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2020年11月14日 (土)

溶岩樹形(山梨県南都留郡鳴沢村)

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富士山北西麓、側火山地帯の溶岩樹形です。

火山が噴火して森の中に溶岩が流れ樹木を包み込むと、中の木はほぼ燃え尽きてしまいますが、溶岩が固まるまで消えずにがんばると、樹木の形が溶岩に残ります。それが溶岩樹形です。さらさらした川のように流れる溶岩でないとできないので、そのような粘度の低い溶岩のあまり多くない日本では結構珍しいのです。富士山や浅間山で見られますが、特に富士山周辺では多く残っています。

国の特別天然記念物にもなっている、観光などで見ることができる鳴沢の溶岩樹形は、貞観の噴火(864年)でできたものです。この噴火の際には、主に天神峠近くの氷穴火口列、長尾山(貞観の噴火でできた山)、大室山の北、本栖第2風穴のすぐそばにある石塚火口(地形図の1198峰)などから膨大な量の溶岩が流れました。いわゆる青木ヶ原樹海を作り出した溶岩流ですね。この時の溶岩樹形は、野尻草原周辺(下の地図の左上のまっ平らなところの一部が草原になっている)でも多く見ることができます。

上の写真の溶岩樹形は、貞観の噴火ではなくそれより以前、約1500年前頃に噴火したといわれる白大龍王・氷池溶岩流によるものです。

 

Kooriike_03

 

氷池は、大室山よりさらに富士山に近いところにある、二つ並んだ噴火口です。山というより、富士山の斜面にあいた大きな穴といった感じで、巨大な岩がごろごろした底は夏でもひんやりとしています。写真の溶岩樹形はその氷池の南西斜面にあり、場所的に多分南の穴からの溶岩流でできたものかと思います。

特に1枚目の写真の穴は直径3mはある巨大なもので、自分が今まで見た溶岩樹形の中でもとびぬけて大きいです。噴火した時、かなりの大木だったんだろうなあ。見てみたかった。その時に全部燃え尽きてしまったのか、あるいは、しばらく裸の溶岩流あとにこの木だけ1本燃え残りが立っていたかもしれない。。。水気たっぷりのこれだけ大きな木だったら、そう簡単に全部燃えてなくならないんじゃないか。。。などと想像したり。

氷池の西側斜面は溶岩樹形が広い範囲で点在していて、歩くのが楽しいところです(植林されているところも多いが)。地形図には氷池の北にふらふらと道が描いてありますが、昨年(2019年)の台風のせいなのか、倒木が激しく、道がとても分かりづらくなっています。もともと氷池まではそんなに悩むようなところではなかったのに、台風のあとに行ったら、道筋をたどるのにかなり苦労しました。行く際はご注意を。まあこんなところに行く人だったら地形図とGPSをたよりにするでしょうから、「道に迷う」という状況はないでしょうけどねw

ちなみに自分は大室山の南で木に登っていたクマと会ったことがあります。食べ物を探すのに夢中だったのか、あわてて逃げていきました。西や南から大室山に登る人はあまりいないと思うけど、こっちがわは動物臭がとても強いので、気をつけたほうがいいかも。

 

上の地図にある山は、すべて側火山です。一度に噴火したものでなく、何百何千年かの休止期間をはさみ、何度も噴火を繰り返したという経過が記録された興味深い地形です。大抵割れ目に沿って数か所から噴火するので、火口が直線的に連なっていることが多いようです。その直線はほぼ、南東-北西のラインとなっています。

最近、富士山がもし噴火したら東京に火山灰が降って云々などとネットでよく見かけますが、これは前回の宝永噴火と同じ状況になったら、という仮定の上で予想された話。けれども、富士山では連続して同じ場所から同じような噴火が起こった例はほとんどないんじゃなかろうか。貞観の噴火は溶岩による被害がメインの噴火だったようだけれど、宝永の噴火では被害のほとんどは火山灰によるものだったし、場所も富士山の頂上をはさんで正反対です。一口に富士山の噴火といっても、まるっきり別物。富士山ほど火山学者を悩ませる存在はないかもしれませんね。。。

 

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氷穴の底に転がっていた溶岩のかけら。

 

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野尻草原から見た富士山。右手前の山は片蓋山(約3000年前、大室山と同時期の噴火)。頂上には立派な噴火口が残っている。

 

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