▼はじめに

自分にとって、鉱物の魅力は、色、透明感、硬さなどいろいろありますが、やっぱり結晶の幾何学的な形状、そしてそれが分子配列を直接反映している、という点にあります。

石(鉱物)という手にとって見ることができる小さなものから、宇宙の均整と数学的な本質を感じることができるというところに、人はひかれるのかもしれません。簡単な数字の列で世界を表現している、方程式の美しさに通じるものがあると思います。

なかでも、黄鉄鉱は割とどこでもあり、しかも結晶の美しさが際立っています。自然にできたとは到底思えない正方形の輝く結晶から、鉱物の魅力にとりつかれたという人も多いのではないでしょうか。

自分も、いろいろ見てきましたが、やっぱり黄鉄鉱が一番好きです。

 

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ここでは、鉱物の、主に顕微鏡で撮った写真をアップしていきます(石ころや岩石も扱います)。

採集をはじめて、まだ2、3年といったところだし、買ったり売ったりはなし、山を掘るのもあまり好きではなく(ズリはのぞく)、基本的に沢やズリなどでの表面採取が中心ですので、大したものはありません。

ただそれでも、顕微鏡を使えば結構いろいろ見つかるものです。

特に南関東~山梨南部~伊豆周辺の山ならば、よほど険しいところでなければ割と歩きなれているので、地形図、地質図などを参考にしながら狙いをさだめ、ちょっと石を拾ってきては顕微鏡で観察をしています。

微細な鉱物ばかりですので、正直鉱物の同定に関しては、まったく自信はありません(硬さを調べることも薬品を使うこともなかなかできないので)。おかしなことを書いているかもしれないので、信用はしないようにw

本当はスケールも記すべきなんでしょうけど、あくまでも鑑賞用ということで、つけません。スケールをつけるの、大変なんですよねw なかなかうまい方法が見つかりません。基本的に、顕微鏡で20~40倍、さらに撮影した写真の端はトリミングします。ものによっては、ルーペでも確認するのが難しい大きさになります。

鉱物の分類表記に関しては、デジタル鉱物図鑑を参照しています。


▼分類別リスト

▼産地別リスト

 

2020年7月 5日 (日)

菫青石(いぼ石)(山梨県道志村道志川流域)

Cordierite Mg2Al4Si5O18 珪酸塩鉱物

 

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北丹沢スカルン帯のいぼ石のいぼ部分(菫青石仮晶)です。

草下英明の『鉱物採集フィールド・ガイド』(草思社、1982)によると、「ほとんどは分解変質して黒雲母化しており、結晶の輪郭だけが残って、これが水に洗われた母岩の表面に突出して、いわゆるいぼ石状になっている」とのことなので、正確には菫青石の仮晶ということになるのでしょうか(めんどくさいので、ここでは菫青石として扱います)。

1枚目の写真のいぼ石も、なんとなく六角柱状のかたちが残っているように見えます。気のせいかな?

神奈川県民としては、本当は神奈川の石として紹介したいところですが、神奈川県では県の天然記念物で、国定公園内ですので、採集できません。でも丹沢県境尾根の向こう側は山梨県で、国定公園からもはずれているので、単なる石ころということになってしまいます。まあ山梨県では、たくさんある希少鉱物産出地のひとつですが、神奈川県では、スカルンなんてここしかありませんから、仕方ないですねw

室久保川沿いにある道志の湯近くに加入道山への登山道がありますが、その途上にもごく普通に転がっています(採集したのはそこではない)。でもベスブ石みたいな見た感じ透明できれいな鉱物などとは違い、いぼ石は単なるいぼいぼのある地味な石ころですので、わざわざ目にとめる人はいないでしょう。鉱物が好きな人でも、興味を持つ人は少ないかもしれません。

ただ、丹沢にも透明で青い結晶の、正真正銘の菫青石があるんじゃないかと思っています。アメリカのコロンビア大学には、江戸時代末に収蔵された道志産の青い結晶が保存されているそうです(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cordierite-527337.jpg)。こんなのがあるのならば、いつか見つけてみたいですね。

 

道志では、いぼ石をちょっとしたお祭りの行事で使っていたそうです。神奈川側でもやはりこの石をいぼ石といいますが、神奈川の箒沢・中川周辺と道志で佐藤姓が多いのを考えれば、いろいろ行き来があったことが分かります。また、県境尾根を挟んで道志側の室久保川、神奈川側のモロクボ沢などと、現在でも何やらややこしいことになっています(おそらく、どちらの側でも源流域の畔ヶ丸周辺の山々をまとめて諸窪山といっていたのではないか)。

「新編相模国風土記稿」の中川村の項には、天正7(1579)年 、道志の大窪村[現・道志大久保地区] の百姓が中川村を夜討したことから大きくなった騒動について記載があります。武田と北条の争いの舞台であり、江戸時代には三国山-菰釣山-二本杉峠の国境争いの舞台でもあり、どうもこの周辺はいろいろと確執、因縁、関係があったようです。今はなき箒沢の長老、佐藤浅次郎氏も、若い頃道志村との間で大太鼓の寄進の話を苦労してまとめたとか〈佐藤芝明『丹沢・桂秋山域の山の神々』〉。

 

ちなみに、「新編相模国風土記稿」には、白石峠や犬越路の地名はまったく出てきません。どちらも道を作るには険しすぎるので、馬が通れる城ヶ尾峠がメインの通路となります(そのすぐそばに信玄平という地名もある)。犬越路を信玄の軍勢が通ったなどという話は、とうてい信用できません(中川温泉の箔付のためだったという話もありますが、まあ深くは追求しないことにしましょうw)。

 

2020年7月 1日 (水)

???(千葉県南房総市平久里川流域)

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千葉・平久里の石を見ていて、小さいけれどもらしからぬ色を見つけました。こんな美しい青の鉱物はここにはないはず。一目見て、なんだこれは!? というインパクトがあります。

多分、この結晶がくっついた母岩(か母岩についた別の鉱物)の色が、見る角度によって、屈折で表面に浮かび上がっているのだろうと思うのですが、平久里で青い鉱物といったら、斑銅鉱くらいしか思いつきません。実際、これとは違う石ですが、青や紫の斑銅鉱が点在しているものもありました(以前取り上げた自然銅のついていた石です)。こんな深い青ではなく、メタリックな感じの水色に近い青ですが、レンズのように小さな青い部分が拡大されているような感じです。

2枚目の写真は、針で周りを少し削って広くして、角度を変え撮影したもの。やはり青は一部分しか見えなくなりましたが(この青は班銅鉱の青っぽい)、この結晶はなんだろう。見た感じ、非常に整っていて、自形結晶のように見えますが、単にランダムに割れただけかもしれません。

ここで産出する鉱物の中であり得そうだとしたら、方解石か、魚眼石か、方沸石か。。。結晶面の形から、方沸石っぽい気もするのですが、方沸石のような丸みは全然感じられないですね。もっとシャープな感じ。ちょっと分かりませんね。。。

非常にきれいなのですが、その正体がわからないのはもやもやします。

 

2020年6月28日 (日)

あられ石(千葉県銚子市長崎鼻)

Aragonite Ca(CO3) 炭酸塩鉱物等

 

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銚子の長崎鼻は、あられ石や琥珀の産地で有名です。

黒い母岩は古銅輝石安山岩で、叩くといい音で響くので楽器としても使われた讃岐石(カンカン石、sanukite)と同じものです。青いのはセラドン石。古銅輝石安山岩の間隙に、セラドン石やたまにあられ石が入っています。さらにまれにピンク色のあられ石もあるそうですが、そうそう出るものではないみたいです。

4枚の写真はどれも、ひとつの石を割って出てきた別の部位。

一番上は4cmくらいの大きな結晶で、ネット等でよく見る柱状結晶。

あとは1cmもないまとまりのものばかりです。一番最後の4枚目は、微細な針状結晶が球状に集合しています。

ある程度の大きさに育たないと、柱状にはならないのかな? もともと直方晶系で、針状あるいは板状結晶が120度の角度で連晶して六角柱を作るといいます。

成分的には方解石と同一(同質異象)で、違いは、硬度、比重があられ石のほうがわずかに高く、へき開(割れやすさ)が違うとのこと。四角い方解石のへき開が「3方向に完全」で、平行四辺形に割れやすいというのはわかります。あられ石の六角柱結晶が、伸長方向に平行に割れやすい(1方向)というのもわかる。でも、方解石はさまざまな形をとります。たとえば方解石の犬歯状の結晶のへき開はどうなのでしょう? 六角柱状ではない先の尖ったあられ石と犬歯状方解石では、どうへき開が違うのか。どう見わけをつければよいのか。

正直見た目だけではまったく分かりません。ネット等で調べても、この辺を説明してくれているものは全然見当たりません。もしかしてみんな知ってる常識とかを自分が知らないだけ? 結局、産地と形状等から類推するしかないのでしょうか。

専門の研究室等では、微細なものに関してはどうしているのか気になります。

いろいろ検索してみると、鉱物学だけでなく、とりわけ生物学の分野に絡んで(方解石やあられ石は多くの生物が利用している)、方解石とあられ石を分離するための、重液分離や染色法といった方法があるらしいということがわかりました(Seiichi Suzuki, Yoshihiro Togo, Yoshinori HikidaUsing Meigen’s staining for aragonite-calcite identifi cation in fossil molluscan shells under the scanning electron microscope, The Journal of the Geological Society of Japan Vol.99, No.1, 1993)。たとえば、硝酸コバルト(II)を蒸留水に10重量%の濃度にして70℃に保ち、試料を15分加熱すると、あられ石は紫色に染まり、方解石は変わらないそうです。けれども、「結晶形態から肉眼観察による方解石,霰石分離は困難であった」(加藤和浩・和田秀樹「微量同位体比測定のための染色法による方解石一霞石の分離法」静岡大学地球科学研究報告28、2001年7月)などという記述もあり、やっぱり見ただけでは無理ということですか。

方解石とあられ石の違いについては、専門家ではない自分はあまり突っ込まないほうがよい問題のようですw

でも、きちんと判別するための方法があることがわかって、ちょっとすっきりした気分です。

 

2020年6月25日 (木)

ミメット鉱(山梨県甲州市黄金沢鉱山)

Mimetite Pb5(AsO4)3Cl 燐酸塩鉱物等

 

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山梨県・塩山平沢にある黄金沢鉱山のミメット鉱です。

同地では、白い針状結晶や緑の透明結晶で産することが多いようですが、ミメット鉱はさまざまな色、形態をとることのある鉱物のようです。ネットで検索してみても、同じ鉱物の写真とは思えないものがいっぱい出てきます。

写真の標本は、少し黄味がかかった薄い肌色の樹脂光沢、六角柱状で若干真ん中が膨れた樽のようになっていて、緑鉛鉱に似た感じの結晶です(緑鉛鉱の実物は見たことないけどw)。左側にはもっと細いバージョンや、緑の針状のものも見えますが、これもミメット鉱でしょうか。いろんな姿のミメット鉱が同時に見られるお徳用標本ですねw

ミメット鉱は鉛と砒素と塩素の鉱物で、砒素が燐に変われば緑鉛鉱になります。ギリシャ語で「模倣」を意味する「mimethes」から名付けられましたが、これも緑鉛鉱に外見が似ているからだそうです。ミメット鉱からしたら、別に真似したわけじゃないのに、いい迷惑ですね。

 

黄金沢鉱山は、鈴庫鉱山に行く途中にあります。基本的には似たものを産しますが、少しずつ違うのが面白いです。黄金沢鉱山のほうがかなり狭いうえ、特に有名な洋紅石やミメット鉱が出る上流のズリの範囲は小さく、人も多く訪れたためか、叩かれて小さくなった石ばかりです。洋紅石は、もしかしたらこれがそうかも? というレベルのものしか拾えなかったのですが、まあこのミメット鉱を見つけられたので、いいかな(上のズリのことを知る前に、下のズリに2回ほど来て、全然ないなあとか思っていたのは秘密w)。

車があれば、とてもアプローチが楽な場所です。竹森といえば、今はもう行くことのできない水晶や鋭錐石の有名産地ですが(自分はもちろん行ったことはない)、ザゼンソウの群生地としても知られています。以前、そうとは知らず花の季節に訪れ、なんだろうと思い見に行ったことがあります。

竹森川の源流、鈴庫山の頂上には山神社があって、竹森の集落を見守っています。山間の狭い地域ですが、南に向かって開けていて明るく、見どころが(鉱山跡も)いっぱいあるいいところですね。

 

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左:竹森のザゼンソウ。右:鈴庫山の頂上から、竹森の谷を見下ろす。谷の向こうの小さな山は塩ノ山。下に、黄金沢鉱山のそばを通り、鈴庫鉱山に行く林道が見える。

 

2020年6月22日 (月)

マンガンパンペリー石(神奈川県秦野市水無川流域)

Pumpellyite-(Mn2+) Ca2Mn2+Al2(Si2O7)(SiO4)(OH)2・H2O 珪酸塩鉱物

 

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湘南の海沿いの国道134号線で、渋滞で有名な花水川。水無川はその上流部にあたり、源流は丹沢の塔ノ岳になります。

『神奈川県産鉱物目録』によると、マンガンパンペリー石は、丹沢の高松鉱山においては「微細な柱状結晶の放射状集合からなる塊状物質をなしてカリオピライト・石英などと産する」、大日鉱山においては「微細な柱状結晶の集合からなる淡肉灰色塊状集合をなす。共存する紅簾石より色が淡い」(加藤昭・木島勇著『神奈川県産鉱物目録』神奈川自然誌資料(17)、1996)。

大日鉱山は、水無川の源流近くにあります。薄い肉色で、放射状になっているので、マンガンパンペリー石で間違いないと思いますが、どうでしょうね。色の濃いところは紅簾石のようです。黒いのはブラウン鉱か。

マンガンパンペリー石は、上記の著者加藤昭他によって1981年に発表された日本産の新鉱物で、山梨県の南アルプスの玄関口・芦安近くの落合鉱山で発見されました。なにげに日本では産地がかなり限られている鉱物です。

日本はマンガン鉱物がとても豊富で、欧米の鉱物好きには、輝安鉱などよりも珍しがられるそうです(欧米ではマンガンの産地があまりない)。でも、きれいな結晶になるものも少ないし、見た目地味なものが多いので、見わけもよくつかず、手をつけづらい鉱物種です。自分も、マンガン産地というのは、ほとんど訪れたことはありません。もうちょっと勉強しないとね。

水無川をさかのぼり、本谷沢まで行くと、濃い紫がかったマンガン系と思われる石がたくさん落ちていますが、あんまり意識して見たことはないです。本谷沢・セドノ沢沿いに大日鉱山の鉱山道を下地にした書策(かいさく)新道がありますが、新道といいつつもはや廃道で、道標もなければ、途中で何か所か崩壊してたりもするので、もの好きか沢登りの人しか行かないところです。セドノ沢の道をはずれてすぐのところに、今でも大日鉱山の試掘跡が口を開けているのを見ることができます。

大日鉱山については、詳しくは〇福氏の「丹沢の鉱山跡を探る 3」を参照してください。

 

自分にとっては、本谷沢は、子どものころよく遊びに行った故郷みたいなところです。出合のすぐそばの山小屋にいつも行っていて、小屋のねこやいぬと遊ぶのに飽きると、近くの本谷沢に行って石を拾ったりして遊んでいましたが。。。もしきれいな沸石でも見つけてたら、そのまま石が趣味になってたかもしれないw

その山小屋(仲小屋)はもともと大日鉱山の宿舎で、北村政次郎氏が譲り受けて、山小屋にしました(当時は名前など知らず、おじいと呼んでいた)。小屋そのものは、まだ結構しっかりと残っていますが、もう当時の記憶がある人も、ずいぶん少なくなってきたんじゃないでしょうか。

今では、政次郎氏が道をつけた、小屋の裏手からの尾根を政次郎尾根、表尾根に登りつめた小ピークを政次郎の頭と言うようになりました。地名になっちゃったねぇw 今思うに、もともと大日鉱山で働いていたのかもしれませんが、自分が子どものころに亡くなったので、確かめるすべはありません。

 

2020年6月19日 (金)

鉄かんらん石(静岡県熱海市上多賀)

Fayalite Fe2+2(SiO4) 珪酸塩鉱物

 

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伊豆の東の入口・多賀の、よく知られた産地の鉄かんらん石。

きれいな結晶です。角がまろやかで、形もなんかかわいい感じですね。形が崩れて溶けてしまったようなもの(こういうのは黒というより褐色)も多く見られますが、ちょっと探せば、写真のようにきれいな結晶も割と簡単に見つかると思います。石の白っぽいところに、1ミリくらいの黒い粒々が点々とついていて、わかりやすいです。

地のきらきらは、微細なクリストバル石のようです(ここの石にみられる白い球顆は、ほぼクリストバル石)。たまにある雲母のように薄いのは、鱗珪石かな? 小さな形のよい水晶もよく見られます。

JR多賀駅や長浜海浜公園(夏の海水浴シーズンは駐車場が有料になるみたい)からほど近い、ホテルの裏手の大きな岩がごろごろしている磯浜がポイントです。とても手軽にアクセスできる場所ですが、夏は避けた方がよいかもしれません。自分たちが行ったのは朝で、すぐそばのホテル内で朝食の時間らしい気配がしていたので、ハンマーは使うのを控えました。ガンガンやったら迷惑ですよねぇw でも手ごろな転石も結構あるので十分探せます。

近所に住んでいるらしいおじいさんが言うには、昔はこんなではなかったが、台風で一夜にして今みたいな大きな岩がごろごろした浜に変わってしまったとか。いつの台風のことかは分かりませんが。。。

 

『鉱物観察ガイド』(東海大学出版会、2008年)によると、ここの鉄かんらん石は、「おそらくほとんどすべてライフン石であろう」とのこと。

かんらん石は、成分の違いで何種類かあります。普通に「かんらん石」といえば、緑色のきれいなオリビン(olivine、宝石としての名前はペリドット〈peridot〉)のことで、これは大体マグネシウムを多く含む苦土かんらん石です。

マグネシウムより鉄が多くなると鉄かんらん石になり、マンガンが多くなればマンガンかんらん石(テフロ石)になり、カルシウムとマグネシウムが多くなるとモンチセリ石という鉱物になります(他にもあるけれど、興味ある方はご自分でお調べくださいw)

鉄かんらん石の鉄が酸化すると、ライフン石になります。どうせ見ても違いはよく分からないんでしょうけど。。。先ほど「形が崩れて溶けてしまったようなもの」と書きましたが、もしかしてそれって、酸化してしまった状態、つまりまさにライフン石なのかも?

 

多賀というと、伊豆の入口という感じで、なかなかここを目的地とすることはないのですが、神奈川からだと割と気軽に行けるいいポイントだと思います。

しかし、熱海高校ヨット部はうらやましいなあw(ポイントに行く途中、ヨット部の艇庫の前を通るのだ)

 

2020年6月16日 (火)

オンファス輝石角閃石岩(愛媛県四国中央市関川流域)

オンファス輝石 Omphacite (Ca,Na)(Mg,Fe,Al)Si2O6 珪酸塩鉱物

角閃石 amphibole 珪酸塩鉱物

 

Omphacite_sekikawa_02

Omphacite_sekikawa_01

 

石ころです。

愛媛県の関川は、赤石山系(主峰・東赤石山1706m)から瀬戸内海にそそぐ、わずか二十数キロの川で、その長さと山の高さを考えても分かる通り、とても急です。日本の川は滝だと言った(とされる)のは、お雇い外国人技師のオランダ人、デ・レーケですが、まさにその典型ともいえる川ですね(富山の川のことを言ったらしいですが)。

日本の関東山地から九州まで、中央構造線に沿って続く三波川変成帯は、日本最大の変成岩帯です。関川の上流、赤石山やすぐそばの鉱山で有名な別子のあたりも、その三波川変成帯に属しますが、とりわけ高温・高圧によって変成度の高い岩石が生成され、他では見られない石がたくさん産出する地域です。

特にエクロジャイト(Eclogite:主に鉄礬柘榴石とオンファス輝石で構成される石)が有名です。

この石は、関川大橋の少し下流、関川と浦山川合流点あたりで拾いました。

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多分、オンファス輝石を含んだ角閃石だと思います。色の濃いのが角閃石で、薄いのがオンファス輝石。。。なのかなぁ?

ぱっと見は濃い緑の地味な感じなのですが、ルーペや顕微鏡で見てみると、吸い込まれそうな透明感のある深い緑で、めちゃくちゃきれいでびっくりします。ちょっぴりクロムが混じっているのかも?(クロムが入ると、緑の鮮やかさが増す)

あたりには、柘榴石の点々が一面についた石が多く転がっていて、わざわざ探すまでもなく拾えます。ここの柘榴石は自形結晶も多いけれど、川を転がってきているからか、そんなにシャープな感じではないです。割っても大して変わらないので、もともと鋭角的な結晶ではないようですね。他にも、白雲母が混じって銀色に輝くものも多く見られました。

 

ここで拾った石をもうひとつ。エクロジャイトといいたいところですが、オンファス輝石はあまり入ってなさそうなので、柘榴石角閃石岩でしょうか。

 

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赤いのが鉄礬柘榴石。濃い緑が角閃石です。

もう一度、ゆっくり1日かけて探してみたいし、赤石山にも登ってみたいけれど、また四国まで行けますかねぇ。。。

 

2020年6月14日 (日)

ブロシャン銅鉱(山梨県都留市宝鉱山)

Brochantite Cu4(SO4)(OH)6 硫酸塩鉱物等

 

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以前の記事、含銅アロフェン(山梨県都留市宝鉱山)と同じく、カラミについていたものです。

ブロシャン銅鉱の板状結晶かと思いますが、どうでしょうね。銅の二次鉱物は似たものがたくさんあって困ります。孔雀石の結晶が、こういう板状になることもあるんでしょうか(どんな形でもありそう)。

ガラス質で、青みがかった深い緑色が、とてもきれいです。

2枚目の上の水色は水亜鉛銅鉱かな? その上に白い絹糸放射状のものがあるのですが、こちらは分かりません。

 

野外の銅像などに錆びてつく緑青は、大体孔雀石かこのブロシャン銅鉱であることが多いそうです。防衛大学・山口晴幸教授の、三浦半島の銅像などが酸性雨でどのくらい影響を受けているか、という論文を以前見たことがありますが、あれなどはちょっと変わった緑青の研究といえるかもしれません(他にも三浦半島の隧道におけるPM2.5とか、浜に漂着したゴミとか、巨樹とか、面白いことを多く研究している方です)。

ちなみに平賀源内によると、緑青には、山や鉱山などで自然にできた「石緑」、人為的な「銅青」があるとのこと。

放射状に結晶したブロシャン銅鉱は、その色、形、ともに美しく、憧れる鉱物のひとつで、ぜひ採集してみたいのですが、関東近辺では有名な産地は立ち入りができないところが多く、まだ見つけたことはありません。本などを見ると、もっともありふれた銅の二次鉱物などと書かれているのが、さらに腹立ちますw

ネットでは、宝鉱山でブロシャン銅鉱があったというような話は見つけられませんでしたが、あってもおかしくないですよねぇ? そもそも、宝鉱山の鉱物についての記事をあまり見かけません。

知る限り、宝鉱山は珍しい鉱物が出るという話もなく、カラミは鉱物ではないと、あまり鉱物好きの興味をそそる対象ではないのかも? 個人的に、宝鉱山周辺の山、大幡川源流域は大好きなので、山登りと鉱物探しが両立できる、お気に入りの地域です。人が少なく静かなままでいて欲しいと思うと同時に、もっと多くの人にこの地域の良さを知ってほしいとも思っているんですが。。。

 

ところでネットで宝鉱山を検索していたら、平成29年に、宝鉱山の坑廃水処理のミスで中和のための石灰が投入されず、有害物質が流れ出したおそれがあるという山梨県の報告書を見つけました。調査の結果、排水基準は超えていなかったとのこと(山梨県「旧宝鉱山(都留市大幡)の不適切な坑廃水処理について」)。宝鉱山は昭和45年に閉山していますが、今でも処理をし続けなければならないのですね。

考えてみると、大幡川は桂川の支流、つまり、相模川の上流で、うちの水も相模川の水です(神奈川の水源は、主に相模川と酒匂川)。他人事ではないということですね(割と知られていないのですが、相模川の源流は富士五湖の山中湖なんですよ!)。

 

2020年6月12日 (金)

緑簾石(神奈川県山北町酒匂川流域)

Epidote Ca2(Al2Fe3+)[Si2O7][SiO4]O(OH) 珪酸塩鉱物

 

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小さいけれども、宝石みたいに美しい緑簾石の結晶。

写真だと、どうしても実体顕微鏡で見る美しさが出せません。

鉱物的には、丹沢といえば玄倉の塩素燐灰石だったようですが、今では丹沢を代表するのは緑簾石ではないかと思います。

丹沢の色って、個人的には白と緑なんですよね。中心の深成岩地域の、白ザレと緑のコケのコントラストの美しさは、他にない魅力だと思います。だからというわけではないですが、白いトーナル岩と緑の緑簾石をイメージしたのかもしれない。

 

丹沢(神奈川側)の地質話など、いくつか。(ハタチガ沢以外は、お手軽なところばかりです)

寄(やどろぎ)から雨山峠に登るとき、コシバ沢を越えて雨山沢に入りちょっと歩くと、急に沢の中が明るくなります。地味な色の丹沢層と、真っ白なトーナル岩域の境界が、はっきりわかります。また寄大橋から雨山峠登山口に行く道の脇に、海の中で溶岩が噴き出した、枕状溶岩があります(看板がついてた)。

白石峠に登る道や、白石峠から加入道山に登る稜線上の、真っ白だったり桃色がかったきれいな晶質石灰岩(大理石)は、誰でも気づくでしょうね。あんな贅沢な道はそうそうないかもしれない。

表尾根の行者岳の鎖場は、すべすべの緑で薄くコーティングされたきれいな岩ですが、あれは透輝石かな?(緑簾石? 大日鉱山あたりではどちらもあるようですが) 休日になるとものすごい人で行列ができるらしいですが(そういう時は行かないw)、おそらくほとんどの人は気づかず踏みつけてると思います。順番を待つ間に、ちょっと汚れをごしごし拭き取ってみると、きっとそのきれいさにびっくりすると思います。同じものは、不老山から湯船山あたりの稜線や駿河小山側の沢でも見かけます。

煤ヶ谷から物見峠に行く道や、大山三峰の稜線を歩くとき、青っぽい緑のきれいな石がたくさん落ちてるのを見ることができます。これはセラドン石といって、まだ丹沢のあたりが海の中にあったころ(ちょうど今の伊豆諸島と同じ状態)、噴火した火山の噴出物が海中に積もってできた石です。古代の人は、これで飾り物を作ったりしたそうです(東海の翡翠、みたいな立ち位置?)。

同じ地域、宮ヶ瀬の鍋嵐のそば、ハタチガ沢の源流近くに、俗に「柱状節理の滝」といわれている涸れ滝があります。でもこれは柱状節理ではなく、本来は地面に水平であるべき緑色凝灰岩(グリーンタフ)の地層が、丹沢の隆起を起こした地殻変動によって垂直に立ってしまったものだと思います。いずれにせよ壮観ですが、行くのは結構大変なので自己責任で(地形が険しいだけでなく、水の木と並んで丹沢でもっともクマが多い地域です)。

やはり同じ地域、土山峠から宮ヶ瀬尾根側に入る林道をしばらく行くと、橋の脇の崖に、非常に立派なたまねぎ状構造が見られます(たまねぎ状構造は、そのうちこのブログで取り上げるつもり)。

世附川周辺は、以前も取り上げましたが、鉱山跡がいくつもあります。そのうち一番手軽に見られるのは、浅瀬から世附林道をしばらく歩いていくと芦沢橋で世附川を渡りますが、橋のすぐ下流右岸側の「焼け」た崖にぽっかり開いた坑です。名前は分かりません。試掘跡ではないかと思います。世附川のもっと上流、土沢出合あたりでは、黄銅鉱、黄鉄鉱を多く含んだ鉱石も、割とごろごろ落ちています。

 

こう見ても、やっぱり白と緑が多いですね。

でも、丹沢でも場所によっては孔雀石とか珪孔雀石があったりするので、もしかしたら大好きな青い銅の二次鉱物があるんじゃないかと期待してるんですが。。。いつか見つけてみたいですね。

 

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丹沢、同角沢・遺言棚の落ち口。

 

2020年6月11日 (木)

自然硫黄(群馬県吾妻郡嬬恋村万座温泉)

Sulphur S 元素鉱物

 

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この自然硫黄は、火山の噴気孔から放出された火山ガスに含まれる硫化水素と二酸化硫黄が冷やされ、硫黄と水に化学変化し結晶化したものです。他にも温泉の沈殿物として生成されたりします。

黄鉄鉱は硫黄と鉄からできた鉱物で、昔は火打石として使われていたそうです。英名のpyriteは、ギリシャ語の火を意味する「pyr」からきています。実は黄鉄鉱は鉄の鉱物というより、硫黄の原料としてより重要であったようです。

火山の多い日本は自然硫黄の大産地なので、過去には多く採掘されていました。

火薬は唐の末期9世紀ごろに中国で発明されました。宋の時代には火器が大きく発展し、火薬も大量に生産されましたが、実は中国では硫黄がほとんどとれず、輸入に頼っていました。それが、日本や、やはり火山の多い東南アジアだったというわけです(当時の黒色火薬の原料は、硝石、硫黄、木炭粉など)。さらには遠く西アジアからも輸入していたようで、絹の道ならぬ、硫黄の道ですね(海上貿易が中心だったようですが)。日本の輸出業者とかいたんでしょうか。

唐の時代から、日本人も、思った以上にずいぶんあちこち世界を行き来していたようです。唐代に書かれた様々な出来事を集めた『酉陽雑俎』という本には、中国から天竺まで行って中国に帰ってきた倭人の話がでてきます。一体どんなものを見たのか、日本には戻ってこれたのか、どこのどういう人だったのか。和名は書いてありません(金剛三昧という名前で記されている)。

 

今では、日本では一切硫黄の採掘は行われていません。たとえば原油の精製時など、大量に生成されるからです。鉱物を採掘するのは、大変な重労働ですからね。。。(今でも採掘されているのは、石灰くらいだと思います)

 

万座温泉は、硫黄成分が非常に強い温泉で、癒されるというより、どう見ても体に悪そうな感じですw

万座、草津白根山周辺は、とても魅力的なところで、何度も行っているのですが、白根山の噴火以来、ちょっと行きにくくなってしまいました。日本の山はほとんど森林におおわれているので、荒涼とした火山地帯は、もうそれだけでちょっと異質で魅力的です。火山は、まさに地球の鼓動をじかに感じられる特異点といえます。

噴火したあたりも、登山道が通っていたんですが、はたして生きているうちに行ける日がくるのかどうか。噴火の跡をぜひ見に行ってみたいんですが、まだ火山性地震もちょくちょくありますし、早く落ち着いてほしいと思います。

 

2020年6月 7日 (日)

黄銅鉱(山梨県上野原市秋山金山)

Chalcopyrite CuFeS2 硫化鉱物

 

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Chalcopyrite_kanayama_02

 

正三角形の浮き出たものと結晶。美しいですね。

これを見ていると、鉱物を立体ではなく、もっと単純化した平面的な図形でその特徴を端的に表現できるような気がしてきます。

黄銅鉱は正三角形なんですね。

正三角形の重なりが、ほんとにしびれますねぇ。均整のとれた形を見て、「まるで自然でなく人の作ったような」という表現は間違いで、そういうのはむしろ自然の本質なんだなと感じます。人がそういうものを作りたいと思うのは、自然を模倣しようとする行為であって、その願望が人の存在の本質であるといえるかもしれません(自然とはなんぞやという定義はとりあえずおいといて)。

鉱物とは、幾何学の表象といえるかもしれない。数学とは発明したものか、発見したものか、という疑問が昔からありますが、これを見ていると、発見したものであるとしか思えません。つまり、「数学」というものは世界に遍在・実在するものであって、人間の作ったルール、ツールではない、ということです(哲学的にいうと、プラトン主義)。

ところでこういう問題を西アジアや西欧の人が語ると、なぜか当たり前のように「神様」というものが出てくるのだけど、日本人である自分は、なんで急に余計な要素を当たり前のように付け加えてくるのか、と思ってしまいます。そんなん別にいらんやんw(神さまはいると思いますけど、全知全能の神様はいらないかなw)

 

これを拾ったのは、山梨県の秋山にある、かなやま金山(ややこしいので地名はひらがなにします)周辺です。

秋山のかなやまといえば、『鉱物観察ガイド』(東海大学出版会、2008年)に、沸石の産地として紹介されていて有名ですが、その露頭はもうすっかり固められていて、ありません。脇にちょこっと沸石のかけらが見られるくらいです。

その露頭のさらに奥の谷間に、小さな集落と昔の金山地域が広がっています。かなやま集落から沢沿い→尾根沿いに千足峠に登る道(地形図や登山地図などには載っていない)が通っていて、その途中の尾根上に、金を露天掘りしていたという「つつみの平」があります。またあちこちの沢沿いにも、掘った跡がたくさんあって、地下には網の目のように坑道が走っているらしいです。

集落にはかなやま金山資料館がありますが、普段は開いておらず、管理人の人(すぐそばの星野さんという方)に頼んで見せてもらうみたいです(知らなかったので、中は見れなかった)。

かなやま金山は応永年間(1394~1428年)、南北朝の動乱で南朝の滅亡に巻き込まれてこの地に逃げてきた星野正美(まさたね)が開いたといいます。管理の方は、その18代目にあたるらしい。。。南北朝の歴史が普通に今まで続いてるのがすごいですね。

とにかく地味な山域なので、静かな山が味わえます。昔は人の行き来も多かったようで、いい感じの峠がいくつもあり、このあたりから雛鶴峠にかけての山域はもっと行ってみたいところです。ちゃんと登山者用駐車場もありますよ!

 

2020年6月 6日 (土)

クリントン石(埼玉県秩父市秩父鉱山)

Clintonite CaAlMg2(SiAl3O10)(OH)2 珪酸塩鉱物

 

Clintonite_chichibumhashikake_01

Clintonite_chichibumhashikake_02

 

雲母の一種、クリントン石だと思います。秩父鉱山産。脆雲母に分類されます。

ネット等で見るのは石灰沢産出のものばかりで、デジタル鉱物図鑑でも産地は秩父では石灰沢しか書いていないのですが、これは隣の橋掛沢で拾った石についていました。地質図を見ると、同じスカルンの脈が石灰沢と橋掛沢を横切っているので、そこから出たものですかね(片山信夫他「秩父鉱山橋掛沢、石灰沢及び出会附近のスカルン鉱物の産状」『鉱物学雑誌』第2巻第1号、1954年)。ちなみに、日本で最初に見つかったのは、秩父の道伸窪だそうです。昔はザンソフィライト(Xanthophyllite)といわれていました(阿部英一「埼玉県秩父鉱山産ザンソフィライト」『地質学雑誌』第51巻第607号、昭和19年)。

白地に青緑の結晶が映えて、とてもきれいです。

白い部分は大体方解石だと思うので、シュウ酸か希塩酸につけて溶かせば、隠れているものが現われてきそうな気もしますが、まあこのままでも十分かと思います。

ちなみに、石灰沢でも、クリントン石らしいものは拾いました。

 

Clintonite_chichibumsekkai_01

 

写真ではあまり出ていないけれど、スピネルがついていないか探して、石のほんのりと青緑に染まった部分を見ていて発見しました(スピネルはなかったw)。

クリントンというと、米大統領だったビル・クリントンのことを思い出すと思いますが、もちろん関係ありません。ニューヨーク州知事などを務めたアメリカの政治家・博物学者のデウィット・クリントン(DeWitt Clinton、1769-1828)にちなんでつけられた名前です。石の原産地はニューヨーク州オレンジ・カントリー。デウィット・クリントンはニューヨークのエリー運河を推し進めた人物だそうです。もしかしたら、原産地と運河が何か関係あるとか、そういうことでしょうかね?

いずれにせよ、石に昔の政治家の名前をつけるとか、自分にはちょっと分かりかねる趣味ですw

 

日本ではそういうのはあまりやらない気がします。日本以外の国では、軍艦(艦艇)の名前は大体過去の偉人とか軍人の名前ですが、日本では人の名前を一切つけませんでした(日本とイギリスはちょっとおかしいw)、例外ありまくりですが、大体戦艦は日本の旧国名(長門とか武蔵とか)、空母は瑞獣などから(瑞鳳とか飛龍とか)、重巡洋艦は山の名前(妙高とか鳥海とか)、軽巡洋艦は川(阿武隈とか酒匂とか)、駆逐艦は和風月名、自然現象や樹木名(睦月とか、〇風、〇波、〇雨とか)、海防艦は島(八丈とか福江とか)からきています。一説によると、明治天皇が、「沈んだら申し訳ない」と言ったとか言わないとか。。。

おかげで、万葉集などに駆逐艦の名前が散見されるようになりました。風流でいいですね。現代の海上自衛隊の護衛艦も、これらの船名を受け継いでいます。個人的には、最近流行りの「グローバル・スタンダード」とかいって、浅はかに人名をつけたりしないでほしいですねw

 

2020年6月 3日 (水)

たんぱく石(オパール)(静岡県河津町河津川流域)

Opal SiO2・nH2O 酸化鉱物


Opal_kawadu_01

 

伊豆の沢で見つけた、たんぱく石(オパール)です。

残念ながら遊色はないようですが、ほの青く光るような柔らかい光沢で、とてもきれいなものです。

一部虹色に見えますが、表面の反射で光ってるだけみたいですねw

分子がきれいにそろっていると、内部からさまざまな色が浮かびあがる遊色が現われます。遊色があるオパールはプレシャス・オパールといって宝石ですが、ないものはコモン・オパールといって、まあありふれたオパール、普通の水を含んだ石英、ということですねw

遊色のあるたんぱく石は、水に入れておかないと、水分が抜けて遊色がなくなってしまいます。でも表面を研磨すると、色は消えなくなるそうです。何だか鉱物らしくないというか、有機物みたいな石です。

 

たんぱく石は結晶質ではないので、正確にいえば「鉱物」ではありませんが(結晶質でないと鉱物の定義にはずれる)、例外的に鉱物として扱われているようです。鉱物とは、自然に存在する(地質的作用によって生成された)、一定の化学的組成をもった、結晶質の無機質物質、です。たんぱく石は結晶質というところで、はずれてしまいます。人間が作った人工ダイヤなども鉱物ではないし、貝が作り出した真珠も鉱物ではないことになります。

以前取り上げた鉱山のカスである「カラミ」からできたアロフェンも、この定義によれば鉱物かどうか、怪しくなってきます。

ただそれをいうなら、人間の掘った鉱山のズリから生じた二次鉱物も、鉱物ではないということになるのか。。。

自然と人為の境界とは、無機と有機の境界とは。。。

突き詰めると、人間と自然を対立させる(対等のものと考える)文化と、そうではない自分がどう付き合うかという、壮大な話になってとめどなくなってくるので、この辺で止めておきますが、このブログではその定義に拘ることなく、好き勝手にいろいろ扱っていきます。対象を限定するのは大事なことですが、地球物理学ブログではなく、博物ブログなのでw

 

2020年5月31日 (日)

黒曜石(静岡県伊豆市皮子平)

Obsidian SiO2(H2O) 酸化鉱物

 

Obsidian_kawagodaira_06

 

鉱物ではなく石ころです。

伊豆の天城にある皮子平は、約3200年前に大爆発した東伊豆火山群のひとつで、このへんでは珍しい流紋岩質火山。伊豆で最も激しかった噴火で、西の広い範囲にわたって火山灰が飛び(琵琶湖でも見つかっている)、考古学の縄文後期の年代指標としても使われています。天城山稜の戸塚峠すぐ北にある火口跡から現在の筏場南端まで、約4kmにわたって溶岩流が流れ、さらに火砕流が駆け下りました。地形図を見ても、現地で見ても、溶岩の流れた痕、その両端と先端が切り立っているさまがはっきりとわかります。

火口周辺の広い範囲にわたって黒曜石が散らばっているので、噴火で火山ドームが形成され黒曜石ができたあと、さらに爆発的噴火で周囲に吹き飛ばされたのではないかと思います。北の溶岩流上の林道や天城主稜線上だけでなく、西の大見川を挟んだ対岸の尾根上にも結構大きなかけらがごろごろしています。

傾斜の緩い溶岩流上は今ではその多くが植林地ですが(天城のすべての植林杉の祖先である「精英樹」がある)、上のほうはブナ(伊豆最大といわれるブナがある)、ヒメシャラの森となっていて、稜線から外れていることもあって、人気の少ない別天地です。

北の筏場から、筏場林道、軽石林道(わかりやすい林道名!)などで溶岩流上を歩くか、天城主稜線の戸塚峠から下って行くことになりますが、いずれにせよ、アプローチは結構長くて大変かも。ちなみに火口地点は柵で人工的に囲まれてしまっていて、入れません。

Kawagodaira_01Kawagodaira_02
左:皮子平。右:筏場蛇喰川、皮子平から流れた火山泥流(ラハール)堆積物の崖。

 

ここの黒曜石は、同じ伊豆の柏峠や神津島のもののように真っ黒できれいではなく、白い粒(斜長石の斑晶)が多く入っているのが特徴。割って石器にはしずらい感じで、実際ほとんど使われた形跡はないようです。

顕微鏡で見ると、ガラス質の部分は透き通っていて、中に多くの結晶や気泡のようなもの、石英のかけらのような屈折率が違う面?や虹色の反射が見えて、とてもにぎやかです。深い水の中をのぞき込んでいるようで、とてもきれいですね。構成物としては、斜長石、斜方輝石、角閃石、磁鉄鉱、単斜輝石など。

以下はマクロ写真集。残念ながら、どれがどれかは分かりませんw すべて、ガラスの中に浮いているものです。

 

Obsidian_kawagodaira_01

Obsidian_kawagodaira_04

Obsidian_kawagodaira_03

Obsidian_kawagodaira_02

Obsidian_kawagodaira_05

 

2020年5月27日 (水)

水晶(黄銅鉱含有)(静岡県南伊豆町青野川流域)

石英 Quartz SiO2 酸化鉱物

黄銅鉱 Chalcopyrite CuFeS2 硫化鉱物

 

Quartz_aono_02

Quartz_aono_03

 

針鉄鉱(静岡県南伊豆町青野川流域)と同じ地域で拾った石です。

小さな水晶・針水晶と黄銅鉱が散りばめられており、特に内部に黄銅鉱が内包された水晶が多く見られました。

ここの水晶の透明度は高いので、中身がとてもよく見えます。

ここの鉱床は、湯ヶ島層に属する安山岩質岩石の隙間を充填した浅水性含銅金銀石英脈ですが、黄銅鉱がまず晶出してから、石英がそれらを取り込みつつ成長していった、ということになるのでしょうか。

下の写真には、赤い鉱物の内包物が見えます。なんだろう、赤鉄鉱とかかな?

 

Quartz_aono_01

 

見ていてふと思ったのですが、水晶が内包することになる鉱物を取り込みながら成長するのって、どうなっているのだろう。

普通に考えたら、水晶の表層の部分部分が、周囲の熱水に溶け込んだSiO4を結合させていって、成長していくわけですよね? ある部分に邪魔もの(内包物となる鉱物)があったら、そこの成長は止まって、周りから取り囲むように成長していくのだと思うけど、そうすると成長の度合いが場所によってズレてしまうわけだから、最終的にきれいな水晶の形にならないような気がします。。。

表面が同じ速度で成長していくから、きれいな形の結晶になると思っていたんですが、そうじゃないんだろうか。

でも例えば骸晶というのは、部分部分で成長の度合いが違うから、あんな変な形に成長していくらしいので、成長に邪魔な別の鉱物があったら、やっぱり同じように成長の度合いが違ってしまい、きれいな形にはならないような気がするのだけど、どうなんでしょう。

あるいは、成長する前の「種」の段階で、あらかじめきれいな(あるいは崩れた)形の結晶の「設計図」みたいなものが、すでに形成されていて、たとえ邪魔ものがあったとしても、その「設計図」に沿ってできる限り成長するようになっているとか?(鉱物の「意思」と言い換えれば、SFになるかも。シオドア・スタージョンの『夢みる宝石』はどんな話だったっけなあ)

そういう実験はされたことはないんでしょうか。

人工水晶(水晶に限る必要はないか)を作る際に、わざと邪魔ものを置いておくとどうなるのか(大きさ、邪魔もの鉱物の種類などを変えて)。

割と手軽に成長させられるいろいろな人工結晶があるし、そういう実験があったら、見てみたいなあ。学校の地学部とかで、やってみたら面白いんじゃない?(自分でやれとw)

 

2020年5月26日 (火)

氷長石(長野県川上村甲武信鉱山)

Adularia KAlSi3O8 珪酸塩鉱物

 

Adularia_kobushim_01

 

結晶の形から、透明な氷長石の結晶だと思います。

長石はいろいろな種類がありますが、氷長石は、カリウムを主成分とするカリ長石のグループに含まれる、正長石の仲間です。

ネット上や鉱物の本にある甲武信鉱山の氷長石の写真を見ると、大きな白濁した標本ばかりで透明なものはほとんど出ていませんが、顕微鏡サイズだとこんな透明なものもあるんですね(ちなみに、この石は氷長石の出るポイントではないところで拾ったものです。どこだったかなあ、その近くの緑水晶のポイントだったか)。

英名のアデュラリアは、イタリアに近いスイス南部のアデュラ山からきています。イタリアでアデュラ山というと、その山域の最高峰3402m峰のこと。ドイツ語だと同峰はラインヴァルトホルンといい、アデュラといえば、アデュラ・アルプスという広い山域のことを指すとか。ややこしい。

この石を最初に報告したのはイタリアの自然研究者、建築家のエルメネジルド・ピニ(1739-1825)ですが、スイスを旅行中に手に入れたとのこと。どちらの意味でアデュラと名付けたんでしょうね。現地の人にどこで拾ったか聞いたら「ああこれはアデュラのあたりの沢で拾ったんじゃよ」(UFO特番のインタビュー吹替風に)みたいな? ところで、ゲーテはこのピニとミラノで会ったそうですが、その時に氷長石を見せてもらったようです。ハルツ旅行中に輝く真っ白い方解石を見つけて「ピニのもっていた氷長石を思い出した」と日記に書いています(木村直司編訳『ゲーテ地質学論集・鉱物篇』筑摩書房、2016年)。鉱物の話題で盛り上がったんでしょうねぇ。

自然研究者、科学・数学分野の専門家であり文学者でもある人物といえば、日本の寺田寅彦、ペルシャのオマル・ハイヤームなどがいますが、やはりゲーテはちょっと他に比べるもののない一頭地を抜く存在です。さらに政治家でもあるというのは、ちょっと想像を越えています。

自分は学生のころ、ドイツ詩の授業(山口四郎先生)をとっていましたが、ゲーテの詩ほど完璧に詩形にのっとり、なおかつ想像喚起力に満ち溢れたものは他にはないなあと思ったのを覚えています。またいまでも覚えている数少ないドイツ語の授業で、物理学者のハイゼンベルクのゲーテについての講演を取り扱ったものがありました。ゲーテの原植物(Urpflanzen)について、DNAを思わせるなどと語っていたのがすごく印象的でした。考えてみれば、DNAは原植物であると同時に原動物でもあるわけで。。。(ゲーテにとっての原植物が観念論でなく現実に存在するはずだという考え方は、あくまでフィールドワークを中心としたゲーテらしいところで、好きだなあw)

岩石については、ゲーテはヴェルナーの影響で水成論をとっていたようですが、フンボルトの火成論以降はかなり揺れていたようです。ちょうどそういう時代だったということでしょうね。光の粒子論と波動論もそうですが(ゲーテの色彩論)、定説が確立していない時代に生きていたら面白かっただろうなあと思います。

 

まあ一言でいうと、楽しそうに採集旅行にいそしむゲーテは、鉱物好きにとっては偉大な大先輩なのですw

 

2020年5月23日 (土)

藍鉄鉱(東京都檜原村三頭山)※

Vivianite Fe2+3(PO4)2・8H2O 燐酸塩鉱物等

 

Biotite_mitousan_03

Biotite_mitousan_02

Biotite_mitousan_01

 

2020/5/23追記

ネットで、これとそっくりの写真を見つけました。

もしかして、藍鉄鉱か?(電子顕微鏡室/Electron Microscope Section、東京大学物性研究所)

説明中にある「土壌や粘土中に球果状に集合してノジュールで産出することが多く」という状態に該当するわけですね。

デジタル鉱物図鑑の説明に、「堆積岩中、低-中熱水脈より産出」とあります。そういえば、三頭山の頂上から東の稜線上、チャートが多かったっけ。。。

間違いなさそうなので、タイトルとカテゴリーを変更します。

 

 

以前の記事


2020/4/28

黒雲母(東京都檜原村三頭山)

biotite K(Mg,Fe2+)3(Si3Al)O10(OH,F)2 珪酸塩鉱物

奥多摩の三頭山で拾った石です。

石目当てというわけではなく、普通に山登りに行って、三頭山に登った記念にと、足元にあった何となく惹かれた石を拾いました。泥まみれで、家に帰ってからもずっと置きっぱなしになってたのですが、数か月たってからふと思い立って、洗ってみたところ・・・固まっていた泥が思ったよりも厚く、それをどんどん流れ落としていくと、多くの小さな水晶が姿をあらわして、びっくりしました。

そういえば、現地に三頭山の地質の説明で貫入岩体で石英閃緑岩が云々と書いてあったな、と思い出しました。

奥多摩方面はあまり行ったことがなく(そんなに魅力を感じたことがなかった)、そのあたりの地質に関する知識もほとんどなかったので。。。

ルーペで見てみると、黒い球状のものがたくさんついているのに気づきました。

多分、黒雲母が球状に集合したものではないかと思います。3枚目の写真の右下に、半分に割れて断面が見えているものがあります。その質感が、明らかに雲母にしか見えなかったのでそう考えましたが、どうでしょう。雲母が丸くなっているのではなく、板状の雲母が集合して、まるで牡丹の花のようになっているのが、なかなか趣きがあっていいですね。

いずれにしても、こんな風にきれいな球状に集まった雲母は初めてみますが、そういえば小川山で花びらのように咲いた白雲母のついた石を拾ったことがあります。

ネットで探しても似たようなものは出てこなかったけど(雲母が球状のかたまりになったものはあった)、そんなに珍しいってわけでもないのかな?

雲母ってどこでも見つかるし、あまり注目することはなかったけれど、なかなか奥深いかもしれない。。。

 

ポスンジャク石(栃木県日光市小来川鉱山)

Posnjakite Cu4(SO4)(OH)6・H2O 硫酸塩鉱物等

 

Posnjakite_okorogawam_02

Posnjakite_okorogawam_01

 

薄い水色の、細長い鱗片状のものがポスンジャク石だと思います(青の強い塊状に見える部分は、ラング石かも)。

銅鉱床の二次鉱物で、カザフスタンの中央部、鉱物資源の豊富なカラガンダ州のヌラタルディ(Nurataldy)で、初めて確認されました。草下英明の『鉱物採集フィールドガイド』によると、世界で二番目に報告されたのが、ここ、小来川鉱山だそうです。

変な名前ですが、この鉱物の合成実験をしたロシア人地球化学者・ユージン・ヴァルデマー・ポスンジャク(Eugene Valdemar Posnjak〈1888–1949〉)にちなんで1967年に命名されたとのこと。この人については調べてもよくわかりません。

銅の二次鉱物は、青や緑や白できれいなのですが、どれも似ていて、よくわかりませんね(まあすべての鉱物がよくわからないんですけどw)。

ポスンジャク石と同質異像(化学組成は同じで結晶形は違う)なのがラング石ですが、この二つの違いは、ポスンジャク石が鱗片状、ラング石が四角い感じ、とのこと。でもネット上で調べてみると、産地の違いなのかわかりませんが、どう見ても逆なんですけど。。。という例が散見されます(色も水色から緑がかったものまで幅があるが、これは写真の具合かもしれないしなんともいえない)。

もともと鉱物の結晶の形にもいろいろ変化がありますし、毛状のものが集まって板状になったり、板状のものが集まって丸くなったり、固まりになったり、実物の色もちょっとした組成の違いで全然変わってきたり、目で見ただけではわかるわけないよなあ、と感じることが多いです。結局化学組成を分析機器で調べたりしないとほんとのところは分からないわけで、それができない自分は、もう雰囲気でいいんじゃないか、という気にもなってきますw

それでもこうやって色々調べるのは、個人的であってもネットに載せる以上、あんまり適当なことは書けないかな、と思ってのことなのですが、どうせそんな大勢が見るわけでもないし、やっぱり自己満足でいいんじゃないかとも思います。

あと20年くらいすれば、安いハンディ組成分析器とか、Amazonで買えるようになるかも?(需要ないかな?) 自分はちょっとそこまで時間がないかもしれないけどw

 

2020年5月22日 (金)

錫石(茨城県城里町錫高野)

Cassiterite SnO2 酸化鉱物

 

Cassiterite_suzukoya_01

 

錫高野で拾った錫石です。いかにも正方晶系という形がもえますね。

高取鉱山は鉄マンガン重石(タングステン鉱石)、錫石などをメインに採掘していた鉱山です。今でも、ズリで鉄マンガン重石と錫石はよく目にすることができます。どちらも地味な鉱物ですが、この質感には水晶などとはまた違う重厚な魅力があります。

ここは車でアクセスしやすいので、鉱物目当ての人も割と見かけます。ズリもあちこちにあって広いし、危ないところもそんなにない感じなので、気軽に探しに来れるんでしょうね。小さなスコップだけを持って軽装で歩いている人もいるし、ちょっと水晶でも探しに行くか、みたいな?

こういう場所が近くにあったら、ひょいひょい通っちゃうでしょうね。

 

 

そういえば、スズといえば、スズヤベーカリーですね(いや違う)。

石に関しては特に他の人に向けて発信する気など毛頭なかった自分が、このブログを作ろうと思ったきっかけは、アニメにもなったマンガ『恋する小惑星(アステロイド)』(Quro作)です。わかる人はすぐわかったと思いますが、当然ブログのタイトルもそこからきてますw

高校の地学部が舞台のマンガで、小惑星発見という夢をかなえようとする主人公二人と、地学部(天文部と地質研究会が合併して地学部になった)の地学系女子たちをめぐる話で、あちこちに地学的ネタがもりこまれています。

『まんがタイムきららキャラット』(芳文社)という雑誌で今も連載されてます。例えば以前同誌で掲載されていた『けいおん!』は軽音楽部が舞台ですが、別に音楽がテーマになってるわけでなく、単なる舞台設定にすぎないけれど、『恋する小惑星(アステロイド)』はそうではなく、まさに地学そのものが一番重要なテーマになっていて、そこが一番の魅力。天文、地質、地理、さらに気象など、別々の興味を持った子たちが、一見全然違う分野のように見えるものが、けっして無関係ではないことに気づいていくところも、すごく共感できます(自分もそうやって、興味を広げてきました)。

国土地理院に行って、目をきらきらさせる女子高生なんてはたして実在するのか。まさに非実在青少年 (笑)(でも自分は、街のくねくねの小径を見て川をふさいだ跡だとうれしそうに説明してくれる女性を知っているのだ。だから、多分実在すると思う。してほしいw)

内輪ネタで、掲載誌の「まんがタイムきららキャラット 」を「マイカ・タイム雲母(きらら)カラット」とパロるというギャグを見て、やるな! と思いましたね(雲母は英語でmica、日本の古語で岐良々〈きらら〉)。

作者(それと非常に出来のよかったアニメの制作も)の、地学に対する思いが、伝わってきます。本当に好きなんでしょうね。だから、桜先輩の地質標本館で標本に見入る姿や、部の会報をみんなで作っていく様子など見ていて、やっぱり自分も何かしたいなあと思えてきたのです。もうひとえに『恋する小惑星(アステロイド)』のおかげです。

一応、ここを作るきっかけを書いておいてもいいかなと思ったので、載せておきますね。

(ちなみに、地質班の副部長は桜井美景(みかげ)という名前で、多分櫻井欽一と御影石からきてるのかも?)

(あ、スズヤベーカリーっていうのは、主人公の友だちの実家のことねw)

 

2020年5月20日 (水)

チタン鉄鉱(山梨県甲州市柳沢峠)―B2

Ilmenite Fe2+Ti4+O3 酸化鉱物

 

Ilmenite_yanagisawa_02

Ilmenite_yanagisawa_01

 

前回・閃亜鉛鉱?(山梨県甲州市柳沢峠)からの続きです。

六角形を基本とした形状で、磁鉄鉱ほどではないとしても、結構強い磁性を持っています。

ということはやっぱりどこか上流にペグマタイトが露出しているところがあるってことですね。

このあたりの地質を大きく見ると、甲府花崗岩体の徳和バソリスに属します(広範囲に地下深部でできた花崗岩などが地表に露出しているものをバソリスという)。徳和バソリスは、御坂峠周辺(藤野木・愛川構造線)を南限として、そこから北上し、雁ヶ腹摺山・黒岳、大菩薩峠、柳沢峠、雁坂峠、甲武信岳、大弛峠、さらに南下して琴川ダムあたりまで含む、広い範囲です。御坂峠から大弛峠まで延々と稜線を繋いだイメージですね。

徳和というと、乾徳山や黒金山の登山口として知られていますが、乾徳山や黒金山自体は徳和バソリスではありません。

ところで黒金山という山名も、鉱物好きにとっては、ちょっと気になります。場所的には鉱山等あってもまったく不思議のないところですが、そういう話を聞きません(黒金山から稜線ぞいに国師岳方面に向かうと、デュモルチ石で知られる京の沢があります。一度行ってみたいんですが、距離もあってビバーク必須か。。。)。

『和名類聚抄』の宝貨部に、「銕[𨮘鉄附]説文云銕[他結反和名久路加禰此間一訓禰利]黒金也唐韻云𨮘[音賓]𨮘銕為刀甚利」とあるので、 黒金とは銕=鉄のことです。鉄鉱石として使われた、赤鉄鉱、磁鉄鉱、針鉄鉱、鱗鉄鉱、菱鉄鉱などの鉱山があったのかもしれません。

徳和バソリスの花崗岩は磁鉄鉱が多いそうですが、大菩薩の周辺は泥質岩に接しているためチタン鉄鉱が多いとのこと(TreckGEO大菩薩峠)、柳沢峠も同じということかな。

ネットで調べていて、柳沢峠の古い水晶坑のことが出ている文献がありました。「…柳沢峠付近のペグマタイト中(古い水晶坑)でソウ長石の 内部に点在する緑レン石に黒色のカツレン石がはめこまれて産する…」(木村幹「東洋産含希元素鉱物の化学的研究(第56報)山梨県大菩薩峠産カツレン(褐簾)石」『日本化学雑誌』第81巻第8号、1960年)。これだけです。こちらにはチタン鉄鉱についての記述はありません。

『日本希元素鉱物』は実際に実物を見たわけでないので、引用しづらかったのですが、Amazonで見てみたら中古も何点かあるのだけれど、すべて10万円前後でした。うん、買えませんねw

 

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