バラ輝石(群馬県桐生市菱町茂倉沢鉱山)
Rhodonite Mn2+SiO3 珪酸塩鉱物
茂倉沢のバラ輝石です。以前は輝石の仲間だと思われていたのですが、実際には輝石とは違い、準輝石という構造であることがわかっています。今ではバラ輝石族という集合が作られています。名前は見たとおり、バラの色をしているということで、古代ギリシャ語のバラを意味する「ῥόδον(rhodon)」からつけられました。ラテン語だと「rosa」で、どちらももともとは古代ペルシャあたりからきた言葉をもとにしているようです(バラそのものの起源はヒマラヤのあたりではないかといわれている)。
たいていのマンガン鉱床にはよく見られるもので、特に珍しいものではありませんが、磨いてちょっとした宝石として使われることもあります(マンガン鉱石としては価値は低い)。珪酸塩系なので、石英と一緒になっていることが多いです。
かたまりになっていることが多いのですが、ここのバラ輝石は拡大すると、結構透明できれいですね。3枚目の写真は色が濃く紫色ですが、どうも成分の違いによるもののようです。マグネシウムが含まれていると、紫系の色になることが多いようです。
空気や水、光に触れると徐々に黒くなっていきます。だから、沢に落ちているものは、大抵表面は真っ黒です。とても硬いのですが、苦労して割るとこの鮮やかなピンク~紫の面があらわれて、とても感動します。
「バラの下(sub rosa)」というと、ラテン語圏では「秘密」という意味。まさに真っ黒な表面に隠された美しい「秘密」ですね。
(「バラ」というのはさまざまな象徴、暗喩があって、意味ありげにする時に便利なのですw 『薔薇の名前』を書いたウンベルト・エーコもそんなことを言っていたような。。。)
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