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2020年11月12日 (木)

磁鉄鉱(埼玉県秩父市秩父鉱山)

Magnetite Fe2+Fe3+2O4 酸化鉱物

 

Magnetite_chichibum_01

Magnetite_chichibum_02

 

秩父鉱山は橋掛沢の、きれいな十二面体の磁鉄鉱です。

磁鉄鉱自体はもうどこにでもある鉱物ですが、黄鉄鉱と同じで、ありふれているからこそそのきれいな結晶が際立っていると思います。大抵はかたまり状か八面体の結晶ですが、肉眼で結晶という不思議を見ることができるのはやはり魅力的ですね。磁石を近づけると、すごい勢いで吸いつきます。

黄鉄鉱はあまり役にたちませんが、磁鉄鉱(の風化した砂鉄)は、たたら製鉄の原材料として、日本ではもっとも重要な鉱物のひとつでした。ちなみに「たたら」とは元々ふいごのことですが、次第に砂鉄と木炭を熱して鉄の原料を作る際の炉、さらには製鉄場のこともたたらといわれるようになりました。語源は、サンスクリット語の「熱」を意味するタータラ、ダッタン語の「猛火」を意味するタタトルからきているなどといろいろな説がありますが、いずれにせよインド・中央アジアあたりから伝わったもののようです。

磁鉄鉱といえば、自然の鉱物の中で最も磁気が強いものですが、それでも磁石といえるほどの強さはありません。さらに磁性が強くなって自ら砂鉄などを引き寄せるようになったものを天然磁石・ロードストーン(Lodestone、Loadstone)といいます。落雷の電流によって生成されるともいわれていますし、または磁鉄鉱が酸化・風化によって磁赤鉄鉱(Maghemite)となると、天然磁石になります。

ロードは道とか進路という意味で、リード(lead)と同じ語源を持ちます。人を導いてくれる羅針盤などからついた名前でしょう。

 

Magnetiteの語源ははっきりとはしていないのですが、ひとつは、古代ギリシャ・テッサリアのマグネシア(Μαγνησία)で磁鉄鉱がとれたので名前がついたという説があります(マグネテス人という人々が住んでいたらしい)。ただ、マグネシアには滑石の鉱山もあり、滑石からできた白い粉をマグネシアと呼んだ→マグネシウムの由来、という話もあり、実にややこしいことになっています。ここでは磁鉄鉱、滑石だけでなく、マンガンなども産出したようですね。さらに、ギリシャのマグネシアの人々が小アジアに移住し、現在のトルコにもマグネシアという地名が2か所あります。そして、そのうちの1か所からも磁鉄鉱は産出したようです。質が悪くあまりくっつかないという話が残っているので、多分ロードストーンではなくまさに磁鉄鉱だったんですね。

もうひとつ、プリニウスの「博物誌」には、ギリシャの詩人ニカンドロスによると、マグネスという羊飼いが放牧をしている時、偶然発見したので、その名前から命名されたという話が載っています。

。。。まあとにかくあのあたりが語源ってことですね(あやふや)。

羅針盤が作られたのは中国ですが(11世紀、宋の時代)、磁石は紀元前から「慈石」として知られていました。どうやら石が引き合うさまを、親子の慈しみになぞらえたようです。現在の中国河北省には磁県という地名がありますが、これは慈石が採れた慈石山という山があり、そこから慈州→磁州→磁県と変わってきたらしいです。

 

硫黄と同様、世界の磁鉄鉱史もかなり面白そうですね。多分調べれば調べるだけいろいろと出てきそうですが、きりがないので、このへんにしときます。

 

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