沸石(静岡県焼津市浜当目)
トムソン沸石 Thomsonite NaCa2Al5Si5O20・6H2O 珪酸塩鉱物
中沸石 Mesolite Na2Ca2(Si9Al6)O30・8H2O 珪酸塩鉱物
輝沸石 Heulandite (Na,Ca)2-3Al3(al,Si)2Si13O36・12H2O 珪酸塩鉱物
焼津の北・浜当目(はまとうめ)から、海に落ち込む切り立った岸壁が、虚空蔵山、大崩海岸と3km以上にわたって続いています。ここの岸壁は1500万年前頃に噴出したアルカリ玄武岩の枕状溶岩(Pillow Rava)で出来ていて、その表面や隙間に沸石の層が見られます。
粘度の低い玄武岩質の溶岩が海などの水の中で噴出すると、チューブから出てきた接着剤のように丸くなって固まり、枕状溶岩を作ります。つまり、枕状溶岩のあるところは、昔は海の中だったということですね。この玄武岩層は、内陸の高草山まで続いています。
アルカリ玄武岩(ナトリウムやカリウムが多い)は、本来大陸内部で多く見られるもので、日本の太平洋沿岸ではかなり珍しいようですが、その玄武岩の隙間などに、白い沸石が脈を作っています。噴出時に圧力が減少して、マグマ中の水分などの発揮成分が抜けたあとが孔となり、その孔が沸石で満たされていたりします。
1枚目の写真はトムソン沸石かな?
ネット等でよく見るような、まん丸い半透明のものもあったのですが、ちょっと汚れが目立ったので、一番表面がきれいだったものを。
ソーダ沸石に似た柱状結晶(断面は長方形)らしいのですが、微細なそれが放射状に集まって丸い姿を見せることが多いようです。丸い鉱物ってこのパターンが多いですね。
こちらは多分中沸石ではないかと思います。ソーダ沸石かも? まあ何となくですw こちらも柱状結晶の集まりで、繊維状になっていますね。成分的にはソーダ沸石とスコレス沸石の中間なので、中間という意味の古代ギリシャ語μέσος(mésos)が語源です。
こちらは輝沸石ですかね。上の2つの石のあった露頭ではなく、そのそばの浜辺の石についていました。なので、ここの岩が出所元かどうかは分かりません。
浜当目の露頭。
焼津というとマグロが有名ですが、個人的には遠洋漁業の冷凍マグロはそれほど好きではないです(近海ものの冷凍してないマグロを食べてしまうと、冷凍ものは食べられなくなっちゃう。まったく別ものです)。それより駿河湾は深海魚ですかねw 深海魚専門の漁師すらいるというのがびっくり。見かけはかなりグロいですけど、考えてみると桜エビやタカアシガニ、キンメダイなどの駿河湾の名産は深海ものばかりですよね。。。
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