鉄かんらん石(静岡県熱海市上多賀)
Fayalite Fe2+2(SiO4) 珪酸塩鉱物
伊豆の東の入口・多賀の、よく知られた産地の鉄かんらん石。
きれいな結晶です。角がまろやかで、形もなんかかわいい感じですね。形が崩れて溶けてしまったようなもの(こういうのは黒というより褐色)も多く見られますが、ちょっと探せば、写真のようにきれいな結晶も割と簡単に見つかると思います。石の白っぽいところに、1ミリくらいの黒い粒々が点々とついていて、わかりやすいです。
地のきらきらは、微細なクリストバル石のようです(ここの石にみられる白い球顆は、ほぼクリストバル石)。たまにある雲母のように薄いのは、鱗珪石かな? 小さな形のよい水晶もよく見られます。
JR多賀駅や長浜海浜公園(夏の海水浴シーズンは駐車場が有料になるみたい)からほど近い、ホテルの裏手の大きな岩がごろごろしている磯浜がポイントです。とても手軽にアクセスできる場所ですが、夏は避けた方がよいかもしれません。自分たちが行ったのは朝で、すぐそばのホテル内で朝食の時間らしい気配がしていたので、ハンマーは使うのを控えました。ガンガンやったら迷惑ですよねぇw でも手ごろな転石も結構あるので十分探せます。
近所に住んでいるらしいおじいさんが言うには、昔はこんなではなかったが、台風で一夜にして今みたいな大きな岩がごろごろした浜に変わってしまったとか。いつの台風のことかは分かりませんが。。。
『鉱物観察ガイド』(東海大学出版会、2008年)によると、ここの鉄かんらん石は、「おそらくほとんどすべてライフン石であろう」とのこと。
かんらん石は、成分の違いで何種類かあります。普通に「かんらん石」といえば、緑色のきれいなオリビン(olivine、宝石としての名前はペリドット〈peridot〉)のことで、これは大体マグネシウムを多く含む苦土かんらん石です。
マグネシウムより鉄が多くなると鉄かんらん石になり、マンガンが多くなればマンガンかんらん石(テフロ石)になり、カルシウムとマグネシウムが多くなるとモンチセリ石という鉱物になります(他にもあるけれど、興味ある方はご自分でお調べくださいw)
鉄かんらん石の鉄が酸化すると、ライフン石になります。どうせ見ても違いはよく分からないんでしょうけど。。。先ほど「形が崩れて溶けてしまったようなもの」と書きましたが、もしかしてそれって、酸化してしまった状態、つまりまさにライフン石なのかも?
多賀というと、伊豆の入口という感じで、なかなかここを目的地とすることはないのですが、神奈川からだと割と気軽に行けるいいポイントだと思います。
しかし、熱海高校ヨット部はうらやましいなあw(ポイントに行く途中、ヨット部の艇庫の前を通るのだ)
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