鉄電気石(山梨県北都留郡丹波山村泉水谷)※
Schorl NaFe2+3Al6(Si6O18)(BO3)3(OH)3(OH) 珪酸塩鉱物
2021/5/9追記
大菩薩の沢で褐簾石を見つけて、較べてみました。あなんか違いますねw
ぱっと見似ているのだけれど、拡大すると表面の材質感はちょっと違うし、割れたあたり、褐簾石は名前の通り、濃い褐色がちらちら見えているのだけれど、こちらは真っ黒。あとやっぱり硬さ感が全然違いますね。これは鉄電気石だと思います。
ということで、タイトルを変更します。
ところで、『鉱物ウォーキングガイド 関東甲信越版』(平成24年、丸善出版)の大菩薩の項で、鉄電気石のある下のペグマタイトとして紹介されている場所、記述と現地の様子が全然違うのは、地図の場所がズレているのでしょうか。それとも工事等で変わった? 橋の脇から沢に入ると書いてありますが、地図の場所にはまともな沢はないし、橋もありません。時間がなく確認はしませんでしたが、ひとつ東隣の沢と間違っているのかな?
以前の記事
2020/7/25
セリウム褐簾石?(山梨県北都留郡丹波山村泉水谷)
Allanite-(Ce) CaCe(Al2Fe2+)[Si2O7][SiO4]O(OH) 珪酸塩鉱物
褐簾石か、鉄電気石か、どちらかだと思うのですが。。。緑は緑簾石、透明なのは石英、不透明な白いのは長石だと思います。
2枚目の写真は、1枚目の左端の、結晶面が出ていると思われる部分の拡大。
採集した場所は、黒川鶏冠山の南を流れる泉水谷の林道の奥、丸川峠北の牛首谷にある、水晶橋のそばの川原。松原聰『鉱物ウォーキングガイド』(丸善出版、平成17年)にも出ているポイントです。ちなみに現在泉水谷林道は、入口のゲートは閉まっていて、車で入れません。入っても、途中大きく崩れているので、バイク、自転車等も通行不可です(歩きなら大丈夫)。林道は、下流部では沢よりかなり高いところを走っていて、途中の小室川出合に下りる経路以外では沢に下りられそうにありません。でも上流部では沢のすぐそばを通っています。
水晶橋の付近は、ちょうど徳和花崗岩体の東の端にかかっていて、ペグマタイトが見られます。大きなものは見つかりませんでしたが、小さな水晶なら見つけることができるのは、橋名のとおり。林道沿いの崖の花崗岩にも、白く石英の脈が走っています。
以前、チタン鉄鉱(山梨県甲州市柳沢峠)で、この付近の褐簾石について記述された古い論文を引用しました。
「…柳沢峠付近のペグマタイト中(古い水晶坑)でソウ長石の 内部に点在する緑レン石に黒色のカツレン石がはめこまれて産する…」(木村幹「東洋産含希元素鉱物の化学的研究(第56報)山梨県大菩薩峠産カツレン(褐簾)石」『日本化学雑誌』第81巻第8号、1960年)、
1枚目の写真の右側のかたまりは、この記述と同じく、緑簾石に包まれているように見えます。
水晶橋と、水晶抗があったと思われる沢は、直線距離で約3km離れています。どうでしょうね、とりあえず、この記述を基に、褐簾石としました。ただ、小さいのでうまく試せていないのですが、かなり硬いです(モース硬度は、褐簾石5.5~6、鉄電気石7~7.5)。
やはりこれは、大菩薩峠に行って褐簾石を見つけて、較べるしかないですかね(大菩薩の褐簾石産地は稜線の南側。水晶橋は北側)。
ちなみに、『鉱物ウォーキングガイド』の水晶橋の章に出ている鉄電気石のポイントは、鶏冠山のほど近くで、水晶橋のひとつ下流の、小さな名無し橋のある沢の上流部にあたります。つまり、そこのポイントの石は、水晶橋にはありません。(その小さな橋でもしばらく探してみたんですが、特になにも見つからず。)
水晶橋付近の沢は、縞模様の岩がとても印象的で面白いです。きれいな渓谷なので、風景を見にちょっと歩くのもいいかもしれません(林道入口から結構遠いですけど)。
ただ、どこに行ってもいつも思うんですけど、多摩川水系の沢って、なんか水が濁ってるところが多くありませんか? 地質のせいなのか、単に雨が降って濁った時ばかりに行きあってしまったとかなのか。どこも、白っぽく濁ってるように見えるんですよね(前回の奥多摩鋸山の沢もそうだった)。相模川水系の沢はどこも透き通っていて、印象が全然違います。川床の岩の色なんかも影響してるのかもしれません。
左:水晶橋、右:水晶橋付近の縞模様の岩
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