緑簾石(神奈川県山北町酒匂川流域)
Epidote Ca2(Al2Fe3+)[Si2O7][SiO4]O(OH) 珪酸塩鉱物
小さいけれども、宝石みたいに美しい緑簾石の結晶。
写真だと、どうしても実体顕微鏡で見る美しさが出せません。
鉱物的には、丹沢といえば玄倉の塩素燐灰石だったようですが、今では丹沢を代表するのは緑簾石ではないかと思います。
丹沢の色って、個人的には白と緑なんですよね。中心の深成岩地域の、白ザレと緑のコケのコントラストの美しさは、他にない魅力だと思います。だからというわけではないですが、白いトーナル岩と緑の緑簾石をイメージしたのかもしれない。
丹沢(神奈川側)の地質話など、いくつか。(ハタチガ沢以外は、お手軽なところばかりです)
寄(やどろぎ)から雨山峠に登るとき、コシバ沢を越えて雨山沢に入りちょっと歩くと、急に沢の中が明るくなります。地味な色の丹沢層と、真っ白なトーナル岩域の境界が、はっきりわかります。また寄大橋から雨山峠登山口に行く道の脇に、海の中で溶岩が噴き出した、枕状溶岩があります(看板がついてた)。
白石峠に登る道や、白石峠から加入道山に登る稜線上の、真っ白だったり桃色がかったきれいな晶質石灰岩(大理石)は、誰でも気づくでしょうね。あんな贅沢な道はそうそうないかもしれない。
表尾根の行者岳の鎖場は、すべすべの緑で薄くコーティングされたきれいな岩ですが、あれは透輝石かな?(緑簾石? 大日鉱山あたりではどちらもあるようですが) 休日になるとものすごい人で行列ができるらしいですが(そういう時は行かないw)、おそらくほとんどの人は気づかず踏みつけてると思います。順番を待つ間に、ちょっと汚れをごしごし拭き取ってみると、きっとそのきれいさにびっくりすると思います。同じものは、不老山から湯船山あたりの稜線や駿河小山側の沢でも見かけます。
煤ヶ谷から物見峠に行く道や、大山三峰の稜線を歩くとき、青っぽい緑のきれいな石がたくさん落ちてるのを見ることができます。これはセラドン石といって、まだ丹沢のあたりが海の中にあったころ(ちょうど今の伊豆諸島と同じ状態)、噴火した火山の噴出物が海中に積もってできた石です。古代の人は、これで飾り物を作ったりしたそうです(東海の翡翠、みたいな立ち位置?)。
同じ地域、宮ヶ瀬の鍋嵐のそば、ハタチガ沢の源流近くに、俗に「柱状節理の滝」といわれている涸れ滝があります。でもこれは柱状節理ではなく、本来は地面に水平であるべき緑色凝灰岩(グリーンタフ)の地層が、丹沢の隆起を起こした地殻変動によって垂直に立ってしまったものだと思います。いずれにせよ壮観ですが、行くのは結構大変なので自己責任で(地形が険しいだけでなく、水の木と並んで丹沢でもっともクマが多い地域です)。
やはり同じ地域、土山峠から宮ヶ瀬尾根側に入る林道をしばらく行くと、橋の脇の崖に、非常に立派なたまねぎ状構造が見られます(たまねぎ状構造は、そのうちこのブログで取り上げるつもり)。
世附川周辺は、以前も取り上げましたが、鉱山跡がいくつもあります。そのうち一番手軽に見られるのは、浅瀬から世附林道をしばらく歩いていくと芦沢橋で世附川を渡りますが、橋のすぐ下流右岸側の「焼け」た崖にぽっかり開いた坑です。名前は分かりません。試掘跡ではないかと思います。世附川のもっと上流、土沢出合あたりでは、黄銅鉱、黄鉄鉱を多く含んだ鉱石も、割とごろごろ落ちています。
こう見ても、やっぱり白と緑が多いですね。
でも、丹沢でも場所によっては孔雀石とか珪孔雀石があったりするので、もしかしたら大好きな青い銅の二次鉱物があるんじゃないかと期待してるんですが。。。いつか見つけてみたいですね。
丹沢、同角沢・遺言棚の落ち口。
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