河津鉱山の金属様鉱物(静岡県下田市稲生沢川流域)1
下田・稲生沢川で見つけた、河津鉱山由来と思われる石についていた、金属光沢の鉱物をまとめました。
まとめたのは、特定できないものが多いからです。川原にあったというズリの石が残っていたのか、それとももっと最近に山から川に転げ落ちてきたものなのかも分かりません。鉱山のある川の奥に行ったことはないので、過去どういう状況であったか、現在どうなっているかも知りませんので。
当然、非常に範囲が広かったという河津鉱山のどこから出たものかも一切分かりません。ちなみに、拾った場所では、マンガン系の鉱物、銅の二次鉱物の類はまったくありませんでした。
川で拾ってきて、家でよく洗ってから細かく割って確認したものです(洗わないと病気になりそうだったのでw)。
薄い膜状で石英にへばりついた、銀白色の金属様鉱物。いろいろと調べてみて、その産状から候補としては、河津鉱(Kawazulite Bi2Te2Se)、硫テルル蒼鉛鉱(→)、パラグアナファト鉱(Paraguanajuatite Bi2Se3)のどれかではないかと思うのですが。。。これ以上は無理。
表面が結構なめらかになっている部分があるのを見ても、ビスマスーテルル系っぽい。
河津鉱は非常に希少な鉱物ではあるけれど、天然のトポロジカル絶縁体として、物理学界隈では最先端のトピックとしてよく知られているようです。自分は詳しくないのでよく分かりませんが、トポロジカル絶縁体というのは、金属でも絶縁体でもない新しい種類の個体物質といえるもので、その内部は絶縁体になっていますが、表面では不純物の有無にかかわらず電子が高速で自由に動き回れるのだそうです。その電子の挙動の解析に、トポロジー(位相幾何学)が使われているため、トポロジカル絶縁体といわれています。
これまではそれほど利用価値の高くなかったテルルービスマスが、このような新たな概念によって注目を浴びるとは、面白いですね。電子の安定した挙動から、量子コンピュータでの利用などが期待されているそうですが、どうなることでしょう。
どちらも1枚目の写真の近くについていたものですが、3枚とも同じものかどうか分かりません。1枚目のような膜状ではなく、とても細かい粒子の集合のように見えます。2枚目には結晶のような劈開部分も見えますし、六角形にくりぬかれたような部分もあって、面白いです。金属様部分の表面に水晶が生成したあとも若干育って水晶を取り囲み、石を割った時に衝撃で水晶がはずれてその跡だけが残ったのかな?
やはりビスマスーテルル鉱物のようにも思えるし、あるいはその結晶部分から自然テルルのような気もするのですが。。。なにしろ河津鉱山では似たような鉱物が何種類も産出していたので、なんともいえませんね。
この3枚とも、割った石英の表面、一面に散りばめられるようについています。縦に割れていれば薄い帯状だったのだろうと思いますが、金属様部分でうまく割れたのでしょうね。
分析しないことにはその正体は分からないでしょうが。。。あと10年くらいで、安価で手軽な分析器が出ないかなあw
2に続きます。
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