃなかろうか。調律に非常に厳密ですし、オーケストラは管楽器と弦楽器、さらに鍵盤もあって(それぞれ音程のとり方の仕組みが違う)音合わせが難儀な音楽形態ですからね。。。

音楽は世界の共通語だなんてよく言われますが、それはまったく無知からきた誤解です。音楽は言語と同じ、母国音楽以外のものをきちんと聞ける(演奏できる)ようになるには、勉強や慣れ、多くの時間が必要だと思います。それでも、はたして本当にそれが母国音楽の人と同じように聞けているのかどうか。。。結局のところ、頭の中で翻訳をするという余分な作業をしているのではないか。。。大元のところで理解の方法は異なっているのではないか。そういう疑問はけっしてなくなることはないと思いますね。

音楽は言語と同じと書きましたが、音楽そのもののあり方としては、言葉というよりむしろ数学に近いものです。現代では音楽は基本的に感情的なものと思われ、求められていて、「作者の思いを伝える」とかそういった面が強調されることが多いですが、世界には、感情はむしろ邪魔であるという音楽も多くあります。たとえば南インドの伝統音楽では、音楽は宇宙とか世界とか、そういうものを表現するものであって、人間的な側面はできるだけ排除すべき要素であるとされます。日本の雅楽も儀典や占いのための音楽ですし、現代でも感情的な要素を排除した純粋な音の気持ちよさを追及する分野もありますね(特にエレクトロな分野の一部)。そのような数学的な側面が重視される音楽なら、共通語になりえるのかな、と考えたりもします。

そういう数学的な世界の表象として、自分は鉱物の世界が好きなのかもしれない。

 

って、途中から鉱物全然関係なくなってしまい、最後に無理やり鉱物を持ち出してまとめようとしてみましたw

 

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