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2020年5月10日 (日)

輝安鉱(愛媛県西条市加茂川流域)

Stibnite Sb2S3 硫化鉱物

 

Stibnite_kamogawa_01

 

愛媛県のかの有名な市之川鉱山を流れる市之川が、加茂川に合流してすぐ下の川原で見つけた輝安鉱です。

水晶・針水晶の群落の上に、針状(毛状)結晶がまぎれていました。

毛鉱やブーランジェ鉱、ベルチェ鉱など、肉眼では見分けがつかない似た鉱物(すべてアンチモンの鉱物)もあり、これが一体どれなのか迷いましたが、周囲にもうちょっと太めの輝安鉱や、黄色い黄安華(輝安鉱が酸化して硫黄分が抜けて生成されるアンチモンの二次鉱物。ちなみに輝安鉱はSb2S3〈Sb=アンチモン、S=硫黄〉)がついているので、輝安鉱で間違いないのではないかと考えました。

まさに、顕微鏡でしか見ることのできない不思議な世界ですね。

こちらは同じ石についていた、別の結晶。

Stibnite_kamogawa_03

Stibnite_kamogawa_02

 

市之川は丁度中央構造線の付近に位置しており、その断層による裂け目を充填するように輝安鉱の結晶が発達した、裂罅充填鉱床といわれる産地です。世界でもまれにみる規模の鉱床で、海外の鉱物好きの間でも、日本といえば市之川の輝安鉱、的な感じみたいです。ただし1メートル近くもあるようなすごい結晶がとれたのは、明治のころまでで、日本の多くの鉱山と同様に、昭和中期には閉山しています。

標本の多くは海外に輸出されたらしく、どうも明治のころ、日本はすばらしい鉱物の産出国というイメージがあったみたいですね。当時の海外の輸出業者(石専門ではない)の日記で、日本の水晶はすばらしい! と絶賛されてたりします(どこの水晶だったんだろう、山梨かな?)。

ところでネットを見ていると、「続日本紀」には、飛鳥時代の文武2(698)年七月乙亥 「伊予国献白〇(金に葛)。  」の記事があり、この「〇(金に葛) 」が市之川の輝安鉱ではないかという説もあるそうです。ただ、その時代に市之川の輝安鉱が知られていた、採掘されていたという証拠は一切なく(公式には延宝7年(1679年)に発見された)、伊予国には他にも輝安鉱産地はいくつもあるので、まあ推して知るべしといった感じですね。

 

年始年末に、広島、しまなみ、四国周辺を、宿泊地を決めず、念のためテントも持って車で回ってきました。その時に市之川や関川、別子にも行って(生口島にも寄ったのだけど、最近立ち入りできなくなったらしく大ショック)、拾ったもの。輝安鉱は憧れの鉱物のひとつだったので、市之川から流れてきたものを見つけることができて、大満足でした。

関川もそうですが、普通に街はずれの川原でこんなものを見つけられるのはうらやましいですね(まあ西の人にとっては、秩父とかに気軽に行けるのはうらやましいとなるのかもね)。

 

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