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2021年2月に作成された記事

2021年2月24日 (水)

普通輝石(静岡県賀茂郡南伊豆町伊浜)

Augite (Ca,Mg,Fe)2Si2O6 珪酸塩鉱物

 

Augite_ihama_01

Augite_ihama_02

 

普通輝石かなぁ? 多分。

西伊豆の南端、妻良と雲見の間の小さな港町・伊浜近くの山の中で採集しました。場所的には蛇石火山の範囲内になると思います。

蛇石火山は140~130万年前に噴火したとされる第四紀の火山です。侵食によってかなりなだらかな地形となっていて、蛇石峠西にある大峠そばの520m峰が山地の最高峰。名前は青野川上流の蛇石という地名からきていますが、ここにある蛇のように見える蛇石がジオパークのポイントになっています。この蛇石は伝説では蛇石集落の北2kmちょっとのところにある蛇石大池(現在低層湿原となっている)まで続いているということですが、この大池もどうやら火口跡地のようです。

妻良から雲見までの道路(マーガレットライン)は海から離れてずっとなだらかな山の上を通りますが、妻良側の約半分くらいは蛇石火山の噴出物の領域です。鉱物的には妻良の付近にマンガン鉱山があったようですが、行ったことはありません。妻良から二十六夜山を周る道を経由して、南の岬の先にある浜を目指して歩いたことがあります。植生が日本っぽくなく、南洋的なヤブがかなりきつく、岩場もあって結局行き着けませんでした。でも、林道の途中で立派な柱状節理が立ち並んでいるのを見つけたのは思わぬ発見でした(こちらはジオポイントにはなっていない。まあ伊豆は柱状節理多いですもんね)。

Mera_01

 

普通輝石は火成岩(と一部の変成岩)に含まれることの多い造岩鉱物で、ごく普通に見られるものです。

語源はギリシャ語のαυγή(アヴギ)。現代ギリシャ語では「暁」という意味で、古代ギリシャ語だとαὐγήは「太陽の光」「光線」「光沢」というような意味です。劈開のさまからつけられたようです。前回の重晶石の回にも名前が出てきたドイツのヴェルナー(Abraham Gottlob Werner, 1749-1817)によって、1792年に命名されました。

なんといっても名前がね、「普通」ですからね、名前につける言葉じゃないですよねぇw

その名前のとおり非常に地味でありふれた存在ですけど、きちんと結晶形が出ているのをそう頻繁に見るわけではありません。ミクロな結晶から、マクロな地質、火山地形まで思いをはせることができるのが、地学の面白さですね。

 

Mera_02

妻良南の岬付近から、北側方面を見る。海をへだてて向こうに見えるのは左から、波勝崎、高通山、さらになだらかな蛇石火山。

 

2021年2月17日 (水)

重晶石(静岡県河津町河津川流域)

Baryte Ba(SO4) 硫酸塩鉱物等

 

Baryte_kawadugawa_02

Baryte_kawadugawa_01

 

重晶石の板状結晶のあつまりではないかと思います。

河津川流域の湯ヶ野鉱山では重晶石が多く見られるそうなのですが、採集地はそのそばではあるけれども別の場所です(湯ヶ野の石が転げてくることはない)。湯ヶ野鉱山は行ったことがありません。入口に温泉用の無料駐車場があることは確認ずみなので、今度そばに行ったら見てきたいと思ってます(ちなみに湯ヶ野鉱山の山を越えた北の沢は見に行ったことがあるのですが、何も見つけられませんでした)。

周囲には火山とその痕跡ばかりで、噴出物をのけて鉱物を探すという感じの地域なので(ちょっと言い過ぎましたw)、この重晶石も温泉由来のものなのかな? ただ湯ヶ野鉱山は黒鉱鉱床に近いタイプらしく、黒鉱由来の可能性もある?

重晶石は健康診断で飲まされるバリウムの原料です。なんというか、いやーな気分になりますねw えらく濃厚な感じで、バリウムの入ったコップを持つとすごく重いことに気づきますが、コップが重いわけではなく、バリウム自体の重さです。重晶石Baryteの語源は古代ギリシャ語のβαρύς(barús)で、意味は「重い」。重晶石の「重」も、もちろんここからきています。まあ重いといっても、非金属としては重いということですが。

1800年、ドイツの鉱物学者カルステン(Dietrich Ludwig Gustav Karsten, 1768-1810)により命名されました。水成論で有名なヴェルナー(Abraham Gottlob Werner, 1749-1817)とレスケ(Nathanael Gottfried Leske, 1751-1786)の収集した、膨大な鉱物コレクションの整理・分類をしてまとめたことで知られている人です。ちょうどゲーテと同じ時代の人たちですね。「Karsten」で検索すると、彼の書籍がAmazonでいっぱい出てきます。欧米では今でもよく読まれているのでしょうか。

ただ検索していて気づいたのですが、バライトには「barite」と「baryte」の、2つの綴りがあるようです。アメリカを中心にいくつかの国では「barite」を、IMA(国際鉱物学連合:International Mineralogical Association)による公式な名称としては「baryte」としているとか(こちらは英国流らしい)。事情はよくわかりませんが、まあいろいろあったんでしょうかね。どうでもいいけど、こういうのは検索するのに面倒だからいっそのこと、「Jushosekite」にしたらどうでしょうw

 

2021年2月 8日 (月)

ブーランジェ鉱(山梨県甲州市黄金沢鉱山)

Boulangerite Pb5Sb4S11 硫化鉱物

 

Boulangerite_koganezawam_01

Boulangerite_koganezawam_03

Boulangerite_koganezawam_02

 

細かい毛状の部分がブーランジェ鉱だと思います。一部、水晶の中にも取り込まれているように見えます。

黄金沢鉱山で産出する毛状の金属鉱物といえば、ブーランジェ鉱と毛鉱の二種類がありますが、ブーランジェ鉱と毛鉱はとても似た鉱物で、どちらも鉛(Pb)とアンチモン(Sb)と硫黄(S)を主要成分とした、硫化鉱物です(毛鉱はPb4FeSb6S14)。

これをブーランジェ鉱と判断したのは。。。

まず、TrekGEOの黄金沢鉱山の産出鉱物リスト(https://trekgeo.net/m/0ymn.htm)を見ると、ブーランジェ鉱は載っておらず、毛鉱だけが挙げられています(すぐそばの鈴庫鉱山には、逆に毛鉱が載っておらず、ブーランジェ鉱があげられている)。けれども、同じサイト内の、「日本のブーランジェ鉱の産地」リストの2012年には黄金沢鉱山がでていますので、両方とも産出が確認されていることがわかりました。

松原聰著『鉱物観察ガイド』(東海大学出版会、2008年)の鈴庫鉱山の項内(p.137)に、ちょうど「ブーランジェ鉱と毛鉱」というコラムがあります。それによると、両者は実はスケールがかなり違い、どちらかというとブーランジェ鉱のほうが毛のように細くて、毛鉱のほうがずっと大きく針状であるらしい。

さらに、方鉛鉱があるような鉛の多い環境ではブーランジェ鉱が多く、黄鉄鉱やアンチモン鉱物の多い環境では毛鉱が多いという傾向がみられるそうです。化学式を見ると、ブーランジェ鉱の成分は硫黄>鉛>アンチモン、毛鉱の成分は硫黄>アンチモン>鉛>鉄であることが分かりますね。

写真の右側の大きな光っている金属は方鉛鉱で、その周囲と中にも毛状の鉱物があるので、これはブーランジェ鉱だろう、と判断したわけです。もちろん、あくまでそういった傾向がみられるとのことなので、時には方鉛鉱のそばに毛鉱がついてることだってあるでしょうけど、見た目だけで判断するのは困難らしいので、まあとりあえずはブーランジェ鉱ということにしておいていいのではないでしょうか(適当)。

 

ブーランジェ鉱は、1837年、ノルウェーの化学者タウロウ(Moritz Christian Julius Thaulow: 1812-1850)によって、この鉱物の分析をしたフランスの鉱山技師シャルル・ブーランジェ(Charles Louis Boulanger: 1810–1849)にちなんで命名されました。

アンチモン系の鉱物は、輝安鉱にしてもベルチェ鉱にしても、金属のくせに針状・毛状になることが多いのはなんででしょうね。見た目が面白いので、見つけるとすごくわくわくします。まだ見つけたことのない毛鉱も探してみたいですね。

 

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