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2020年7月 5日 (日)

菫青石(いぼ石)(山梨県道志村道志川流域)

Cordierite Mg2Al4Si5O18 珪酸塩鉱物

 

Cordierite_doshi_01

Cordierite_doshi_02

 

北丹沢スカルン帯のいぼ石のいぼ部分(菫青石仮晶)です。

草下英明の『鉱物採集フィールド・ガイド』(草思社、1982)によると、「ほとんどは分解変質して黒雲母化しており、結晶の輪郭だけが残って、これが水に洗われた母岩の表面に突出して、いわゆるいぼ石状になっている」とのことなので、正確には菫青石の仮晶ということになるのでしょうか(めんどくさいので、ここでは菫青石として扱います)。

1枚目の写真のいぼ石も、なんとなく六角柱状のかたちが残っているように見えます。気のせいかな?

神奈川県民としては、本当は神奈川の石として紹介したいところですが、神奈川県では県の天然記念物で、国定公園内ですので、採集できません。でも丹沢県境尾根の向こう側は山梨県で、国定公園からもはずれているので、単なる石ころということになってしまいます。まあ山梨県では、たくさんある希少鉱物産出地のひとつですが、神奈川県では、スカルンなんてここしかありませんから、仕方ないですねw

室久保川沿いにある道志の湯近くに加入道山への登山道がありますが、その途上にもごく普通に転がっています(採集したのはそこではない)。でもベスブ石みたいな見た感じ透明できれいな鉱物などとは違い、いぼ石は単なるいぼいぼのある地味な石ころですので、わざわざ目にとめる人はいないでしょう。鉱物が好きな人でも、興味を持つ人は少ないかもしれません。

ただ、丹沢にも透明で青い結晶の、正真正銘の菫青石があるんじゃないかと思っています。アメリカのコロンビア大学には、江戸時代末に収蔵された道志産の青い結晶が保存されているそうです(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cordierite-527337.jpg)。こんなのがあるのならば、いつか見つけてみたいですね。

 

道志では、いぼ石をちょっとしたお祭りの行事で使っていたそうです。神奈川側でもやはりこの石をいぼ石といいますが、神奈川の箒沢・中川周辺と道志で佐藤姓が多いのを考えれば、いろいろ行き来があったことが分かります。また、県境尾根を挟んで道志側の室久保川、神奈川側のモロクボ沢などと、現在でも何やらややこしいことになっています(おそらく、どちらの側でも源流域の畔ヶ丸周辺の山々をまとめて諸窪山といっていたのではないか)。

「新編相模国風土記稿」の中川村の項には、天正7(1579)年 、道志の大窪村[現・道志大久保地区] の百姓が中川村を夜討したことから大きくなった騒動について記載があります。武田と北条の争いの舞台であり、江戸時代には三国山-菰釣山-二本杉峠の国境争いの舞台でもあり、どうもこの周辺はいろいろと確執、因縁、関係があったようです。今はなき箒沢の長老、佐藤浅次郎氏も、若い頃道志村との間で大太鼓の寄進の話を苦労してまとめたとか〈佐藤芝明『丹沢・桂秋山域の山の神々』〉。

 

ちなみに、「新編相模国風土記稿」には、白石峠や犬越路の地名はまったく出てきません。どちらも道を作るには険しすぎるので、馬が通れる城ヶ尾峠がメインの通路となります(そのすぐそばに信玄平という地名もある)。犬越路を信玄の軍勢が通ったなどという話は、とうてい信用できません(中川温泉の箔付のためだったという話もありますが、まあ深くは追求しないことにしましょうw)。

 

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