硫砒鉄鉱(長野県茅野市向谷鉱山)
Arsenopyrite FeAsS 硫化鉱物
そんなに珍しいものではないですが、こんなにはっきりとしたさまざまな形状の結晶を見られるのは、なかなかないんじゃないでしょうか。
向谷鉱山の石は、叩くと大抵ニンニクか、ニラのような匂いがして、この硫砒鉄鉱がきらめいています。毒なんですけどね。。。農薬や殺虫剤などの原料である亜砒酸は、硫砒鉄鋼と燃料を燃やしてその煙から生産していたのですが、その煤煙が周辺を汚染したり、労働者が被害を受けたりしました。実際、こういった鉱物を触ったあとは、手を洗うようにしています。こういった鉱物の産地から流れている沢の水とかは飲まないほうがいいかもしれません。自分は、鉱山の下の水は飲むことはないです。たとえ特に毒性のある鉱物がでなくても、なんとなく気分良くないので。昔の鉱山の砒素生産地は、すべて撤去処理されていて、現在では採掘生産されていません。
Arsenopyriteは、砒素黄鉄鉱(arsenical pyrites)を短縮した言葉で、1847年、ドイツの鉱物学者グロッカー(Ernst Friedrich Glocker: 1793-1858)によって命名されました。ギリシャ語のarsenikon(雄黄:As2S3)が由来で、古代では、雄黄は顔料、強壮剤、毒薬などとして使用されていたようです。昔から、錬金術ではかなり重要でよく知られていたようで、単体の砒素の発見者は、ドイツの錬金術師マグヌス(Albertus Magnus: 1193-1280)とされています。中国や日本では、毒砂といわれていました。西欧でも中国でも、昔から暗殺などによく使われていたようです。
考えてみると、山に行くと簡単に人が死ぬレベルの毒がありふれていることに気づきました。
この硫砒鉄鉱も割とどこでもありますし、秋であれば、丹沢・道志あたりに行けば必ず見るドクツルタケは、1本食べれば大人でも死ぬレベルだそうです。ドクツルタケは人に採られないで残っているし、真っ白で目立つのです。また、トリカブトも多いです。昔トリカブト殺人事件とかありましたね。花が咲けば簡単に判別できますが、葉っぱだけだと山菜として食べるニリンソウと似ているので、注意が必要です。以前、うちの庭にも、自然に生えていましたw
海であれば、ヒジキにも若干含まれているとか。イギリスでは食べるなと勧告されているそうです。思うに、もともとあのあたりの国の人は、海草を食べる習慣がないんじゃなかろうか。あのあたりの海は海草が豊かそうな気がするし、海に囲まれているくせに、なんか食べ物の偏向がひどくないですか?w というか、アイルランドあたり、じゃがいもに依存しすぎではなかろうか。じゃがいもを使ってない料理ってあるのかなw
お米にも砒素は含まれており、スウェーデンでは、子どもに食べさせるな、大人も毎日食べるなとされているそうです。日本人からすると、シュールストレミングやサルミアッキのほうがよほど「危険」な気がしますがw
まあ食べ物はそれぞれの地方でいろいろな習慣がありますので、こういう冗談のもとにしやすいですね。とはいっても、ちょっとシビレるのがいいとか言いつつフグを食べる日本人は、やっぱりちょっと気狂いじみてる気もしますが。。。
ちなみに自分は、何度かあたってるカキはちょっと苦手><
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