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2020年12月12日 (土)

洋紅石(山梨県甲州市黄金沢鉱山)※

Carminite PbFe3+2(AsO4)2(OH)2 燐酸塩鉱物等

 

Carminite_koganezawam_02

Carminite_koganezawam_03

 

竹森・黄金沢鉱山の洋紅石です。

名前の由来にもなったカーマイン・レッド、赤褐色がとてもきれいな砒素、鉛系の二次鉱物ですが、黄金沢鉱山の石は色とりどりで、結晶も非常に小さいし稀少なので、見つけるのはなかなか大変です。最初上のズリのことを知らなかったこともあったけれど、4度目の訪問の際にようやく見つけました。

亀裂の奥の方には放射状の結晶群がありそうですが、怖いので割れませんねw

この鉱物があるのはごく狭い範囲のズリで、転がる石もほとんどが小さく割られていて、これまでずいぶん多くの人が訪れたのだなとわかります。その小さな石をさらに細かく割って探します。こういうちまちました採集も、それはそれで楽しいものです。

 

洋紅石の和名もカーマイン・レッドからの直訳ですが、西洋から伝わった紅ということですね。

カーマイン(carmine)の語源はラテン語のカルミヌス(Carminus)で、さらに辿ればアラビア語のキルミツ(qirmiz: قرمز))に由来するそうです。クリムゾンの語源も同じキルミツ(クリムゾンといえば、King Crimson→「レッド」と、やっぱり赤系統で連想が広がります。「レッド」は、個人的ロック名盤四天王のうちの1枚。ちなみにロック名盤四天王は30枚ほどありますw)。キルミツは虫(虫が作る)という意味で、これは紅色をカイガラムシから抽出していたためです。

さらにキルミツの語源を辿ると、サンスクリット語の कृमिज (kṛmi-ja)だそうです。この言葉の変遷を見ていると、古代からの文明の変遷が見えてくるようです。この言葉はそこから東のほうには伝わらなかったのでしょうか。そこから東は紅は植物からとる文化圏だったとか?

 

音楽でいうと、ギターという楽器のもとはリュートですが、そのさらにもとは、西アジアのウード、さらに辿ると、メソポタミア時代のバルバットという楽器に行き当たるのですが、これが東のほうに伝わっていくと、中国の琵琶、そして日本の琵琶にまでつながってくる。それぞれ伝わった先でその地域に適応して進化を遂げていくので、かなり錯綜としているのですが、琵琶とギターがつながっているのはすごいことですね。大抵は進化したものだけが残って、古いものは消えてしまうのですが、日本では多分一番古い雅楽の楽琵琶、そこから派生した平家、薩摩、筑前、五弦などの琵琶すべてが残ってるのが不思議。正倉院のラクダの絵がついている螺鈿紫檀琵琶など、まさに古代のロマンのかたまりみたいなものです。

こういうギター型の弦楽器というのは、ネックが長いもの、短いものや、ヘッドがまっすぐなもの、曲がっているものといったように色々あって、どの系統とか簡単に判断できません(インドのシタール・ヴィーナとか、ギリシャのブズーキなどのネックが長い弦楽器は別系統なのか? とかそういうこと)。調弦の仕方なども、楽器の使用法で変わってしまいます(ブズーキは、ギリシャの伝統的な調弦だとADADだが、現代的な調弦だとギターのように全部4度の関係であわせる。これは、演奏する音楽そのものがモノフォニックか、ポリフォニックかという違いで、旋律楽器か、和声楽器か、というふうに使用法が変わってくるためだと思います)。楽器は伝わっても、音は伝わりにくいということもあります。ものだけでなく、人が移動しなければならないし、音楽が伝わったとしても、それがいまいち趣味に合わなければ、あっという間に忘れられてしまいますからね。

何か鉱物というか音楽の話になってしまいましたが、これは自分が影響を受けた人四天王のひとりが、比較音楽の小泉文夫氏だからです(ちなみに影響を受けた人四天王は30人ほどいますw) 。

 

言葉とか、楽器(音楽)を見ていくと、古代から世界はきちんとつながっていたのだなぁと実感します。そして、地域ごとの差・違いこそが、ものごとを動かす原動力なのだなとも感じます。文化の熱力学ですねw

 


2021/1/13追記

ようやく洋紅石の満足できる標本を見つけました。かなり広い範囲で球状集合が見られます。小さいけれど、ルーペで見ても、その美しさはちょっと特別ですね。あらゆる鉱物の中でも、美しさという点で、一、二を争うのではないでしょうか。真っ赤なところと、ちょっと色が薄目のところがあるのですが、どちらもいいなあ。

小さくて明瞭に撮影できないのが残念。追加1枚目の青い部分は、スコロド石だと思います。

 

Carminite_koganezawam_06

Carminite_koganezawam_05

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