ロスコー雲母(群馬県桐生市菱町茂倉沢鉱山)―C1
Roscoelite KV3+2(Si3Al)O10(OH)2 珪酸塩鉱物
群馬県の有名な茂倉沢鉱山の石です。
母岩の透明な淡いピンクと白は、それぞれバラ輝石と石英です。
その中に、緑の透明な結晶群が見られました。
茂倉沢鉱山といえば、長島石、鈴木石、ロスコー雲母ですね。どれも緑系の稀少なバナジウム系の鉱物で、マンガン鉱床である茂倉沢鉱山で産出するにもかかわらず、マンガンをほとんど含みません。長島石と鈴木石は、名前のとおり、日本で最初に発見・報告された鉱物で、特に長島石は、ここ、茂倉沢鉱山が発見地です。いずれも産地はごくわずか。ロスコー雲母も、日本での産地は片手で数えられるくらいしかありません。稀産鉱物の宝庫ですね。その分、見つけるのは大変ですが。
ネット上では、茂倉沢ではもうマンガン鉱石すら数少ないなんて言葉が目につきますが、実際行ってみると、ひとかかえもある大きいのから小さなかけらまで、沢沿いに普通にごろごろしていて、美しいバラ輝石などは探すまでもなく苦労せず拾えます(マンガン鉱石は非常に重く、硬いので、大きいのはとても持ち上がりませんし、割るのも一苦労ですけど)。
これはやっぱり「高度な情報戦」ってやつでしょうかw やはり鉱物探しでは、高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処するのが大事ですね!(ようするに行き当たりばったりということかねw) まあ、台風などでかき回されたのかもしれませんし、昔はもっとすごかったのかもしれませんが。
どうやら右上のちょっと虹色に光る部分が、ロスコー雲母のようです。裁縫用針でつついたら、雲母の特徴のとおり、薄片がはがれました。自分が見つけたロスコー雲母(と思われるもの)は、今のところ、このとても小さなものだけです。
最初はこの緑の部分はすべて同じものだと思っていたのですが、どうやらいろいろな種類の鉱物が集まっているようです。
試しにUVライト(長波)をあててみたところ、
一様でないことが分かりました。右上のロスコー雲母と思われる部分と、左の一番大きな結晶部分をのぞき、オレンジ色で光っています。
ここで産出する可能性のあるもので、緑の結晶となることもある、蛍光することもあるもの、といったら、重晶石と閃亜鉛鉱ですが、オレンジの蛍光ということで、光っている部分は閃亜鉛鉱ではないかと考えました。他の鉱物系のサイトで、似たような緑、透明な結晶を、閃亜鉛鉱ではないかとしているところもありました(TMTM Mineral Collection)。というか、他に思い当たりません。
そうすると、蛍光しない、左の一番大きな結晶は一体なんだろう。
次回に続きます。
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