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2020年10月に作成された記事

2020年10月30日 (金)

バラ輝石(群馬県桐生市菱町茂倉沢鉱山)

Rhodonite Mn2+SiO3 珪酸塩鉱物

 

Rhodonite_mogurasawam_03

Rhodonite_mogurasawam_01

Rhodonite_mogurasawam_02

 

茂倉沢のバラ輝石です。以前は輝石の仲間だと思われていたのですが、実際には輝石とは違い、準輝石という構造であることがわかっています。今ではバラ輝石族という集合が作られています。名前は見たとおり、バラの色をしているということで、古代ギリシャ語のバラを意味する「ῥόδον(rhodon)」からつけられました。ラテン語だと「rosa」で、どちらももともとは古代ペルシャあたりからきた言葉をもとにしているようです(バラそのものの起源はヒマラヤのあたりではないかといわれている)。

たいていのマンガン鉱床にはよく見られるもので、特に珍しいものではありませんが、磨いてちょっとした宝石として使われることもあります(マンガン鉱石としては価値は低い)。珪酸塩系なので、石英と一緒になっていることが多いです。

かたまりになっていることが多いのですが、ここのバラ輝石は拡大すると、結構透明できれいですね。3枚目の写真は色が濃く紫色ですが、どうも成分の違いによるもののようです。マグネシウムが含まれていると、紫系の色になることが多いようです。

空気や水、光に触れると徐々に黒くなっていきます。だから、沢に落ちているものは、大抵表面は真っ黒です。とても硬いのですが、苦労して割るとこの鮮やかなピンク~紫の面があらわれて、とても感動します。

「バラの下(sub rosa)」というと、ラテン語圏では「秘密」という意味。まさに真っ黒な表面に隠された美しい「秘密」ですね。

(「バラ」というのはさまざまな象徴、暗喩があって、意味ありげにする時に便利なのですw 『薔薇の名前』を書いたウンベルト・エーコもそんなことを言っていたような。。。)

 

2020年10月25日 (日)

ヒンスダル石?(山梨県甲州市黄金沢鉱山)

Hinsdalite PbAl3(SO4)(PO4)(OH)6 燐酸塩鉱物等

 

Hinsdalite_koganezawam_01

Hinsdalite_koganezawam_03

 

最初は藻の類かと思いました。次に、ここではよく見られるビューダン石が変な形で集まったのかと思っていたのですが、ビューダン石で検索していて、黄色い管状のHinsdaliteの写真を見つけました(ヒンスダル石はビューダン石の仲間)。はじめて聞く名前だったので、Hinsdaliteで検索していくと、今度は円形の黄色い中心核が白で縁どられた写真も出てきました。どちらの写真も、これと似ています。こちらの写真は解像度が低いので、詳細はよく見えませんが。。。他に類似の鉱物はまったく見つけられませんでしたので、ヒンスダル石?として掲載することにしました。

日本では、北海道の小別沢鉱山、秋田の亀山盛鉱山、それに島根の銅ヶ丸鉱山くらいでしか出ていないようなのですが、どうなんでしょう。黄金沢鉱山で出ても、まあおかしくないような気もしますが。。。(銅ヶ丸鉱山は江の川にあります。昔広島から河口の江津までカヤックでツーリングしたことがあって、懐かしく思い出しました)

珍しいのは、ポロニウム(Po)を含んでいるからでしょうか。天然のポロニウムは、非常に微量しか存在していないといいます。ウラン系の鉱物にもPoが含まれていて、放射性元素です。緑鉛鉱にも含まれていますね。

ネット上でもそれほど情報がないのですが、「鉱物たちの庭」尾去沢石の項目に、次のような記述がありました。

「…(尾去沢石は)産出は珍しくないが、一般に粉末状。秋田県亀山盛鉱山のものは、緑鉛鉱→ヒンスダル石→尾去沢石+ビーバー石の順で風化生成したとみられ、ビーバー石と累帯構造をなし、顕微鏡的に菱面体結晶を示すものがあるという。尾去沢石は…「日本の新鉱物」には、稀に管状の形態を示すとある。」(カッコ内引用者)

尾去沢石が稀に示すという管状の形態、もしかしたら、今回のヒンスダル石のような形態のことでしょうか。

また、松原聰・松山文彦「岐阜県遠ケ根鉱山産セグニット石」にも、以下のような記述がありました。

「二次鉱物の緑鉛鉱からヒンスダル石が生成され,ビーバー石―尾去沢石固溶体の形成に至るプロセス,また鉛ゴム石からヒンスダル石へのプロセスを確認している(松原ら,1997年岩鉱学会講演準備中)(以下略)」(松原・松山「岐阜県遠ケ根鉱山産セグニット石」鉱物学雑誌、第26巻第4号、1997年)

鉛ゴム石、また知らない名前が出てきた。。。検索してみると、青い緑鉛鉱といったような形態をしている鉱物です。結晶が長く伸び、六角形が丸みを帯びたような写真もあって、ちょっとヒンスダル石に似た感じのものもありました。

黄金沢鉱山で緑鉛鉱は出るという話は聞きませんが、緑鉛鉱のPo4がAsO4になるとミメット鉱になります(Asは砒素)。

。。。でもまあこういう難しい話は詳しくないのだから、あまり首を突っ込まない方がよいですねw 専門の人に任せておきましょう。

ただ、こういった二次鉱物、三次鉱物が出る可能性もあると覚えておけば、訳の分からないものを見つけたときに、それが何なのか、アタリをつける助けになると考えて、ちょっと頭の隅に置いておけばいいかと思います。

この石のおかげで、また新しい鉱物の名前と見かけを覚えることができたわけだし。このあたりの鉱物は、よくある鉱物図鑑のような本にはほぼ載っていないものばかりですからね。

 

2020年10月21日 (水)

ぶどう石(山梨県身延町杉山)

Prehnite Ca2Al(Si3Al)O10(OH)2 珪酸塩鉱物

 

Prehnite_iwakake_01

Prehnite_iwakake_02

Prehnite_iwakake_03

 

下部温泉のそば、栃代川の、有名な産地のぶどう石です。

普通は岩欠のぶどう石といわれますが、住所的には岩欠ではなく杉山となります。産地の直前に杉山橋を渡りますが、その橋の直前までが岩欠で、そのあとは毛無山までずっと杉山です。

ほんのりと緑(~青)に染まった板状結晶が放射状に集合して、まるでぶどうの実のような姿をとることが多いということで、日本ではぶどう石と呼ばれています。色のついていないものも多いですが、無色だちょっとつまらないので、やっぱりシャインマスカットみたいな色のものがいいですね。海外産の写真などを見ると、確かにぶどうのように見えるものがありますが、日本で産出するものはそれほどぶどうっぽい感じはしません。

ここのぶどう石も結晶粒が大きいので、それほど「ぶどうみ」はないのですが、ルーペや顕微鏡で見ると、四角の板状結晶が少しずつズレながら積み重なっているのがはっきりわかります。

ちなみに1枚目の写真は色味がちょっと他と違いますが、これは光源が太陽の光だからです。朝の日光にきらきらしてとてもきれいだったので、思わず写真にとってみたのですが(カメラ本体でのマクロ撮影)、ほんのりと赤味がさして、あたたかみのある感じですね。

 

洋名は、喜望峰のオランダ植民地に駐在していたプレン大佐(Hendrik Von Prehn、1733-1785)に由来するらしいですが、和名のほうが全然いい名前ですね。プレナイトの由来を聞かされても、正直それがどうしたという感じです。イメージを喚起する「ぶどう石」には言霊が宿りそうだけど、「Prehnite」では単なる記号で名が体を表しておらず、化学式を覚えた方がよほどましかもしれないw

 

採集した現地では、台風による大雨の翌日だったため、川が増水して石を探す範囲が狭まっていたようで、結構苦労しました。当然、気になる対岸にもとても渡渉できず、川沿いの崖のあちこちから滝のように水が流れ落ちていました。それでも、いくつかのぶどう石を含む石を見つけることができました。ネット上では絶産に近いという言葉もちらほら見られたのですが、やはり絶産などということは滅多にあることじゃありませんね。

Tojirogawa

 

あとここに行くときには、すぐそばの下部温泉にある金山博物館がおすすめです。この一帯の金山のことを知ることができます。栃代川の上流部にも、栃代金山というのがあったようです。あまり詳しく調べられてはいないようなのですが、ちょっと気になりますね。まあ金山周辺というのは、鉱物的にはそれほど面白くないことが多いのだけれど。。。

地形図には栃代から毛無山に行く道、雨ヶ岳と仏峠の間を越えて本栖湖に出る道が描かれていて、まあ十中八九廃道でしょうけど、一度探索してみたいところです。

 

2020年10月17日 (土)

緑泥石(山梨県道志村道志川流域)

Chlorite (Mg,Al,Fe,Li,Mn,Ni)4-6(Si,Al,B,Fe)4O10(OH,O)8 珪酸塩鉱物

 

Chlorite_doshi_01

Chlorite_doshi_02

 

緑泥石はグループ名です。様々な成因の鉱床中、ほとんどどこでもあるものだと思いますが、だからこそ岩・土壌の構成物としては、最も重要なもののひとつと言えます。

シャモス石(Chamosite)、クリノクロア(Clinochlore)、クーク石(Cookeite)、ペナント石(Pennantite)、須藤石(Sudoite)などの種類を含むグループです。

写真は、道志のペグマタイト中の緑泥石。ここではこの暗緑色の粒子の固まりのような緑泥石が多く、長石や石英、緑簾石の結晶がその中に埋もれているのを見ることができます(一番上の写真の白いのは微斜長石)。柔らかいので、爪楊枝でも掘ることができます。

わざわざこれを目的に採集するようなものではないといえばそうなのですが、鏡下では、ごく小さなきらめく雲母のようで、とてもきれいです。これはクリノクロアだと思うのですが、ちゃんと判別できないので、緑泥石として記事にしました。

下の写真は、同じ場所で見つけた、水晶に内包された緑泥石です。

 

Chlorite_doshi_02_doshi_03

 

緑のきらめく粒が散りばめられていて、きれいです。

ここの石では、今まで他の鉱物を緑泥石が覆っているものしか見たことがなかったので、長石や石英などが結晶したあと、緑泥石が最後にできたんだろうと思っていましたが、一概にそうだとはいえないみたいですね。

緑泥石は約600度以上の高温では他の鉱物に分解してしまうので、それ以下の低温で生成されるもののようです。写真の水晶の条線が妙にはっきりとしているので、低温でじっくり段階的に成長していって、その過程で内部に取り込んだものなんでしょうか。

 

道志では、あちこちの林道を歩いていると、たまにペグマタイトの欠片を見かけることがあります。尾根を切り、普通だと入りにくい沢を経由する林道は、普通に歩いているとつまらないものですが、岩や石を見ていくと結構あっという間に数キロ進んでしまいます。石を追って沢を遡り出所の露頭を探したりしますが、基本大したものはないので無駄足ばかり(あたしって、ほんとバカ)w 行きやすい場所なんてはるか過去から現在にいたるまで、ほぼ調べ尽くされているのでしょう(こんなの絶対おかしいよ)。

でも沢は、人間が掘るよりもすごい勢いで深く山を削り掘ってくれる。1年後に行ったらまるで様子が変わってたなんて、よくあること。世附あたりの林道なんて、2、3年ごとに必ず崩れてますしw 山から海まで岩や土を細かくしながら運ぶのが、川というものですからね(今ではその前に堰堤やダムで一時止められますが、こんなのはせいぜい数十~数百年単位の出来事で、千年、万年単位で見れば何も変わりません。そして万年単位だって山から見たら一瞬という。。。わけがわからないよ)。

以前は誰も知らなかった鉱脈が露出することもあるでしょう。この数百年の間に限っても、誰にも知られず現われ、誰にも気づかれないまますべて流されていった鉱脈もあったはず。気づかれれば鉱山になります。特に道志のペグマタイトは、今現れているものだけ見ても、ごく小さなスポットがあちこちに点在するという感じなので、新しいポイントを見つけることも奇跡や夢ではないかも。。(奇跡も、魔法も、あるんだよ)。

そういう偶然に出会えたら、それはとっても嬉しいなって。

 

2020年10月15日 (木)

(硫)テルル蒼鉛鉱(長野県茅野市向谷鉱山)

テルル蒼鉛鉱 Tellurobismuthite Bi2Te3 硫化鉱物

硫テルル蒼鉛鉱 Tetradymite Bi2Te2S 硫化鉱物

(都茂鉱 Tsumoite BiTe 硫化鉱物)

 

Tetradymite_mukaidanim_01

Tetradymite_mukaidanim_02

 

向谷鉱山の銀白色金属光沢鉱物です。テルル+蒼鉛系の鉱物だと思います。石英に埋もれた感じで、周りに散りばめられている黄色いのは蒼鉛土でしょうか。

候補としては、テルル蒼鉛鉱、硫テルル蒼鉛鉱、都茂鉱の3つですが、とりわけ稀産の都茂鉱以外のどちらかではないかということで、タイトルはそのようにしました。

 

向谷鉱山で産出する銀白色金属光沢の鉱物は、ほとんどは硫砒鉄鉱だろうと思います。いろいろなサイトや本を見て、自分なりにその判別方法をまとめてみました(向谷鉱山での場合です。他で通用するかどうかは分からない。蓮台寺川流域では、ちょっと通用しないみたい)。

硫砒鉄鉱もビスマス‐テルル系鉱物も、色はきらきら輝く光沢の強い銀色~鋼色。

硫砒鉄鉱は、表面がでこぼこ、がさがさしていて、荒い感じ。きれいな結晶の表面は割となめらかだが、この場合の銀色は艶消しの銀色になる。ビスマス‐テルル系鉱物は、表面がとてもなめらかな部分を含み、その部分は鏡面のように平ら。

結晶が細かい場合、ひし形の反射光が見えたら、硫砒鉄鉱。

都茂鉱も結晶粒が細かく、脈状に密集することが多い。

蒼鉛土がすぐそばにある場合は、ビスマスを含む鉱物と思われる。

 

少なくとも、硫砒鉄鉱とビスマス‐テルル系鉱物の違いは何となく分かるような気がしますが、それ以上の違いは、なかなか判別できないですね。。。これにヘッス鉱(銀とテルルの鉱物)やアルタイ鉱(鉛とテルルの鉱物)なども加わると、もう無理という感じです。

今回の写真の場合、蒼鉛土らしきものもそばにありますし、表面がとても滑らかなので、ビスマス‐テルル系鉱物、しかも多分都茂鉱ではない、と考えました。ただいくつかの種類のビスマス‐テルル系鉱物がすぐ隣合わせになっていることも多いようですし、特に2枚目の写真は都茂鉱の可能性もあるのではないかとも思うのですが、どうでしょうね。。。見ただけでは分かりませんので、まあここまでが精一杯かな。

 

ところでデジタル鉱物図鑑だと、硫テルル蒼鉛鉱、テルル蒼鉛鉱、都茂鉱の3つはどれも硫化鉱物の分類になっているのですが、後二者は硫黄(S)が含まれていないけれども硫化鉱物でいいの? ふと疑問に思って調べてみたら、硫黄のかわりに、砒素、セレン、テルルなどが金属元素と結合した鉱物は、性質が硫化鉱物と似ているのでひとまとめにすることもある、とのこと。

なんとなく分かったような分からないような。。。そんなに種類も多くないので、無駄に分類を増やすよりはまとめちゃったほうが取り扱いやすい、とかそういう感じなんでしょうか。

まあまたひとつ新しいことを覚えたので、良しとしましょう。

 

2020年10月12日 (月)

テルル石?(静岡県下田市稲生沢川流域)

Tellurite? TeO2 酸化鉱物

 

Tellurite_rendaiji_01

Tellurite_rendaiji_02

 

伊豆下田、河津鉱山のズリ跡からと思われる石です。

石英の小さな晶洞中にあった無色透明の板状の結晶。周囲の小さな水晶はオレンジ色に染まっています。普通に錆びがついているのか、それともテルルの色なのか、わかりません。その中で、この結晶だけは無色透明を保っていて、とても目立ちます。なんだろう?

自分としては、とりあえずこれはテルル石ではないかとしておきたい(まあ願望ですねw)。

ネット上で見られるテルル石の写真は、濃度の違いこそあれ、すべて黄色~オレンジ色をしているけれども、いろいろな本の説明では無色・白色~黄~橙となっています。

河津鉱山の産出鉱物の一覧(TrekGEO)の中で、こういう結晶になりうるものは他にあるのかどうか。正直、初めて見る名前がいくつも出ているのですが、この中だと、重晶石か、石膏か、輝沸石とか? あるいは2枚目の写真だったら、双晶で板状になっちゃった水晶とか? どれもイヤだなあw せっかく何とか探して手にした河津鉱山の石なんだから、テルル石の結晶にしておいてよ…

…という気分なのですw

もし本当の正体が判明すればそれにこしたことはないですが、不明である今はとりあえず、「テルル石?」という地位に置いておこうかと思います。

このブログではもともと「なんだかよくわからないもの」もどんどん載せていこうと思っていたので、まあお許しください。

 

大体鉱物というものは図鑑等を見ても、そっくりそのままのものが出てくることのほうが少ないですね。生物とはそこが違うところです。

ちょっと違う成分が入れば色もどんどん変わりますし、理想的な結晶の形をしているほうが珍しい。というか、差がはっきりしていないのが普通といっていいみたいです。

たとえば、キノコなんかに、ちょっと似ている気がします。キノコも、同じ名前のつくものであっても、地域によってちょっと違っていたりするような気がします。似た別種のキノコであっても、実ははっきりと分かれているのではなく、鉱物と同様にグラデーションのようにその間が連続しているのではないかと思うことがあります。

めんどくさいことに、名前も地域差があって、これがえらく紛らわしいことになっていたり。イッポンシメジというと、普通は毒キノコですが、地域(山梨や栃木など〈の一部地域?〉)によっては食べられるウラベニホテイシメジのことをイッポンシメジといったり(実際この2つはとても似ている)。それらとやっぱり似ている毒キノコ・クサウラベニタケのことを、ツキヨタケといったり(まったく別の毒キノコ)。ツキヨタケは日本で一番被害の多い毒キノコです(見た目、すごくおいしそうで大きいのです)。

でも鉱物は同定を誤っても、キノコみたいに苦しんだり死んだりしないので、まあ気楽ですねw

 

2020年10月 7日 (水)

鈴木石(群馬県桐生市菱町茂倉沢鉱山)

Suzukiite BaV4+Si2O7 珪酸塩鉱物

 

Suzukiite_mogurazawam_01

Suzukiite_mogurazawam_02

Suzukiite_mogurazawam_03

 

群馬県・茂倉沢鉱山の鈴木石。。。ではないかと思うのですが、どうでしょうね。

かなり珍しい鉱物だと思いますし、1回しか行っていないところでこんなに簡単に見つかるもんかと疑心暗鬼にもなりますが、分析できるわけもなく、見かけ上はそっくりですので、ここは鈴木石ということにさせてもらおうかと思います。

鈴木石はバリウムとバナジウムが主成分で、まさにここ茂倉沢で発見された鉱物です。発見年も書こうと思ったのですが、なぜか様々なサイトで発見年がばらばらなのはなぜ?(最初の発見地についても、何だかあやふやなところがあります) まあめんどうなので、そのあたりのことは追求するのはやめておきます。いろんな事情があるのでしょう。その事情に興味はあまりないので。

そんなことより、この石の美しさを愛でるほうが、より意味があるのではないかと思います。淡いピンクのバラ輝石の中で、鮮やかなエメラルドグリーンが目にしみます。

ところで、これが鈴木石なのかどうか疑問を感じる理由がもうひとつあって、それは、この石の片割れの方に孔雀石がついていたからです。質感は違いますが、どちらも緑色で、孔雀石はさまざまな姿をとることのある鉱物ですから、これも孔雀石なんじゃないかという疑問があったのです。下の写真は、その孔雀石。

 

Malachite_mogurazawam_01

 

これは明らかに孔雀石ですよね。茂倉沢の孔雀石はどうやらかなり稀産らしく、まあこれはこれでうれしいのですが、やはりどこでも見つかるものよりは初めての鉱物のほうがうれしいのは仕方ない。

こうやって写真に撮ってじっくり眺めていると、その違いもはっきり見えてくるような気がします。孔雀石の方は母岩の表面にへばりついているように見えるけれど、鈴木石のほうはむしろ母岩の中に埋もれているように見えますね。3枚目の写真の鈴木石は、ちょっと孔雀石の部分も混じっているようにも見える。。。

こうやって悩むのも、鉱物の楽しみのひとつかもしれません。

 

2020年10月 1日 (木)

スコレス沸石(山梨県道志村道志川流域)

Scolecite Ca(Si3Al2)O10・3H2O 珪酸塩鉱物

 

Scolecite_doshi_01

Scolecite_doshi_02

 

道志の丹沢側地域の産出。

菊花状の薄い結晶群で、多分沸石ではないかと思うのですが、ネット等で検索してもこういう形態はなかなか見つかりません。結晶の先がとんがっていれば、水苦土石がこんな感じですけど、見たことないからなんともいえないし、母岩は閃緑岩ですし、まあ違いますね。

この辺では時にスコレス沸石が見られるようなので、これもそうではないかと考えました。菊花状というより扇形と考えればスコレス沸石によくある形態ですし、スカルンなどによく見られるそうで、採集した沢の近くにはスカルンの露頭があるかもしれないことを考えると、間違いないかな? 結晶が薄いので、ソーダ沸石ではないと思います。中沸石かもしれませんが、見て判別はできないようなのでしょうがない(松原聰「シリーズ造岩鉱物各論 沸石の種類」岩石鉱物化学31、2002)。

スコレスというのはギリシャ語で虫の意味で、熱すると芋虫のように曲がるそうです。もちろん試していません。

1枚目の写真にもありますが、オレンジ色のきらきらした部分が、ちらほらついていました。こっちも気になる。ザクロ石の類かなぁ?

 

道志はずいぶんいろんな鉱物が見られますが、鉱山の類は少なくとも明治以降はほとんどありません(明治以前には水晶を掘っていたらしい)。これは、道志川が相模川の上流域であるためです。神奈川、特に横浜の重要な水源地として認識されていたため、鉱山の話が持ち上がっても、すべて横浜市から横やりが入って、立ち消えてしまったようです(加入道山の石灰岩は試掘くらいはしたんでしょうか)。明治20年に相模川からの取水をはじめていますが、30年には道志川から直接取水するようになり、その後水源涵養林として広範囲の森を買収しています。

だから、このあたりでは横浜市という文字の入った看板がやたら多いです。加入道山への登山道に入ると、森の中に横浜市の区が全部そろってたりします(区ごとに植林をした区画らしい)。室久保川にある道志の湯では、横浜市民はちょっと安くなりますw

横浜市青少年野外活動センターというのもありました。今はもう何もなくなっていますが、当時の子どもが作ったらしい小さな道標だけが、ここからバン木の頭や忘路峠(犬峠)に登る廃道に残されているだけです。ちなみにバン木(盤木)というのは、昔山から木を伐り出して運んだ木馬道〈きんまみち〉というレールの横木のことです。電車のレールを天地ひっくりかえした構造で、電車のレールの枕木の部分が上になっていて、そのレールの上を丸太を載せたソリを滑らせるわけです。昔はこの辺にも、木馬道があちこちにあったんでしょうね。

 

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