スコロド石(長野県茅野市向谷鉱山)
Scorodite Fe3+(AsO4)・2H2O 燐酸塩鉱物等
細かい硫砒鉄鉱の間の隙間に、青白い半透明の球状の鉱物が見られました。拡大すると、非常に小さな粒々の集合のように見えます。これはスコロド石ではないかと思いますがどうでしょうか。淡い青色が魅力的です。
スコロド石は鉱山のズリなどで見られることの多い砒素の二次鉱物です。鉱山では硫砒鉄鉱は邪魔ものなので、ズリによく捨てられます。その集められた硫砒鉄鉱が風雨にさらされ酸化すると、砒素の部分が抜け、その砒素でスコロド石が生成されることが多いといいます。また、温泉水からもできます。
微小成分によって、青から緑を中心に、黄から褐色、紫などのさまざまな色になります。まれにきれいな柱状、両錘状の結晶になることもありますが、土状や塊、双晶して擬六面体・八面体などになったり、いろいろな形状をとります。こういうのはほんとに困りますね。上の写真のものは、とても小さな結晶が球状にまとまった姿だと思います。硫砒鉄鉱はいろいろなところで見られ、硫砒鉄鉱のあるところならスコロド石は大体あるそうですので、そんなに珍しいものではないのですが、いろいろな形、色、産状があるのでわかりづらく、そんなに意識することがないですね。大きくきれいな結晶なんてそうそうあるもんじゃないですし。
語源はギリシャ語のスコロドン(σκοροδον, skorodon)、ニンニクのことです。和名はそこから葱臭石(そうしゅうせき)。叩いたり、加熱すると、ニンニクやニラのような匂いがすることからつけられました。匂いが語源の石はスコロド石くらいじゃないでしょうか。まあ中には食べられる鉱物だってありますしね。。。(塩とか氷だって鉱物)
砒素を含む鉱石を叩き割るとこの匂いはよくするので、鉱物を探す人にはおなじみだと思います。実際、向谷鉱山で叩いている時、よくこの匂いがしました。山梨の黄金沢、鈴庫、本沢鉱山などでも、よくかぐ匂いです。こういう時は硫砒鉄鉱かスコロド石がついているのでしょうが、スコロド石は上に書いたように一定した姿、色ではないので、よく分からないんですよね。。。
その毒性から、硫砒鉄鉱と一緒に、殺鼠剤や殺虫剤の原料として使われていました。 砒素といえばカレー、もしかしたら砒素カレーはニンニク風味がついてたのかなどとつい考えてしまったのは、クラスのみんなには内緒だよっ☆
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